3月8日【3月8日】
何かの集会が開かれるらしく、体育館のようなところに集められた。
ひとりひとり壇上に呼ばれて、何かしらの文章を読み上げて、パラパラとまだらに拍手が鳴る。そうして、また席に戻ってくる。
稚拙なお遊戯会のようだった。
気付けば、もう少しで私の番になるところだった。こんなもの、付き合っていられない。嫌になって逃げ出した。
地べたに座っている生徒の間をすり抜けて、靴も履かずに体育館を出た。
どこに逃げればいいかなんて分からない。
闇雲に廊下を走っていると、誰かに腕を掴まれた。振り返ると、見知らぬ男が立っていた。
「君のダメなところ、教えてあげる」
男は作りもののような笑顔でそう言った。そして、つらつらと、言い聞かせるように私の欠点や過ちを上げ連ね始めた。
必死になって腕を振りほどこうとするが、ビクともしない。全く動じていないようで、私が抵抗している間にも、聞きたくもない言葉が脳を侵していた。
足から力が抜けて、冷たいコンクリートに座り込んだ。左腕は掴まれたままだった。
呆然としていながらも、口からはごめんなさいという言葉が絶えず溢れた。男の言葉は止まらなかった。
そのうち視界がぼやけて、諦めて目を閉じた。