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    「鈍い奴」と誰かが言った 織田・徳川の連合により甲斐の武田家は滅んだ。両家が長きに渡って苦しめられてきた武田家を打ち破った喜びは大きく、戦が終わった直後にはささやかな祝勝会が催された。その祝いの席を辞退した徳川家康に十兵衛は付き添い、祝勝会の行われている部屋から離れた一室で家康と過ごすことになった。
     家康が「織田家の皆様には身内だけで気楽にお過ごし頂きたい」と別室へ向かう姿を見て、それでは徳川家に対して申し訳が立たないと考えた十兵衛は自ら家康の接待役を申し出て、信長はそれを許可した。
     しかし、首を縦に振った際の信長の目には怒りが燻っていた。それに気づいた瞬間に十兵衛は背筋がヒヤリとして、その感覚はしばらく消えなかった。
     宿敵を滅ぼした祝いの席に水を差されたと感じて憤慨しているのか。身内以外を優先したと解釈して気分を害したのか。「三河贔屓だ」と不満に思っているのか。どれだけ考えても理由はわからなかった。最近は特に主君の考えが理解できない。
     体の芯が冷えたような感覚を引きずりながらも家康が居る部屋に向かえば、家康は十兵衛を喜んで迎えてくれた。その後は二人だけで穏やかに酒を飲み交わす。
     優しげな口調の中に強い意思が滲む家康との会話は心地が良かった。彼の治める地域の話は興味深く、共通の思い出話は懐かしくて楽しい。特に話が盛り上がったのは統治論だ。己の領地のために統治について熱心に学ぼうとする姿勢が好ましく、十兵衛も越前での寺子屋時代を思い出して熱が入った。
     戦術の話ではなく民の暮らしを良いものにするための話は楽しい。捕らえた敵将の処分ではなく様々な施策について論じ合うことが楽しい。十兵衛は家康との会話によって久しぶりに「楽しい」という感覚を味わった。
     その楽しい時間も瞬く間に終わり、十兵衛が織田家の者たちのところへ戻ろうとした際に家康から思いがけない依頼をされる。安土城への招待を受けた家康は饗応役に十兵衛を指名したと言う。「自分にとってはまだ信長様は恐ろしい」と信長への疑心を仄めかせる家康は毒殺を警戒しているのだ。そのようなことを言われてしまえば断りようがない。
     十兵衛は去っていく三河の大名の後ろ姿を見届けながら憂いに表情を曇らせる。
     長きに渡って武田に対抗するため手を取り合ってきたはずの徳川は織田を信用していない。過去に援軍を出し渋ったことも影響しているのだろうが、味方を切り捨てることが増えてきた近年の信長の動きを不安視していると見るべきだ。武田を退けた今、家康を排除すれば信長の力はますます大きくなるのだから警戒するのも無理はない。そのため、織田家の中でも信用の置ける十兵衛を饗応役に指名したのだ。
     饗応役を務めることに決まったならば絶対に失敗はできない。些細なことが家康の信長に対する不信を育て、不信感の肥大は反旗を翻すことに繋がる。家康に裏切られたら織田家の足下が揺らぐ。
     不安と重責がのしかかった十兵衛は胃の辺りが重くなったように感じて、その部分を思わず手で押さえた。
     その時、廊下の向こうから足音が聞こえてきた。視線を向ければ信長の姿があり、その足はこちらに向かって来ているようだった。
     十兵衛はその場に膝を突いて主君への礼を尽くす。家康から掛けられた言葉による動揺を知られたくなかったので通り過ぎることを祈ったが、祈りも虚しく信長の足は十兵衛の前で止まった。
    「十兵衛、来い。」
     短い命令に十兵衛も「はっ」と短く返した。そして信長が歩き出したのを見て立ち上がり、その後ろに続く。
     宴が開かれたのとは別の部屋に入った信長は直に床に座り、それに倣って十兵衛も腰を下ろした。向かい合うと苛立ちが伝わってくる。十兵衛は緊張が全身を走っていくのを感じながら主の言葉を待った。
    「家康の相手、ご苦労であった。祝勝の宴を辞するとは……あの男、何やら含みでもあるのか?」
     苛立ちを滲ませる言葉に心の臓が嫌な跳ね方をした。十兵衛は慎重に言葉を選びながら返事をする。
    「信長様は戦でお疲れになっているので気心の知れた方々とお過ごし頂いた方が良いでしょう、とのことにございました。徳川様は上様を気遣っておられたのです。」
    「それが真の理由であれば、そなたを留め置いたりせずにわしの元へ帰らせたのではないか?そなたは織田家の家臣なのだからな。どうせ、宴を辞すれば十兵衛が案じて追いかけてくると思うたのだろう。小賢しい奴め。」
     暗い目で話す信長に十兵衛は不安を抱いた。まさか、家康にまで何かを企てるつもりなのか?
     十兵衛は緊張による喉の渇きを唾を飲み込むことで紛らわせながら口を開く。
    「徳川様は自分には構わず宴に戻るようにと気遣ってくださりましたが、それでは徳川家に対して申し訳が立たぬからと私の意思でその場に留まったのです。非は徳川様のご配慮を受け入れなかった私にございます。いかような咎めも受けまする。どうか、徳川様に対してお怒りにならぬようお願い申し上げます。」
     十兵衛は家康を擁護するために必死に言葉を紡ぎ、両の拳を突いて頭を下げた。
     怒りの矛先が自分ならばそれで構わぬ。同盟関係にある家康に向くことだけはあってはならない。その思いだけだった。
     床から視線を離さずに姿勢を維持していると、不意に近くで気配を感じた。視界の端に信長の爪先が見える。怒りの滲む信長の気配を間近に感じた時、嘗ての打擲の記憶が蘇って肩が小さく跳ねた。
     息が詰まりそうなほどの緊張感の中で、信長の「面を上げよ」という静かな声が響く。その命令に従って顔を上げれば扇子によって無理やり顎を上げさせられた。それにより信長と目を合わせることになる。
     信長は何かを探るように目を細めており、そのために目から光が消え失せていた。真っ黒な目が底なしの闇を湛えているように見えて寒気がする。
     十兵衛が喉を大きく上下させた時、信長が口を開いた。
    「十兵衛、そなたと家康は随分と親しいようじゃな。そなたらの様子を見た蘭丸がそのように申しておったぞ。」
     十兵衛は信長の真意が読めずに困惑する。それでも「親しいというほどでは……」と返しかけたが、更に顎を高く上げさせられたために言葉が途切れた。
     息苦しさを感じた十兵衛が眉を寄せても信長がそれを気にした様子はなく、細めていた目を見開いて顔を近づけてきた。
    「ずっと不思議だったのじゃ。そなたは以前から徳川を気にかけて肩を持つ。家康と何かがあったからなのだろう?……申せ。あの男とそなたの間には何がある?」
     あの時と同じだ、と思った。今の信長は正親町天皇との会話内容を教えるように迫ってきた時と同じ目をしている。
     眼前に迫る狂気じみた目を見て、十兵衛は家康との繋がりについて正直に話すことに決めた。話さなければ信長は家康の排除に動くだろう。譲位を早めると決めたように、どのような手段を用いても家康を排除しようとする。
     なぜ信長が十兵衛と家康との繋がりについて知りたがるのか、理由は見当がつかない。それでも新たな戦の火種を生むわけにはいかないのだ。
     十兵衛は「三十年ほど前」と声を絞り出した。
    「徳川様が人質として織田家に滞在なさっていた頃に初めてお会いしました。御母上や故郷を恋しがっておられた徳川様──当時の竹千代様をお慰めしたのです。徳川様はそのことを記憶されていたので私の存在を気に留めてくださっているだけなのです。特別なことは、何も。」
     十兵衛の答えを聞いた信長は再び目をすうっと細めた。その動きを見ただけで床に突いた両手から怖じ気が這い上がってくるような心地がする。
    「──竹千代を、慰めたのか。そなたが。」
    「はい。その後に一度だけお顔を拝見したことはございましたが、それ以降は越前攻めでご一緒するまで言葉を交わす機会はございませんでした。」
    「一度も?」
    「ただの一度も。私と徳川様がお会いした機会は少のうございます。」
     そのように答えると信長は乾いた笑いを漏らしながら扇子を引いた。そして、固唾を呑んで様子を見守る十兵衛に信長が視線を寄越す。その顔に浮かぶのは嘲笑だ。
    「家康は幼い頃に一度言葉を交わしただけの男との思い出を大事にして、再会したその男を慕っておるというわけか。それほどに十兵衛に魅了された、と。」
    「上様……」
    「そなたは何人を誑かせば気が済むのじゃ?家康まで誑かされていたとは思わなんだぞ。」
    「誑かすなど、そのようなことはございませぬ。」
     必死に言い募る十兵衛に対して信長の口の端が皮肉げに持ち上がった。
    「事実であろう。帝に将軍、松永もそうじゃ。稲葉からは斎藤利三を奪いおった。その上、家康までとは。あちらこちらで誑かして回っておるではないか。」
     挑発的で侮辱的な言葉だ。流石に十兵衛も怒りが湧き、恐怖を忘れて反論する。
    「上様!それは余りの仰っしゃりようにござりまする!」
     反論を受けた信長は怒りに頬を紅潮させながらも言葉を飲み込んだように口を引き結んだ。
     しかし、それも一瞬のこと。
    「もう良い!わしは行く!」
     信長は怒鳴りながら立ち上がり、荒っぽく床を踏み鳴らして出ていった。
     十兵衛は体を起こすと信長が去った方を振り返り、遠ざかる主君を途方に暮れたように見つめる。
     信長は十兵衛が家康と親しいことを責めているのだ。それは理解できたが、なぜ責められているのかが理解できなかった。敵方の者と懇意にしているならば謀反を疑われて当然だが、家康は同盟関係にある相手だ。親しくすることで協力関係を強固なものにできる。
     十兵衛が家康を気にかけて彼のために動くのは織田家のためだ。個人としても徳川家康という人物を好ましく思っているが、徳川家は織田家にとって非常に大切な相手。関係を良好なものにしておかなければならない。徳川家に裏切られることは決してあってはならないのだ。
     しかし、信長は十兵衛が家康と親しくすることが気に入らないようだ。自分を飛び越えて関係を築いていると感じ、矜持を傷つけられたのだろうか?
     十兵衛は苦悩に顔を歪ませながら呟く。
    「……何を間違えたのか、わしにはわからぬ。」
     日を重ねるごとに、年を越すたびに、主君のことが理解できなくなっていく。
     信長との間に生まれた大きな溝を埋めようと懸命に努力しても、その端から崩れ落ちていくような状態だ。修復することなど不可能ではないだろうか?
     十兵衛は悲壮感の滲む考えを振り払うように頭を軽く振り、怒りの名残から逃げるように部屋を後にした。


    *****


     武田との戦を終えて京に戻った十兵衛は、すぐに信長からの呼び出しを受けた。用件は徳川家康を安土城に招く際の饗応役についてだ。
     「家康からの指名だが触りがあるならば断って良い」と話す信長に対して、十兵衛は丁寧に頭を下げながら役目を引き受ける意思を示した。少しも渋らずに引き受けたことに対して主君の機嫌が悪くなったと気づいていたが、それでも断るわけにはいかない。信長のためにも家康との約束を破ることはできないのだ。
     明らかに機嫌を悪くした信長から素っ気なく退出を促された十兵衛は真っ直ぐに明智家の屋敷に戻る。屋敷に戻れば左馬助が出迎えてくれた。
    「お帰りなさいませ。信長様のお話はいかがでございましたか?」
     十兵衛は自室を目指して左馬助と並んで廊下を歩きながら答える。
    「うむ。予想していた通りじゃ。」
     苦笑を滲ませながら答えると左馬助の表情が曇る。
    「やはり、饗応役の件でしたか……。殿が饗応役を務めるということに決まったと?」
     十兵衛は無言で頷いた。それを見た左馬助の表情が渋いものに変わっていく。
     左馬助には家康から饗応役を頼まれたことを事前に伝えておいたのだが、伝えた当初から十兵衛が饗応役を務めることに良い顔をしていなかったのだ。
     十兵衛は渋面を浮かべる左馬助の肩を叩いて「やるしかあるまい」と敢えて明るく笑った。余計な心配をさせまいとの配慮だったのだが、それが却って主思いの男の怒りに火をつけてしまったらしい。「笑い事ではござりませぬ!」と怒り出した左馬助と共に十兵衛は部屋に入る。
    「落ち着け。正式に命じられたならば断ることはできぬ。しっかりと務めを果たすしかあるまい。違うか?」
     十兵衛が茵に腰を下ろすと、その正面に座した左馬助が堪えきれない怒りを吐き出す。
    「しかし、招待される側の徳川様が饗応役を指名するなど、しかも殿を指名なさるなど……あってはならぬのです!」
    「左馬助、良いから落ち着け。」
     十兵衛が宥めても左馬助は止まらない。言葉が矢継ぎ早に繰り出されてくる。
    「招待される側が饗応役を指名するということは毒殺を警戒していると仄めかすようなものでございます。それを聞いた信長様はご不快に思われたことでしょう。さりとて徳川様から直々にご依頼を受けた殿が饗応役を辞退することなどできませぬ。殿は完全に板挟みではありませぬか!」
     十兵衛は目を剥いて声を荒らげる左馬助に驚きながらも、自分を案じてくれる気持ちを嬉しく思った。
     左馬助は穏やかで優しい男だ。その人柄と細やかな気配りにより周囲からの評判は高い。そのような男がこれほどに怒りを顕にすることは珍しい。それほどに十兵衛のことを思い、案じてくれているという証拠だ。
     十兵衛は微笑みながら「左馬助」と穏やかに呼びかける。
    「わしが辞退すれば徳川様の信長様に対する不信感が増してしまう。それは避けなければならぬ。全てを平らかに進めていくためには、わしが饗応役を務めることが必要なのじゃ。わかってくれるな?」
     穏やかに諭した効果が出たらしく、左馬助は怒りを静めて小さく頷いた。その眉が八の字を描いている様子を見て笑いたくなったが堪える。
    「これからは忙しくなる。此度の件について不満はあるだろうが、そなたに手伝ってほしい。頼む。」
     そのように言って頭を下げると、「殿!お止めくだされ!」と慌てた声が飛んできた。顔を上げれば左馬助が溜め息と共に首を縦に振った。
    「頭を下げていただかなくとも殿をお支えするのが私の役目にございまする。全力でお手伝いいたしますが、ただ……」
    「ただ?」
     そう問うと、左馬助は拗ねたように唇を尖らせた。それが幼い子どものようで微笑ましい。
    「……徳川様を少々恨めしく思うてしまいまする。何故、殿を指名なさったのかと。他にも然るべき御方がおられるというのに。」
    「徳川様はわしに信頼を寄せてくださっている。」
    「それは私も存じております。しかし、殿に対して配慮していただきとうございました。殿が難しい立場に置かれることは徳川様もご存知のはずでしょうから。」
     左馬助の不満は理解できた。招待される側が饗応役を指名すれば指名された者は板挟みになる。それにより十兵衛が苦労することを家康がわからぬはずがない。信頼を寄せているならば配慮が欲しかった、というのが左馬助の思いなのだ。
     しかし、それほどに家康の信長に対する不信感は根深く、そして必要であれば冷徹さを覗かせる為政者なのだと実感させられる。
     誰も彼もが戦乱の世で生き残っていくために、この世に染まる。遠く離れた母を恋しがっていた幼子は妻子を切り捨てることができる為政者へと成長した。彼は厳しい世を生きていくうちに乱世に染まった。それは己も例外ではない。
     いつまで変わり続けなければならぬのだろう、と小さく息が漏れた。


    *****


     正式に饗応役を仰せつかってからの日々は慌ただしい。各地から食材を取り寄せて、使用する食器を吟味して必要であれば買い付ける。当日の予定を決めた上で人員を配置しなければならず、その手配にも追われた。その他にも通常の仕事があるため、それを放置するわけにもいかない。領地運営に関する仕事は待ってはくれないのだ。
     多種多様な仕事に忙殺される日が続き、宴の件で安土城に行っても信長に挨拶することすらできずにいた。登城したならば挨拶に伺うべきだと思っていても時間が許してくれない。
     十兵衛が焦りを感じていた時、遂に信長から呼び出された。


    「久しいのう、十兵衛。城には出入りしておるようじゃが、わしは幾日もそなたの顔を見ておらぬ気がする。」
     信長が待つ部屋に入り、平伏した途端に浴びせられた言葉には嫌味がふんだんに込められていた。
     顔を上げる気持ちにはなれない。顔を見ずとも怒っていることは伝わってきた。怒りを滲ませる信長を前にして、十兵衛にできるのは額を床に擦り付けて謝罪することだけだ。
    「申し訳ございませぬ。登城の折には上様にご挨拶すべきと理解しながら、忙しさを理由に疎かにした私は無礼者にござりまする。本日はお叱りを頂戴する覚悟で参りました。」
     主君に対して無礼であったことは事実。どれほど激しい叱責も受け止める覚悟だ。十兵衛は気合を入れるように床に突いた手に力を入れた。
     平伏したまま信長の言葉を待つ十兵衛の耳に扇子を掌に打ち付ける音が届く。
     ぱんっ、と乾いた音が一つ。
    「そなたが忙しいことは知っておる。饗応役として手配に駆け回っておるのだと報告も受けておる。じゃが、今のそなたの姿は家康を優先しておるように見える。わしを蔑ろにしても構わぬと思われては困るな。」
     ぱんっ、と再び音が鳴る。
    「十兵衛、そなたの仕えている相手は誰じゃ?」
    「織田信長様、ただお一人でございます。上様を蔑ろにしても良いと思うたことは一度もございませぬ。大切に思うておりまする。」
     十兵衛が答えを返してから、少し間を空けて再び音が響く。
    「理解しておるならば良い。十兵衛、今後はわしを無視することは許さぬ。一瞬であっても顔を出せ。……そなたの主は家康ではない。この信長じゃ。良いな?」
    「はっ──!肝に銘じまする!」
     十兵衛が力強く返事をすると、信長が「もう顔を上げて構わぬ」と機嫌の良い声で言った。ぎこちなく顔を上げれば笑みを浮かべた主君と視線が交わる。
     信長は無邪気な笑みを見せながら口を開く。
    「十兵衛、天守で茶を飲むぞ。今日は晴れておるから景色が美しい。そなたにも見せてやりたいと思うておったのじゃ。」
     そのように言っていそいそと立ち上がった信長を十兵衛は目を丸くして見つめた。
     信長は先ほどまで怒っていたはず。それは顔を伏せていても気配でわかるほどの怒りだった。だが、今は怒りがきれいに消え失せて上機嫌で笑っている。驚くべき感情の変化に戸惑うばかりだ。
     十兵衛が戸惑いを抱えたまま視線を向ける先では信長が一人で楽しげに話し続けている。
    「茶を飲むだけではつまらぬ。茶を飲んだ後に鼓を打っても良いが、天気が良いのだから散策に出かけるのも悪くない。うむ、それが良い。十兵衛、今日はわしの供をせよ。」
    「散策、でございますか?上様もお忙しいのでは?」
     十兵衛は信長を見上げながら尋ねた。信長はこちらに近づいてきて見下ろしながら答える。
    「元々、今日はそなたをわしに付き合わせるつもりでな。宴の準備を優先して主を蔑ろにした仕置きのつもりであったが、どうせなら楽しく過ごした方が良い。散策中に良いものを見つけたら買うてやろう。」
     この後の予定が楽しみで堪らないといった様子で笑う信長に「今日は予定が詰まっていて難しい」と言えるわけがなかった。他にも行かなければならない場所があったのだが、後のことは左馬助に頼むしかない。十兵衛は「ありがたく存じまする」と頭を下げた。
     頭を下げると視線が床に落ちる。そこには微かに濡れた痕跡があった。それは十兵衛の汗だ。先ほど謝罪した際に額を床に密着させたせいで付いたのだろう。
     十兵衛は床に残る汗の跡を見下ろしながら、「信長様のことがわからない」と胸の内で呟いた。
     己の忠を疑っているのだろうか?振る舞いが気に食わないのだろうか?それにしては共に過ごす機会を欲しがることが不思議でならない。
     十兵衛にはわからない。己の何が信長を怒らせ、不安にさせ、喜ばせるのか。わからないから二人の間に横たわる溝を埋めることができない。放置できぬと足掻いても埋める術を知らない。
     いつか、決定的に崩壊する。それも近いうちに。そのような不安が十兵衛の胸を埋め尽くした。
    「十兵衛、何をしておる?来い。」
     信長に促され、十兵衛は「はっ」と答えて立ち上がる。
     先を歩く信長にはすぐに追いつくことができた。二人の距離はないに等しい。それでも見えない溝は埋まらない。

    ♢だんご♢ Link Message Mute
    2021/02/07 15:05:17

    「鈍い奴」と誰かが言った

    #麒麟がくる #明智光秀 #織田信長 #明智左馬助 ##麒麟がくる


    pixivに投稿した作品と同じものです。
    第43回「闇に光る樹」の武田軍を打ち破った後から安土城での宴までの間。
    十兵衛が信長に家康とのことを問い詰められたり、饗応役のことで怒る左馬助を宥めたり、信長から呼び出しを食らうお話。


    「信長に家康とのことを問い詰められてそうだな」と思って書き始めたらいろんなところに話が飛びました。
    最終回を観てロスになる前に投稿したかったので突貫工事です。間に合って良かった!
    相変わらず信長が面倒くさい男になっておりますが、よかったらどうぞ。

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    • リック受まとめ #ダリリク  #シェンリク  #腐向け  #TWD  #ニガリク ##ダリリク ##シェンリク ##ニガリク ##TWD


      privatterで投稿したものと今までに投稿していないものをまとめました。
      平和な世界だったり、ドラマ沿いだったりごちゃ混ぜです。



      ◆今日のダリリク:相手が風呂を上がっても髪を乾かさないので仕方なくドライヤーをかけてやる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       髪を濡らしたままバスルームから出てきたリックを見て、ダリルは眉間に思いきりシワを寄せた。
       リックが「疲れた」と何度もボヤきながらバスルームに入っていった時点でこうなることは予想していたが、予想通りになったからといって喜ぶことはできない。
       ダリルは髪の先から雫を滴らせるリックを捕まえるとバスルームへ引きずっていき、ドライヤーの熱い風をリックの髪に吹きかけ始める。
       乱暴な手つきで髪を乾かしてやるとリックが苦笑いを浮かべた。
      「放っておいてくれて構わないんだぞ?」
      「バカか。風邪でも引かれたら困る。」
       それも理由の一つではあるが、リックに構いたいというのが一番の理由。
       普段は頼もしく凛々しい男がダリルの前では気を緩めて無防備になるのが嬉しい。それだけ自分に心を許しているということなのだと思うと甘やかしてやりたくなる。
       そんなことをリック本人に言うつもりは少しもない。
       そんなわけで、ダリルは緩みそうになる顔を引き締めながらリックの髪を乾かし続けたのだった。

      End




      ◆今日のシェンリク:昼下がり、相手が楽しそうに洗濯物を干しているのを、洗濯物をたたみながら眺める
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       今日は仕事は休み。
       そのためシェーンはリックと共に惰眠を貪り、遅めの朝食……ではなく昼食を食べてから活動を始めた。
       洗濯機を回しながら食器洗いや掃除を行い、それが終わると昨夜干した洗濯物を取り込んでいく。
       洗濯物の取り込みが終わった時点でリックが洗い終わった衣類を持って姿を見せた。
      「干すのは俺がやるからシェーンは洗濯物をたたんでおいてくれ。」
      「任せろ、相棒。」
       仕事中のような受け答えに笑い合いながら各自の仕事に取りかかる。
       Tシャツをたたみ、ジーンズをたたみ、タオルをたたみ……。
       シェーンはキレイにたたんだ衣類を並べながら洗濯物を干すリックに目を向ける。
       物干しに洗濯物を干していくリックの顔には笑みが浮かんでいる。それだけでなく鼻歌まで歌っているようだ。
       「何がそんなに楽しいのだろう」と首を傾げかけて、シェーンは自分の口元も緩んでいることに気づいた。
       ああ、そうか。二人一緒なら何をしていても楽しい。
       シェーンはリックも自分と同じなのだと気づき、自分の笑みがますます深いものになっていくのを自覚した。
       これが終わったら次は何をしようか?
       リックと一緒ならどんなことをしても楽しいに違いない。
       そんな風に心を弾ませながら最後の一枚をたたみ終わると、洗濯物を干しているリックの方へ足を運ぶことにした。

      End




      ◆今日のニガリク:無意識に「おかえり」と言うと相手が驚いた顔で「ただいま…」と小声で返すので、何だかお互いに恥ずかしくなる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       遅くなるなら遅くなるって連絡しろ、クソ野郎。
       リックは怒りと共に冷めきったスパゲッティの皿にラップを貼ってから冷蔵庫を開けた。
       夕食の時間になっても帰ってこなかったニーガンからの連絡は未だにない。「夕食はいらない」という話もなかったので用意はしておいたのだが、日付が変わるまで残り三十分という時間になっても玄関のドアは開かなかった。
       ニーガンという男は他人の思い通りになるような人間ではないと知っていたが、少しは一緒に暮らしている者の身にもなってほしいとリックは常々思っている。
      「どこかの女の部屋にでも転がり込んだのかもな。」
       リックは吐き捨てるように言いながら冷蔵庫の扉を乱暴に閉めた。
       あんな男と一緒に暮らしている自分がバカなのだとわかっていても腹を立てずにいられない。
       ニーガンの言動一つに振り回され、翻弄され、感情が揺れ動く自分が情けなかった。それなのに離れずにいることも情けなくて悔しい。
       「早く帰ってきてほしい」だなんて惨めだ。
       リックは静まり返った部屋の中心に佇み、ボンヤリと床を見つめる。ニーガンがいるとうるさいと感じるのに、今はこの静けさが嫌いだ。
       どうしても「ただいま」の声が聞きたい。
       その時、ドアの開く音が微かに響く。その音に導かれるように玄関へ向かうと、そこにはニーガンの姿があった。
       ニーガンはリックを見ると普段通りの笑みを浮かべた。
      「文句は後にしろよ。説明してやるから、先にシャワーを浴びさせて……」
      「おかえり。」
       リックの口から滑り落ちた言葉にニーガンが驚いた顔をする。それは演技ではなく心からのものだとリックは確信した。
       ニーガンは驚きの表情を浮かべたまま口を開く。
      「……ただいま。」
       それは小さな声だった。
       そのことが妙な恥ずかしさを呼び起こしたため、リックは片手で顔を覆って俯いた。
      「どうして俺が恥ずかしくならなきゃいけないんだ?」
      「それは俺のセリフだ。……文句を言われると思ったのに、今のは反則だ。」
       意外にも近くで声が聞こえたためリックが顔を上げると拗ねた顔のニーガンが目の前にいた。
       リックは一歩後ろへ下がろうとしたが、ニーガンに抱き寄せられたためそれは叶わない。
       珍しく真剣な表情のニーガンは唇同士が触れそうな近さで囁く。
      「リック、もう一度『おかえり』と言ってみろ。」
       結局、この男には逆らえない。
       そう思いながら「おかえり」と口にするとニーガンは満足げに微笑む。
       そして「ただいま」と共に与えられたのは熱い口付けだった。

      End




      ◆ダリリク/制限付きの逃避行

      「笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか」
      https://shindanmaker.com/750576

      【制限付きの逃避行】

       ダリルの視線の先には難しい顔をして考え込むリックがいる。
       出会ったばかりの頃のリックはもっと表情豊かな男だったように思う。良いものも悪いものも表情に出していたように思う。
       しかし、リーダーとしての重さが増していくとリックの顔からは表情が消えていった。
       きっと、背負い過ぎたのだろう。
       きっと、失い過ぎたのだろう。
       それをどうにかしてやりたくても運命は過酷なもので、誰にもリックを救えない。
       だからダリルはリックの傍に行く。頬を撫でてやることしかできなくても、その一瞬だけリックに表情が戻るからだ。
       ダリルがリックの隣に立つとリックは視線だけを寄越してきた。
      「また考え事か?」
      「ああ、別に大したことじゃない。」
       嘘つきめ。
       そう言ってやりたかったが、言ったところで苦笑するだけだろう。
       ダリルは何となくリックに触れたくなって頬に掌を這わせた。そうするとリックは目を細めて幸せそうな笑みを浮かべる。
       笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか?
       ダリルは最近では滅多に笑わなくなった想い人に胸を痛め、自分にできることの少なさに落胆する。
       自分と過ごす時間だけでもリックが幸せだと思えるのならいくらでも傍にいるのに。
       そんなダリルの思いをやんわりと拒むようにリックが離れていく。
      「……もう行かないと。」
       小さく呟いたリックの顔からは表情が消えていた。
      「そうだな。」
       次にリックの笑顔に会えるのはいつになるのだろう?
       リックの傍にいたいのは彼のためなのか、それとも自分のためなのか、ダリルにはそれさえわからなくなった。

      End




      【この熱さをもたらすもの】ダリリク

       照りつける太陽が俺の背中を焼く。
       ジリジリと焦げつく背中に滲む汗は不快さしか与えてくれず、眉間にしわが寄ったのを自覚する。
       作業する手を止めて休めばいいのに「もう少しだけ」と作業を止められない。生き急ぐつもりはないが、小さな焦りが自分の中に存在しているせいなのかもしれない。
       思わず自分に苦笑を漏らした時、後ろから足音が近づいてきた。
      「仕事中毒か?水でも飲んで休め。」
       姿を見せたのはダリルで、彼は水の入ったペットボトルを手にして立っている。
       差し出されたペットボトルを受け取りながら礼を言うと、ダリルの手の甲が俺の頬に触れた。
      「おい、かなり熱いぞ。気分は悪くないか?」
      「大丈夫だ。だが、そろそろ切り上げた方がいいかもしれないな。」
      「あんた、結構汗かきだよな。脱水症状でぶっ倒れても知らねーぞ。」
       ダリルは呆れ顔で俺の頬を軽く叩いた。
       休まずに仕事を続けてしまうのは俺の悪い癖だ。そんな俺をダリルはいつも心配してくれる。
       本当に良い奴だな、と思わず笑みが溢れた。
      「気をつける。それにしてもお前は本当に俺のことをよく見ているよな。そんなに俺のことが好きなのか?」
       笑い混じりに冗談を言ってみた。
       「バカか」と呆れ顔をするダリルを想像していたが、予想とは違ってダリルは目を丸くして俺を見る。その顔が真っ赤に染まるのは一瞬のことだった。
       予想外の反応に何も言えずにいるとダリルが耳元に唇を寄せてくる。
      「好きだけど、何か文句あるか?」
       低く囁かれて背筋にゾクリとしたものが走る。
       ダリルは俺から体を離し、鼻を鳴らして去っていく。それを見送ることができないのは全身が硬直してしまったからだ。
       ああ、熱い。頬が燃えるように熱い。
       思いがけずダリルから与えられた熱に逆上せそうな気がした。

      End




      【Strawberry】ニガリク

       ああ、今日もよく働いた。
       そんな充実感と共にリックは体を伸ばす。
       スッキリと晴れた青空の下で作業をするのは気分が良い。そのためか今日はいつもより張り切って仕事をしたような気がする。
       休むことなく動き回ったので、さすがに体が重い。リックは休憩のために近くの家の壁に背中を預けて座った。
       吹き抜ける風の柔らかさが心地良い。
       耳に届く住人たちの賑やかな声が穏やかな気持ちにさせてくれる。
       様々な困難を乗り越えたアレクサンドリアは希望に満ちた町へと変わりつつある。
      (幸せだなぁ)
       素直にそう感じたリックは微かに笑みを浮かべた。


       リックが幸せな気分を満喫していると足音が近づいてくる。その足音の方へ顔を向ければニーガンが歩いてくる姿が見えた。
       ニーガンのシャツの袖には泥が付いている。畑仕事を嫌がらずに行うニーガンを意外に思ったのはそんなに最近のことではない。
       敵対し、憎み、戦争までした相手と手を取り合って生きていることが信じられないが、目の前にあるのは全て現実だ。そのことが不思議で、おかしくて、そして嬉しい。
       リックがクスクスと笑っていると目の前に来たニーガンが呆れたような顔をする。
      「働きすぎておかしくなったのか?」
      「違う。気にしないでくれ。」
       まだ笑いの余韻を残すリックにニーガンは顔をしかめたが、それ以上は追及せずにリックの正面にしゃがんだ。
       リックの前にしゃがんだニーガンの手には苺が乗っている。畑で育てていたものを持ってきたのだろう。
      「見事な出来だな。ニーガンが農作業が好きだなんて意外だった。」
       そう言ってやるとニーガンはニヤリと笑う。
      「小さなレディだと思えば手間をかけるのも惜しくない。」
       「何だそれ」とリックが笑っているとニーガンはリックの唇に触れた。
      「お前に一番に食わせてやる。口を開けろ。」
       その言葉に従ってリックは口を開けたが、ニーガンは苺を自分で咥えてしまう。
       一番に食べさせてくれるのではなかったのか?
       リックがそんな疑問を抱いているとニーガンが顔を近づけてきた。そしてニーガンが咥えた苺がリックの唇に触れる。「食べろ」という意味なのだと理解したリックは苺をかじった。
       かじった瞬間に口の中に果汁が広がり、甘く爽やかな香りが鼻を通り抜ける。リックは自分を真っ直ぐに見つめてくる瞳を見つめながら苺を咀嚼した。
      「美味い。」
       正直な感想を告げると、それを待ちかねていたかのように残り半分の苺がニーガンの口の中へと消える。
       ニーガンは己の唇に付いた苺の汁を舐め取りながら囁く。
      「お前のためにこの俺が育てた苺だ。全部食えよ、リック。」
      「……本当に押し付けがましい奴だな、あんたは。」
       溜め息混じりのリックの言葉を気にしていない様子でニーガンは再び苺を咥えた。
       リックは「仕方ない」と苦笑してからその苺を咥える。さっきよりも深く咥えれば唇同士が触れ合う。
       そして思いきって苺をかじれば触れ合うだけのものが深い口付けへと変わった。
       苺の甘い汁と共に舌を絡め合えば奇妙な背徳感に背筋がゾクリとする。その背徳感を嫌だと思わないのは目の前の男との甘い時間に溺れているせいだ。
      (甘い、さっきよりもっと)
       この甘さは自分だけのもの。ニーガンが自分のために育てた苺をニーガン自ら与えてくれることで生まれた甘さだ。
       そう認識した時、何度も噛むことでドロドロになった苺が喉を下りていった。
       まだ食べ足りない、と思ったリックは軽く口を開けて「もっと」と強請る。
       「仕方ない奴だ」とニーガンが楽しげな笑みを浮かべながら咥えた苺がリックにはこの世で一番美味しそうなものに見えた。

      End




      【唐突に告げる】シェンリク

      「愛してる。」
       シェーンの鼓膜を震わせたリックの一言は何の脈絡もないものだった。
       シェーンとリックは二人がけのソファーに並んで映画を観ている真っ最中。
       観ているのは恋愛ものの映画ではない。そういったジャンルに興味はなかった。ついさっきまでビール片手にストーリーにツッコミを入れて笑い合っていただけなのだ。
       それなのに突然リックが愛の言葉を口にしたため、シェーンは目を丸くして隣に顔を向けた。
      「何だよ、急に。」
       そう尋ねればリックは楽しそうに笑った。
      「何となく言いたかっただけだ。」
      「そんなムードじゃなかったぞ。」
       変な奴、と苦笑しながら新しいビールに口を付ける。
       突然のことに驚きはしたが、悪くはない。
       相手のことを常に愛しく思っているのはシェーンも同じだ。
      「愛してる。」
       今度はシェーンが愛の言葉を口にした。
       シェーンが再び隣へ顔を向ければリックも同じようにシェーンを見ていた。
       目が合った時、リックの目尻が垂れて幸せそうな笑みが浮かんだ。
       そんなリックを「愛しいな」と改めて思ったシェーンの口も弧を描いていた。

      End
      #ダリリク  #シェンリク  #腐向け  #TWD  #ニガリク ##ダリリク ##シェンリク ##ニガリク ##TWD


      privatterで投稿したものと今までに投稿していないものをまとめました。
      平和な世界だったり、ドラマ沿いだったりごちゃ混ぜです。



      ◆今日のダリリク:相手が風呂を上がっても髪を乾かさないので仕方なくドライヤーをかけてやる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       髪を濡らしたままバスルームから出てきたリックを見て、ダリルは眉間に思いきりシワを寄せた。
       リックが「疲れた」と何度もボヤきながらバスルームに入っていった時点でこうなることは予想していたが、予想通りになったからといって喜ぶことはできない。
       ダリルは髪の先から雫を滴らせるリックを捕まえるとバスルームへ引きずっていき、ドライヤーの熱い風をリックの髪に吹きかけ始める。
       乱暴な手つきで髪を乾かしてやるとリックが苦笑いを浮かべた。
      「放っておいてくれて構わないんだぞ?」
      「バカか。風邪でも引かれたら困る。」
       それも理由の一つではあるが、リックに構いたいというのが一番の理由。
       普段は頼もしく凛々しい男がダリルの前では気を緩めて無防備になるのが嬉しい。それだけ自分に心を許しているということなのだと思うと甘やかしてやりたくなる。
       そんなことをリック本人に言うつもりは少しもない。
       そんなわけで、ダリルは緩みそうになる顔を引き締めながらリックの髪を乾かし続けたのだった。

      End




      ◆今日のシェンリク:昼下がり、相手が楽しそうに洗濯物を干しているのを、洗濯物をたたみながら眺める
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       今日は仕事は休み。
       そのためシェーンはリックと共に惰眠を貪り、遅めの朝食……ではなく昼食を食べてから活動を始めた。
       洗濯機を回しながら食器洗いや掃除を行い、それが終わると昨夜干した洗濯物を取り込んでいく。
       洗濯物の取り込みが終わった時点でリックが洗い終わった衣類を持って姿を見せた。
      「干すのは俺がやるからシェーンは洗濯物をたたんでおいてくれ。」
      「任せろ、相棒。」
       仕事中のような受け答えに笑い合いながら各自の仕事に取りかかる。
       Tシャツをたたみ、ジーンズをたたみ、タオルをたたみ……。
       シェーンはキレイにたたんだ衣類を並べながら洗濯物を干すリックに目を向ける。
       物干しに洗濯物を干していくリックの顔には笑みが浮かんでいる。それだけでなく鼻歌まで歌っているようだ。
       「何がそんなに楽しいのだろう」と首を傾げかけて、シェーンは自分の口元も緩んでいることに気づいた。
       ああ、そうか。二人一緒なら何をしていても楽しい。
       シェーンはリックも自分と同じなのだと気づき、自分の笑みがますます深いものになっていくのを自覚した。
       これが終わったら次は何をしようか?
       リックと一緒ならどんなことをしても楽しいに違いない。
       そんな風に心を弾ませながら最後の一枚をたたみ終わると、洗濯物を干しているリックの方へ足を運ぶことにした。

      End




      ◆今日のニガリク:無意識に「おかえり」と言うと相手が驚いた顔で「ただいま…」と小声で返すので、何だかお互いに恥ずかしくなる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       遅くなるなら遅くなるって連絡しろ、クソ野郎。
       リックは怒りと共に冷めきったスパゲッティの皿にラップを貼ってから冷蔵庫を開けた。
       夕食の時間になっても帰ってこなかったニーガンからの連絡は未だにない。「夕食はいらない」という話もなかったので用意はしておいたのだが、日付が変わるまで残り三十分という時間になっても玄関のドアは開かなかった。
       ニーガンという男は他人の思い通りになるような人間ではないと知っていたが、少しは一緒に暮らしている者の身にもなってほしいとリックは常々思っている。
      「どこかの女の部屋にでも転がり込んだのかもな。」
       リックは吐き捨てるように言いながら冷蔵庫の扉を乱暴に閉めた。
       あんな男と一緒に暮らしている自分がバカなのだとわかっていても腹を立てずにいられない。
       ニーガンの言動一つに振り回され、翻弄され、感情が揺れ動く自分が情けなかった。それなのに離れずにいることも情けなくて悔しい。
       「早く帰ってきてほしい」だなんて惨めだ。
       リックは静まり返った部屋の中心に佇み、ボンヤリと床を見つめる。ニーガンがいるとうるさいと感じるのに、今はこの静けさが嫌いだ。
       どうしても「ただいま」の声が聞きたい。
       その時、ドアの開く音が微かに響く。その音に導かれるように玄関へ向かうと、そこにはニーガンの姿があった。
       ニーガンはリックを見ると普段通りの笑みを浮かべた。
      「文句は後にしろよ。説明してやるから、先にシャワーを浴びさせて……」
      「おかえり。」
       リックの口から滑り落ちた言葉にニーガンが驚いた顔をする。それは演技ではなく心からのものだとリックは確信した。
       ニーガンは驚きの表情を浮かべたまま口を開く。
      「……ただいま。」
       それは小さな声だった。
       そのことが妙な恥ずかしさを呼び起こしたため、リックは片手で顔を覆って俯いた。
      「どうして俺が恥ずかしくならなきゃいけないんだ?」
      「それは俺のセリフだ。……文句を言われると思ったのに、今のは反則だ。」
       意外にも近くで声が聞こえたためリックが顔を上げると拗ねた顔のニーガンが目の前にいた。
       リックは一歩後ろへ下がろうとしたが、ニーガンに抱き寄せられたためそれは叶わない。
       珍しく真剣な表情のニーガンは唇同士が触れそうな近さで囁く。
      「リック、もう一度『おかえり』と言ってみろ。」
       結局、この男には逆らえない。
       そう思いながら「おかえり」と口にするとニーガンは満足げに微笑む。
       そして「ただいま」と共に与えられたのは熱い口付けだった。

      End




      ◆ダリリク/制限付きの逃避行

      「笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか」
      https://shindanmaker.com/750576

      【制限付きの逃避行】

       ダリルの視線の先には難しい顔をして考え込むリックがいる。
       出会ったばかりの頃のリックはもっと表情豊かな男だったように思う。良いものも悪いものも表情に出していたように思う。
       しかし、リーダーとしての重さが増していくとリックの顔からは表情が消えていった。
       きっと、背負い過ぎたのだろう。
       きっと、失い過ぎたのだろう。
       それをどうにかしてやりたくても運命は過酷なもので、誰にもリックを救えない。
       だからダリルはリックの傍に行く。頬を撫でてやることしかできなくても、その一瞬だけリックに表情が戻るからだ。
       ダリルがリックの隣に立つとリックは視線だけを寄越してきた。
      「また考え事か?」
      「ああ、別に大したことじゃない。」
       嘘つきめ。
       そう言ってやりたかったが、言ったところで苦笑するだけだろう。
       ダリルは何となくリックに触れたくなって頬に掌を這わせた。そうするとリックは目を細めて幸せそうな笑みを浮かべる。
       笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか?
       ダリルは最近では滅多に笑わなくなった想い人に胸を痛め、自分にできることの少なさに落胆する。
       自分と過ごす時間だけでもリックが幸せだと思えるのならいくらでも傍にいるのに。
       そんなダリルの思いをやんわりと拒むようにリックが離れていく。
      「……もう行かないと。」
       小さく呟いたリックの顔からは表情が消えていた。
      「そうだな。」
       次にリックの笑顔に会えるのはいつになるのだろう?
       リックの傍にいたいのは彼のためなのか、それとも自分のためなのか、ダリルにはそれさえわからなくなった。

      End




      【この熱さをもたらすもの】ダリリク

       照りつける太陽が俺の背中を焼く。
       ジリジリと焦げつく背中に滲む汗は不快さしか与えてくれず、眉間にしわが寄ったのを自覚する。
       作業する手を止めて休めばいいのに「もう少しだけ」と作業を止められない。生き急ぐつもりはないが、小さな焦りが自分の中に存在しているせいなのかもしれない。
       思わず自分に苦笑を漏らした時、後ろから足音が近づいてきた。
      「仕事中毒か?水でも飲んで休め。」
       姿を見せたのはダリルで、彼は水の入ったペットボトルを手にして立っている。
       差し出されたペットボトルを受け取りながら礼を言うと、ダリルの手の甲が俺の頬に触れた。
      「おい、かなり熱いぞ。気分は悪くないか?」
      「大丈夫だ。だが、そろそろ切り上げた方がいいかもしれないな。」
      「あんた、結構汗かきだよな。脱水症状でぶっ倒れても知らねーぞ。」
       ダリルは呆れ顔で俺の頬を軽く叩いた。
       休まずに仕事を続けてしまうのは俺の悪い癖だ。そんな俺をダリルはいつも心配してくれる。
       本当に良い奴だな、と思わず笑みが溢れた。
      「気をつける。それにしてもお前は本当に俺のことをよく見ているよな。そんなに俺のことが好きなのか?」
       笑い混じりに冗談を言ってみた。
       「バカか」と呆れ顔をするダリルを想像していたが、予想とは違ってダリルは目を丸くして俺を見る。その顔が真っ赤に染まるのは一瞬のことだった。
       予想外の反応に何も言えずにいるとダリルが耳元に唇を寄せてくる。
      「好きだけど、何か文句あるか?」
       低く囁かれて背筋にゾクリとしたものが走る。
       ダリルは俺から体を離し、鼻を鳴らして去っていく。それを見送ることができないのは全身が硬直してしまったからだ。
       ああ、熱い。頬が燃えるように熱い。
       思いがけずダリルから与えられた熱に逆上せそうな気がした。

      End




      【Strawberry】ニガリク

       ああ、今日もよく働いた。
       そんな充実感と共にリックは体を伸ばす。
       スッキリと晴れた青空の下で作業をするのは気分が良い。そのためか今日はいつもより張り切って仕事をしたような気がする。
       休むことなく動き回ったので、さすがに体が重い。リックは休憩のために近くの家の壁に背中を預けて座った。
       吹き抜ける風の柔らかさが心地良い。
       耳に届く住人たちの賑やかな声が穏やかな気持ちにさせてくれる。
       様々な困難を乗り越えたアレクサンドリアは希望に満ちた町へと変わりつつある。
      (幸せだなぁ)
       素直にそう感じたリックは微かに笑みを浮かべた。


       リックが幸せな気分を満喫していると足音が近づいてくる。その足音の方へ顔を向ければニーガンが歩いてくる姿が見えた。
       ニーガンのシャツの袖には泥が付いている。畑仕事を嫌がらずに行うニーガンを意外に思ったのはそんなに最近のことではない。
       敵対し、憎み、戦争までした相手と手を取り合って生きていることが信じられないが、目の前にあるのは全て現実だ。そのことが不思議で、おかしくて、そして嬉しい。
       リックがクスクスと笑っていると目の前に来たニーガンが呆れたような顔をする。
      「働きすぎておかしくなったのか?」
      「違う。気にしないでくれ。」
       まだ笑いの余韻を残すリックにニーガンは顔をしかめたが、それ以上は追及せずにリックの正面にしゃがんだ。
       リックの前にしゃがんだニーガンの手には苺が乗っている。畑で育てていたものを持ってきたのだろう。
      「見事な出来だな。ニーガンが農作業が好きだなんて意外だった。」
       そう言ってやるとニーガンはニヤリと笑う。
      「小さなレディだと思えば手間をかけるのも惜しくない。」
       「何だそれ」とリックが笑っているとニーガンはリックの唇に触れた。
      「お前に一番に食わせてやる。口を開けろ。」
       その言葉に従ってリックは口を開けたが、ニーガンは苺を自分で咥えてしまう。
       一番に食べさせてくれるのではなかったのか?
       リックがそんな疑問を抱いているとニーガンが顔を近づけてきた。そしてニーガンが咥えた苺がリックの唇に触れる。「食べろ」という意味なのだと理解したリックは苺をかじった。
       かじった瞬間に口の中に果汁が広がり、甘く爽やかな香りが鼻を通り抜ける。リックは自分を真っ直ぐに見つめてくる瞳を見つめながら苺を咀嚼した。
      「美味い。」
       正直な感想を告げると、それを待ちかねていたかのように残り半分の苺がニーガンの口の中へと消える。
       ニーガンは己の唇に付いた苺の汁を舐め取りながら囁く。
      「お前のためにこの俺が育てた苺だ。全部食えよ、リック。」
      「……本当に押し付けがましい奴だな、あんたは。」
       溜め息混じりのリックの言葉を気にしていない様子でニーガンは再び苺を咥えた。
       リックは「仕方ない」と苦笑してからその苺を咥える。さっきよりも深く咥えれば唇同士が触れ合う。
       そして思いきって苺をかじれば触れ合うだけのものが深い口付けへと変わった。
       苺の甘い汁と共に舌を絡め合えば奇妙な背徳感に背筋がゾクリとする。その背徳感を嫌だと思わないのは目の前の男との甘い時間に溺れているせいだ。
      (甘い、さっきよりもっと)
       この甘さは自分だけのもの。ニーガンが自分のために育てた苺をニーガン自ら与えてくれることで生まれた甘さだ。
       そう認識した時、何度も噛むことでドロドロになった苺が喉を下りていった。
       まだ食べ足りない、と思ったリックは軽く口を開けて「もっと」と強請る。
       「仕方ない奴だ」とニーガンが楽しげな笑みを浮かべながら咥えた苺がリックにはこの世で一番美味しそうなものに見えた。

      End




      【唐突に告げる】シェンリク

      「愛してる。」
       シェーンの鼓膜を震わせたリックの一言は何の脈絡もないものだった。
       シェーンとリックは二人がけのソファーに並んで映画を観ている真っ最中。
       観ているのは恋愛ものの映画ではない。そういったジャンルに興味はなかった。ついさっきまでビール片手にストーリーにツッコミを入れて笑い合っていただけなのだ。
       それなのに突然リックが愛の言葉を口にしたため、シェーンは目を丸くして隣に顔を向けた。
      「何だよ、急に。」
       そう尋ねればリックは楽しそうに笑った。
      「何となく言いたかっただけだ。」
      「そんなムードじゃなかったぞ。」
       変な奴、と苦笑しながら新しいビールに口を付ける。
       突然のことに驚きはしたが、悪くはない。
       相手のことを常に愛しく思っているのはシェーンも同じだ。
      「愛してる。」
       今度はシェーンが愛の言葉を口にした。
       シェーンが再び隣へ顔を向ければリックも同じようにシェーンを見ていた。
       目が合った時、リックの目尻が垂れて幸せそうな笑みが浮かんだ。
       そんなリックを「愛しいな」と改めて思ったシェーンの口も弧を描いていた。

      End
      ♢だんご♢
    • 飽きたなら、さようなら #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク

      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7辺りのニガリク。
      ニーガンに素っ気なくされるようになったリックが徴収の前日に調達に出かけるお話。


      ニーガンに素っ気なくされるリックを書いてみたかったので挑戦してみましたが、あんまり素っ気ない感じがしないかもしれません。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • リック受けまとめ2 ##TWD ##ニガリク ##ダリリク ##メルリク

      ぷらいべったーに投稿した作品のまとめです。
      ほぼニガリクでした。
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • スコット受まとめ #蜘蛛蟻  #隼蟻  #盾蟻  #腐向け ##蜘蛛蟻 ##隼蟻 ##盾蟻


      診断メーカーのお題で書いたものをまとめました。privatterに投稿していたものです。




      ◆今日の隼蟻:洗う係と拭く係とで別れて、口論しながらも見事な連携プレーで食器を洗う
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

      「だーかーら!今日は俺が夕飯作るって言っただろ!?しかも言ったのは朝!」
       スコットが泡だらけの皿を水で洗いながら怒鳴ると、その隣ではサムが洗い終わった食器を乾いたタオルで拭きながらしかめっ面をする。
      「俺がやりたくてやってるだけだ。俺としては何で怒られなきゃならないのかが理解できないね。」
      「疲れて帰ってきた奴にさせたくなかったのがわかんないのか!?あー、俺の優しさが無駄になった!」
       やけくそ気味に言い放ったスコットの言葉に対してサムが「自分で言うな」とツッコむと、スコットの機嫌はますます下降していく。
       今日の任務はサムだけだったので、スコットは今夜の食事は自分が作ろうと思っていた。毎日食事を作ってくれるサムへの感謝のためでもあったからだ。
       それなのに買い出しで家を留守にした間にサムが帰宅し、スコットが帰宅する前に夕食を作ってしまったのである。
      「あんたに美味いものを食べさせてやりたいと思うのがそんなにダメか?」
       サムはスコットが渡した皿を受け取って手際良く水分を拭き取った。
      「そうじゃなくてっ……サムに少しでも楽をさせてやりたい俺の気持ちも考えろってこと。」
       差し出されたサムの手にスコットは洗い終わった皿を乗せる。その皿の水気もサムの手によってあっという間に消え失せてしまった。
      「あんたを喜ばせたい俺の気持ちも考えてほしいね。……早く次を渡せ。」
      「はいはい、これで最後だよ。」
       スコットが不機嫌そうに最後の皿を渡すと、サムは目を丸くしてスコットの顔を見た。
      「最後?これで終わりか?」
      「何か問題でも?」
      「早いな。もう洗い終わったのか。」
      「……ケンカしても連携プレーはバッチリだな、俺たち。」
       その事実が二人の仲の良さを表しているようで、不思議と笑みが浮かんでくる。
       こうなってしまえば怒りは萎んで消えてしまい、後は仲直りをするだけとなる。
       スコットとサムは向かい合うと互いの体に両腕を回して抱きしめ合った。
      「サム、ごめん。ムキになって怒り過ぎた。」
      「俺こそ悪かった。スコットの気持ちは嬉しかったんだ。」
       謝り合ってハグをすればケンカはお終い。
       残りの時間は甘く穏やかな時間を過ごすことにしよう。

      End




      ◆今日の蜘蛛蟻:なんだか無性に甘いものが食べたいと思ってドーナッツ1ダース買って帰ったら相手も1ダース買ってた
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       お腹が空いたな、と思った帰り道。
       甘いものが食べたいな、と思って回り道。
       良さそうな店を探すピーターの鼻に届いたのは美味しそうなドーナツの香り。
       甘い香りに誘われてフラフラと店に入れば数えきれないほどたくさんのドーナツ。種類の豊富さは選ぶ楽しさを与えてくれる。
      (スコットさんは何が好きかな?)
       同棲中の恋人の好みを思い出しながらドーナツと見つめ合うが、どれも魅力的で一つだけ選ぶのは無理そうだ。
       それならば何種類も買って帰ればいいではないか。
       「我ながら名案だ」とピーターは笑みを浮かべ、澄まし顔で並ぶドーナツたちを次々と指名する。
       ドーナツを購入し、「ありがとうございました」と店員の声を背に受けながら店を出たピーターの手には大きな箱。その中にはドーナツが一ダースも詰まっていた。
       買い過ぎたかな、と思いながらも家に向かう足はステップを踏みそうな勢いだ。
       腹の虫を鳴かせながら家に帰れば愛しいスコットが出迎えてくれる。
      「見て、スコットさん。ドーナツ買ってきたんだ。」
       そう言ってドーナツの入った箱を差し出すとスコットは「えっ!」と言って目玉が飛び出そうな勢いで目を丸くした。
       どうしたのかと尋ねればスコットは気まずそうにダイニングテーブルを指差す。
       そこにあったのはピーターと同じ柄と大きさの箱。
      「俺もドーナツを買ってきたんだ。ピーターが喜ぶかと思って。……一ダース。」
       ピーターは困り顔で頬をかくスコットに抱きつきながら「僕たちの相性は最高だね!」と頬にキスを贈ったのだった。

      End




      ◆今日の盾蟻:仕事で疲れ切った帰り道、家の明かりが灯っているのを見て不意に泣きたくなった(相手には絶対言わないが)
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       すっかり暗くなった通りを歩きながらスティーブは冷たい風に体を震わせる。
       今日の任務は予定よりも時間がかかった。想定外の出来事が起きるのは当然で、そのための心構えは常にできている。
       しかし、疲れるものは疲れる。超人的な肉体を持つスティーブであっても疲れが溜まるのは避けられず、今日は特に疲れが大きい。
       重いものを引きずるように歩きながらの帰り道は気分まで重くさせた。
       暗い道を寒さに震えながら歩くのは妙に落ち込む。通りすがりの相手から嫌なことを言われたわけでもないのに……というより、誰とも擦れ違わないのだが。
      (なんだか情けないな)
       自分自身に対して苦笑しながら歩くうちに我が家が見えてきた。
       狭くはないが広いとも言いきれない小さな家には柔らかな明かりが灯っている。
      (スコット、まだ起きていたんだな)
       同棲を始めたばかりの恋人には帰るのが遅くなると連絡は入れてある。先に寝ていてほしいとも伝えておいたはずだ。
       それでも彼はスティーブの帰りを起きて待っていたらしい。

      ───ああ、一人じゃないことがこんなにも嬉しい。

       そう思った途端に鼻の奥がツーンとして、目の奥が熱くなって、瞬きを繰り返さなければ涙が溢れてしまいそうな気がした。
       スコットという存在が自分の心に温もりを与えてくれることが幸せで……幸せだからこそ泣きたくなる。
       スティーブは家の玄関の前に立つと頬を軽く叩いた。
       泣きそうになったなんて絶対に悟られたくない。いつも通りの自分でスコットに会いたい。
       「よし!」と小さく声を出してからドアを開ければ、愛しい笑顔がスティーブを迎えてくれた。

      End
      #蜘蛛蟻  #隼蟻  #盾蟻  #腐向け ##蜘蛛蟻 ##隼蟻 ##盾蟻


      診断メーカーのお題で書いたものをまとめました。privatterに投稿していたものです。




      ◆今日の隼蟻:洗う係と拭く係とで別れて、口論しながらも見事な連携プレーで食器を洗う
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

      「だーかーら!今日は俺が夕飯作るって言っただろ!?しかも言ったのは朝!」
       スコットが泡だらけの皿を水で洗いながら怒鳴ると、その隣ではサムが洗い終わった食器を乾いたタオルで拭きながらしかめっ面をする。
      「俺がやりたくてやってるだけだ。俺としては何で怒られなきゃならないのかが理解できないね。」
      「疲れて帰ってきた奴にさせたくなかったのがわかんないのか!?あー、俺の優しさが無駄になった!」
       やけくそ気味に言い放ったスコットの言葉に対してサムが「自分で言うな」とツッコむと、スコットの機嫌はますます下降していく。
       今日の任務はサムだけだったので、スコットは今夜の食事は自分が作ろうと思っていた。毎日食事を作ってくれるサムへの感謝のためでもあったからだ。
       それなのに買い出しで家を留守にした間にサムが帰宅し、スコットが帰宅する前に夕食を作ってしまったのである。
      「あんたに美味いものを食べさせてやりたいと思うのがそんなにダメか?」
       サムはスコットが渡した皿を受け取って手際良く水分を拭き取った。
      「そうじゃなくてっ……サムに少しでも楽をさせてやりたい俺の気持ちも考えろってこと。」
       差し出されたサムの手にスコットは洗い終わった皿を乗せる。その皿の水気もサムの手によってあっという間に消え失せてしまった。
      「あんたを喜ばせたい俺の気持ちも考えてほしいね。……早く次を渡せ。」
      「はいはい、これで最後だよ。」
       スコットが不機嫌そうに最後の皿を渡すと、サムは目を丸くしてスコットの顔を見た。
      「最後?これで終わりか?」
      「何か問題でも?」
      「早いな。もう洗い終わったのか。」
      「……ケンカしても連携プレーはバッチリだな、俺たち。」
       その事実が二人の仲の良さを表しているようで、不思議と笑みが浮かんでくる。
       こうなってしまえば怒りは萎んで消えてしまい、後は仲直りをするだけとなる。
       スコットとサムは向かい合うと互いの体に両腕を回して抱きしめ合った。
      「サム、ごめん。ムキになって怒り過ぎた。」
      「俺こそ悪かった。スコットの気持ちは嬉しかったんだ。」
       謝り合ってハグをすればケンカはお終い。
       残りの時間は甘く穏やかな時間を過ごすことにしよう。

      End




      ◆今日の蜘蛛蟻:なんだか無性に甘いものが食べたいと思ってドーナッツ1ダース買って帰ったら相手も1ダース買ってた
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       お腹が空いたな、と思った帰り道。
       甘いものが食べたいな、と思って回り道。
       良さそうな店を探すピーターの鼻に届いたのは美味しそうなドーナツの香り。
       甘い香りに誘われてフラフラと店に入れば数えきれないほどたくさんのドーナツ。種類の豊富さは選ぶ楽しさを与えてくれる。
      (スコットさんは何が好きかな?)
       同棲中の恋人の好みを思い出しながらドーナツと見つめ合うが、どれも魅力的で一つだけ選ぶのは無理そうだ。
       それならば何種類も買って帰ればいいではないか。
       「我ながら名案だ」とピーターは笑みを浮かべ、澄まし顔で並ぶドーナツたちを次々と指名する。
       ドーナツを購入し、「ありがとうございました」と店員の声を背に受けながら店を出たピーターの手には大きな箱。その中にはドーナツが一ダースも詰まっていた。
       買い過ぎたかな、と思いながらも家に向かう足はステップを踏みそうな勢いだ。
       腹の虫を鳴かせながら家に帰れば愛しいスコットが出迎えてくれる。
      「見て、スコットさん。ドーナツ買ってきたんだ。」
       そう言ってドーナツの入った箱を差し出すとスコットは「えっ!」と言って目玉が飛び出そうな勢いで目を丸くした。
       どうしたのかと尋ねればスコットは気まずそうにダイニングテーブルを指差す。
       そこにあったのはピーターと同じ柄と大きさの箱。
      「俺もドーナツを買ってきたんだ。ピーターが喜ぶかと思って。……一ダース。」
       ピーターは困り顔で頬をかくスコットに抱きつきながら「僕たちの相性は最高だね!」と頬にキスを贈ったのだった。

      End




      ◆今日の盾蟻:仕事で疲れ切った帰り道、家の明かりが灯っているのを見て不意に泣きたくなった(相手には絶対言わないが)
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       すっかり暗くなった通りを歩きながらスティーブは冷たい風に体を震わせる。
       今日の任務は予定よりも時間がかかった。想定外の出来事が起きるのは当然で、そのための心構えは常にできている。
       しかし、疲れるものは疲れる。超人的な肉体を持つスティーブであっても疲れが溜まるのは避けられず、今日は特に疲れが大きい。
       重いものを引きずるように歩きながらの帰り道は気分まで重くさせた。
       暗い道を寒さに震えながら歩くのは妙に落ち込む。通りすがりの相手から嫌なことを言われたわけでもないのに……というより、誰とも擦れ違わないのだが。
      (なんだか情けないな)
       自分自身に対して苦笑しながら歩くうちに我が家が見えてきた。
       狭くはないが広いとも言いきれない小さな家には柔らかな明かりが灯っている。
      (スコット、まだ起きていたんだな)
       同棲を始めたばかりの恋人には帰るのが遅くなると連絡は入れてある。先に寝ていてほしいとも伝えておいたはずだ。
       それでも彼はスティーブの帰りを起きて待っていたらしい。

      ───ああ、一人じゃないことがこんなにも嬉しい。

       そう思った途端に鼻の奥がツーンとして、目の奥が熱くなって、瞬きを繰り返さなければ涙が溢れてしまいそうな気がした。
       スコットという存在が自分の心に温もりを与えてくれることが幸せで……幸せだからこそ泣きたくなる。
       スティーブは家の玄関の前に立つと頬を軽く叩いた。
       泣きそうになったなんて絶対に悟られたくない。いつも通りの自分でスコットに会いたい。
       「よし!」と小さく声を出してからドアを開ければ、愛しい笑顔がスティーブを迎えてくれた。

      End
      ♢だんご♢
    • スコット受け他まとめ ##アントマン ##蜘蛛蟻 ##スコット ##ロケット ##トニー

      ぷらいべったーに投稿した作品のまとめです。
      CPあり・なしの話がごちゃまぜ。CPありは蜘蛛蟻のみ。
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • ある寒い日のこと #ウースコ  #アントマン  #腐向け ##ウースコ ##アントマン


      自宅軟禁期間のウースコ。
      寒い日にスコットの自宅を訪ねるジミーのお話。

      寒い日は妄想がはかどるので書いてみました。ウースコというよりもウースコ未満かもしれません。
      いつも「ウーさん」と呼んでいるのでCP表記をウースコにしましたが、ジミスコの方がいいんでしょうか?
      とりあえずウースコでいこうと思います。
      短い話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 赤ずきんとおばあさん #蜘蛛蟻  #ピタスコ  #腐向け  ##蜘蛛蟻


      小説投稿機能のお試し。
      ぷらいべったーで投稿したものを少し手直ししました。タイトルのセンスがないのはお許しください。
      ピーターが遊びに来るのを待つ心配性なスコットのお話。
      よかったらどうぞ〜。
      ♢だんご♢
    • 本能が「欲しい」と囁いた #ニガリク  #TWD  #腐向け  #オメガバース  ##ニガリク  ##TWD

      pixivにも投稿した作品です。
      S7のニガリクで、オメガバース設定を使用しています。
      ネタバレになるので詳細は控えさせていただきます。

      好きなように設定を詰め込んでいますが、よかったらどうぞ。


      2018.6.21 一部を修正しました。
      ♢だんご♢
    • 小さなバースデーパーティー ##TWD ##リック ##カール

      アンディの誕生日にグライムズ親子の誕生日ネタで1つ。
      放浪中の親子の誕生日のお話。短いです。
      ♢だんご♢
    • さよなら、私のアルファ #ニガリク  #TWD  #腐向け  #オメガバース  #オリジナルキャラクター  ##ニガリク  ##TWD

      pixivにも投稿している作品です。
      【本能が「欲しい」と囁いた】の続きになります。
      ニーガンが運命の番と出会ったため、サンクチュアリを出ていくことにしたリックのお話。


      オリジナルキャラクターが複数名登場します。出番が多く、ニガリクの子どもも登場するので苦手な方はご注意ください。
      詳細は1ページ目に案内がありますので、そちらをご覧ください。
      ニガモブ要素を少し含みますし、ニーガンがひどい男です。
      よかったらどうぞ。


      2018.6.21 一部を修正しました。
      ♢だんご♢
    • ベッドひとつぶんの世界 #TWD #ダリリク #ニーガン #腐向け ##TWD ##ダリリク

      pixivに投稿したものと同じ作品です。
      S7辺りのダリリク。
      ニーガンの部下になったダリリクと、二人を見つめるニーガンのお話。


      ダリリクが揃ってニーガンの部下になったら、互いだけを支えにして寄り添い合うのかなーと妄想したので書きました。
      寄り添い合うダリリクはとても美しいと思います。
      CPもののような、そうでないような、微妙な話ではありますが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • ちょっとそこまで逃避行 #蜘蛛蟻 #ピタスコ #腐向け ##アントマン ##蜘蛛蟻


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      スパイダーマンFFH後の蜘蛛蟻。
      FFHのネタバレを含むのでご注意ください。
      辛い状況にあるピーターがスコットの家に逃避行するお話。


      FFHが個人的に辛すぎたので自分を救済するために書きました。
      蜘蛛蟻というより蜘蛛蟻未満?
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 数値は愛を語る #蜘蛛蟻 #腐向け #Dom/SubAU ##蜘蛛蟻

      pixivに投稿したものと同じものです。
      Dom/Subユニバース設定で、Switch×Subの蜘蛛蟻。
      ピーターに惹かれながらも寄せられる想いに向き合うことができないスコットさんのお話。
      特にどの時間軸というのはなく、設定ゆるゆるです。


      突然降ってきたネタに萌えてしまったので勢いで書きました。スコットさんがヘタレです。
      特殊設定なので「大丈夫だよ!」という方は、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • プリンシパルとアンサンブル(前半) #TWD #ニガリク #腐向け #夢小説 ##TWD ##ニガリク

      S7の頃。救世主として日々を過ごす主人公が偶然リックと関わり、それをきっかけにリックやニーガンと深く関わるようになるお話。

      夢小説なので主人公はドラマに登場するキャラクターではありません。夢主がキャラクターたちと関わるのを楽しみつつニガリクを堪能する作品です。
      夢小説とCP小説を合わせた作品なので苦手な方はご遠慮ください。
      主人公とキャラクターが恋愛関係になる展開もありませんのでご了承ください。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 家族写真 #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7辺りのニガリク。
      大切にしてる家族写真をニーガンに奪われたリックのお話。

      「ニーガンはグライムズ親子の写真を勝手に持って帰りそう」と思ったので書いてみました。
      特に盛り上がりのない私向けの話です。お暇な時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 道なき未知を拓く者たち③ #TWD #ニガリク ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      「リックを最初に拾ったのがニーガンだったら?」というIFストーリー『生まれ落ちた日』の続編。
      リックは食料調達のためにシェーンとカールと共に森に入り、その最中に事件が起きる。それはグループの運命を変えるものだった。


      ドラマの展開に沿ったストーリーですが、オリジナル要素を盛り込んでいます。納得できない展開になってもご容赦ください。
      ニガリクタグを付けたら詐欺になりそうなくらいにニガリク要素が少ないです。ニガリクを探せ!という気持ちで読んでください。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 僕はコーヒー豆を挽かない #TWD #ダリリク ##TWD ##ダリリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S5でアレクサンドリアに到着した後。
      「生きてきた世界が違う」という理由でリックや仲間と距離を置くダリルを心配するリックのお話。


      ほんのりダリリクの味がするお話です。
      アレクサンドリアに着いたばかりのダリリクの何とも言えない距離感も良いですね。
      タイトルについては深く考えずに読んでいたたければありがたいです。
      地味な話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • Restart #蜘蛛蟻 #ピタスコ #最新作のネタバレあり ##蜘蛛蟻


      ※スパイダーマンNWHのネタバレを含むのでご注意ください。


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      スパイダーマンNWH後。
      パトロール中のピーターがスコットに出会うお話。
      蜘蛛蟻未満だけど後々に蜘蛛蟻が成立するという解釈で書いているので蜘蛛蟻です。


      スパイダーマンNWHは面白い映画でしたね。
      でも個人的にとてもしんどい展開だったので自分を救済するために書きました。蜘蛛蟻は癒やし。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 侵入者との攻防 #ロケスコ #腐向け ##ロケスコ


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      アベンジャーズ・エンドゲームでのロケスコ。
      毎朝ロケットが自分の上で寝ていることに困惑するスコットのお話。


      エンドゲームを観て見事にロケスコにすっ転んだので書いてみました。
      口調が掴みきれてないので違和感があったら申し訳ないです。
      短い話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 亡霊殺し #TWD #ダリリク #腐向け ##TWD ##ダリリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S2終了後のダリリク。
      リックの傍にシェーンの亡霊が見えるダリルのお話。ほんのりシェンリク風味もあります。

      盛り上がりが特にない私得なダリリクです。ダリリク未満かもしれません。
      じんわりとリックへの執着を滲ませるダリルが好きなので書いてみました。
      本当に暇な時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 雛の巣作り #ニガリク  #TWD  #腐向け  #オメガバース  ##ニガリク  ##TWD

      pixivにも投稿している作品です。
      【本能が「欲しい」と囁いた】の番外編。
      ニガリクが番になって1年が経った頃のお話。
      よかったら、どうぞ〜。


      2018.6.21 一部を修正しました。
      ♢だんご♢
    • 罪な味 #TWD #リック #シェーン #カール #ダリル #ニーガン ##TWD


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      リックと誰かの食にまつわるお話。
      時期も長さもバラバラ。基本的にほのぼのですが、ニーガンとの話はほのぼのしてません。


      ・【ピザ】 リック&シェーン
       アポカリプス前。「ピザの魅力には抗えません」というお話。

      ・【ケーキ】 リック&カール
       アポカリプス前。「いつもと違う食べ方をすると楽しくて美味しい」というお話。

      ・【肉】 リック&ダリル
       平和な刑務所時代。「調味料は偉大だ」というお話。

      ・【フルーツティー】 リック&ニーガン
       S7辺り。「悔しいけれど美味しいものは美味しい」というお話。


      リックに美味しいものを食べてほしいと思ったので書いてみました。ニーガン以外はほのぼのしてます。
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 特に何も始まっていない二人 #TWD #ダリリク #腐向け ##TWD ##ダリリク

      pixivに投稿した作品と同じもです。
      平和な刑務所時代のダリリク。
      特に何も始まってないけれど仲よしなダリリクの詰め合わせ。

      CPというよりブロマンスなダリリクです。お互いに相手を大事に思ってることが滲み出るダリリクが好きです。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 道なき未知を拓く者たち① #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      「リックを最初に拾ったのがニーガンだったら?」というIFストーリー『生まれ落ちた日』の続編。
      リックの家族を捜す旅に出たリックとニーガンだったが、過酷な世界での旅は簡単なものではなく……。


      ドラマの展開に沿ったストーリーですが、オリジナル要素を盛り込んでいます。納得できない展開になってもご容赦ください。
      長編なのでのんびり書いています。次の章を投稿できるのがいつになるのか不明です。
      完全に私得な話なのでお暇な時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • プリンシパルとアンサンブル(後編) #TWD #ニガリク #腐向け #夢小説 ##TWD ##ニガリク


      S7の頃。前作の続きで、ケガの治療のためにサンクチュアリに滞在するリックを世話する主人公がリックとニーガンの関係性を目の当たりにするお話。

      夢小説なので主人公はドラマに登場するキャラクターではありません。夢主がキャラクターたちと関わるのを楽しみつつニガリクを堪能する作品です。
      夢小説とCP小説を合わせた作品なので苦手な方はご遠慮ください。
      主人公とキャラクターが恋愛関係になる展開もありませんのでご了承ください。
      前編よりも主人公がリックに肩入れしています。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 恋しい、と獣は鳴いた #TWD #ダリリク #ニガリク #腐向け #オメガバース ##TWD ##ダリリク ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7辺りのダリリク・ニガリク。
      リックと番になっているダリルがリックと引き離されて情緒不安定な時にニーガンと話すお話。ダリルとニーガンのちょっとしたバトル。


      「αが番のΩに依存する」という設定で書きたくて書いてみました。会話してるだけなので特に盛り上がりのない地味な仕上がりです。
      気が向いた時にでもどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 彼らが愛したのは「   」です #TWD #セディリク #ゲイリク #ニガリク #妊夫 #腐向け ##TWD


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S8終了後。
      ニーガンの子どもを妊娠したために孤立するリックを支えるセディク、ゲイブリエル、ニーガンのお話。セディクがメインです。

      ※注意
      ・男性の妊娠、出産、授乳の表現あり
      ・リックへの差別、迫害要素あり
      ・全体的に重苦しい展開


      CP要素があるような無いような微妙なところです。
      重苦しい雰囲気の話なのでご注意ください。
      本当に気が向いた時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 生まれ落ちた日 #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S1初回。
      ニーガンが病院でリックを見つけるお話。
      S1初回にニーガンを放り込んだだけ。ニーガンの過去について原作の設定を使っているので未読の方はご注意ください。


      S1の時点でニガリクが出会っていたら最強コンビになったのでは?という妄想を形にしてみました。別人感が強いです。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 赤い糸の憂鬱 #TWD #カルリク #ニガリク #腐向け ##TWD ##カルリク ##ニガリク

      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7のカルリク・ニガリク。
      リックとニーガンが赤い糸で繋がっているのが許せないカールのお話。
      特殊な設定がありますが、深く考えない方がいいかも?


      カルリクとニガリクで三角関係が読みたくて書きました。カールの前に立ち塞がるニーガン美味しいです。
      「カールは赤い糸が見える」という特殊設定がありますが、深く考えず雰囲気を味わって頂ければと思います。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 「大丈夫」の言葉 #TWD #ダリリク #腐向け #ケーキバース ##TWD ##ダリリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      平和な刑務所時代のダリリク。
      リックが「ケーキ」であることを知ったダリルが思い悩むお話。
      ケーキバース設定を使っています。この話にグロテスクな要素はありませんが、ケーキバース設定自体がカニバリズム要素を含むので苦手な方はご注意ください。


      リックのことが好きすぎて思い詰めるダリルが大好物なので書いてみました。
      盛り上がりの少ない私得な話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
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