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    【緑高】ゴーグル 緑間のラッキーアイテムは存在感の落差がとても激しいと思う。
     一昨日の蟹座は二位。ラッキーアイテムは今はまだ一月だと言うのに五月人形。部活が休みで緑間の家でDVDを見る約束をしてたんだけど、緑間の横に鎮座する子供が着られるサイズの鎧兜を見た瞬間に休みで良かったと心底思った。
     そのくせ昨日の蟹座は十一位。ラッキーアイテムはUSBメモリと実にコンパクトな物で、順位とラッキーアイテムの厄介具合はどうやら比例しないらしいと改めて実感する。
     そんな訳で今日は何だと期待していたのだが、緑間の手に握られていたのはいかつい眼鏡ケースだった。
    「あれ。今日のラッキーアイテムそれ?」
     朝の挨拶もそこそこに指差して聞いてみると緑間は「ああ」と頷いた。
    「今日のラッキーアイテムはゴーグルなのだよ」
    「ゴーグルってスキーとかの時につけるアレ?」
     両手の指でそれぞれ輪っかを作って目に当てて見せると緑間がこくりと頷いた。
    「そうだ。まあ、これは水泳用だがな」
    「へー水泳用。そう言えば水泳もつけるっけ」
     装着した状況を思い浮かべてみるけれど、寒風吹き荒ぶ今の季節には海パン一丁の姿は寒々しい事この上ない。
    「うー、さむさむ!早く夏になんねーかなぁ」
     自分の想像でブルりと身体を震わせる俺に、緑間は苦笑している。
    「夏になったら暑い暑いと言うだろう、お前は」
    「それはそれ!そん時になったら早く冬になんねーかなって言うし!」
     ぎゃははと笑って同意していつも通りにじゃんけんをする。緑間はチョキ、俺はパー。当然のような顔をしてリヤカーに乗り込む緑間を眺めてから自転車のサドルに跨る。普段だったらラッキーアイテムが手ごわい物じゃない時は徒歩通学だったりするんだけど今日は帰りに緑間行きつけの骨董品屋に行く予定なのでチャリアカーだ。何でも今日から三日間蔵出し市とやらをやるらしい。本当だったら朝一で掘り出し物を探しに行きたいと昨日緑間がぼやいていた。
     そんなに行きたけりゃワガママ三回分でも使って行けば良いのにと言ってみたけれど、開店時間は十一時らしい。さすがの緑間も授業をサボってまでは行けないようだ。
    「んじゃ行きますかー」
     景気づけに一声上げると、すっかり踏みなれた重いペダルを踏みしめて、ガタゴトと自転車で走り出した。


     放課後、骨董屋の広い店内を物色して歩く緑間は鋭い眼光を閃かせているけれど、見ている物はよく分からないけどとんでもない値段のついている鉄で出来たおもちゃとか古びた看板とかだ。価値も何も一切俺には理解出来ないけれど今手に持ったぬいぐるみひとつでもあの緑間が「おお!」とか声を上げてるんだからまあマニアには分かる一品なんだろう。
     何だかちょっとリアル寄りの造形のそのクマのぬいぐるみを俺に手渡し、緑間は今度は棚の上の方にある木箱に手を伸ばしている。
    「何だお前、真ちゃんちの子になっちゃうのか~?」
     手渡された薄いピンク色でふわふわしたクリスマスの格好をしたぬいぐるみをわしゃわしゃしていると、緑間の学生服のポケットからポロリと何かが飛び出してきた。
    「っと!!」
     慌ててクマを脇に挟んで飛び出してきた物を捕まえる。それは今日のラッキーアイテム、ゴーグルが入ったケースだった。
    「む?」
     両手で木箱を掴んだ姿勢の緑間が、目線だけ下に遣した。
    「あっぶねぇなー。大事なラッキーアイテムなんだから気をつけろよな」
    「すまん。助かったのだよ。少しそのまま持っていてくれるか」
    「りょーかい」
     自分が何を落っことしたのか気づいた緑間が少し焦った様子なのがおかしくて、笑って快諾する。落ちてはいないから大丈夫だろうけど一応中身を確認しておくかとクマを脇に挟んだままケースの蓋を開ける。
     中には普通の眼鏡と同じように眼鏡チーフの上にゴーグルが置かれていた。眼鏡とは似て非なる物がこの中に入ってるって変な感じだなーと思いつつ取り出してみる。
     ケースをポケットに突っ込んで試しにクマのぬいぐるみにゴーグルをかけさせてみる。中々可愛い。
    「何をしているのだよ」
     お目当ての木箱を無事取り出せたらしく、緑間がクマで遊んでいる俺を見て呆れたように溜息をついている。
    「いや、かわいーかなーと思って。ってかそう言えばこれって真ちゃんのゴーグル?」
    「ああ」
    「真ちゃんゴーグルする時ってどうなんの?眼鏡オン・ザ・ゴーグル?」
     もしくはゴーグル・オン・ザ・眼鏡。どっちにしても面白すぎる。自分で想像してぶふっと吹き出す。
    「そんな訳がないだろう。度入りゴーグルなのだよ」
     笑う俺に溜息をつきながら緑間がクマからゴーグルを取り外す。お、装着して見せてくれちゃう?とか思っていたらそのままズボッと頭からゴーグルを被せられた。俺か!お前じゃなくて俺か!
     被せられた時に思わず閉じた目を開ける。と、余りの度のキツさに頭がくらくらした。
    「うっわ、無理無理、無理だってこれ」
    「おい!?」
     思わずふらつく俺を緑間が慌てて支える。支えて貰っている間にゴーグルを外して頭をブルブル振った。
    「真ちゃんの眼鏡試しにかけてみた時よりきっついわコレ。周り囲まれてるからかなー」
     眼鏡と違って目の周りをぴったりと覆う閉塞感が駄目なのかもしれない。
    「何だ、お前ゴーグルが駄目なのか?ホークアイの影響か」
    「いや、そー言う訳じゃないと思うんだけど……でも考えたら俺ゴーグルって殆ど使った事ねーかも」
     そう言えば苦手かどうか判断出来るほど使ってもいない。小学生の時は眼鏡型のやつを使ってたけど、あの頃は今みたいに視野が広いと言う事もなかったから気にしてもいなかった。
    「えー、苦手なんだったらどーしよ。俺、ダイビングとかもやってみたいなーと思ってたのに」
    「ダイビング……何だったら今年の夏にでも試してみるか?」
     少し考え込んでからさらっと言い出す緑間にぎょっとする。又こいつはそんな金のかかりそうな事をこともなげに言いやがって。
    「いやいや、何言ってんの真ちゃん。ダイビングってアレだろ、沖縄とかでしかできねー……」
    「そんな訳があるか馬鹿め。本格的なものにしろシュノーケリングにしろ東京から日帰りで行ける場所もあるのだよ」
    「え、マジ。シュノーケリングってアレだろ、筒咥えるやつ。アレ、忍者みたいでカッケーよな」
    「忍者……まあとにかく、行けない事はないのだよ」
     緑間と海に行って遊ぶ、と言う想像は中々悪くない。まだ冬だしそもそも俺達に遊びに行けるほどの夏があるのかは疑問だけれど。
    「あ、でももし万が一ゴーグル駄目だったらせっかく行っても出来ねぇな」
    「ゴーグルが苦手だったとしても、普通に泳げば良いのだよ」
     俺が手にぷらぷらとぶら下げたままだったゴーグルを丁寧にケースにしまうと、又手渡してくる。いつにない緑間の気遣い溢れる言葉に嬉しくなって「んじゃ約束な!」と一方的に拳を緑間の手の甲に打ちつけると緑間は少しびっくりしたような顔をしてから「ああ」とほんのり微笑んだ。
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    2018/12/03 0:00:46

    【緑高】ゴーグル

    20180328。高校一年1月。付き合ってません。


    ※ぷらいべったーに掲載しているものの転載になります。キャプションも当時のものです。

    #二次創作 #腐向け #小説 #黒バス #緑高

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