親近感の正体「監督生、またビーンズデーの写真を見ているのか?」
「お前ホントそれ好きねー」
「楽しかった思い出って何度も振り返りたくなるんだなーってのを改めて実感してる」
「何だよそれ」
妙に達観した監督生の所感にエースはけらけら笑う。
「自分が他の皆と同じ条件で競ったり戦える機会って中々無いから余計に、ってのもあるかな」
「っ……監督生は大袈裟だなぁ、そんな機会探せばいくらでも見つかるでしょ」
「例えばそうだな──」
「……なるほどねー」
初めて見た時──入学式の頃から抱いていた親近感の正体がようやく掴めた。
目立ちたくない。
自分を知られたくない。
仲間外れになりたくない。
腫れもの扱いされたくない。
他と同列に扱われたい。
理由に多少の差異はあれど、最終的に望むことは同じ。
──『みんな』の中に己を埋没させたい。
「ある意味似た者同士だったってわけかー」
性格は大きく異なるのに不思議と気が合う理由も分かってしまえば納得のいくもので。
何があろうと手放したくない理由についても同様で。
「そうと分かれば尚更大事にしなくっちゃね」
この先また出会えるかも分からない、愛しき『同族』の方を見やりほくそ笑む。
「今後とも仲良くやっていこうね、ユウちゃん」