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    【緑高】傘・雨 昔から雨の日はあまり好きではなかった。
     空気がじっとりとしているのも好きではないし、注意して歩いていても靴やズボンの裾が濡れて不快だ。
     基礎練習の外周ランニングも出来ず、運動部で取り合いになってしまうので体育館ですら満足にシュート練習が出来なくなってしまって不愉快この上ない。
     中学ではバスケ部には専用体育館があった為そう言う意味での問題点は無くなったが、床が湿気を帯びているためモップがけも頻繁に行わなくてはならなくなるので、テンポが悪い事この上ない。
     高校に入ってからは体育館問題は再燃したし、何よりもラッキーアイテムが大きい物だと傘をさす事ですら大変になってしまう。
     けれど高校に入学してもうじき半年、雨も悪くないのではないかと思い始めるようになっていた。
    「今日のラッキーアイテム、空気読んでんだか読んでねーんだか訳わかんねぇな」
     ケラケラと笑いながら肩がくっつくほどに近くを歩いている高尾が言う。
    「今現在役に立っているのだから、紛れもなく空気を読んでいるだろう。さすがおは朝なのだよ」
     ザアザアと降る雨と、雨が傘を叩くバタバタと言う音のせいで、声を張り気味にしないとこの距離ですら声が聞こえない。
     高尾の手には俺と高尾のスポーツバッグと畳まれた傘。俺の手の中には今日のラッキーアイテムであるビタミンカラーのビーチパラソルの柄。俺達がいるのはそのビーチパラソルの下である。
     部活後の帰宅途中で降り出した雨に、降水確率八十パーセントだと天気予報で言っていたにも拘らず傘を持ってこなかった粗忽者の高尾が「真ちゃんのラッキーアイテムで相合傘すればいーんじゃん!!」と俺の手からスポーツバッグと普通の傘を奪い取った結果である。
    「さすがにこのサイズだと俺ら二人入っても余裕だな~」
    「そうだな」
     歩くたびに腕に触れる肩が、冷えた体にぬくもりを与えてくる。ふいにもっと近くに寄れば良いのにと言う考えが頭をよぎって、何を馬鹿な事をと思い直した瞬間に高尾が腕に抱きついてきた。
    「……っ何なのだよ!?」
     自分の考えを見透かされたような気がして、思わず声を荒げると「ごめんごめん」と軽い声と共に高尾が身体を離した。途端に寒さのせいでぶるりと背が震える。
    「横通る車が水跳ね上げてたからさー。あーあ、ズボンの裾濡れちった。真ちゃんは大丈夫だった?」
    「ああ」
     正直水跳ねどころか車が来た事にすら気がついていなかった。
     一度ぬくもりに触れてしまったせいで、酷く寒さが気にかかる。背と言わず腕も足も手もひんやりと冷えてしまった気がしてもう一度身体を震わせると、高尾がすりすりと肩口に頭を擦り付けてきた。
    「なんなのだよ」
    「いや、真ちゃん寒そうだったから。……何となく?」
    「猫かお前は」
    「猫嫌いなくせに」
     笑い声と共に又頭を擦り付けてきた。
     猫は嫌いだ。……猫ならば。
    「うちに寄って行くか?」
     ぽろりと口からこぼれた言葉に高尾が「へ?」と間抜けな声を上げた。
    「物語やドラマでは雨に濡れた猫を拾うのは定番の善行だろう?拾ってやるから温かい物でも飲んで行け」
    「え、真ちゃんち入って良いの!?いっつも妹ちゃんの教育に悪いとか言って入れてくんなかったのに!?」
     そう問われて、そう言えば玄関先で待ち合わせる事は多々あったと言うのに今まで一度も家の中に上げていなかったと言う事に気がついた。
    「……濡れ猫ならば仕方がないのだよ」
     照れ隠しのように呟いた俺の言葉に、高尾は嬉しそうににゃーんと猫の鳴き真似をした。
    みたき Link Message Mute
    2018/09/13 19:25:25

    【緑高】傘・雨

    20171230
    高1付き合ってません。超短いです。
    ワンドロ投稿時間間際に今日ワンドロだと言う事に気づいて、年内最後なので短くても参加したかった慌てて書きました(>_<)
    過去投稿作なども読んで下さったりいいねしてくださってありがとうございます。
    皆様良いお年をお迎え下さい。

    ※ぷらいべったーに掲載しているものの転載になります。キャプションも当時のものです。

    #二次創作 #小説 #緑高 #腐向け #黒バス

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