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    寒露今朝の朝明秋風寒し遠つ人雁が来鳴かむ時近みかも
                       万葉集・三九四七


    「手紙を預かってはもらえませんか」と誰かが言った。
     学園から峠を一つ越えた先にある街は止むことのない喧噪に満ちていた。二つの街道が交差する地点にあり、大きな商家が数多く軒を連ねているためだろう。人の足の行き交う音が波のようなうねりを造り、その隙間を縫って商人たちの呼び声が高らかに駆けて行く。よく言えば活気に満ちた街。通り歩く人々が、しかし、全て明るい表情をしているわけではない。くたびれた顔、泣きはらした痕を残す顔、気落ちを隠さない顔。人が集まれば集まるほど表情は多彩に入り乱れ、その煩雑さが街の饒舌を助長する。賑わいという意味においては正負の幅が広がるほどに色を濃くしていくのだろう。
     久々知はすれ違う人間の表情を観察しながら、慣れた足取りで通りを進んだ。天頂をすぎた太陽の光線が降り注ぐ空に反し、快く乾ききった空気が暑気を遠ざけている。秋の入り口を思わせる午後に影を伸ばす。一つに結い上げた髪が首筋をくすぐる。
     風に遅れて宙へ揺れ、
     糸がほどけるように乱れ落ちる。
     瞬間。
    「申し、」
     散らばる髪の一房を誰かの手が掴んだ。
     振り返り、右手を袂へ。髪を引かれた感触によるものではなく、首元へ腕が伸ばされたことへの反射。足を一歩後退させ、腕の間合いから外れる。
    「申し、」
    宙に伸ばされた手を正面に見た。骨の形を如実に映し出し、皺の走る皮膚に覆われている。掌に染み付いた土汚れと日焼け痕。空気への抵抗か、突き出した掌は腕ごと小刻みに震え、定まらない。そして、指の先には一本の黒髪。
     先を失くした蜘蛛の糸か。
     糸に縋った罪人の掌を連想する。
     驚き。それから僅かな嫌悪。肌に伝う不快。久々知はさらに一足分、足を下げた。
    「お若いかた」誰かが言った。しわがれた声からは、男であるか女であるかを俄かに判別することは難しい。それでも生きた人間だとは分かる。
    「俺のことでしょうか」
     老人は腕をゆっくりと下ろしながら頷いた。
    「何か、ご用でしたか?」久々知は丁寧な口調で尋ねた。
    「お願いがございます」老人は頭を下げながら言った。それは例のようにも、腰が曲げられたために頭頂部が押し下がったようにも見えた。
    「手紙を預かってはもらえませんか」
     左手に握りしめていた紙を差し出し、老人は恐る恐るといった風に久々知の様子を窺った。見知らぬ人に物を頼んでいる引け目というよりも、次に来る衝撃を予測した構えを取っている。これまでに同じことをして、手酷い目にあったことがあるのかもしれない。久々知は袂へ寄せていた手を下ろし、老人と視線が平行になるよう膝を屈めた。しかし、手紙には手を触れない。
    「どうして俺に?」
    「理由はありません。前を歩いている貴方が何となく目に入っただけです」
    「それは、」手紙を見る。「どのような手紙なのですか」
    「私も知りません。ある人から頼まれたもので……いえ、ある人というのは私も素性を知らぬ方でございます。私は街はずれの橋下に住んでおりまして、三日前にその方が現れて私に手紙を三日預かってくれと言ったのです。三日経ったら誰かに同じように託してほしいと。誰にも気づかれずに渡したい手紙らしいとも言っていました」
    「それを預かることを了承したとして、俺にどうしてほしいのですか」
    「三日、預かるだけで構いません。三日後にまた、誰かに手紙を預けてほしい」
    「貴方に手紙を預けた人間がそう言っていた?」
    「はい」老人は従順に頷いた。
    「無差別に預けていては、手紙は届かないと思います」
     往来の中で立ち尽くす二人の周りを人波が過ぎていく。川に投げ込まれた岩と同じ異物。異質。奇異の視線が時折寄こされては止むことのない足音へ紛れて消える。その何れかが手紙を見張る目である可能性は低くないだろう。良い物であれ、悪い物であれ。老人の選んだ相手が自分であったことは幸運だったと、思考の一つが言った。
     幸運。
     しかし、誰にとっての幸いだろう。
     例えそれが本当にただの手紙であったとしても久々知には影響がない。何か謀略めいた思惑が乗せられていたとしても、彼自身がそれを止める義理も、見過ごしてやる道理もない。街を往く数百を超えた人間の中から自分が選ばれたということ、無数から一へと個を割り出されたことが、幸運か。
    「お引き受けします」手紙を受け取り、久々知は完成された微笑を浮かべた。「三日後、ですね」
    「ありがとうございます」
     老人は全身を震わせながら頭を下げた。それ以上に言葉をくちにすることはなく、人波へ溶け込む。老人の歩き去った方角を一瞥した後で、久々知は何事もなかったかのように歩き始めた。手紙に張り付いた一本の黒髪は気付かれず、黙したまま現実を映していた。



     夕食と風呂を済ませて自室に戻れば、先に戻っていた尾浜が扉を振り返らずにお帰りと言った。自習をするには気怠く、鍛錬に出るにはまだ夜闇の浅い時刻。湿潤を保った毛先から滴る水を払いながら部屋を横切る。途中、尾浜の机を盗み見れば授業には関わりがないであろういたずら書きで埋め尽くされた紙が目に入った。
    「勘右衛門は早かったんだね」
    「学園長のお使いくらいしかやることなかったから。お陰で暇を持て余していたよ」尾浜が欠伸を零す。「兵助は? 一日出かけていたみたいだけど」
    「火薬委員の仕事で街まで」
    「委員会の後輩も一緒だった?」
    「いいや、今日は俺だけ。本当は土井先生も来るはずで、できればタカ丸さんも連れて仕事を教えたかったんだけど、二人とも用事ができてしまったみたいで」
    「体よく押し付けられた、と」
    「言い方がよくないよ」
    「仕方ない、俺が兵助を労ってやろう」大仰に肩を竦めながら、尾浜が久々知の方を振り向いた。「お使いの報酬として、学園長先生秘蔵の落雁をもらったんだ」
    「ねだった、の間違いじゃなくて?」久々知が悪戯気に笑う。
    「学級委員長委員会はそんなことしません。ちょっと、俺たち頑張って朝から店に並んだのになぁって顔をしてみせただけ」
     尾浜が正方形の小箱を机から取り上げる。周囲を包む青色の薄紙が柔らかく摩擦音を立てる。もったいぶる様子もなく包みを開けば淡い木目の美しい箱が現れる。見るからに値の張りそうな菓子だ。無意識のうちに息を詰めた尾浜が久々知の顔を見やり、合図を思わせる瞬きを一つ。相槌を返せば、彼は慎重に蓋を持ち上げた。
     部屋に灯された蝋燭の光が、砂糖菓子の表面を滑らかに照らす。
    「うわ、」感嘆。それから嘆息。
    「さすが学園長先生からの頂き物」
    「今日買った羊羹もやたら豪勢だったけど、これもすごいな」
    「お茶が欲しくなりそうなお菓子だね」
    「淹れてあるよ。兵助が来るちょっと前に持ってきたやつだからまだ温かいと思う」尾浜が机の脚元を指で示す。影に隠れながら、お盆の上に急須と湯飲みが揃えて置かれている。
    「抜け目ないな」
    「用意周到と言ってほしい」
     座布団の上から半分身体を浮かせてお盆を引き寄せ、湯飲みを三つ表に返す。急須を傾けた水音と共に茶の香りが微かに部屋へ広がる。薄暗い空間に細い湯気が控えめに立ち上った。
    「誰か呼んでるの?」差し出された湯飲みを受け取りながら久々知が尋ねる。
    「多分そろそろ来るんじゃないかな」頷きを一つ落とし、尾浜は几帳面に閉じられた扉へ視線を向けた。
     沈黙。
     風に揺らされた戸が小さな悲鳴を上げる。人間の目では捉えられない隙間から吹き込んだ風が灯の先端を靡かせる。静止した空間では微かな音も動きも知覚される。今、ざぁと流れているのは風か。或いは己の内を流れる血潮の巡りか、ただの耳鳴りであるかもしれない。久々知は表情には浮かべないまま、そう考えた。身動きの一つも起きない空間においても思考は正常に回り続けている。その一つが、沈黙から五秒も経っていないことを教えていた。
     形のない音の中を、秩序だった足音がうち破る。規則的に繰り返される響きは次第に近付き、扉の前で停止した。閉め切られた木製の立板が二度叩かれる。
    「勘右衛門、いるか?」
    「おう、」尾浜がおざなりに返事を投げる。「入れよ」
     扉が開き、暗闇の中から一つの影が現れた。声から想像された姿と全く同一の顔をした少年が後ろ手に扉を閉める。彼は尾浜、それから久々知へと視線を移した後で「兵助もいたのか」と呟いた。
    「そりゃあ俺と兵助の部屋なんだから、兵助もいるだろう」
    「三郎は、俺がいたら不都合?」久々知が冗談めかした声音で言う。
    「まさか、望外の幸運だな」鉢屋も同じ声色で返し、二人の間に腰を下ろした。
     空いていた残り一つの湯飲みに茶を注ぎ、鉢屋へ差し出す。彼は礼を言いながら受け取ると、砂糖菓子を一つつまみ上げた。久々知と尾浜もそれに続く。三人は無言のまま菓子を口に運び、それから同時に溜息を一つ落とした。
    「学園長先生っていつもこんなもの食べているのかぁ……羨ましい」お茶を一口飲んだ後で、尾浜が口の先を尖らせる。
    「普通、滅多に食べられるものじゃないな」
    「でもこういう味も知っておけば、何かの機会に役立つかもね」
    「兵助は真面目だな」
    「まあ、俺は豆腐の方が好きだけど」
    二人は呆れの含まれた笑みを隠そうとはせず、再び菓子を口へ運んだ。
    「兵助は今日、委員会の仕事があったんだろう?」軽い口調で鉢屋が話を変えた。
    「土井先生の代わりに街まで」
    「大変だな、委員長代理は」
    「そういえば学級委員長委員会に委員長っていないのか?」
    「学級委員長委員会委員長って言い辛いだろ」尾浜が笑い声を上げる。「だからいないよ」
    「私たちの場合、学級委員長委員会委員長代理になるからもっとややこしいな」
    「そういう問題……?」わざとらしく眉を潜めながら、久々知も笑みを浮かべた。
    「それより兵助、街に行ったなら何か面白いものはなかった? 祭りとか」尾浜が湯飲みにお茶を足しながら言った。
    「目的の店くらいしか寄ってないから……ああ、でも、面白いことはあった」そう言えば、と机に置いたままの荷物へ手を伸ばす。「忘れるところだった」風呂敷の中から皺の寄った封書を取り出し、お菓子の箱の隣へ並べる。
    「何だこれは」鉢屋が首を傾げる。
    「手紙らしい」
    「らしい……?」
    「街でちょっと怪しい老人に渡された。なんでも三日後にあの街の誰かに手紙を託してほしいんだって」
    「ちょっと怪しいどころではないな」
    「うん、」相槌を返しながら、久々知は手紙の封を解いた。
    「え、中を確かめる気?」尾浜が意外そうな表情を額へ浮かべる。
    「俺を狙って渡してきたとは思えないけど、もし俺が学園の人間と知られていたなら確かめないわけにはいかないし、もし知らずに渡したとしてもどこかの城から流れてきた密書の類だったら情報として知っておいて損はない」
    「本当に個人的な手紙だったら?」
    「見たことがばれなければ問題ないだろう?」首を傾げながら久々知は言った。尾浜の疑問の意味を理解し得ないというように。
    「預かったのは兵助だし、それをどう扱うかも兵助の自由だ。勘右衛門は気にならないのか?」
    「気になる」尾浜はすぐに答えると、久々知の手元へ視線を向けた。
     俄かに息をひそめながら、ゆっくりと、丁寧に折られた紙を広げていく。これまでに幾人の手を越えて来たためだろう、不自然な皺がろうそくの影を鈍く写し出す。細い筆で流れるように書き連ねられた文字は美しく、書き手がそれなりの教養を持つ身分であることを窺わせる。三人は声を出すことなく、視線だけで文字を追う。紙一枚だけに収められた文章を読みきるために要する時間は短く、やがて彼らは視線を上げ、曖昧に口の端を緩めた。
    「お姫様から意中の人へ宛てた文だったね……」
    「ただの文と言えばただの文だな」
    「でも、貴方の様子が知りたい、会いたい、敵対する城でもって書いてあるし、密書と言えば密書じゃない……?」
    「少なくとも、兵助が学園の人間だと知ったうえで渡してきた線はなさそうでよかったじゃないか」鉢屋が茶を啜りながら言う。
    「どうする、兵助?」
    「城の名前も書いてあるし、先生方には一応報告しておこうかな。どちらの城も学園から遠いし、どう転んでもあんまり影響は無さそうだけど」
    「この手紙は?」
    「言われた通り、三日後に街の誰かに託すよ。多分街の人の中に手紙の動きを見張っている人がいて、その人に手渡されるよう誘導があるんだと思う」
    「手紙一つに随分手間をかける」
    「そうまでしてでも、渡したい手紙なんだろう」鉢屋が平淡な口調で言った。
    「なんだ、三郎は分かる口か」尾浜が笑う。
     鉢屋はそれには答えず、湯飲みに残った茶を飲み干すと徐に立ち上がった。
    「そろそろ雷蔵が帰っているだろうから、私は部屋に戻るよ」
    「はいはい。今度は雷蔵と八左ヱ門も呼ぼう」尾浜がまだ中身を残したままの菓子箱に蓋をした。「三人で食べきるのは無理だ」
    「そうだな。伝えておく」鉢屋は軽く頷いた。言葉は続かない。そのまま一人分の隙間を空けた扉から、外へと消えていく。今日は解散とばかりに湯飲みを片付け始めた尾浜を横目に、久々知はそっと手にした手紙を折りたたんだ。

    ***
     雨の粒は真っ直ぐに落ちた。地面に跳ね返る飛沫が足元を濡らすほか、肩や腕は乾いたまま。湿潤を湛えた空気は水の中に似て、一層奇妙な心地を抱かせる。傘を持っていない方の手で雨を掬えば指先から冷えた温度が伝い、間もなく消えた。
    「兵助?」
     傘で顔を半分ほど隠した鉢屋の声だけが聞こえる。何をしているのかという言外の問いかけに、久々知は小さく微笑みを浮かべた。己の顔も、傘に隠れて見えていないだろうと知りながら。
    「すっかり秋の雨だな、と思って」
    「これからは雨に濡れたら風邪を引きそうだ」
    「冷たいからね。今日は風が無くてよかった」
    「本当に、街まで歩くのに雨とはついてない」
    「三郎がついて来る必要はなかっただろう」
    「暇だったからな」鉢屋が短く答えた。「それに、」
    「それに?」
    「二人いれば手引きしている人間が分かるかもしれない」
    「……見つけたところで、どうにもならないと思うけど」
    「どうもしないさ。どうするかにこの世全ての価値があるわけじゃない」
    「三郎にしては珍しいね」
    「悪戯ばかりしているのに?」
    「自覚があるなら少し控えてあげなよ」久々知が苦笑を零す。「また雷蔵が怒ったらどうするの」
    「兵助が仲裁してくれよ」鉢屋が空いている手を広げた。諦めか、自嘲か、何かを意図した仕草ではあるのだろう。
    「雷蔵と喧嘩することこそ無価値じゃない?」
    「年若い少年たちはぶつかることで友情を深めるとか、思わない?」
    「そういうタイプじゃないだろう、俺たちは」
    「俺たち?」
    「俺と、三郎のこと」
    冗談の欠片も含まれない言葉。それを正しく汲み取ったのだろう、鉢屋は返事の代わりに肩を竦めて見せる。僅かに後方へ傾いた傘の表面を水滴が滑り落ち、滝のように落下する。
     飛沫が散乱し、
     一瞬の喧噪。
     沈黙。
     静寂を偽る雨音。
     草原のどこかで鳴く、
     雁の声。
    「どんな奴なのか、少し興味を持っただけだよ」鉢屋が雨音に紛れて呟いた。
    「…………」久々知は言葉を返すべきか逡巡し、やがて唇を動かさずに言った。「どうして?」
    「離れた場所にいる人間に、これほどの労力をかけてまで何かを伝えたいと思う人間って、珍しいだろう」
    「三郎は思わない?」
    「思うか思わないか、じゃない。思ったうえで行動に移すことは、そうできることじゃない」
    「それが可能な環境があった。ただそれだけのことのように、俺には思えるけれど」久々知の手の内で傘の柄が徒に回される。「時間とお金と協力者がかかっているからね。相応の余裕がないと」
    「意思の問題ではなく、実現可能かどうかの問題?」
    「手段があるかどうかが前提、という話。そもそも手段を持たない人間まで勘定に入れるのは公平じゃない」
    「つまり、その手紙の主はいいご身分ってことだ」
    「そして、いい身分であるかどうかが、何かをしたいと思うかどうかに影響するわけでもない」
    「意思と手段が伴ったから、現実になる?」
    「結果的に選択されたってだけのこと。どうしようもなく片付けられない瓦礫の山みたいなもの」
    「消えないから、現実として、そこにある風景として置いておくことしかできない」
    話がずれたと言いながら、鉢屋は濡れた指先で鼻先を擦った。丁寧に重ねられた塗料が指の腹を汚す。「私が言いたいのは、」
    「そこまでして他人に伝えたい想いがあることを信じられない」
     息継ぎの隙に、久々知が鉢屋の言葉を浚った。それから傘の角度を傾け、鉢屋の顔を正面に見る。
     無感情と微笑が混在し、そのどちらもが作り物であることを隠さない。
    「単純すぎるだろう?」鉢屋は差し向けられた視線を正面から見返した。「私たちが話すには」
    「いいや、」双眸を伏せながら、久々知は首を振った。「三郎にも分かる話だよ」
    「誰かを思う心は、誰にでも分かる?」
    「手紙を出したという満足。手紙が来るかもしれないという期待。この手紙の持つ意味はそれだけだから」
    「自己満足にすぎない?」面の奥に潜む目が眇められる。
     久々知は袂から皺の寄った手紙を取り出した。
    「言っただろう? 現実はただ残された瓦礫だって」
     濡れた指に触れられた部分が俄かに変色している。
     ゆっくりと腕を伸ばす。
     傘の外には雨。
    「もう読めないな」当然のこと。鉢屋はそれを口に出す。
     手紙を握っていた指が離れ、
     風。
     草原の向こうへ影が消える。
    「渡り鳥が届けてくれるかもしれない」久々知が微笑みながら言う。
     雁の声が、聞こえている。
    417_Utou Link Message Mute
    2022/10/11 21:27:16

    寒露

    #鉢くく
    知らない人からお手紙を預かった久々知の話です

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