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    しおり
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    夢物語への憧憬 まん丸の月が浮かぶ夜。岐阜城へと名を改めた城の主の寝屋には仲睦まじい夫婦の姿がある。夜着をまとって妻の膝に頭を乗せているのは城の新たな主である織田信長であり、己の膝に甘える夫に微笑みかけるのは正室の帰蝶。華やかな打掛ではなく白一色の夜着であっても彼女の美しさは変わらない。
     信長が帰蝶と嫡男である奇妙丸を岐阜城へ呼び寄せたのは最近のことだ。美濃を手に入れてすぐに呼び寄せたかったのだが物事が落ち着くまでには時間が掛かり、ようやく二人を傍に置くことができるようになったのだ。
     久しぶりに妻の膝枕を堪能する信長は零れる笑みを抑えることができなかった。帰蝶の傍は心地が良い。帰蝶は温かく柔らかく、いつも良い香りがした。そして最も好ましいのは自分と正面から向き合ってくれるところだ。己の血縁の者たちとは異なり、真っ直ぐに信長を見てくれる帰蝶は何にも代え難い。
     笑みを堪えきれない信長を見る帰蝶が楽しげに笑い、膝に乗る頭を優しく撫でた。
    「殿、何か良いことでもございましたか?先程から嬉しそうにしておられて。」
     信長は面白がるような表情を見せる帰蝶の頬に触れながら返事をする。
    「そなたを呼び寄せることができて嬉しいのじゃ。こうしていつでも膝枕を強請ることができる。」
    「まあ、甘えん坊な殿ですこと。」
     わざとらしく目を丸くした帰蝶に信長は笑みを深める。こうした気安いやり取りが心を癒やしてくれるのだ。
     その時、帰蝶が「そういえば」と話を切り出した。
    「伯母上から文が届きました。」
    「そなたの伯母というと十兵衛の母君か?」
    「左様でございます。今の暮らしの様子を伝えるために送ってくださりました。明智庄に残った家臣や領民たちが館を修繕してくれていたそうで、不自由なく過ごしていると書いてございました。」
    「そうか。元の場所で暮らしておるならば心穏やかに過ごせよう。」
    「はい。これも全て信長様のおかげだ、と。どれほど感謝しても足りぬと仰せです。殿、伯母上に代わり感謝申し上げます。」
     帰蝶はそのように言って頭を下げた。その顔に浮かぶ笑みには喜びが滲んでおり、それが信長の気分を更に良くする。帰蝶が嬉しいと信長も嬉しかった。
    「帰蝶、伯母君が美濃に戻れて嬉しいか?」
     そのように問えば帰蝶は「はい」と首を縦に振る。
    「伯母上は私にとってもう一人の母。伯母上が幸せであれば私も嬉しゅうございます。」
    「もう一人の母、か。」
     信長はぽつりと呟き、視線を妻から外した。
     幼少期から実母との関係が破綻していた信長とは異なり、帰蝶は己の母親と仲が良く、それに加えて伯母とも母娘のような関係を築いていると聞く。そんな彼女の子ども時代の話を聞くのは楽しいが、同時に羨ましくもあった。
     信長は視線を帰蝶に戻して小さく笑む。
    「帰蝶、そなたの幼少の頃の話を聞かせてくれ。明智の館で過ごしておった頃の話を聞きたい。」
     夫のお強請りに帰蝶は目を細めて笑った。
    「その話は何度もお聞かせしましたが、また聞きたいのですか?」
    「うむ、聞きたい。そなたが明智の館で過ごした話は何度聞いても面白い。全く飽きぬ。」
    「変わった御方。以前にお聞かせした内容と同じでもよろしければお話しいたしましょう。」

     帰蝶の口から明智家での日常が朗々と紡がれていく。
     雑談を交えながらの楽しい食事のこと。
     十兵衛と共に野山を駆け回って遊んだこと。
     時には双六で遊び、十兵衛は一度も勝てなかったこと。
     木から降りられなくて泣いた十兵衛と交わした約束のこと。
     泥だらけになって遊んだ後に十兵衛と並んで伯母に叱られたこと。
     母が恋しい夜には十兵衛や伯母が寄り添ってくれたこと。
     彼女の語る一つひとつが信長にはきらきらと輝いているように思えて胸が踊った。
     「他には?」と強請れば「このお話はいかがでしょう」と次の話が紡がれる。
     帰蝶が語る思い出話は金の粒よりも価値があった。

     帰蝶の昔語りは信長が強請ったせいで夜遅くまで続き、ようやく眠ることになると帰蝶はすぐに寝付いてしまった。その寝顔を眺めながら、信長は羨ましさが胸の内に広がっていくのを感じる。
     帰蝶の子ども時代は温かくて幸福に満ちていた。最終的には道を違えた兄・義龍とも幼い頃は気安いやり取りを交わす関係であったのだから、幼い頃の帰蝶は周囲の愛情に恵まれて育ったのだとわかる。幼い頃から母に疎まれ、弟との関係も上手くいかなかった自分とは余りにも差が大きい。
     幼少期について話す帰蝶の顔はいつも穏やかで楽しげだ。特に明智家での出来事を語る時の表情が良い。思い出を大切そうに語る彼女は美しく好ましいが、羨ましく思うのも事実だった。
     帰蝶の母は病でこの世を去り、弟たちは兄に殺され、父を兄との戦で失い、その兄さえも既にこの世にはいない。故郷である美濃に戻ってくることができたものの、彼女を待つ家族は一人もいないのだと思っていた。
     しかし、それは違う。帰蝶には明智家というもう一つの家族がいた。信長にとって家族と呼べる存在は己の妻と子どもしかいないようなものだが、帰蝶には自分たち以外にも明智家という家族がいる。そのことが無性に羨ましかった。
     信長は眠る帰蝶に手を伸ばし、その艷やかな髪に触れる。起こさぬよう静かに髪を梳く顔に表情はなかった。
    「わしにとっては唯一であっても、そなたにとっては唯一ではない。……帰蝶、そなたが羨ましい。」
     帰蝶の思い出話は信長を楽しませてくれるが、虚しさを感じる時がある。生まれ育った環境の違いを突きつけられたような気がするのだ。
     子ども時代の楽しい思い出も、温かな家族も、信長にとっては夢物語と同じ。遠い存在でしかない。この虚しさを共有できる相手など、きっといないのだろう。


    *****


     信長は足利義昭を将軍に擁立して幕府の立て直しを図るようになり、京の都に滞在する機会が増えた。それに伴い「都に館を建ててはどうか?」という意見が持ち上がるようになった。それは当然の流れであったが、信長自身は今ひとつ気が乗らなかった。
     守りを考えれば寺を宿舎とするよりも己の館を持った方が良い。未だに三好勢は都を狙っており、その他にも警戒すべき勢力がいるのだから襲撃に備えて館を建てるべきだろう。それを理解しながらも踏ん切りがつかないのは朝廷や公家衆の受け止め方が気になるからだ。
     財政的に苦しい状況にあっても帝には大きな影響力があり、その帝を支える公家も無視できない。それゆえ信長の都への根の張り方に不快感や反発を抱かれるようなことがあってはならないのだ。そうなると館を建てることにも慎重にならざるを得なかった。
     このような理由で信長は京に己の館を持っていない。そのため懇意にしている寺を宿舎としているのだが、今回は運悪く寺の重要な行事と重なってしまったので寺での宿泊を断念することとなった。その代わりの宿舎としたのが明智十兵衛光秀の館だ。面倒事を片付けるために都に上ったのだが、明智家の館に泊まることを考えれば自然と機嫌が上向く。鬱陶しい幕臣たちとの会談を終えた信長は少数の伴を連れて明智家の館に足を向けた。
     馬をゆっくり歩かせながら明智家の館を目指し、目的地に近づくと館の前に数人の武士が並んでいることに気づく。その中でも一際目立つのが館の主である十兵衛だ。背筋を真っ直ぐ伸ばした立ち姿は美しく、遠くからでもひと目で彼だとわかる。わざわざ館の前で自分を待っていてくれたのだと思うと嬉しかった。
     信長は我慢できずに馬から降りて十兵衛に駆け寄る。
    「十兵衛、久しいな!館の前で待っているとは思わなかったぞ!」
     信長が声を弾ませると十兵衛は「お待ち申し上げておりました」と丁寧に頭を下げた。
    「館が完成して日が浅く、人手も十分とは申せませぬが、信長様に心地良く過ごしていただけるよう手配しております。さあ、中へお入りください。」
    「うむ!頼むぞ、十兵衛!」
     信長がそのように答えると十兵衛は小さく頷いてから館の中に向けて歩き始めた。その後ろについて門を潜り、玄関で式台に腰を下ろすと年若い下女がぬるま湯で足を洗ってくれる。少し緊張した面持ちで足を洗う女に信長は声を掛けてみることにした。
    「そなたは明智家に仕えるようになって日が浅いのか?」
     下女は声を掛けられたことに驚いたらしく、目を丸くしながら顔を上げた。そして「左様でございます」と首を縦に振ると慌てたように俯く。
    「そうか。明智家はどうじゃ?十兵衛は良き主であろう?」
    「は、はい。お仕えできることを感謝しております。」
    「ほう。では、十兵衛がどのような主なのか教えてくれ。」
     館の主としての十兵衛への興味から信長が質問を重ねると、下女は困ったように十兵衛の方へちらちらと視線を向ける。それを受けて、十兵衛が苦笑を滲ませながら「その辺りでご容赦を」と声を掛けてきた。
    「本人の前では答えにくいことにございます。それに加えてお千代は人見知りゆえ緊張しておりまする。ご容赦くだされ。」
     その言葉を聞き、今度は信長が目を丸くする番だ。まさか下女の名前や性格まで把握しているとは思わなかったのだ。
     信長が驚いている間に足を洗い終えた女は頭を下げて去っていった。その後ろ姿を見遣ってから館に上がり、十兵衛の案内で寝泊まりする部屋へ向かう。
     信長は己の部屋に着くまでの間、じっくりと館の中を観察した。全体的に品のある良い館だ。廊下は磨き上げられていて掃除が行き届いており、通りすがりに見る各部屋は落ち着いた雰囲気で居心地が良さそうに見える。
     何よりも印象的なのは館で働く者たちだ。人手不足という話は大げさではないらしく、遠目に見える者たちは誰もが忙しそうに動いている。それでも殺気立った様子や苛立った様子は見受けられなかった。忙しくしていながらも言葉を交わす顔は穏やかなものだ。それだけ館内の雰囲気が良いということだろう。
     そのような印象を抱きながら歩みを進めるうちに今夜泊まる部屋に到着した。落ち着いた色合いの部屋には花が生けられており、その美しさに目を引かれる。控えめな美しさはどこか家主を思わせた。
     信長は部屋の中をぐるりと見渡してから十兵衛に笑顔を向ける。
    「良い部屋じゃ。これならば心地良く眠れよう。」
    「気に入っていただけたようで安堵いたしました。茶と菓子を持ってこさせますので、ごゆるりとお寛ぎください。本日はお疲れでしょうから。」
     その言葉に頷き、信長は茵の上に腰を下ろした。信長が座れば十兵衛も向かい合うように座る。
    「そなたの申す通りじゃ。美濃から来て休む暇もなく幕府の者どもと話をしたが、あやつらでは話にならぬ。頭の固い者ばかりで何も進まぬのだ。疲れが増したわ。」
    「申し訳ございませぬ。私の方でも説得に当たりましょう。」
    「頼んだぞ、十兵衛。」
     その時、「失礼いたします」の声と共に先ほどの下女よりも歳を重ねた下女が茶碗と茶請けである饅頭を持ってやって来た。
     信長は女が茶碗と饅頭を自分の前に並べる姿を見遣りながら口を開く。
    「そういえば十兵衛、そなたは下男や下女の性格まで把握しておるようだが、何故じゃ?」
     その質問に十兵衛は不思議そうに瞬きしたが、「恐らく……」と答え始める。
    「よく皆に声を掛けて話をするからでしょう。話をする機会が多ければある程度は人となりがわかるものでございます。」
     その返答は信長にとっては意外なものだった。要するに十兵衛は己の館の下働きの者たちと気安くしているということだ。
     信長は茶を出し終えて退出しようとする下女を「待て」と呼び止めて問いかける。
    「十兵衛はそなたらに対して気安いのか?」
     信長の問いに対して女は笑顔で「はい」と頷いた。
    「私は殿が美濃におられた頃から明智家にお仕えしておりますが、明智家の皆様は下々の者に対しても親しくしてくださります。京にお移りになられてからはまだ館に慣れぬ者たちを気にかけて何かと声を掛けてくださるのです。時には私どもを手伝ってくださることもございます。」
    「ほう。十兵衛がそなたらの手伝いを?」
     信長が面白がりながら視線を十兵衛に移すと、彼は気まずげに視線を逸らす。
    「威厳がないと指摘されても致し方ないことではございますが……皆が忙しい時に薪割りや障子の貼り替えなどを、少々。」
     口ごもりながら話す十兵衛を見て下女が小さく笑みを零した。それに反応して十兵衛が拗ねたように唇を尖らせる。
    「そなたまで笑わずとも良かろう。わしの立場であれば相応しくない振る舞いだが、皆が忙しくしておるのに放ってはおけぬ。」
    「ええ、承知してございますよ。殿が美濃におられた頃と変わりがないので嬉しく思うているのです。それでは失礼いたします。」
     下女は澄ました顔で告げてから丁寧に頭を下げ、上品な歩き方で部屋を出ていった。
     下女が退出するのを見届けた信長は十兵衛に視線を戻す。
    「あの者は美濃の頃から仕えているだけあって十兵衛の扱いを心得ておるようだな。面白いものを見た。」
    「はあ……。美濃の頃から仕えている者たちとはどうしても気安くなってしまいまして、威厳がないとは自覚しておりますが、こればかりはどうにも……」
    「良いではないか。この館の雰囲気が穏やかなのはそなたと皆の関係が良いからであろう。実に居心地が良い。」
    「そのように仰っていただきありがたく存じまする。」
     十兵衛は穏やかに笑って軽く頭を下げた。
     己の館ということもあってか、今日の十兵衛は普段よりも柔らかい雰囲気だ。素に近い彼に会えるのは嬉しい。
     信長は笑みを浮かべたまま饅頭を手に取ってかぶりついた。中に餡が詰まっているだけの素朴なものだが、程よい甘さが美味しい。
    「ん、美味い。たまにはこのような素朴な味も良いな。」
     信長が上機嫌で褒めれば十兵衛が嬉しそうに微笑む。
    「それは良うございました。夕餉前なので茶請けの饅頭は素朴なものにしておりますが、夕餉は様々な料理を取り揃えました。ご満足いただけるかと。」
    「十兵衛のもてなし、楽しみにしておるぞ。……話は変わるが、先ほどの薪割りと障子の貼り替えの話はまことか?」
     その話を切り出すと十兵衛は少し狼狽えて眉尻を下げた。まさか蒸し返されるとは思っていなかったのだろう。
     十兵衛は困った顔で首の後ろを掻いた後に「まことでございます」と肯定した。
    「美濃で暮らしていた頃から行っておりました。新たに雇った者たちは驚いておりましたが、人手が足りぬ状況では私も行うべきと考えております。」
    「主であるそなたがそこまでやってやる必要はないと思うが?」
    「そうなのやもしれませぬが、明智家を支えてくれている者たちと手を取り合っていきたいと思うのです。」
     信長は十兵衛の真っ直ぐな眼差しを受け止めながら小さく苦笑を漏らした。
     帰蝶から「十兵衛は幼少の頃から下々の者たちとの距離が近い」と聞いていたが、大出世を果たした今になっても変わらないことには驚かされる。明智十兵衛光秀という男の根の部分は美濃の若侍だった時と何一つ変わっていないのだろう。
    「そなたの真っ直ぐさは相変わらずだな。……十兵衛、館の中を案内してくれ。そなたが皆と手を取り合って築いてきたものを感じてみたい。」
     信長がそのように告げると十兵衛は目を瞠ったが、嬉しそうな微笑を浮かべて頷いた。その笑みに見惚れていると十兵衛が「参りましょう」と言って腰を上げたためそれに続いて立ち上がる。
     信長は先を歩く十兵衛の背中を見つめながら彼の変化の無さを羨ましく思った。十兵衛の「身分に囚われず誰とでも近しい」という性格は少しも変わらないようだ。どれほど身分が高くなろうとそこが変わらない彼は人々の目には眩く映るだろう。それゆえに大勢から慕われるのだ。
     自分はどうだろうか、と信長は己の掌に視線を落としながら考える。
     大きな国を作ることを目標として掲げた瞬間から従来の自分でいるのは難しいことだった。数多の敵に飲み込まれないためには自身を変える必要があった。その結果、嘗て共に笑い合っていた者たちとの距離は遠ざかったように思う。
     「掌から零れ落ちたものがあるならば新たな何かを掴めば良い」と考えても己の手は虚しく空を切るだけのように思えて不安に襲われる。だから何も取り零さずにいるように見える十兵衛が羨ましくなるのかもしれない。


     十兵衛に館の中を一通り案内してもらった後は庭に降り、丁寧に整えられた庭を観賞した。館と同じく華美ではなくとも趣のある美しい庭だ。帰蝶の話では「美濃の明智家の館の庭は落ち着きのある美しさだ」と聞いたことがある。信長は十兵衛の説明に耳を傾けながら「美濃にある館に似ているのだろうか?」と思った。
     庭の散策を終えると庭全体が見渡せる縁側に案内された。そこには甘酒が用意されている。
    「ほう、甘酒か。甘酒を出されたのは随分と久しぶりじゃ。」
     幼い頃はよく飲んだものだが、成長してからは飲んだ覚えがない。近頃の自分にとっては珍しくなったものを味わえることに信長の頬が緩む。
     信長が縁側に腰を下ろすのに続いて十兵衛が隣に座り、小さな器に甘酒を注いだ。
    「茶ばかりではつまらぬかと思い、甘酒を用意いたしました。どうぞお召し上がりください。」
    「うむ、貰おう。」
     差し出された甘酒を受け取って一口飲めば懐かしい甘さが舌を包んだ。
     温かい甘酒は庭の散策で少し冷えた体を温めてくれる。菓子とは異なる甘さも良い。豪勢な料理や菓子、貴重な酒などでもてなされるのは嬉しいが、時には素朴な味も恋しくなる。このもてなしには大満足だ。
     信長は甘酒をゆっくりと堪能し、空になった器を十兵衛に差し出した。
    「美味い。もう一杯貰おう。」
     その言葉に十兵衛が「気に入っていただけて良うございました」と微笑する。
     信長は二杯目の甘酒を口に運びながら、庭の散策中に疑問に思ったことを尋ねてみることにした。
    「帰蝶が『明智家の館の庭は華やかではないが落ち着いた美しさがある』と申しておったのだが、この庭と似ておるのか?この庭も落ち着いた美しさがあると思うたが。」
     その問いに十兵衛は考える素振りを見せた。
    「そうですね……特に考えたことはございませぬが、改めて思い返しますと似ているように思います。無意識に同じような趣にしてしまったのやもしれませぬな。」
    「そうか。気に入っておったのだな。」
    「物心ついた頃から過ごしていた庭ですから。思い出が数え切れぬほどございます。」
     そう言って、十兵衛は顔を庭の方へ向けた。信長は懐かしげに目を細める十兵衛の横顔を見つめながら「わしに聞かせてくれ」と強請る。
    「時折、帰蝶に明智の館の話を聞かせてもらうのじゃ。十兵衛の話も聞いてみたい。」
    「それほど面白い話などございませぬが。」
    「良いではないか。話して聞かせよ。」
     信長の再三の頼みに十兵衛は苦笑と共に「かしこまりました」と頷いた。
    「つまらなかったという文句は受け付けませぬぞ、信長様。」
    「そのようなことは申さぬ。早う話せ。」
    「では、帰蝶様が滞在されていた頃の話をお聞かせしましょう。」

     十兵衛は思い出の一つひとつを噛みしめるように言葉を紡いでいく。
     母と帰蝶と雑談しながらの食事は時間が掛かったが楽しかったこと。
     毎日のように帰蝶と共に遊び回ったこと。
     双六遊びはたくさんしたものの帰蝶には敵わなかったこと。
     木登り上手な帰蝶とは対照的に自分は木から降りられずに泣いたこと。
     着ているものを泥だらけにした時ばかりは自分だけでなく帰蝶も母に叱られたこと。
     「母上に会いたい」と泣く帰蝶を慰めるために物語を話して聞かせた夜のこと。
     信長には彼の語る思い出話が帰蝶の時と同様にきらきらと輝いているように感じられる。
     「もっと聞かせよ」と強請れば彼は「大した話ではありませぬが」と前置きした上で話し出す。
     十兵衛が語る思い出話は高価な菓子よりもずっと甘い。

     信長が幾度も次の話を強請ったために十兵衛の思い出話は長くなり、途中で注いでもらった三杯目の甘酒は冷めてしまっていた。信長はすっかり冷えたそれを一気に飲み干す。
    「……馳走になった。うむ、やはり明智の館での話は面白い。礼を言うぞ、十兵衛。」
     信長が満足気に告げれば十兵衛が微かに苦笑する。
    「左様でございますか?それほど変わった話ではないと思うのですが。」
    「それは当事者だからであろう。わしからすれば明智家はなかなか変わっておる。面白いぞ。」
    「それならばよろしゅうございました。それはさておき、そろそろ部屋の中へ入りましょう。お体が冷えてはいけませぬ。」
     そのように促されたので信長は部屋に戻った。信長が茵に腰を下ろしても十兵衛は部屋の中に入らず、入り口の辺りで片膝をつく。
    「私は夕餉の支度を指示して参ります。信長様はこちらでお過ごしください。」
    「わかった、そうしよう。」
    「御免。」
     十兵衛は頭を下げてから去っていった。信長は遠ざかる足音に耳を澄ませながら庭へ視線を投げる。
     日が傾き出した刻限の庭は昼間とは違った美しさがあった。この庭に似た美濃の館の庭で、幼い頃の十兵衛と帰蝶は暗くなるまで遊んだのかもしれない。
     十兵衛が語る思い出話は美しかった。近頃は澄ました表情ばかりの十兵衛の表情がくるくる変わることも楽しく、彼の話を聞いているだけで幸せだった。それなのに少しだけ胸が苦しいのは寂しいからだ。
     十兵衛と帰蝶が語った内容は多少異なっているが、二人は同じ思い出について語っていた。それは共通の思い出があることの証。二人が揃えば共に懐かしげな顔をして思い出を語り合うのだろう。そこに信長が加わることはない。そのように考えるだけで寂しかった。
    「十兵衛も帰蝶も、羨ましい限りじゃ。」
     溜め息混じりの呟きは空気に溶けて消えた。
     陰りのない子ども時代の思い出と、それを共有できる親しい存在。いずれも信長が持たないものだ。どれほど切望しても決して手に入らない夢。
     信長は思い立ったように庭へ向けて手を伸ばした。まるで手を伸ばせば己が望むものに届くかのように。だが、伸ばした手が何かに触れることはない。
     信長は「阿呆じゃな」と自嘲しながら力なく手を下ろした。
    「……幼なじみ、か。」
     幼い自分を美濃に行かせてくれたら良かったのに、と信長は父や母を恨めしく思った。
     幼い頃に美濃に滞在していれば十兵衛や帰蝶と遊ぶことができたかもしれないのに。幼なじみとして思い出話に花を咲かせて笑い合えたかもしれないのに。なんと口惜しいことだろう。
     そこまで考えて、「自分は誰かの大切なものを壊してしまう」ということを思い出した。母の大切なものを壊し続けて疎まれた自分が分別のつかない幼い頃に十兵衛と帰蝶に出会っていたなら嫌われて終わったはず。きっと、成長してからの出会いで良かったのだ。
     そのように自身に言い聞かせても胸の奥がじくじくと痛む。それに気づかない振りをしたくて信長はきつく目を閉じた。何もかもが無駄なことなのだと知りながら。


    *****


     夢を見た。ある館の庭に立つ夢だ。夢の中の自分の手足は今よりも小さく、目の前に建つ見慣れぬ館が随分と大きく見える。それゆえに今の自分は幼少の頃の姿になっているのだと知った。
     そして、この館が明智家の館であることを薄っすらと認識する。明智家の館だと知っている理由はわからないが、とにかく自分が建っているのが美濃にある明智家の館の庭なのだという確信があった。夢の中というのはそういうものなのだろう。
     立ち尽くしたままぼんやりと館を眺めていると館の奥から二人の子どもが駆けてくる。一人は美しい衣を纏う少女で、もう一人は端正な顔立ちの少年だ。
    「十兵衛、早く早く!」
    「お待ちください、帰蝶様!」
     帰蝶と呼ばれた少女がはしゃいだ様子を見せる一方で十兵衛という名の少年は困りきったように眉を下げている。ああ、二人の関係性は昔から少しも変わっていない。
     微笑ましい様子に笑みを浮かべた時、少年がこちらを見て穏やかに微笑んだ。
    「吉法師様、今日は近くの野に遊びに行こうと考えております。ご一緒にいかがですか?」
     少年の言葉に同意するように少女が何度も首を縦に振る。
    「そうしましょう、吉法師様。私は三人で遊びとうございます。」
     笑顔でこちらの返答を待つ少年と少女を見つめるうちに胸の奥がじんわりと温かくなる。
     二人の顔を交互に見遣ってから「行く!」と返事をすれば、彼らは歓声を上げながら庭に飛び降りて走り出した。その後ろを追いかける自分の顔には自然と笑みが浮かぶ。
     これは夢。目覚めてしまえば思い出すことさえできない儚いもの。叶わないと知りながら切望する己の願いの具現だ。
     叶うことのない願いならば、せめて夢の中で手を伸ばそう。

    ♢だんご♢ Link Message Mute
    2022/01/16 14:11:13

    夢物語への憧憬

    #麒麟がくる #織田信長 #帰蝶 #明智光秀 ##麒麟がくる


    pixivに投稿した作品と同じものです。
    十兵衛が幕臣になってからの頃。
    信長が帰蝶や十兵衛に明智家での話を聞かせてもらうお話。


    信長が京にある明智家の館にお泊りする話を書きたかっただけなのに薄暗いお話になりました。
    十兵衛と帰蝶の幼なじみコンビは大好きなんですが、信長がそこに入れない瞬間があると思うと切ないです。それを書いてみました。
    よかったら、どうぞ。

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    • リック受まとめ #ダリリク  #シェンリク  #腐向け  #TWD  #ニガリク ##ダリリク ##シェンリク ##ニガリク ##TWD


      privatterで投稿したものと今までに投稿していないものをまとめました。
      平和な世界だったり、ドラマ沿いだったりごちゃ混ぜです。



      ◆今日のダリリク:相手が風呂を上がっても髪を乾かさないので仕方なくドライヤーをかけてやる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       髪を濡らしたままバスルームから出てきたリックを見て、ダリルは眉間に思いきりシワを寄せた。
       リックが「疲れた」と何度もボヤきながらバスルームに入っていった時点でこうなることは予想していたが、予想通りになったからといって喜ぶことはできない。
       ダリルは髪の先から雫を滴らせるリックを捕まえるとバスルームへ引きずっていき、ドライヤーの熱い風をリックの髪に吹きかけ始める。
       乱暴な手つきで髪を乾かしてやるとリックが苦笑いを浮かべた。
      「放っておいてくれて構わないんだぞ?」
      「バカか。風邪でも引かれたら困る。」
       それも理由の一つではあるが、リックに構いたいというのが一番の理由。
       普段は頼もしく凛々しい男がダリルの前では気を緩めて無防備になるのが嬉しい。それだけ自分に心を許しているということなのだと思うと甘やかしてやりたくなる。
       そんなことをリック本人に言うつもりは少しもない。
       そんなわけで、ダリルは緩みそうになる顔を引き締めながらリックの髪を乾かし続けたのだった。

      End




      ◆今日のシェンリク:昼下がり、相手が楽しそうに洗濯物を干しているのを、洗濯物をたたみながら眺める
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       今日は仕事は休み。
       そのためシェーンはリックと共に惰眠を貪り、遅めの朝食……ではなく昼食を食べてから活動を始めた。
       洗濯機を回しながら食器洗いや掃除を行い、それが終わると昨夜干した洗濯物を取り込んでいく。
       洗濯物の取り込みが終わった時点でリックが洗い終わった衣類を持って姿を見せた。
      「干すのは俺がやるからシェーンは洗濯物をたたんでおいてくれ。」
      「任せろ、相棒。」
       仕事中のような受け答えに笑い合いながら各自の仕事に取りかかる。
       Tシャツをたたみ、ジーンズをたたみ、タオルをたたみ……。
       シェーンはキレイにたたんだ衣類を並べながら洗濯物を干すリックに目を向ける。
       物干しに洗濯物を干していくリックの顔には笑みが浮かんでいる。それだけでなく鼻歌まで歌っているようだ。
       「何がそんなに楽しいのだろう」と首を傾げかけて、シェーンは自分の口元も緩んでいることに気づいた。
       ああ、そうか。二人一緒なら何をしていても楽しい。
       シェーンはリックも自分と同じなのだと気づき、自分の笑みがますます深いものになっていくのを自覚した。
       これが終わったら次は何をしようか?
       リックと一緒ならどんなことをしても楽しいに違いない。
       そんな風に心を弾ませながら最後の一枚をたたみ終わると、洗濯物を干しているリックの方へ足を運ぶことにした。

      End




      ◆今日のニガリク:無意識に「おかえり」と言うと相手が驚いた顔で「ただいま…」と小声で返すので、何だかお互いに恥ずかしくなる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       遅くなるなら遅くなるって連絡しろ、クソ野郎。
       リックは怒りと共に冷めきったスパゲッティの皿にラップを貼ってから冷蔵庫を開けた。
       夕食の時間になっても帰ってこなかったニーガンからの連絡は未だにない。「夕食はいらない」という話もなかったので用意はしておいたのだが、日付が変わるまで残り三十分という時間になっても玄関のドアは開かなかった。
       ニーガンという男は他人の思い通りになるような人間ではないと知っていたが、少しは一緒に暮らしている者の身にもなってほしいとリックは常々思っている。
      「どこかの女の部屋にでも転がり込んだのかもな。」
       リックは吐き捨てるように言いながら冷蔵庫の扉を乱暴に閉めた。
       あんな男と一緒に暮らしている自分がバカなのだとわかっていても腹を立てずにいられない。
       ニーガンの言動一つに振り回され、翻弄され、感情が揺れ動く自分が情けなかった。それなのに離れずにいることも情けなくて悔しい。
       「早く帰ってきてほしい」だなんて惨めだ。
       リックは静まり返った部屋の中心に佇み、ボンヤリと床を見つめる。ニーガンがいるとうるさいと感じるのに、今はこの静けさが嫌いだ。
       どうしても「ただいま」の声が聞きたい。
       その時、ドアの開く音が微かに響く。その音に導かれるように玄関へ向かうと、そこにはニーガンの姿があった。
       ニーガンはリックを見ると普段通りの笑みを浮かべた。
      「文句は後にしろよ。説明してやるから、先にシャワーを浴びさせて……」
      「おかえり。」
       リックの口から滑り落ちた言葉にニーガンが驚いた顔をする。それは演技ではなく心からのものだとリックは確信した。
       ニーガンは驚きの表情を浮かべたまま口を開く。
      「……ただいま。」
       それは小さな声だった。
       そのことが妙な恥ずかしさを呼び起こしたため、リックは片手で顔を覆って俯いた。
      「どうして俺が恥ずかしくならなきゃいけないんだ?」
      「それは俺のセリフだ。……文句を言われると思ったのに、今のは反則だ。」
       意外にも近くで声が聞こえたためリックが顔を上げると拗ねた顔のニーガンが目の前にいた。
       リックは一歩後ろへ下がろうとしたが、ニーガンに抱き寄せられたためそれは叶わない。
       珍しく真剣な表情のニーガンは唇同士が触れそうな近さで囁く。
      「リック、もう一度『おかえり』と言ってみろ。」
       結局、この男には逆らえない。
       そう思いながら「おかえり」と口にするとニーガンは満足げに微笑む。
       そして「ただいま」と共に与えられたのは熱い口付けだった。

      End




      ◆ダリリク/制限付きの逃避行

      「笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか」
      https://shindanmaker.com/750576

      【制限付きの逃避行】

       ダリルの視線の先には難しい顔をして考え込むリックがいる。
       出会ったばかりの頃のリックはもっと表情豊かな男だったように思う。良いものも悪いものも表情に出していたように思う。
       しかし、リーダーとしての重さが増していくとリックの顔からは表情が消えていった。
       きっと、背負い過ぎたのだろう。
       きっと、失い過ぎたのだろう。
       それをどうにかしてやりたくても運命は過酷なもので、誰にもリックを救えない。
       だからダリルはリックの傍に行く。頬を撫でてやることしかできなくても、その一瞬だけリックに表情が戻るからだ。
       ダリルがリックの隣に立つとリックは視線だけを寄越してきた。
      「また考え事か?」
      「ああ、別に大したことじゃない。」
       嘘つきめ。
       そう言ってやりたかったが、言ったところで苦笑するだけだろう。
       ダリルは何となくリックに触れたくなって頬に掌を這わせた。そうするとリックは目を細めて幸せそうな笑みを浮かべる。
       笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか?
       ダリルは最近では滅多に笑わなくなった想い人に胸を痛め、自分にできることの少なさに落胆する。
       自分と過ごす時間だけでもリックが幸せだと思えるのならいくらでも傍にいるのに。
       そんなダリルの思いをやんわりと拒むようにリックが離れていく。
      「……もう行かないと。」
       小さく呟いたリックの顔からは表情が消えていた。
      「そうだな。」
       次にリックの笑顔に会えるのはいつになるのだろう?
       リックの傍にいたいのは彼のためなのか、それとも自分のためなのか、ダリルにはそれさえわからなくなった。

      End




      【この熱さをもたらすもの】ダリリク

       照りつける太陽が俺の背中を焼く。
       ジリジリと焦げつく背中に滲む汗は不快さしか与えてくれず、眉間にしわが寄ったのを自覚する。
       作業する手を止めて休めばいいのに「もう少しだけ」と作業を止められない。生き急ぐつもりはないが、小さな焦りが自分の中に存在しているせいなのかもしれない。
       思わず自分に苦笑を漏らした時、後ろから足音が近づいてきた。
      「仕事中毒か?水でも飲んで休め。」
       姿を見せたのはダリルで、彼は水の入ったペットボトルを手にして立っている。
       差し出されたペットボトルを受け取りながら礼を言うと、ダリルの手の甲が俺の頬に触れた。
      「おい、かなり熱いぞ。気分は悪くないか?」
      「大丈夫だ。だが、そろそろ切り上げた方がいいかもしれないな。」
      「あんた、結構汗かきだよな。脱水症状でぶっ倒れても知らねーぞ。」
       ダリルは呆れ顔で俺の頬を軽く叩いた。
       休まずに仕事を続けてしまうのは俺の悪い癖だ。そんな俺をダリルはいつも心配してくれる。
       本当に良い奴だな、と思わず笑みが溢れた。
      「気をつける。それにしてもお前は本当に俺のことをよく見ているよな。そんなに俺のことが好きなのか?」
       笑い混じりに冗談を言ってみた。
       「バカか」と呆れ顔をするダリルを想像していたが、予想とは違ってダリルは目を丸くして俺を見る。その顔が真っ赤に染まるのは一瞬のことだった。
       予想外の反応に何も言えずにいるとダリルが耳元に唇を寄せてくる。
      「好きだけど、何か文句あるか?」
       低く囁かれて背筋にゾクリとしたものが走る。
       ダリルは俺から体を離し、鼻を鳴らして去っていく。それを見送ることができないのは全身が硬直してしまったからだ。
       ああ、熱い。頬が燃えるように熱い。
       思いがけずダリルから与えられた熱に逆上せそうな気がした。

      End




      【Strawberry】ニガリク

       ああ、今日もよく働いた。
       そんな充実感と共にリックは体を伸ばす。
       スッキリと晴れた青空の下で作業をするのは気分が良い。そのためか今日はいつもより張り切って仕事をしたような気がする。
       休むことなく動き回ったので、さすがに体が重い。リックは休憩のために近くの家の壁に背中を預けて座った。
       吹き抜ける風の柔らかさが心地良い。
       耳に届く住人たちの賑やかな声が穏やかな気持ちにさせてくれる。
       様々な困難を乗り越えたアレクサンドリアは希望に満ちた町へと変わりつつある。
      (幸せだなぁ)
       素直にそう感じたリックは微かに笑みを浮かべた。


       リックが幸せな気分を満喫していると足音が近づいてくる。その足音の方へ顔を向ければニーガンが歩いてくる姿が見えた。
       ニーガンのシャツの袖には泥が付いている。畑仕事を嫌がらずに行うニーガンを意外に思ったのはそんなに最近のことではない。
       敵対し、憎み、戦争までした相手と手を取り合って生きていることが信じられないが、目の前にあるのは全て現実だ。そのことが不思議で、おかしくて、そして嬉しい。
       リックがクスクスと笑っていると目の前に来たニーガンが呆れたような顔をする。
      「働きすぎておかしくなったのか?」
      「違う。気にしないでくれ。」
       まだ笑いの余韻を残すリックにニーガンは顔をしかめたが、それ以上は追及せずにリックの正面にしゃがんだ。
       リックの前にしゃがんだニーガンの手には苺が乗っている。畑で育てていたものを持ってきたのだろう。
      「見事な出来だな。ニーガンが農作業が好きだなんて意外だった。」
       そう言ってやるとニーガンはニヤリと笑う。
      「小さなレディだと思えば手間をかけるのも惜しくない。」
       「何だそれ」とリックが笑っているとニーガンはリックの唇に触れた。
      「お前に一番に食わせてやる。口を開けろ。」
       その言葉に従ってリックは口を開けたが、ニーガンは苺を自分で咥えてしまう。
       一番に食べさせてくれるのではなかったのか?
       リックがそんな疑問を抱いているとニーガンが顔を近づけてきた。そしてニーガンが咥えた苺がリックの唇に触れる。「食べろ」という意味なのだと理解したリックは苺をかじった。
       かじった瞬間に口の中に果汁が広がり、甘く爽やかな香りが鼻を通り抜ける。リックは自分を真っ直ぐに見つめてくる瞳を見つめながら苺を咀嚼した。
      「美味い。」
       正直な感想を告げると、それを待ちかねていたかのように残り半分の苺がニーガンの口の中へと消える。
       ニーガンは己の唇に付いた苺の汁を舐め取りながら囁く。
      「お前のためにこの俺が育てた苺だ。全部食えよ、リック。」
      「……本当に押し付けがましい奴だな、あんたは。」
       溜め息混じりのリックの言葉を気にしていない様子でニーガンは再び苺を咥えた。
       リックは「仕方ない」と苦笑してからその苺を咥える。さっきよりも深く咥えれば唇同士が触れ合う。
       そして思いきって苺をかじれば触れ合うだけのものが深い口付けへと変わった。
       苺の甘い汁と共に舌を絡め合えば奇妙な背徳感に背筋がゾクリとする。その背徳感を嫌だと思わないのは目の前の男との甘い時間に溺れているせいだ。
      (甘い、さっきよりもっと)
       この甘さは自分だけのもの。ニーガンが自分のために育てた苺をニーガン自ら与えてくれることで生まれた甘さだ。
       そう認識した時、何度も噛むことでドロドロになった苺が喉を下りていった。
       まだ食べ足りない、と思ったリックは軽く口を開けて「もっと」と強請る。
       「仕方ない奴だ」とニーガンが楽しげな笑みを浮かべながら咥えた苺がリックにはこの世で一番美味しそうなものに見えた。

      End




      【唐突に告げる】シェンリク

      「愛してる。」
       シェーンの鼓膜を震わせたリックの一言は何の脈絡もないものだった。
       シェーンとリックは二人がけのソファーに並んで映画を観ている真っ最中。
       観ているのは恋愛ものの映画ではない。そういったジャンルに興味はなかった。ついさっきまでビール片手にストーリーにツッコミを入れて笑い合っていただけなのだ。
       それなのに突然リックが愛の言葉を口にしたため、シェーンは目を丸くして隣に顔を向けた。
      「何だよ、急に。」
       そう尋ねればリックは楽しそうに笑った。
      「何となく言いたかっただけだ。」
      「そんなムードじゃなかったぞ。」
       変な奴、と苦笑しながら新しいビールに口を付ける。
       突然のことに驚きはしたが、悪くはない。
       相手のことを常に愛しく思っているのはシェーンも同じだ。
      「愛してる。」
       今度はシェーンが愛の言葉を口にした。
       シェーンが再び隣へ顔を向ければリックも同じようにシェーンを見ていた。
       目が合った時、リックの目尻が垂れて幸せそうな笑みが浮かんだ。
       そんなリックを「愛しいな」と改めて思ったシェーンの口も弧を描いていた。

      End
      #ダリリク  #シェンリク  #腐向け  #TWD  #ニガリク ##ダリリク ##シェンリク ##ニガリク ##TWD


      privatterで投稿したものと今までに投稿していないものをまとめました。
      平和な世界だったり、ドラマ沿いだったりごちゃ混ぜです。



      ◆今日のダリリク:相手が風呂を上がっても髪を乾かさないので仕方なくドライヤーをかけてやる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       髪を濡らしたままバスルームから出てきたリックを見て、ダリルは眉間に思いきりシワを寄せた。
       リックが「疲れた」と何度もボヤきながらバスルームに入っていった時点でこうなることは予想していたが、予想通りになったからといって喜ぶことはできない。
       ダリルは髪の先から雫を滴らせるリックを捕まえるとバスルームへ引きずっていき、ドライヤーの熱い風をリックの髪に吹きかけ始める。
       乱暴な手つきで髪を乾かしてやるとリックが苦笑いを浮かべた。
      「放っておいてくれて構わないんだぞ?」
      「バカか。風邪でも引かれたら困る。」
       それも理由の一つではあるが、リックに構いたいというのが一番の理由。
       普段は頼もしく凛々しい男がダリルの前では気を緩めて無防備になるのが嬉しい。それだけ自分に心を許しているということなのだと思うと甘やかしてやりたくなる。
       そんなことをリック本人に言うつもりは少しもない。
       そんなわけで、ダリルは緩みそうになる顔を引き締めながらリックの髪を乾かし続けたのだった。

      End




      ◆今日のシェンリク:昼下がり、相手が楽しそうに洗濯物を干しているのを、洗濯物をたたみながら眺める
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       今日は仕事は休み。
       そのためシェーンはリックと共に惰眠を貪り、遅めの朝食……ではなく昼食を食べてから活動を始めた。
       洗濯機を回しながら食器洗いや掃除を行い、それが終わると昨夜干した洗濯物を取り込んでいく。
       洗濯物の取り込みが終わった時点でリックが洗い終わった衣類を持って姿を見せた。
      「干すのは俺がやるからシェーンは洗濯物をたたんでおいてくれ。」
      「任せろ、相棒。」
       仕事中のような受け答えに笑い合いながら各自の仕事に取りかかる。
       Tシャツをたたみ、ジーンズをたたみ、タオルをたたみ……。
       シェーンはキレイにたたんだ衣類を並べながら洗濯物を干すリックに目を向ける。
       物干しに洗濯物を干していくリックの顔には笑みが浮かんでいる。それだけでなく鼻歌まで歌っているようだ。
       「何がそんなに楽しいのだろう」と首を傾げかけて、シェーンは自分の口元も緩んでいることに気づいた。
       ああ、そうか。二人一緒なら何をしていても楽しい。
       シェーンはリックも自分と同じなのだと気づき、自分の笑みがますます深いものになっていくのを自覚した。
       これが終わったら次は何をしようか?
       リックと一緒ならどんなことをしても楽しいに違いない。
       そんな風に心を弾ませながら最後の一枚をたたみ終わると、洗濯物を干しているリックの方へ足を運ぶことにした。

      End




      ◆今日のニガリク:無意識に「おかえり」と言うと相手が驚いた顔で「ただいま…」と小声で返すので、何だかお互いに恥ずかしくなる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       遅くなるなら遅くなるって連絡しろ、クソ野郎。
       リックは怒りと共に冷めきったスパゲッティの皿にラップを貼ってから冷蔵庫を開けた。
       夕食の時間になっても帰ってこなかったニーガンからの連絡は未だにない。「夕食はいらない」という話もなかったので用意はしておいたのだが、日付が変わるまで残り三十分という時間になっても玄関のドアは開かなかった。
       ニーガンという男は他人の思い通りになるような人間ではないと知っていたが、少しは一緒に暮らしている者の身にもなってほしいとリックは常々思っている。
      「どこかの女の部屋にでも転がり込んだのかもな。」
       リックは吐き捨てるように言いながら冷蔵庫の扉を乱暴に閉めた。
       あんな男と一緒に暮らしている自分がバカなのだとわかっていても腹を立てずにいられない。
       ニーガンの言動一つに振り回され、翻弄され、感情が揺れ動く自分が情けなかった。それなのに離れずにいることも情けなくて悔しい。
       「早く帰ってきてほしい」だなんて惨めだ。
       リックは静まり返った部屋の中心に佇み、ボンヤリと床を見つめる。ニーガンがいるとうるさいと感じるのに、今はこの静けさが嫌いだ。
       どうしても「ただいま」の声が聞きたい。
       その時、ドアの開く音が微かに響く。その音に導かれるように玄関へ向かうと、そこにはニーガンの姿があった。
       ニーガンはリックを見ると普段通りの笑みを浮かべた。
      「文句は後にしろよ。説明してやるから、先にシャワーを浴びさせて……」
      「おかえり。」
       リックの口から滑り落ちた言葉にニーガンが驚いた顔をする。それは演技ではなく心からのものだとリックは確信した。
       ニーガンは驚きの表情を浮かべたまま口を開く。
      「……ただいま。」
       それは小さな声だった。
       そのことが妙な恥ずかしさを呼び起こしたため、リックは片手で顔を覆って俯いた。
      「どうして俺が恥ずかしくならなきゃいけないんだ?」
      「それは俺のセリフだ。……文句を言われると思ったのに、今のは反則だ。」
       意外にも近くで声が聞こえたためリックが顔を上げると拗ねた顔のニーガンが目の前にいた。
       リックは一歩後ろへ下がろうとしたが、ニーガンに抱き寄せられたためそれは叶わない。
       珍しく真剣な表情のニーガンは唇同士が触れそうな近さで囁く。
      「リック、もう一度『おかえり』と言ってみろ。」
       結局、この男には逆らえない。
       そう思いながら「おかえり」と口にするとニーガンは満足げに微笑む。
       そして「ただいま」と共に与えられたのは熱い口付けだった。

      End




      ◆ダリリク/制限付きの逃避行

      「笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか」
      https://shindanmaker.com/750576

      【制限付きの逃避行】

       ダリルの視線の先には難しい顔をして考え込むリックがいる。
       出会ったばかりの頃のリックはもっと表情豊かな男だったように思う。良いものも悪いものも表情に出していたように思う。
       しかし、リーダーとしての重さが増していくとリックの顔からは表情が消えていった。
       きっと、背負い過ぎたのだろう。
       きっと、失い過ぎたのだろう。
       それをどうにかしてやりたくても運命は過酷なもので、誰にもリックを救えない。
       だからダリルはリックの傍に行く。頬を撫でてやることしかできなくても、その一瞬だけリックに表情が戻るからだ。
       ダリルがリックの隣に立つとリックは視線だけを寄越してきた。
      「また考え事か?」
      「ああ、別に大したことじゃない。」
       嘘つきめ。
       そう言ってやりたかったが、言ったところで苦笑するだけだろう。
       ダリルは何となくリックに触れたくなって頬に掌を這わせた。そうするとリックは目を細めて幸せそうな笑みを浮かべる。
       笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか?
       ダリルは最近では滅多に笑わなくなった想い人に胸を痛め、自分にできることの少なさに落胆する。
       自分と過ごす時間だけでもリックが幸せだと思えるのならいくらでも傍にいるのに。
       そんなダリルの思いをやんわりと拒むようにリックが離れていく。
      「……もう行かないと。」
       小さく呟いたリックの顔からは表情が消えていた。
      「そうだな。」
       次にリックの笑顔に会えるのはいつになるのだろう?
       リックの傍にいたいのは彼のためなのか、それとも自分のためなのか、ダリルにはそれさえわからなくなった。

      End




      【この熱さをもたらすもの】ダリリク

       照りつける太陽が俺の背中を焼く。
       ジリジリと焦げつく背中に滲む汗は不快さしか与えてくれず、眉間にしわが寄ったのを自覚する。
       作業する手を止めて休めばいいのに「もう少しだけ」と作業を止められない。生き急ぐつもりはないが、小さな焦りが自分の中に存在しているせいなのかもしれない。
       思わず自分に苦笑を漏らした時、後ろから足音が近づいてきた。
      「仕事中毒か?水でも飲んで休め。」
       姿を見せたのはダリルで、彼は水の入ったペットボトルを手にして立っている。
       差し出されたペットボトルを受け取りながら礼を言うと、ダリルの手の甲が俺の頬に触れた。
      「おい、かなり熱いぞ。気分は悪くないか?」
      「大丈夫だ。だが、そろそろ切り上げた方がいいかもしれないな。」
      「あんた、結構汗かきだよな。脱水症状でぶっ倒れても知らねーぞ。」
       ダリルは呆れ顔で俺の頬を軽く叩いた。
       休まずに仕事を続けてしまうのは俺の悪い癖だ。そんな俺をダリルはいつも心配してくれる。
       本当に良い奴だな、と思わず笑みが溢れた。
      「気をつける。それにしてもお前は本当に俺のことをよく見ているよな。そんなに俺のことが好きなのか?」
       笑い混じりに冗談を言ってみた。
       「バカか」と呆れ顔をするダリルを想像していたが、予想とは違ってダリルは目を丸くして俺を見る。その顔が真っ赤に染まるのは一瞬のことだった。
       予想外の反応に何も言えずにいるとダリルが耳元に唇を寄せてくる。
      「好きだけど、何か文句あるか?」
       低く囁かれて背筋にゾクリとしたものが走る。
       ダリルは俺から体を離し、鼻を鳴らして去っていく。それを見送ることができないのは全身が硬直してしまったからだ。
       ああ、熱い。頬が燃えるように熱い。
       思いがけずダリルから与えられた熱に逆上せそうな気がした。

      End




      【Strawberry】ニガリク

       ああ、今日もよく働いた。
       そんな充実感と共にリックは体を伸ばす。
       スッキリと晴れた青空の下で作業をするのは気分が良い。そのためか今日はいつもより張り切って仕事をしたような気がする。
       休むことなく動き回ったので、さすがに体が重い。リックは休憩のために近くの家の壁に背中を預けて座った。
       吹き抜ける風の柔らかさが心地良い。
       耳に届く住人たちの賑やかな声が穏やかな気持ちにさせてくれる。
       様々な困難を乗り越えたアレクサンドリアは希望に満ちた町へと変わりつつある。
      (幸せだなぁ)
       素直にそう感じたリックは微かに笑みを浮かべた。


       リックが幸せな気分を満喫していると足音が近づいてくる。その足音の方へ顔を向ければニーガンが歩いてくる姿が見えた。
       ニーガンのシャツの袖には泥が付いている。畑仕事を嫌がらずに行うニーガンを意外に思ったのはそんなに最近のことではない。
       敵対し、憎み、戦争までした相手と手を取り合って生きていることが信じられないが、目の前にあるのは全て現実だ。そのことが不思議で、おかしくて、そして嬉しい。
       リックがクスクスと笑っていると目の前に来たニーガンが呆れたような顔をする。
      「働きすぎておかしくなったのか?」
      「違う。気にしないでくれ。」
       まだ笑いの余韻を残すリックにニーガンは顔をしかめたが、それ以上は追及せずにリックの正面にしゃがんだ。
       リックの前にしゃがんだニーガンの手には苺が乗っている。畑で育てていたものを持ってきたのだろう。
      「見事な出来だな。ニーガンが農作業が好きだなんて意外だった。」
       そう言ってやるとニーガンはニヤリと笑う。
      「小さなレディだと思えば手間をかけるのも惜しくない。」
       「何だそれ」とリックが笑っているとニーガンはリックの唇に触れた。
      「お前に一番に食わせてやる。口を開けろ。」
       その言葉に従ってリックは口を開けたが、ニーガンは苺を自分で咥えてしまう。
       一番に食べさせてくれるのではなかったのか?
       リックがそんな疑問を抱いているとニーガンが顔を近づけてきた。そしてニーガンが咥えた苺がリックの唇に触れる。「食べろ」という意味なのだと理解したリックは苺をかじった。
       かじった瞬間に口の中に果汁が広がり、甘く爽やかな香りが鼻を通り抜ける。リックは自分を真っ直ぐに見つめてくる瞳を見つめながら苺を咀嚼した。
      「美味い。」
       正直な感想を告げると、それを待ちかねていたかのように残り半分の苺がニーガンの口の中へと消える。
       ニーガンは己の唇に付いた苺の汁を舐め取りながら囁く。
      「お前のためにこの俺が育てた苺だ。全部食えよ、リック。」
      「……本当に押し付けがましい奴だな、あんたは。」
       溜め息混じりのリックの言葉を気にしていない様子でニーガンは再び苺を咥えた。
       リックは「仕方ない」と苦笑してからその苺を咥える。さっきよりも深く咥えれば唇同士が触れ合う。
       そして思いきって苺をかじれば触れ合うだけのものが深い口付けへと変わった。
       苺の甘い汁と共に舌を絡め合えば奇妙な背徳感に背筋がゾクリとする。その背徳感を嫌だと思わないのは目の前の男との甘い時間に溺れているせいだ。
      (甘い、さっきよりもっと)
       この甘さは自分だけのもの。ニーガンが自分のために育てた苺をニーガン自ら与えてくれることで生まれた甘さだ。
       そう認識した時、何度も噛むことでドロドロになった苺が喉を下りていった。
       まだ食べ足りない、と思ったリックは軽く口を開けて「もっと」と強請る。
       「仕方ない奴だ」とニーガンが楽しげな笑みを浮かべながら咥えた苺がリックにはこの世で一番美味しそうなものに見えた。

      End




      【唐突に告げる】シェンリク

      「愛してる。」
       シェーンの鼓膜を震わせたリックの一言は何の脈絡もないものだった。
       シェーンとリックは二人がけのソファーに並んで映画を観ている真っ最中。
       観ているのは恋愛ものの映画ではない。そういったジャンルに興味はなかった。ついさっきまでビール片手にストーリーにツッコミを入れて笑い合っていただけなのだ。
       それなのに突然リックが愛の言葉を口にしたため、シェーンは目を丸くして隣に顔を向けた。
      「何だよ、急に。」
       そう尋ねればリックは楽しそうに笑った。
      「何となく言いたかっただけだ。」
      「そんなムードじゃなかったぞ。」
       変な奴、と苦笑しながら新しいビールに口を付ける。
       突然のことに驚きはしたが、悪くはない。
       相手のことを常に愛しく思っているのはシェーンも同じだ。
      「愛してる。」
       今度はシェーンが愛の言葉を口にした。
       シェーンが再び隣へ顔を向ければリックも同じようにシェーンを見ていた。
       目が合った時、リックの目尻が垂れて幸せそうな笑みが浮かんだ。
       そんなリックを「愛しいな」と改めて思ったシェーンの口も弧を描いていた。

      End
      ♢だんご♢
    • 飽きたなら、さようなら #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク

      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7辺りのニガリク。
      ニーガンに素っ気なくされるようになったリックが徴収の前日に調達に出かけるお話。


      ニーガンに素っ気なくされるリックを書いてみたかったので挑戦してみましたが、あんまり素っ気ない感じがしないかもしれません。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • リック受けまとめ2 ##TWD ##ニガリク ##ダリリク ##メルリク

      ぷらいべったーに投稿した作品のまとめです。
      ほぼニガリクでした。
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • スコット受まとめ #蜘蛛蟻  #隼蟻  #盾蟻  #腐向け ##蜘蛛蟻 ##隼蟻 ##盾蟻


      診断メーカーのお題で書いたものをまとめました。privatterに投稿していたものです。




      ◆今日の隼蟻:洗う係と拭く係とで別れて、口論しながらも見事な連携プレーで食器を洗う
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

      「だーかーら!今日は俺が夕飯作るって言っただろ!?しかも言ったのは朝!」
       スコットが泡だらけの皿を水で洗いながら怒鳴ると、その隣ではサムが洗い終わった食器を乾いたタオルで拭きながらしかめっ面をする。
      「俺がやりたくてやってるだけだ。俺としては何で怒られなきゃならないのかが理解できないね。」
      「疲れて帰ってきた奴にさせたくなかったのがわかんないのか!?あー、俺の優しさが無駄になった!」
       やけくそ気味に言い放ったスコットの言葉に対してサムが「自分で言うな」とツッコむと、スコットの機嫌はますます下降していく。
       今日の任務はサムだけだったので、スコットは今夜の食事は自分が作ろうと思っていた。毎日食事を作ってくれるサムへの感謝のためでもあったからだ。
       それなのに買い出しで家を留守にした間にサムが帰宅し、スコットが帰宅する前に夕食を作ってしまったのである。
      「あんたに美味いものを食べさせてやりたいと思うのがそんなにダメか?」
       サムはスコットが渡した皿を受け取って手際良く水分を拭き取った。
      「そうじゃなくてっ……サムに少しでも楽をさせてやりたい俺の気持ちも考えろってこと。」
       差し出されたサムの手にスコットは洗い終わった皿を乗せる。その皿の水気もサムの手によってあっという間に消え失せてしまった。
      「あんたを喜ばせたい俺の気持ちも考えてほしいね。……早く次を渡せ。」
      「はいはい、これで最後だよ。」
       スコットが不機嫌そうに最後の皿を渡すと、サムは目を丸くしてスコットの顔を見た。
      「最後?これで終わりか?」
      「何か問題でも?」
      「早いな。もう洗い終わったのか。」
      「……ケンカしても連携プレーはバッチリだな、俺たち。」
       その事実が二人の仲の良さを表しているようで、不思議と笑みが浮かんでくる。
       こうなってしまえば怒りは萎んで消えてしまい、後は仲直りをするだけとなる。
       スコットとサムは向かい合うと互いの体に両腕を回して抱きしめ合った。
      「サム、ごめん。ムキになって怒り過ぎた。」
      「俺こそ悪かった。スコットの気持ちは嬉しかったんだ。」
       謝り合ってハグをすればケンカはお終い。
       残りの時間は甘く穏やかな時間を過ごすことにしよう。

      End




      ◆今日の蜘蛛蟻:なんだか無性に甘いものが食べたいと思ってドーナッツ1ダース買って帰ったら相手も1ダース買ってた
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       お腹が空いたな、と思った帰り道。
       甘いものが食べたいな、と思って回り道。
       良さそうな店を探すピーターの鼻に届いたのは美味しそうなドーナツの香り。
       甘い香りに誘われてフラフラと店に入れば数えきれないほどたくさんのドーナツ。種類の豊富さは選ぶ楽しさを与えてくれる。
      (スコットさんは何が好きかな?)
       同棲中の恋人の好みを思い出しながらドーナツと見つめ合うが、どれも魅力的で一つだけ選ぶのは無理そうだ。
       それならば何種類も買って帰ればいいではないか。
       「我ながら名案だ」とピーターは笑みを浮かべ、澄まし顔で並ぶドーナツたちを次々と指名する。
       ドーナツを購入し、「ありがとうございました」と店員の声を背に受けながら店を出たピーターの手には大きな箱。その中にはドーナツが一ダースも詰まっていた。
       買い過ぎたかな、と思いながらも家に向かう足はステップを踏みそうな勢いだ。
       腹の虫を鳴かせながら家に帰れば愛しいスコットが出迎えてくれる。
      「見て、スコットさん。ドーナツ買ってきたんだ。」
       そう言ってドーナツの入った箱を差し出すとスコットは「えっ!」と言って目玉が飛び出そうな勢いで目を丸くした。
       どうしたのかと尋ねればスコットは気まずそうにダイニングテーブルを指差す。
       そこにあったのはピーターと同じ柄と大きさの箱。
      「俺もドーナツを買ってきたんだ。ピーターが喜ぶかと思って。……一ダース。」
       ピーターは困り顔で頬をかくスコットに抱きつきながら「僕たちの相性は最高だね!」と頬にキスを贈ったのだった。

      End




      ◆今日の盾蟻:仕事で疲れ切った帰り道、家の明かりが灯っているのを見て不意に泣きたくなった(相手には絶対言わないが)
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       すっかり暗くなった通りを歩きながらスティーブは冷たい風に体を震わせる。
       今日の任務は予定よりも時間がかかった。想定外の出来事が起きるのは当然で、そのための心構えは常にできている。
       しかし、疲れるものは疲れる。超人的な肉体を持つスティーブであっても疲れが溜まるのは避けられず、今日は特に疲れが大きい。
       重いものを引きずるように歩きながらの帰り道は気分まで重くさせた。
       暗い道を寒さに震えながら歩くのは妙に落ち込む。通りすがりの相手から嫌なことを言われたわけでもないのに……というより、誰とも擦れ違わないのだが。
      (なんだか情けないな)
       自分自身に対して苦笑しながら歩くうちに我が家が見えてきた。
       狭くはないが広いとも言いきれない小さな家には柔らかな明かりが灯っている。
      (スコット、まだ起きていたんだな)
       同棲を始めたばかりの恋人には帰るのが遅くなると連絡は入れてある。先に寝ていてほしいとも伝えておいたはずだ。
       それでも彼はスティーブの帰りを起きて待っていたらしい。

      ───ああ、一人じゃないことがこんなにも嬉しい。

       そう思った途端に鼻の奥がツーンとして、目の奥が熱くなって、瞬きを繰り返さなければ涙が溢れてしまいそうな気がした。
       スコットという存在が自分の心に温もりを与えてくれることが幸せで……幸せだからこそ泣きたくなる。
       スティーブは家の玄関の前に立つと頬を軽く叩いた。
       泣きそうになったなんて絶対に悟られたくない。いつも通りの自分でスコットに会いたい。
       「よし!」と小さく声を出してからドアを開ければ、愛しい笑顔がスティーブを迎えてくれた。

      End
      #蜘蛛蟻  #隼蟻  #盾蟻  #腐向け ##蜘蛛蟻 ##隼蟻 ##盾蟻


      診断メーカーのお題で書いたものをまとめました。privatterに投稿していたものです。




      ◆今日の隼蟻:洗う係と拭く係とで別れて、口論しながらも見事な連携プレーで食器を洗う
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

      「だーかーら!今日は俺が夕飯作るって言っただろ!?しかも言ったのは朝!」
       スコットが泡だらけの皿を水で洗いながら怒鳴ると、その隣ではサムが洗い終わった食器を乾いたタオルで拭きながらしかめっ面をする。
      「俺がやりたくてやってるだけだ。俺としては何で怒られなきゃならないのかが理解できないね。」
      「疲れて帰ってきた奴にさせたくなかったのがわかんないのか!?あー、俺の優しさが無駄になった!」
       やけくそ気味に言い放ったスコットの言葉に対してサムが「自分で言うな」とツッコむと、スコットの機嫌はますます下降していく。
       今日の任務はサムだけだったので、スコットは今夜の食事は自分が作ろうと思っていた。毎日食事を作ってくれるサムへの感謝のためでもあったからだ。
       それなのに買い出しで家を留守にした間にサムが帰宅し、スコットが帰宅する前に夕食を作ってしまったのである。
      「あんたに美味いものを食べさせてやりたいと思うのがそんなにダメか?」
       サムはスコットが渡した皿を受け取って手際良く水分を拭き取った。
      「そうじゃなくてっ……サムに少しでも楽をさせてやりたい俺の気持ちも考えろってこと。」
       差し出されたサムの手にスコットは洗い終わった皿を乗せる。その皿の水気もサムの手によってあっという間に消え失せてしまった。
      「あんたを喜ばせたい俺の気持ちも考えてほしいね。……早く次を渡せ。」
      「はいはい、これで最後だよ。」
       スコットが不機嫌そうに最後の皿を渡すと、サムは目を丸くしてスコットの顔を見た。
      「最後?これで終わりか?」
      「何か問題でも?」
      「早いな。もう洗い終わったのか。」
      「……ケンカしても連携プレーはバッチリだな、俺たち。」
       その事実が二人の仲の良さを表しているようで、不思議と笑みが浮かんでくる。
       こうなってしまえば怒りは萎んで消えてしまい、後は仲直りをするだけとなる。
       スコットとサムは向かい合うと互いの体に両腕を回して抱きしめ合った。
      「サム、ごめん。ムキになって怒り過ぎた。」
      「俺こそ悪かった。スコットの気持ちは嬉しかったんだ。」
       謝り合ってハグをすればケンカはお終い。
       残りの時間は甘く穏やかな時間を過ごすことにしよう。

      End




      ◆今日の蜘蛛蟻:なんだか無性に甘いものが食べたいと思ってドーナッツ1ダース買って帰ったら相手も1ダース買ってた
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       お腹が空いたな、と思った帰り道。
       甘いものが食べたいな、と思って回り道。
       良さそうな店を探すピーターの鼻に届いたのは美味しそうなドーナツの香り。
       甘い香りに誘われてフラフラと店に入れば数えきれないほどたくさんのドーナツ。種類の豊富さは選ぶ楽しさを与えてくれる。
      (スコットさんは何が好きかな?)
       同棲中の恋人の好みを思い出しながらドーナツと見つめ合うが、どれも魅力的で一つだけ選ぶのは無理そうだ。
       それならば何種類も買って帰ればいいではないか。
       「我ながら名案だ」とピーターは笑みを浮かべ、澄まし顔で並ぶドーナツたちを次々と指名する。
       ドーナツを購入し、「ありがとうございました」と店員の声を背に受けながら店を出たピーターの手には大きな箱。その中にはドーナツが一ダースも詰まっていた。
       買い過ぎたかな、と思いながらも家に向かう足はステップを踏みそうな勢いだ。
       腹の虫を鳴かせながら家に帰れば愛しいスコットが出迎えてくれる。
      「見て、スコットさん。ドーナツ買ってきたんだ。」
       そう言ってドーナツの入った箱を差し出すとスコットは「えっ!」と言って目玉が飛び出そうな勢いで目を丸くした。
       どうしたのかと尋ねればスコットは気まずそうにダイニングテーブルを指差す。
       そこにあったのはピーターと同じ柄と大きさの箱。
      「俺もドーナツを買ってきたんだ。ピーターが喜ぶかと思って。……一ダース。」
       ピーターは困り顔で頬をかくスコットに抱きつきながら「僕たちの相性は最高だね!」と頬にキスを贈ったのだった。

      End




      ◆今日の盾蟻:仕事で疲れ切った帰り道、家の明かりが灯っているのを見て不意に泣きたくなった(相手には絶対言わないが)
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       すっかり暗くなった通りを歩きながらスティーブは冷たい風に体を震わせる。
       今日の任務は予定よりも時間がかかった。想定外の出来事が起きるのは当然で、そのための心構えは常にできている。
       しかし、疲れるものは疲れる。超人的な肉体を持つスティーブであっても疲れが溜まるのは避けられず、今日は特に疲れが大きい。
       重いものを引きずるように歩きながらの帰り道は気分まで重くさせた。
       暗い道を寒さに震えながら歩くのは妙に落ち込む。通りすがりの相手から嫌なことを言われたわけでもないのに……というより、誰とも擦れ違わないのだが。
      (なんだか情けないな)
       自分自身に対して苦笑しながら歩くうちに我が家が見えてきた。
       狭くはないが広いとも言いきれない小さな家には柔らかな明かりが灯っている。
      (スコット、まだ起きていたんだな)
       同棲を始めたばかりの恋人には帰るのが遅くなると連絡は入れてある。先に寝ていてほしいとも伝えておいたはずだ。
       それでも彼はスティーブの帰りを起きて待っていたらしい。

      ───ああ、一人じゃないことがこんなにも嬉しい。

       そう思った途端に鼻の奥がツーンとして、目の奥が熱くなって、瞬きを繰り返さなければ涙が溢れてしまいそうな気がした。
       スコットという存在が自分の心に温もりを与えてくれることが幸せで……幸せだからこそ泣きたくなる。
       スティーブは家の玄関の前に立つと頬を軽く叩いた。
       泣きそうになったなんて絶対に悟られたくない。いつも通りの自分でスコットに会いたい。
       「よし!」と小さく声を出してからドアを開ければ、愛しい笑顔がスティーブを迎えてくれた。

      End
      ♢だんご♢
    • スコット受け他まとめ ##アントマン ##蜘蛛蟻 ##スコット ##ロケット ##トニー

      ぷらいべったーに投稿した作品のまとめです。
      CPあり・なしの話がごちゃまぜ。CPありは蜘蛛蟻のみ。
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • ある寒い日のこと #ウースコ  #アントマン  #腐向け ##ウースコ ##アントマン


      自宅軟禁期間のウースコ。
      寒い日にスコットの自宅を訪ねるジミーのお話。

      寒い日は妄想がはかどるので書いてみました。ウースコというよりもウースコ未満かもしれません。
      いつも「ウーさん」と呼んでいるのでCP表記をウースコにしましたが、ジミスコの方がいいんでしょうか?
      とりあえずウースコでいこうと思います。
      短い話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 赤ずきんとおばあさん #蜘蛛蟻  #ピタスコ  #腐向け  ##蜘蛛蟻


      小説投稿機能のお試し。
      ぷらいべったーで投稿したものを少し手直ししました。タイトルのセンスがないのはお許しください。
      ピーターが遊びに来るのを待つ心配性なスコットのお話。
      よかったらどうぞ〜。
      ♢だんご♢
    • 本能が「欲しい」と囁いた #ニガリク  #TWD  #腐向け  #オメガバース  ##ニガリク  ##TWD

      pixivにも投稿した作品です。
      S7のニガリクで、オメガバース設定を使用しています。
      ネタバレになるので詳細は控えさせていただきます。

      好きなように設定を詰め込んでいますが、よかったらどうぞ。


      2018.6.21 一部を修正しました。
      ♢だんご♢
    • 小さなバースデーパーティー ##TWD ##リック ##カール

      アンディの誕生日にグライムズ親子の誕生日ネタで1つ。
      放浪中の親子の誕生日のお話。短いです。
      ♢だんご♢
    • さよなら、私のアルファ #ニガリク  #TWD  #腐向け  #オメガバース  #オリジナルキャラクター  ##ニガリク  ##TWD

      pixivにも投稿している作品です。
      【本能が「欲しい」と囁いた】の続きになります。
      ニーガンが運命の番と出会ったため、サンクチュアリを出ていくことにしたリックのお話。


      オリジナルキャラクターが複数名登場します。出番が多く、ニガリクの子どもも登場するので苦手な方はご注意ください。
      詳細は1ページ目に案内がありますので、そちらをご覧ください。
      ニガモブ要素を少し含みますし、ニーガンがひどい男です。
      よかったらどうぞ。


      2018.6.21 一部を修正しました。
      ♢だんご♢
    • ベッドひとつぶんの世界 #TWD #ダリリク #ニーガン #腐向け ##TWD ##ダリリク

      pixivに投稿したものと同じ作品です。
      S7辺りのダリリク。
      ニーガンの部下になったダリリクと、二人を見つめるニーガンのお話。


      ダリリクが揃ってニーガンの部下になったら、互いだけを支えにして寄り添い合うのかなーと妄想したので書きました。
      寄り添い合うダリリクはとても美しいと思います。
      CPもののような、そうでないような、微妙な話ではありますが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • ちょっとそこまで逃避行 #蜘蛛蟻 #ピタスコ #腐向け ##アントマン ##蜘蛛蟻


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      スパイダーマンFFH後の蜘蛛蟻。
      FFHのネタバレを含むのでご注意ください。
      辛い状況にあるピーターがスコットの家に逃避行するお話。


      FFHが個人的に辛すぎたので自分を救済するために書きました。
      蜘蛛蟻というより蜘蛛蟻未満?
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 数値は愛を語る #蜘蛛蟻 #腐向け #Dom/SubAU ##蜘蛛蟻

      pixivに投稿したものと同じものです。
      Dom/Subユニバース設定で、Switch×Subの蜘蛛蟻。
      ピーターに惹かれながらも寄せられる想いに向き合うことができないスコットさんのお話。
      特にどの時間軸というのはなく、設定ゆるゆるです。


      突然降ってきたネタに萌えてしまったので勢いで書きました。スコットさんがヘタレです。
      特殊設定なので「大丈夫だよ!」という方は、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • プリンシパルとアンサンブル(前半) #TWD #ニガリク #腐向け #夢小説 ##TWD ##ニガリク

      S7の頃。救世主として日々を過ごす主人公が偶然リックと関わり、それをきっかけにリックやニーガンと深く関わるようになるお話。

      夢小説なので主人公はドラマに登場するキャラクターではありません。夢主がキャラクターたちと関わるのを楽しみつつニガリクを堪能する作品です。
      夢小説とCP小説を合わせた作品なので苦手な方はご遠慮ください。
      主人公とキャラクターが恋愛関係になる展開もありませんのでご了承ください。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 家族写真 #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7辺りのニガリク。
      大切にしてる家族写真をニーガンに奪われたリックのお話。

      「ニーガンはグライムズ親子の写真を勝手に持って帰りそう」と思ったので書いてみました。
      特に盛り上がりのない私向けの話です。お暇な時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 道なき未知を拓く者たち③ #TWD #ニガリク ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      「リックを最初に拾ったのがニーガンだったら?」というIFストーリー『生まれ落ちた日』の続編。
      リックは食料調達のためにシェーンとカールと共に森に入り、その最中に事件が起きる。それはグループの運命を変えるものだった。


      ドラマの展開に沿ったストーリーですが、オリジナル要素を盛り込んでいます。納得できない展開になってもご容赦ください。
      ニガリクタグを付けたら詐欺になりそうなくらいにニガリク要素が少ないです。ニガリクを探せ!という気持ちで読んでください。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 僕はコーヒー豆を挽かない #TWD #ダリリク ##TWD ##ダリリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S5でアレクサンドリアに到着した後。
      「生きてきた世界が違う」という理由でリックや仲間と距離を置くダリルを心配するリックのお話。


      ほんのりダリリクの味がするお話です。
      アレクサンドリアに着いたばかりのダリリクの何とも言えない距離感も良いですね。
      タイトルについては深く考えずに読んでいたたければありがたいです。
      地味な話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • Restart #蜘蛛蟻 #ピタスコ #最新作のネタバレあり ##蜘蛛蟻


      ※スパイダーマンNWHのネタバレを含むのでご注意ください。


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      スパイダーマンNWH後。
      パトロール中のピーターがスコットに出会うお話。
      蜘蛛蟻未満だけど後々に蜘蛛蟻が成立するという解釈で書いているので蜘蛛蟻です。


      スパイダーマンNWHは面白い映画でしたね。
      でも個人的にとてもしんどい展開だったので自分を救済するために書きました。蜘蛛蟻は癒やし。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 侵入者との攻防 #ロケスコ #腐向け ##ロケスコ


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      アベンジャーズ・エンドゲームでのロケスコ。
      毎朝ロケットが自分の上で寝ていることに困惑するスコットのお話。


      エンドゲームを観て見事にロケスコにすっ転んだので書いてみました。
      口調が掴みきれてないので違和感があったら申し訳ないです。
      短い話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 亡霊殺し #TWD #ダリリク #腐向け ##TWD ##ダリリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S2終了後のダリリク。
      リックの傍にシェーンの亡霊が見えるダリルのお話。ほんのりシェンリク風味もあります。

      盛り上がりが特にない私得なダリリクです。ダリリク未満かもしれません。
      じんわりとリックへの執着を滲ませるダリルが好きなので書いてみました。
      本当に暇な時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 雛の巣作り #ニガリク  #TWD  #腐向け  #オメガバース  ##ニガリク  ##TWD

      pixivにも投稿している作品です。
      【本能が「欲しい」と囁いた】の番外編。
      ニガリクが番になって1年が経った頃のお話。
      よかったら、どうぞ〜。


      2018.6.21 一部を修正しました。
      ♢だんご♢
    • 罪な味 #TWD #リック #シェーン #カール #ダリル #ニーガン ##TWD


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      リックと誰かの食にまつわるお話。
      時期も長さもバラバラ。基本的にほのぼのですが、ニーガンとの話はほのぼのしてません。


      ・【ピザ】 リック&シェーン
       アポカリプス前。「ピザの魅力には抗えません」というお話。

      ・【ケーキ】 リック&カール
       アポカリプス前。「いつもと違う食べ方をすると楽しくて美味しい」というお話。

      ・【肉】 リック&ダリル
       平和な刑務所時代。「調味料は偉大だ」というお話。

      ・【フルーツティー】 リック&ニーガン
       S7辺り。「悔しいけれど美味しいものは美味しい」というお話。


      リックに美味しいものを食べてほしいと思ったので書いてみました。ニーガン以外はほのぼのしてます。
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 特に何も始まっていない二人 #TWD #ダリリク #腐向け ##TWD ##ダリリク

      pixivに投稿した作品と同じもです。
      平和な刑務所時代のダリリク。
      特に何も始まってないけれど仲よしなダリリクの詰め合わせ。

      CPというよりブロマンスなダリリクです。お互いに相手を大事に思ってることが滲み出るダリリクが好きです。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 道なき未知を拓く者たち① #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      「リックを最初に拾ったのがニーガンだったら?」というIFストーリー『生まれ落ちた日』の続編。
      リックの家族を捜す旅に出たリックとニーガンだったが、過酷な世界での旅は簡単なものではなく……。


      ドラマの展開に沿ったストーリーですが、オリジナル要素を盛り込んでいます。納得できない展開になってもご容赦ください。
      長編なのでのんびり書いています。次の章を投稿できるのがいつになるのか不明です。
      完全に私得な話なのでお暇な時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • プリンシパルとアンサンブル(後編) #TWD #ニガリク #腐向け #夢小説 ##TWD ##ニガリク


      S7の頃。前作の続きで、ケガの治療のためにサンクチュアリに滞在するリックを世話する主人公がリックとニーガンの関係性を目の当たりにするお話。

      夢小説なので主人公はドラマに登場するキャラクターではありません。夢主がキャラクターたちと関わるのを楽しみつつニガリクを堪能する作品です。
      夢小説とCP小説を合わせた作品なので苦手な方はご遠慮ください。
      主人公とキャラクターが恋愛関係になる展開もありませんのでご了承ください。
      前編よりも主人公がリックに肩入れしています。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 恋しい、と獣は鳴いた #TWD #ダリリク #ニガリク #腐向け #オメガバース ##TWD ##ダリリク ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7辺りのダリリク・ニガリク。
      リックと番になっているダリルがリックと引き離されて情緒不安定な時にニーガンと話すお話。ダリルとニーガンのちょっとしたバトル。


      「αが番のΩに依存する」という設定で書きたくて書いてみました。会話してるだけなので特に盛り上がりのない地味な仕上がりです。
      気が向いた時にでもどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 彼らが愛したのは「   」です #TWD #セディリク #ゲイリク #ニガリク #妊夫 #腐向け ##TWD


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S8終了後。
      ニーガンの子どもを妊娠したために孤立するリックを支えるセディク、ゲイブリエル、ニーガンのお話。セディクがメインです。

      ※注意
      ・男性の妊娠、出産、授乳の表現あり
      ・リックへの差別、迫害要素あり
      ・全体的に重苦しい展開


      CP要素があるような無いような微妙なところです。
      重苦しい雰囲気の話なのでご注意ください。
      本当に気が向いた時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 生まれ落ちた日 #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S1初回。
      ニーガンが病院でリックを見つけるお話。
      S1初回にニーガンを放り込んだだけ。ニーガンの過去について原作の設定を使っているので未読の方はご注意ください。


      S1の時点でニガリクが出会っていたら最強コンビになったのでは?という妄想を形にしてみました。別人感が強いです。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 赤い糸の憂鬱 #TWD #カルリク #ニガリク #腐向け ##TWD ##カルリク ##ニガリク

      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7のカルリク・ニガリク。
      リックとニーガンが赤い糸で繋がっているのが許せないカールのお話。
      特殊な設定がありますが、深く考えない方がいいかも?


      カルリクとニガリクで三角関係が読みたくて書きました。カールの前に立ち塞がるニーガン美味しいです。
      「カールは赤い糸が見える」という特殊設定がありますが、深く考えず雰囲気を味わって頂ければと思います。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 「大丈夫」の言葉 #TWD #ダリリク #腐向け #ケーキバース ##TWD ##ダリリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      平和な刑務所時代のダリリク。
      リックが「ケーキ」であることを知ったダリルが思い悩むお話。
      ケーキバース設定を使っています。この話にグロテスクな要素はありませんが、ケーキバース設定自体がカニバリズム要素を含むので苦手な方はご注意ください。


      リックのことが好きすぎて思い詰めるダリルが大好物なので書いてみました。
      盛り上がりの少ない私得な話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
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