11月9日【11月9日】
家を引っ越した。
近所にはテーマパークに近い公園があり、多くの人が訪れる場所だった。外からは楽しそうな子どもの声が聞こえた。
自分以外の家族は誰も住んでおらず、ほとんど一人暮らしに近い形になってる。しかし、一人で使うには些か広すぎる。部屋は有り余っているし、荷物もあまり多くないのでいくつかの部屋は伽藍堂だった。
目を覚ますと、自分の二つ目の寝室だった。引っ越して早々、思いきり寝坊してしまった。諦めて寝ぼけ眼のまま学校へ向かう。
学校へ来たものの、荷物も何も持ってきていない。今からでも取りに帰ろうか。そう考えながら、授業中を抜け出した。
下の階へと降りると、友人が知らない男に無理やり手を引かれて空き教室へと入っていくのを見つけた。急いで後を追いかける。
友人を押さえつけている中年の男は、背後から入り込んだ私には気づいていないようだった。
今だ。
手元にあったパイプ椅子で男の後頭部を殴打する。男は泡を吹いて倒れた。友人の服を直して抱き上げる。
ばくばくと脈打つ彼の心臓を感じながら、安全な場所へ逃げるために走り出した。