4月21日【4月21日】
体育祭のようなものが催されるらしい。
参加するような気は毛頭ないので、家で待っておくと妹に伝える。ただ、めんどくさいだけであった。妹は走って外へ出ていった。友人が呼びに来ていたようだ。
賑やかな音楽と歓声が、一瞬開いた玄関の扉から入ってきた。
随分盛況のようだ。ベランダに出て、集まった人々に気付かれないようにこっそり下を覗く。
たくさんの人が踊っている。フォークダンスのようなものだろうか。皆一様に、同じ振り付けをくるくると舞っている。
しかし、やけに曲が気にかかる。こういう場で流れるのは不似合いな曲調の、機械音声が歌唱している音楽であった。誰が選曲したのだろうか。なんとも言えない気恥ずかしさを感じてため息をついた。
このまま眺めていたいのは山々だが、弟に呼ばれてしまったのでここで切り上げだ。
楽しげな声に背を向けて、窓を閉めた。