お風呂のお供はあ、これ、かわいい。
今度の週末、先生が気仙沼に帰ってくるってタイミングで見つけてしまったサメグッズに、思わず財布のひもが緩んでしまう。気が付いたら、私までサメに反応するようになっちゃって。実家の両親もみーちゃんも、なにかっちゃ私にサメ情報送ってくるし。
でも、サメ見つけたら先生はいつも嬉しそうな顔するし、いいデザインのグッズも多いし、サメって生態も興味深いし、仕方ないっちゃ仕方ないかも。ってなぜかちょっと心中で言い訳もしながら、見つけちゃったサメグッズをレジに持ってく。先生、喜ぶかな。
土曜日の夜、仕事の後にこっちに帰ってきた先生。ご飯は新幹線で食べたっていうから、沸かしておいたお風呂に早速入ってもらう。風呂につかるの久しぶりだって、ヘトヘトした顔で笑うもんだから、もうやっぱりね、て感じ。てきとーにシャワーだけってのが多いんだろうなって分かってましたよ。なので、こっちに帰ってきた時にはたっぷりのお湯につかってもらうことにしてる。
先生が湯船に落ち着いた気配になったところで、お風呂場のドアをそっと開けて覗いてみると、お湯に肩まで沈んだ先生が濡れた前髪を後ろにかきあげて湯船の縁に頭を預けて気持ちよさそうに目を閉じてる。リラックスできてそうでよかった、と思いながら、手に持ってたサメグッズをぽいっと湯船に投げ込んでみた。ちゃぷんちゃぷんと音をたてて着水したそれに気づいて先生が目を開ける。
お湯にぷかぷか浮いてるのは、ラバーダッグならにラバーシャーク。グレーで丸っこいフォルムにデフォルメされたサメの親子がなんだかとてもかわいくて、先生のお風呂のお供にいいんじゃないかなって。
親サメと子サメをそれぞれ手ですくった先生がこっちを見てくる。
「先生にお風呂のおともだちです。ごゆっくりどーぞ!」
って言うと、子供じゃないんだから、って笑いながらも、嬉しそうにサメを見てる。
カタンとお風呂場のドアを閉めて、すりガラス越しに先生のシルエットを見てると、どうやらサメをぷかぷかさせてるみたい。これで烏の行水じゃなくてゆっくり浸かってくれるといいな、って思いながら、リビングに戻る。
先生がお風呂から上がるのを待とう、って本を読んでたら、結構没頭しちゃって。先生がお風呂から出てきて顔をあげたときにはゆうに30分は経ってた。いつもの倍以上。サメのお供がいい仕事した、のかな。なんだかちょっとのぼせたみたいになってるから、お茶をくんであげたらおいしそうに飲んでる。
じゃあ、私もお風呂はいりまーす、って先生に見送られてお風呂に行ったら。湯船の上に、親サメと子サメがはなっつらを寄せ合ってこっちを見てる。先生がこうやって置いて出たんだと思うと、なんだかかわいい。これからも先生のお風呂のお供よろしくね、と親サメちゃんをつつくと、親サメちゃんのおなかがへこんで、ぷい、って音が鳴った。