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    すーちゃんせんせいのおかえりモネなおはなし同じ島生まれの幼馴染で、今では東京でのシェアメイトでもあるモネは、びっくりするほど焦ったい時間をかけて、菅波先生と思いを通わせた。高卒で縁故就職した先で出会った同じ施設内の診療所のお医者さんと、ホント何がどうなってああなってこうなった?そしてそうならない?ってぐらいに時間をかけて。

    「東京の大学病院の外科医」なんて単語だけ聞いたら、まさかモネが遊ばれてるんじゃなんて心配もしようもんだけど、あんなに「東京の大学病院の外科医」って単語のイメージを裏切る人もまぁいない気がする。万年浪人生みたいな格好で、猫背で、サメオタクで。(モネは、『先生はサメの生態に興味があるだけだよ』っていうけど、それがサメオタクだっての。初めて『約束』して一緒に出かけましょって行き先にサメの歯とか言い出してる時点で大概でしょ。まぁ、そんでもって、『サメの歯、見ます』ってモネがニコニコ嬉しそうだったのがまぁ、もう、ね)

    そんでもって、ずーっとそうならなくって、やっとそうなった、って途端に、遠距離になりますとか、もー!ホントあのふたりは訳わかんない。でも話を聞くに、菅波先生が登米専従を決めて、それでモネが自分の気持ちを自覚した(遅っ!)っていうんだから、もう、そういうめぐりあわせだったんだろうけどさ。

    まだ東京での仕事があるって時も、やっぱり大学病院の若手医師ってのは激務みたいでモネとなかなか会えなかったりして。いよいよ引っ越しって前の数日は菅波先生も流石に休みをもらったっていうので、ゆっくり過ごせたみたいで、よかったなっておもいつつ。それからは、たまに菅波先生が東京に来たり、モネが登米に行ったり、中間地点的な仙台で会ったりして。

    恋愛に距離は大事が信条の私だけど、モネがそうするって決めたなら、それは応援したくって。特に、モネが登米や仙台から帰ってくる、って日は、シフトをできるだけ調整することにしてる。別にそれは、モネに頼まれてる訳でもないし、モネに言ってるわけでもない。モネも気づいてるだろうけど、特に何も言わなくて、それはあの島で育った私達の間合い。

    それに、やっぱりモネと恋バナするのは楽しいし。とはいえ、モネが何か自分から積極的に話すってことはあんまりないんだけど、聞けば話してくれるし、そうやって楽しかった時間を私に話すことで、ちょっとでも寂しさが紛れればいいな、って思う。

    年度初めはやっぱり二人とも仕事が立て込むからって、モネが初めて菅波先生に会いに登米に行ったのがGW過ぎの5月で、それから行ったり来たり。んで、そのたびに、帰ってきた日か、シフトの都合がつかなかった日にはその次にご飯を一緒に食べるタイミングとかで話を聞くわけなんだけど。

    まぁ、びっくりするぐらいに進展しない。いや、もうすっかり関係性は出来上がってて、モネの惚気(本人にその自覚がないのがびっくりするぐらいに、菅波先生に関して話すことが全部惚気になっててびっくりする)も胸焼けするぐらい。多分、菅波先生から話を聞いてもそうなるんだろうなってことは想像に難くない。(っていうか、モネの話に聞く菅波先生のモネへの甘やかし方とか、あの万年浪人生がマジで?って思っちゃうレベル)

    なのに、っていうか、だから、なのか。菅波先生はモネのこと、本当に大切にしてるんだなーって思う。思いますよ。しかしそれにしてもですね。もうモネが菅波先生のとこに泊まりに行くの何回目よって感じになっても、本当に何事もなくモネが帰ってくるってなるともう、おねーさんびっくりよ。

    どんどんキレイになってくモネを家に泊めといて、同じベッドで寝て(これはモネから聞いたから間違いない。菅波先生の腕枕で寝るの、慣れるとあったかくって心地いい、ってそりゃようござんした)るのに、ナニゴトもないですと。なんなの、メンタルが鋼でできてんの、それとも実は出家した僧侶かなんかなの。でも今時、宗派によっては妻帯もフツーだし。え、仙人なの?みたいな。

    モネは、それについては、焦らないって菅波先生とちゃんと話してるから、っていうんだけど、それにしても、すごいなぁって思う。モネのその菅波先生への信頼も、菅波先生のモネを大切にする自制心にも。

    でも、それはそれで二人のペースだし、いろんなことが初めてのモネを菅波先生が大事にだいじにしてくれてるってことは十分よくわかるから、私は帰ってきたモネにそっと寄り添うだけ。

    って思ってたら!

    え?朝ごはんに食べたパンの話でいきなりこんなに真っ赤になるモネですか?
    これは、もしかして、もしかしますか?

    「えっと、モネ、あのさ」
    「え、違うよ?おいしかったよ?」

    って!もー!
    いや、これはそうでしょ、そーゆーことでしょ?

    「もしかして、だけど、菅波先生とさ…?」
    顔を覗き込んでみたら、すすすってモネは目をそらして。いやいやいや、そんな、そらせないから。空そうったって限界があるから、ね、白状しなよ?したら楽になるよ?

    そしたら、もうやっとのことって感じで首を縦に動かすモネがまた、まぁかわいい!

    あー、そっかー!そっか!ついに。
    いやぁ、しかし、ほんっとに菅波先生すごい。このモネを目の前にして、これまで待ったってのもすごいし、そんでもってこうしてモネにこんなオトメな顔をさせるようになったのもすごい。とはいえ、まぁ、やっぱりそこは二人だけのことだし、あれこれ聞くのも野暮ってものよね、ってあんまり追及はしないでおく。どっちから?とは聞いちゃったけど。

    モネの仕事が朝早いってか、夜からだから寝る時間も早い。そんで私も明日は休み取った分早番でオープンクローズになるから、二人で早めにお風呂。銭湯のシェアハウスに住む醍醐味は、毎日たっぷりのお湯に浸かれることだ、って思う。時間の制約はあるけど、女湯の方が夜だからあんまり困んないし。

    そんで二人でお風呂に行って、つい脱衣所でほれぼれしちゃった。モネのカラダに、キスマークひとつすらついてないんだもん。話を聞く限り、大概あのセンセイって独占欲強そうなのに、東京に戻ったモネが汐見湯の銭湯を使うのを分かってて、跡ひとつ残さないなんて。

    私がつい見惚れてたら、モネがふしぎそーに首をかしげてる。
    「すーちゃん?」
    「ん-、なんでもない」
    「そんな顔してないけど」
    「えー、別にー。単に、モネは菅波先生にほんっとに大事にされてるんだなぁ、って」

    普段、私がそういうと、モネは、そうかな、って小さく笑いながらはにかむんだけど、今日は、またとびっきりに頬を染めて、うん、って頷くんだもん。もー、ごちそうさまが過ぎるー。だれか、強いお酒をー!ちょうだいー!

    あぁ、番台の菜津さんと目が合った。菜津さんの頷きが深い。
    うん、分かる。思わず私も同じく頷いちゃった。
    こりゃ、モネが寝た後に菜津さんと女子会するしかない。そーしよ!
    ねじねじ Link Message Mute
    2023/06/27 21:04:27

    すーちゃんせんせいのおかえりモネなおはなし

    #sgmn

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