五番目の獣編T.R.I. 五番目の獣編
五番目の獣
└第五元素(エーテル)に強く影響を受け変異した生物
└今回のベースは「人間」
└妊婦が高純度のエーテルを過剰に摂取した末の子
└胎児の段階で変異したので治療は不可能
└出産時に母親は発狂、変異が始まっていたため生存
└薄暗い場所や水を好む
└子宮・羊水への回帰願望
T.R.I.
└エーテル関係の事象を調査する機関
軍部
└警察的なものも兼ねている
①導入+事件
川で発見される遺体
地下水路でうごめくなにか
②調査
まずは軍部の下っ端が動く
被害者が増える結果に&五番目の獣案件だと判明
③調査
TRI参加&軍部のもうちょい優秀な人間が担当に
ギスギス
④交戦
獣と軍部の人間が遭遇、不意をつかれて敗北
なんとか撃退するが取り逃がす
⑤準備
獣の行動パターンなどを推測
決戦に向けて準備
⑥決戦
TRIによる決戦
軍部の助けもあり殺害に成功
⑦エピローグ
軍部の殉職者の墓参り
日常への回帰
導入 レナは娼婦である。学もなければ力もない彼女は、街角で客を引いて日々食い繋いでいた。その日もレナは客を探していたのだが、雨が降っていることもあり人通りが少なく、客を捕まえることは出来なかった。
冷たい雨だった。レナはケープを体に引き寄せ、早足に帰路へとついていた。貧民街に程近い橋に差し掛かったところで、か細い声が聞こえた気がして周囲を見回す。
猫の鳴き声のようだった。
川と繋がる暗渠の方から聞こえており、レナは何気なく橋から下を覗き込んだ。何かと目があった気がした。
川で女の死体が発見された。その死体は明らかに尋常ではない様子だった。下腹部が大きく引き裂かれ、内臓は魚にでも食われたのかほとんどなくなっていた。ぽっかりと空いた空洞には鳥の丸焼きでも入りそうな有り様である。
猟奇的な空気を感じる事件ではあったが、軍部は当初さほど力を入れていなかった。娼婦一人死んだところで市民たちもそう騒ぎはしないため、優先順位は自然と低くなる。重大事件は他にいくらでもあるからだ。
変質者による犯行だろうと目星がつけられ捜査が始まったが、状況はあまり芳しくはなかった。死んだ娼婦は街娼で、人間関係を辿るのが難しかったのだ。娼婦だとわかったのも貧民街の人間がなんとなく把握していたからというだけであり、親しい友人もいないようだった。
あまり士気が高くはない捜査員たちの中で珍しく真面目に働いていたカリーナという軍人は、被害者が娼婦という言わば社会的弱者であることに心を痛め自主的に残業などをしており、他の捜査員たちも感化されて捜査が本格的になってきた矢先に死んだ。雨の日、橋の下で、下腹部を大きく引き裂かれた状態で発見された。
発見が早かったためかまだ現場の状態は保存されており、争った形跡が残されていた。だが、人間と争ったものには到底見えなかった。カリーナの首は折れ、銃の弾は撃ち尽くされていた。周囲に残る弾痕と弾数が合わなかったため何発かは相手に命中している筈だが、それでも仕留めきれないような相手であると推測できた。そして、現場調査の結果、高濃度のエーテル反応が出た。その数値を見た時、軍人たちは顔を見合わせ不本意げに溜め息を吐いた。