11月28日【11月28日】
恋人が親に虐待されていた。
彼女の父親は著名人だが、テレビを通じて人を見下すようなことをよく言っている。それを否定するような人間はおらず、熱狂的な信者がそれを持て囃していた。恋人はそれに辟易していた。家でも、自分に向けて同じようなことを言うのだと訴えてきた。
その日のうちに、私の家に避難させることにした。もう帰らなくていい、絶対守ると伝えると、恋人は抱きついて泣き出した。
恋人の両親が家へ戻ってきた。彼らは消えた恋人のことを探し回っているようだ。そのうち、私の家にもやって来た。なんとかやり過ごせたと思ったが、彼らは毎日私の家の周りを彷徨くようになった。
このままではいけないと思って、警察に通報することにした。恋人は自分で自分の状況を話したいと申し出た。覚悟を決めたような目を見て、頷いて受話器を渡した。
両親から虐待されているんです。物をぶつけられたり、罵声を浴びせられたりすることが日常茶飯事なんです。両親に付き従う親族からも殴られるんです。どうか助けてください。
受話器を置いた恋人の手は震えていた。
警察はすぐに駆けつけた。
恋人を虐げていた輩は、捕まるのを恐れて自殺を図ったり、他の親族を車道に突き飛ばしたりして自分だけ助かろうとしていた。ひどく醜い光景だった。最後には全員が何らかの不幸な目に遭って死んでいった。
まるで、誰かに呪われたかのような死に様だった。