血塗られた旅路の果てにあてんしょん!
此方、2015年3月26日 ソニー・コンピュータエンタテインメントより発売されました「Bloodborne(ブラッドボーン)」のとある狩人の話です。
このメインの狩人は、“村の生き残り”であり“老年”狩人である前提で書きました。男女かどうかは、定めて居ないので好きな方でご想像下さい。
あと、一部NPC狩人のイベントのネタバレが少し含まれます。
未プレイ・(そのイベントが)未クリアの方は観覧をお控えください。
※オマケ追加しましたが、本編と違ってシリアスがどっか行きました(?)※
宜しいですね?
燃え盛る炎、何かが燃える不快な臭い、むせかえるほどの生臭い血の臭いが森の中まで漂っていた。その中を、ただひたすら暗闇の森を走り続けた。
(死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない)
木の端々で腕や手を切り、森の不安定な足場ばかりだから、足の裏は走りつづけて血だらけになっていた。
(死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない・・・・・・!!!!!)
ただ、その一心で闇が広がる森の中を駆け抜けた。森を抜けた先は・・・・・・。
「っ!!!!!」
ーガタタタタンー・・・・・・ー
持っていたノコギリ鉈を落とした音が、虚しく建物内に響き渡る。左手に握る銃はしっかり握ったままだったのは、不幸中の幸いか。
「夢・・・・・・なのか?」
頭を振りながら現実なのか現なのか確認する。そして思い至る。私が見ていたのが、夢に見せた“過去”だ。
小さな村に住んでいた。貧しいながらも、楽しく暮らしていた。だが、その幸せは続かなかった。
突然、村は何かに襲われた。野党・・・・・・だったと思う。今となっては、野党だったのかはっきりしない。思い出せない。その野党に、村の人達は為すすべも無く皆殺しにされた。自分の両親も兄弟も。そして、家は焼き払われた。
“死にたくない”
その一心で、私は野党の隙を見て、森の中に逃げた。ひたすら、ひたすら、ひたすら、闇が広がる森を走り続けた。逃げ切って、私は生き延びた。それからどうしてたか覚えてない。生き延びることだけを、ただ必死に生きる事だけをしていたら、父と母と同じくらいの歳を重ねた。そんな私があるこんな摩訶不思議なクソみたいな血塗られた獣狩りの悪夢に引きずり込まれてしまった。
「・・・・・・行くか・・・・・・」
少しの休憩が、長い休憩をしてしまっていたようだった。重い身体を引き摺るように、立ち上がる。
そのついでに、落としてしまったノコギリ鉈を拾い、フラフラと歩き出す。包帯を巻いただけの素足に近い足は、色々な所を歩いてきた為に傷付き皮が厚くなっていた。手もこのノコギリ鉈を始め、色々な武器を振るって来たため、此方も皮が厚くなっている。
(これが、生きてきた証、なのだろうか)
もうそろそろ、この血なまぐさいくそったれな旅も終わりに近づいているのだと。そう気付いてから、ふと思う。
(この血なまぐさいくそったれな事をしていても、生きていた証を残すことは出来る)
脳裏に浮かぶのは、静かに息を引き取った鴉羽の狩人 アイリーンの姿。多分、彼女とは私は年の頃は近かったと思う。だからこそ、彼女に既視感を覚え、彼女の狩人としての流儀に感銘を覚えていた。そんな彼女も死んだ・・・・・・だが、彼女が“鴉羽の狩人”として生き抜いた証は、私がよく知っている。
「・・・・・・私は・・・・・・どうなのだろうな」
私はここで生きた証を示せたのだろうか?血にまみれ、血に飢え、狂っていく、この世界で。強くノコギリ鉈の柄を握る。
「どんな結果になろうと、私は生き延びることを考えるだけだ。私は・・・・・・死にたくない」
フラフラとした足取りで、私は向かう。この旅の終焉を、末路を。
そして、
「私の生きた証を示す」
この話を書き終わった後、自分の狩人見て、「こんな弱々しい事言うか? うちの狩人さん」と思って、オマケが出来ました。
(狩人の鐘鳴らして、異なる空間に居る狩人が来ました/オンライン)
「随分可愛らしい狩人だ。老体だから、動きが悪いかもだから勘弁ね」
「いえ、大丈夫ですよ」
「じゃあ、行こうか! 私達に任せて下さいね」
「お願いするよ」
敵が現れたので、倒すことに。
「よし、さっさとたお・・・・・・」
「邪魔するな」
乾いた音が連続で響き渡る。老体狩人が弾丸を打ち込んでいた。そのまま敵が仰け反った所を、内臓攻撃をぶちかます老体狩人。若手狩人×2ポカーンとする。
返り血を満遍なく受けて、うっすらと笑ってる老体狩人が振り返る。
「さて、先は長い。とっとと行こうか」
「「は、はい(自分ら、いらないんじゃ??)」」と思ったそうな。