楽しいオンボロ寮※※ご注意※※
・キャラ崩壊(ロロがちょっと変態っぽい、確定してないキャラの設定)
・最新イベントのネタバレあります。
・願望増し増しセット
・捏造しか無い
それでも大丈夫という方は、次ページへどうぞ
今日の授業が全て終わり、後は好きに放課後を過ごすだけとなった。今夜のおかずは何にしようかなと考えながら、監督生は教科書を鞄に詰める。「部活に行って来るんだゾ~!」と元気良く教室を飛び出して行く親分を「廊下は走らないんだよ!」と注意しつつも見送ると、エースとデュースと別れ、監督生もオンボロ寮へ足を向けた。
真っ直ぐ寮へ帰ると、ゴースト達が出迎えてくれる。誰か帰って来たかと訊くと、まだ誰も帰って来ていないと返ってくる。夕食までまだもう少し時間がある。体の疲労を取る為に監督生は自室で寝ることにした。これがロロが先に帰って来ていると、夕寝を許してくれないので、鬼の居ぬ間に何とやらだ。そうと決まれば、さっさと寝てしまおうと彼女は鞄を持って自室へ向かった。ドアを開けて鞄を放り投げつつ、素早く制服から部屋着に着替えて脱いだ制服は近くの椅子に引っかけておく。こうしておけば、あんまり皺にならない。多分と一瞬だけ考えて監督生はベッドに潜り込んで至福の時間を味わい始めた。
監督生が寝入って数十分後、漸くロロが帰って来た。
「おや、お帰り。ロロ坊」
「今帰った。他に誰か帰っているかね?」
「ああ、それなら結構前にあの子が帰っておるぞ。眠かったみたいでのう。部屋で寝とるわい」
「そうか。全く、監督生君は仕方ないな。そろそろ夕食の準備をしなければならない。起こしに行くか」
「当番をすっぽかされては困る」と憎まれ口を利きながらも起こしに行くことは既に彼の中で決まっている。ロロは一度、自室に戻って鞄の中を整理し、帽子と外套を脱ぎ、丁寧にハンガーに掛けてブラシをかけて埃を落とす。この一連の作業をしないとどうにも気持ちが悪いのだ。他にも細々とした日常の作業を終えて最後に箒で掃き掃除をしてからロロは寝ぼすけな監督生を起こしに行くのだった。
寝ていると分かっていても、いきなりノックもなしに女性の部屋に入ることは不躾だと常々思っているロロは、軽く身だしなみを整えてからきっかり三回ノックをする。思った通り返事は無い。仕方ないなともう一度小さく溜息を吐いて、ロロはドアの向こうへ声を掛けた。
「監督生君、開けるぞ」
そっとドアを開けると、だいぶ陽が傾いているせいか、薄暗い部屋の中で監督生が眠っているであろうベッドだけが盛り上がったまま、規則正しく上下している。よく眠っているのか、ロロが開けたドアから部屋の中へ明るい廊下の光が入ってきても、起きる気配は無い。一瞬、あまりにも気持ち良さそうに寝ているので、起こすのは忍びないと思ったロロだったが、今日の夕食当番は監督生だ。そろそろ仕事に入ってもらわなければならない。女性の部屋なのに少々散らかっている様を見て、全く嘆かわしいと内心で思っていると、ロロは椅子に監督生の制服が無造作に引っ掛けられているのが目に入った。
「こんなところに置いては皺になってしまうではないか。全く……仕方のない奴だな、君は」
届かないお小言を言いつつも、ロロはちゃんとハンガーに掛けてやろうと、制服に近付いて手に取った。その瞬間、彼は大変に後悔した。ハンガーに掛けようと持ち上げた拍子に舞ったそよ風に乗って、女性特有の良い匂いがふわりと彼の鼻孔を掠めていった。果たしてこれは本当に私が手に持っていいものなのか、そのままの体勢で考え込んでしまう。いや、決して邪な考えで彼女の制服を持ち上げた訳ではない。これは片付けてやろうと思って、持っただけだ。他意は無い。一切無い。魔力を一切持っていないとはいえ、魔法は楽しいとか言い出す奴だぞ。ここの学園の生徒同様、信用ならない。これも何か企みがあるに違いない。そうだ、これは罠だ。あの妖婦、否、魔女の罠だ。私に制服を触れさせて誘惑する邪悪な魔女の企みで――
「スゥ……」
はっと気が付いた時にはロロの鼻先は監督生の制服に包まれていた。甘い匂いに思考力は落ちてくらくらする。胸がどきどきする。なんだ、これは……?
「監督生君……」
もう一度深く息を吸い込もうとしたところで、我に返り、慌てて顔から突き放す。まずい。こんなところを誰かに見られでもしたら、一巻の終わりだ。これは無かったことにしよう。これ以上、この部屋にいるのは危険だ。慌てて制服を椅子に半ば放り投げるようにして掛けてからロロは踵を返した。
ドアの隙間からフェローとギデルが覗いていた。ギデルは制服姿、フェローはスーツ姿だ。部活帰りと仕事帰りだろう。あの事件からギデルはナイトレイヴンカレッジに編入が決まり、フェローは事務員としてこの学園にいる。二人は驚きに目を見開いたまま、口を手で押さえてロロを見つめていた。良くて近所のおばさんが「あらら」とでも言いたげな表情、悪くて犯罪の瞬間を目撃してしまった一般人Aだ。暫くの間、三人は互いに見つめ合い、たっぷりの沈黙の後、おもむろにフェローが口を開いた。
「やぁ、これは……邪魔しちまったかい? 坊ちゃん」
その瞬間、ふらふらと歩き出したロロの手に、魔法で呼び出したらしい愛用の杖が現れる。その異様な雰囲気で「あ、まずい」と察したフェローとギデルは素早くその場から走って逃げる。しかし、それをロロが逃がす筈は無かった。監督生を起こさないように部屋を出てから叫ぶ。
「紅蓮よ! この身を焦がし、私を導けくすぶる欲望ぁああああああ!」
「逃げろ、ギデル! 邪悪な特撮ヒーローが来るぞっ!!」
なまはげよろしく全身を燃焼させながら走ってくるロロ。それを見て「洒落にならねぇ!」と焦りながらもギデルを巻き添えにするフェロー。自分は関係無いのにと言いたげな表情でフェローより前に出ようとするギデル。
どたばたと騒がしい中、漸く起きた監督生が夕食を作っている間も三人の追いかけっこは続いていた。