放ってはおけない子その子はキャラが濃い新入生の中でもとびきりの変わり者だった。
異世界の人間だからか魔法は一切使えないけど男でも女でもない身体というユニーク魔法顔負けの特徴を持つ異色の存在。
紆余曲折あってオンボロ寮の監督生になったその子──ユウちゃんはオレに気がある。
そう確信したのは他でもないユウちゃん本人の発言だ。
「誰かを頼ろうと思った時、真っ先に浮かぶのがケイト先輩の顔なんです」
よく一緒にいるお友達ことエーデュースちゃんたちを差し置いて真っ先に浮かぶのが、オレ。
そんなこと言われたら期待もするし自惚れもする。
思春期真っ盛りの男子高校生だもの。
「ほんとユウちゃんってオレのこと好きだよねー」
だからってこんなあからさまなことを言うのはどうかと思うんだよね、我ながら。
案の定ユウちゃんキョトンとしてるし。
「好き……そうかもしれません」
「え、」
ちょっと待ってその返しは予想外なんだけど。
「エースにも言われたんです。それは好きだと言い切って良いって」
「へ、へー……」
なるほどエースちゃんの入れ知恵か。
グッジョブだけど次の餌やり当番でめちゃくちゃこきつかってやるから覚えとけよあの野郎。
「いやー嬉しいなーそこまで言われちゃったらもう付き合うしかないよねー」
「えっ」
「えっ?」
これまた予想外のリアクションに驚かされる。
いやそういう反応する流れじゃなかったでしょ今。
「いやだってユウちゃんオレのこと好きって言ったよね?」
「確かに言いましたけど、付き合うとかは別に良いかなって思ってたんで……」
「え、ええー……ユウちゃんが元いた世界の恋愛観どうなってんの……?」
告白されたら受けるか断るかして、受けた場合はそのまま付き合うのが一般的な流れの筈だ。
それなのにこの子と来たら。
「…………よし、やっぱ付き合おう」
「何がよし、なんですか?」
この子をフリーのままにしておいたらダメだ、色んな意味で。