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    レッサーパンダとミジンコ【レッサーパンダとミジンコ】
    菅波がダイニングテーブルで読み物を広げていると、傍らに百音が立ったのが視界の端に見えた。何か用事で声がかかるか、とそれを待ちながら手元の紙に目を落としたままでいると、特に何かを言うでもなく、手元を覗き込まれるでもなく。

    どうしたかな、と百音の顔を見上げると、百音が両腕をまっすぐ上にあげ、手のひらを菅波に向けている。百音の顔はいたってドヤ顔である。

    「あの、百音さん…。それは、何を…」
    「いかくです」
    「いかく?」

    知りませんか?レッサーパンダの。
    と言われれば、まぁ、確かにそれといえばそれである。

    しかし。
    「え、なんで?」
    いかく される覚えのない菅波が首をひねる。

    いかく のポーズのまま、百音が言う。
    「普段は先生の方が高いから、椅子に座ってる今なら、いかくできるかなと思って」
    ふふん、と見下ろしてくる百音の嬉しそうな自信満々は、確かに威嚇の風貌である。

    ならば、と菅波は椅子から立ち上がって、同じに いかくのポーズを取ろうと両腕をあげた。つもりだった。
    が、座っていたところからの急な動きだからか、動きに腕がついていかず、百音のいかくのポーズに比べると、腕の上がり方が中途半端で肘も曲がっている。

    いてっ、という菅波の小声はしっかり百音の耳に届いていて。いかくのポーズのまま、じっと菅波を見る。
    「先生、もしかしてしじゅうかt…」
    「ちがいます」

    百音に最後まで言わせず言葉を遮り、菅波が両腕をおろすと、百音もいかくのポーズを解いた。菅波のちいさなふくれっつらに百音が笑う。

    「レッサーパンダのいかくが難しかったら、先生にはアレどうですか、ミジンコがあたまとがらせるやつ。先生の寝癖みたいだし」
    くすくすという百音に、菅波のふくれっつらが大きくなる。

    「難しいわけじゃないです。今できなかっただけで。それにミジンコのなんてやですよ。あれ、とがらせ終わるのに二日かかるんですからね」
    菅波の抗弁に、百音ははいはーい、と柳に風で、菅波は百音のほっぺたをむにむにと引っ張るのであった。

    その日、風呂上がりに百音が目撃したのは、念入りに肩回りのストレッチをする菅波だったとか、そうじゃなかったとか。
    ねじねじ Link Message Mute
    2023/05/25 0:39:06

    レッサーパンダとミジンコ

    #sgmn

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