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    【緑高】高尾誕2017 十一月も後半に入った日曜日、部活は午前中で終了し俺は一人スポーツ用品店へと足を運んでいた。
     今日のかに座の順位は三位。まずまずの高順位でラッキーアイテムは卓上カレンダー、趣味や部活と関連のあるお店に行くと良い事があるかも、と言う解説があった。
     丁度そろそろバッシュを買い換えようと思っていた所だったので、高尾を誘って部活後にショップに寄るかと思っていたのだが、母親に頼まれて祖父宅に届け物をしに行かなくてはならないのだと言って高尾は俺とは別の路線の電車に乗って行ってしまった。
     用があるのならば仕方が無い。別に高尾と来たかったと言う訳ではなく、あいつのバッシュも少しくたびれてきていたから今購入しないにしても下調べをしにくれば良いのではないかと思っただけの事だ。
     高尾はその時々で自分の気に入った色や形の物を選びたがるため、こういった店に連れて来るとああでもないこうでもないと試着をしまくる。
     特にバッシュに関しては、自らが納得するまでは今履いている物がくたびれていようが妥協しようとしないと言う妙に頑固で拘りのある一面を持っているので、早いうちから目星を付けさせないと面倒な事になるのだ。
     反対に俺の方は新製品があれば試し履きもするし使用感を調べたりもするが、最終的には同じメーカーの同型のバッシュを購入する事が殆どだ。
     色に関しては華美だったり奇抜でなければ特に拘りも無い為、大抵は当たり障りの無い無難な物で落ち着く。
     今日も普段は使用しないメーカーの新商品を試着してはみたものの踵の辺りの収まり具合がやはりしっくり来ず、現在いつものメーカーの物のサイズが在庫にあるか調べて貰っているところだ。
     店内のシートに腰を下ろしている俺に、予想外の声が掛けられたのはそんな時だった。
    「あ、緑間さん!こんにちは」
     可愛らしい声に名を呼ばれて視線を向ければ、そこには高尾の妹が立っていた。
     友達と一緒に来ているらしく、側にいる女子二人が「え、何デカすぎ」だの「でも顔ヤバい」だのとひそひそ話している。
    「ああ、こんにちは」
     高尾の妹自体は何度か高尾の家で顔を合わせているので、特に物怖じした様子も無く高尾と良く似た笑顔で近寄ってきた。
    「お買い物ですか?」
    「ああ、バッシュを買いに来たのだよ」
    「そうなんだー」
     当たり障りの無い会話をする俺達を、さっきの女子二人が遠巻きに眺めている。
     相変わらずひそひそと小声で話そうとしているようだが、まるで小声でない為会話は丸聞こえである。興味も無いのでその内容など頭に入れる気もないが、語尾がどうのまつ毛がどうのと話している。
     それにしても高尾の妹は吹奏楽部に所属していると聞いていたのだが、文化部でもスポーツ用品店に用があるものなのだろうか、と内心首を傾げていると近寄ってきた高尾の妹が更に話しかけてきた。
    「あのあの、緑間さん!うちのお兄ちゃんが今欲しがってる物とか何か心当たりありません?」
     問われた内容が予想外で、思わず顔を見返してしまう。
    「高尾の……欲しい物?」
     そんな物考えた事も無かったが、確か昨日の弁当に入っていた唐揚げを欲しがっていた……とは思うがおそらく彼女が聞きたいのはそんな事ではないだろう……と思われる。
    「何故?」
     理由が分からなくては的確な答えも返せないと考えて問い返すと、彼女は少し照れくさそうに笑った。
    「明後日お兄ちゃん誕生日じゃないですか。それでプレゼント買いに来たんですけど、お兄ちゃんってば何が欲しい?って聞いても『妹ちゃんがくれる物なら何だって嬉しいよー』とか言っちゃって全然教えてくれないんですよ!」
     それは教えてくれないと言う訳では無くて、高尾としては本当に何を貰っても嬉しいのだろう。何かの折に貰ったと言う赤いカチューシャも、夏の部活では大活躍していたし、愛用している少しプリントの薄れたチェックのハンカチは小学生だった頃の妹さんから貰ったのだと以前嬉しそうに話していた。
     それにしても誕生日プレゼントを探しに来ていたとは優しい妹さん……誕生日?
    「高尾はもうじき誕生日なのか?」
     そんな話、俺は高尾の口からちらりとも聞いていない。確認するように問いかけると高尾の妹はにっこり笑って「そうですよー、この火曜日!二十一日が誕生日なんです!」と我が事のように嬉しそうに答えた。
     この火曜日!そんな事あいつはおくびにも出していなかったのに一体どう言う事なのだよ!?
     さそり座だと言う事は入部して一ヶ月……共にスタメンとして選ばれた時に確認していたが、詳細な日付までは必要も無いので特に調べてはいなかった。
     そもそも調べるまでも無く、お喋りなあいつの事だから誕生日が近くなれば自分からベラベラと話し出して、それこそプレゼントの要求でもしてくるだろうと思い込んでいたのだ。
     何かの話の流れで早くに知られていた俺の誕生日にはクラスメイトや部活の先輩にまで「緑間今日お誕生日様なんですよ~!祝ってやって下さいよ~」などと喧伝しまくり、自分と部活の同輩からのプレゼントだとおしるこ缶で小さなタワーを作って当人の俺すらそっちのけではしゃいでいたと言うのに、自分の誕生日になったら黙秘とは納得いかん。
    「あの……緑間さん?」
     黙り込んでしまった俺を不審に思ったのか、高尾の妹が少し不安げに小首を傾げている。
    「ああ、すまない。高尾が何を欲しがっているかは生憎心当たりが無いが、以前君から貰ったと言うハンカチを今も大事そうに使っているから、そう言った物で良いと思うのだよ」
     取り敢えず何かしらのヒントになればと思い、さきほど頭に浮かんだ物の事を告げると、高尾の妹は驚いたような顔をして薄く頬を染めた。
    「ハンカチって……緑のチェックのやつですか!?やだ、もう色も薄くなってきたから捨ててって言ったのに!あれ私が小四の時にあげたやつだからもうくたびれちゃってるし下手くそな刺繍入ってるし恥ずかしい!!」
    「猫の刺繍……だったか。妹がお兄ちゃんに似てるからと言って刺繍してくれたんだと自慢していたが」
    「ほんとやだー!!忘れてください!!」
     よほど恥ずかしいのか、両手をぶんぶんと振り回して否定している。
     確かにつたない出来ではあったが、その刺繍を見せながら話をする高尾は傍から見ても嬉しそうだった。
    「あの……お客様」
     会話の途切れを見計らってでもいたのか、後ろから店員が申し訳無さそうに声をかけてくる。
    「あ、邪魔してごめんなさい!アドバイスありがとうございました!!」
     店員と俺にぴょこんと頭を下げると、高尾の妹は待たせていた友達を伴って立ち去っていった。
     そのまま店員に在庫確認の結果、他店舗にならあると言われて俺も店を出た。取り寄せも出来ると言われたが、電車で一駅のところにある店舗に在庫があると言う事だったのでそれならば自分で買いに行った方が早かろうと思っての事だ。
     出来るだけ練習時間を減らしたくないし、高尾の都合が良い日ならば学校での部活動が無くとも連携の練習をしておきたい。
     もう一度ここまで足を運ぶと言う無駄な事をする位ならばと言う気持ちが大きかった事もあるが、先ほど聞いた高尾の誕生日と言う言葉が頭に残っていた所為もある。
     知らないままだったなら致し方ないが、知ってしまったし、あいつが俺の誕生日に曲がりなりにも祝いとプレゼントを贈ってきたという事実がある。
     と言う事は俺に誕生日など教えてもいないと言うのに、当日になって俺の誕生日の時のように周りにわぁわぁと訴えてくる可能性も否めない。
     その時に何の準備もしていなかったと言うのはどうにも癪に障るので、俺も何かしら準備しておくべきだろう。
     高尾が欲しがる物……そんな事を考えながら駅へと道を辿る。小洒落た服屋や靴屋などが軒を連ねているが、正直どれが高尾の好みかなどまるで分からない。
     俺と違って私服はカジュアルな物を選びがちだと思う。動きやすいスポーティな物を好んでいるとは思うが、ひらひらしたチョッキを着ている時もある……そう言えばあれはチョッキではなく何とか言うのだと以前高尾に笑われた。『チョッキって……じーちゃんじゃないんだからさぁ!!』とそれこそ咳き込むほどに笑われて腹立たしかった、と言う事までを思い出して少しイラッとする。
     そもそも衣服や靴などはサイズや好みの問題もあるし、バッシュ同様に高尾は拘りを持つタイプかもしれないのでプレゼントには不向きだろう。
     ならば何にするか……趣味で集めていると言うトレーディングカードとやらは何とか言うレア物が欲しいのに出ないと言っていたが興味が無いので記憶に残っていない。ハンカチはそれこそさっき勧めたから高尾の妹と被ってしまう可能性がある。日常的に使用する物だから枚数があって困る事は無いだろうが、被ると言うのも如何なものか。
     他に贈り物と言えば置物や絵画……とも思うが、俺の誕生日にはおしることテーピングをプレゼントだと言って寄越したから、こちらが返す物も何かしら実用性のある物の方が良いだろう。
     よく考えてみれば、家族以外の相手に誕生日のプレゼントだと改めて渡すのは初めてかもしれない。
     帝光の頃に黄瀬や青峰が誕生日だと騒いだ事があったが、あの時は確か皆コンビニのお菓子やアイス、学食のデザートなどで済ませていた。
     高尾に渡して喜ばれる物……などと考えると何となく面映い気もしてくるが、選ぶからには人事を尽くさねばなるまい。

    ・・・ ○ ・・・ ○ ・・・

    「おっはよー真ちゃん!」
    「ああ、おはよう」
     いつものように迎えにやってきた高尾は、いつものように挨拶をして……それだけだった。
     てっきり声高に『今日俺誕生日なんだ~』などと言って来るだろうと思っていたのに、そんなそぶりは微塵も見せない。
     昨日の夜に『明日はチャリアカーはお休みな。あ、でも迎えには行くから』などと絵文字やらハートマークやらを散りばめた浮かれたメールを送ってきていたから絶対に出会い頭に話題を振って来ると思っていただけに拍子抜けだ。
    「今日のラッキーアイテム、それ?」
    「ああ」
     左手に持っているインスタントカメラを指差すので頷くと「今日は普通の物で良かったな~」などと笑っている。
     そのまま並んで歩き出すが、高尾の口から出てくるのはフォーメーションの話や最近やっと少し安定してきた二人での連携技の話、前日のテレビの話に出されていた課題の話と普段とまるで変わらない。
     いつになったら話題にする気だ、とじりじりした気分で相槌を返しているうちに気づけばもう学校は目の前だ。
    「たかっ……」
    「お、緑間と高尾じゃねぇか。今日はリヤカーじゃねぇんだな」
     じれてこちらから話題を振ってみるかと口を開きかけたところに、向かいからやってきた木村さんから声をかけられる。
    「あ、木村先輩!おはざーっす!!今日は真ちゃんのラッキーアイテムも大人しいんで普通に来ました!」
    「……おはようございます」
     ラッキーアイテムの問題ではなく、夕べ既にお前の方から今日は使用しないと言って来たくせに、と思いはしたが口には出さなかった。
     下手な茶々を入れるよりもこのまま会話をさせておけば誕生日の話題が出るかもしれないと思ったからだ。
    だが俺の予想に反して高尾と木村さんはチャリアカーの有用性や俺のラッキーアイテムに関する話をするばかり。
     部室についてからも高尾は普段どおりに先輩や同輩ときゃらきゃらと話してはいるが誕生日に関する話題は一切出さず、朝練は普通に終わってしまった。
     その後の休み時間もくだらない話はベラベラと喋るくせに誕生日の事にはかすりもしない。ここまで来ると意図的にその話題を外しているのではないかとすら思えて来た。
     高尾がこうまで誕生日の話題にあえて触れない理由とは何だ。俺からは祝われたくないと言う事なのか?
     そう考えると何やら胸の奥がジリッと痛むが、そもそも俺だけではなくクラスメイトや部の仲間にも一切話す素振りがない。と言う事は、誰にも知られたくないと言う事なのか……だがしかし、誕生日を知られたくない理由と言うのが思い当たらない。
     一体どう言う事なのだよ……そんな事を考えながらもここまで秘密にされると自分から話題を振るのはどうにも負けた気がして話を切り出せず、昼休みが過ぎ授業が全て終わり。
     部室のロッカーで自分のエナメルバッグの底にしまってあるリボンのかけられた包みを目にして暗澹たる気持ちになった。
     もしかして俺はこのまま、高尾から誕生日すら教えられずに今日一日を終えるのだろうか。
     今日のかに座は二位、ラッキーアイテムのインスタントカメラも持っている。運気は決して悪くない筈だ。なのに何故こんな仕打ちを受けなければならないのか。
     我知らず大きなため息をつく俺に、高尾は不思議そうな顔をして「どったの真ちゃん?」などと声をかけてくる。
    「何でもないのだよ!!」
     イライラしてしまってつい声を荒げるのに高尾は軽く肩を上げるだけで応えると、何か思い出したと言うようにこちらに顔を向けた。
    「あ、そーだ真ちゃん」
    「何だ!?」
     ついに俺に誕生日であることを告白する気になったのか!?やや食い気味に反応する俺に少しだけびっくりしたような顔をした高尾はすぐにへらりと笑う。
    「今日俺、かあさんに早く帰って来いって言われてっから居残りしないで先帰んね」
     先に帰る。と言う事は今しかプレゼントを渡すタイミングが無いと言う事ではないか。それは困る!!だがこれは間違いなく誕生日の話題を口に上らせるきっかけになる。
    「ほう……何か用があるのか?」
     よし、上手く水を向けられた。さあとっとと誕生日だと白状するのだよ。
    「んー?良く分かんねぇんだけど、晩飯までに帰って来いって言ってたからさあ」
     俺の期待に反して、高尾は心底分からないと言った風に小首を傾げてそう答える。
    「分からない訳がないだろう。何か大事な理由があるはずなのだよ!」
    「いや、そう言われてもさぁ……早く帰れとしか言われなかったし」
     何故そこまで頑なに誕生日である事を隠す!?俺に知られてはならない何があると言うのだよ高尾ぉぉぉお!!
     もはや口まで出かかった言葉を飲み込んで、何とか別のアプローチ方法をと考えていると着替えを終えた大坪さんから声がかかる。
    「ほら、お前ら喋ってないでさっさと来いよ。遅いと宮地が怒るぞ」
    「ぶっは!怒るの、宮地さんなんだ!」
    「俺は宮地が怒った後だな」
    「やっべ、真ちゃん早く行こ!」
     話している内容は物騒だが、高尾も大坪さんも楽しそうだ。高尾の誕生日を告白させる絶好のタイミングだと思ったが確かにこれ以上遅れては宮地さんの逆鱗に触れてしまうだろう。
    「ああ」
     短く返事をして、エナメルバッグのチャックを閉める。ちらりと見えたオレンジ色のリボンが何か言いたげにかさりと揺れた。


     結局高尾は練習中も誕生日のたの字すら口には出さず、刻一刻と減っていく時間に俺の集中力も散漫になりまるで練習に身が入らなかったので居残りせず高尾と共に練習終わりで切り上げて帰る事にした。
     どうにも身体が動かし足りない気はするが、ここで下手な癖でもつけてしまっては元も子もない。
    「真ちゃん今日調子悪そうだったね。具合でも悪い?」
     隣を歩く高尾が心配げな表情で顔を覗き込んでくるが、全てお前の所為だ。
    「別に具合が悪い訳ではないのだよ」
    「んじゃ何か気になる事があるとか?心配事とか?」
     首を傾げて俺の不調の原因を探ろうとしているが、お前がたった一言『今日が誕生日だ』と告白すれば済む話なのだよ。
    「ラッキーアイテムもちゃんと持ってんのになぁ」
     高尾は俺が左手に持ったインスタントカメラを指でつつきながらそう言って、はたと顔を上げた。
    「あ、そーだ!ラッキーアイテムを有効活用してないのが駄目なんじゃね?」
    「有効活用?」
     一体どう言う意味だと首を傾げる俺に、高尾は笑顔で「ちょっとこっち来て」と腕を掴んで引っ張っていく。
     連れて行かれた先は入り口の自販機におしるこが置いてあるので帰りに時々寄る事もある公園で、普段良く腰掛けるベンチにいつも通りに並んで座る。
    「一体何なのだよ」
    「良いからカメラ貸して!」
     そう言うと高尾は俺の手からカメラを取り上げると左手を俺の右腕に絡ませて身体を寄せてきた。突然の事態に驚いて胸がどきりと鳴る。
    「いっ……一体何なのだよ!」
    「そんな怒るなって。はい、チーズ!」
     動揺する俺の事などお構いなしに高尾はカメラを持った右手を高く上げ、シャッターを切った。
    「上手く写ってっかな~?」
     撮ったその場で写真が出てくるカメラなので、ウィーンと小さな電子音と共にフィルムが排出される。
    「有効活用とはこう言う事か」
    「そ。やっぱカメラなんだから写真撮らねぇとさ」
     外灯の下、二人揃ってフィルムを眺めていると少しずつ画像が浮き上がって来る。
    「お、出てきた。結構良い感じに写ってるじゃん」
     頭の上の方は見切れてしまっているし画面の右側に不自然な空きはあるが、確かにまあ良い感じに写っている。
     笑顔の高尾とまだ動揺の残った表情の俺と。写真の右下には年月日。十一月二十一日。
     結局俺は誕生日すら教えて貰えず、プレゼントも渡せずに今日一日を終えるのだろうか。やはりここは無駄なプライドなど捨てて素直にこちらから切り出すべきなのか。
     そう考えていると高尾が唐突に「あっ!?」と声を上げた。
    「どうしたのだよ」
    「今日ってもしかして二十一日?」
    「ああ」
     もしかしなくてもそうだ。この写真にも学校の黒板にも携帯の日付表示にも、今日は十一月二十一日だと書いてある。
    「俺今日誕生日だわ」
    「は……?」
     こんなにも一日引っ張り続けておいて、何故そんなにもあっけなく、しかもぼさっとした気の抜けた口調で告白するのだよ。
     何がどうなっているのか、俺には教えたくなかったのではないのか、そもそもどうして秘密にしたかったのか。そんな思考がぐるぐると頭の中で渦を巻いている俺に、高尾は「ははー」などと軽く笑いながら話しかけてくる。
    「今日が二十一日だって全然気づいてなかったわ!だからかあさん早く帰って来いって言ってたんだな。ちぇーっもっと早く気づいてればクラスの奴とか先輩とかからお菓子位はプレゼント貰えたかもしんねーのになー」
     そこまで残念そうでもないおちゃらけた口調でそう話す高尾に、ふつふつと怒りが沸いてくる。
     こんなにも俺が頭を悩ませていたと言うのに、秘密でも教えたくない訳でもなく、忘れていただと!?
    「だからお前は駄目なのだよ!!」
     日の暮れた公園に俺の発した怒号が響くその日、高尾は十六歳になった。



     翌日の朝練で高尾がエナメルバッグの中から取り出したスポーツタオルを目の端に停めてこっそりと口の端を引き上げる。
     そんな俺に高尾は少しはにかんだ様子で「ありがとな、真ちゃん」と笑顔を見せるのだった。
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    2018/11/21 0:00:00

    【緑高】高尾誕2017

    昨年開催されていた、緑高オンリー「マジ好きそーゆーの!! 第2Q」さんの緑高ネットプリント企画に参加させて頂いた物になります。 #二次創作 #小説 #腐向け #黒バス #緑高

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