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GALLERIA[ギャレリア]は創作活動を支援する豊富な機能を揃えた創作SNSです。

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    魔法使い達の日常と宴ーマギロギカ此方は、テーブルトーク(通称TRPG) 河嶋陶一朗氏と冒険企画局作 「マギカロギア」をやるにあたってキャラ制作した際に、各キャラの繋がりを書いた作品です。
    リプレイレポ等でなく、完全にその設定を借りた創作です。
    あと、この世界のルールで上位の命令に逆らってはならないと言うのがありますが、この物語の依頼は上からの依頼では無いし、緊急性の無い。だが放置するのは危ないから、手の空いている魔法使い達に頼む的な物、要はサブクエスト扱いです。
    細かい世界観・設定等は各自でお調べ頂けると幸いです。

    それぞれのキャラの位階は以下の通り。
    書警(ブックウォッチ) 位階一位
    司書(ライブラリアン) 位階二位→野良猫、リア友1
    書工(アルチザン) 位階三位→リア友2
    訪問者(ゲスト) 位階四位→リア友3
    異端者(アウトサイダー) 位階五位
    外典(アポクリファ) 位階六位







    ~大法典(コーデックス)の人魔司書コンビ~



    とある街の一角に、今では手に入れられないレトロゲームから最新ゲームの本体やソフトが置いてある寂れた雰囲気がある不思議なゲーム屋が合った。
    そこのレジカウンターで、凄い鬼気迫る勢いで携帯ゲームをやっている男がいた。だが、とあるミスをしでかし一気に顔面蒼白になった。
    「だぁあああああ、物理反射と呪殺のコンボ食らうとは・・・・・・・・あぁああああ三時間掛けて作ったデータが・・・・・・・・あああああああ」
    レジカウンターに頭を乗っけて絶望を嘆いていると、側に置いておいたスマホが鳴り響く。画面も見ずに、気怠げなまま電話にでる。
    「はーい、今絶賛三時間掛けて作り上げた物がパーになった男の電話でーす・・・・・・・・はぁ? あ・・・・・・・・まぁ、しょうがないですね。引き受けますよっと」
    悲壮感漂う中、通話をしながら店仕舞いを始める。ここは店主の気分によって、店自体が早く終わることがある。男にとって、流れで入った組織の面倒な仕事を片付けるため。
    「とっとと終わらせて、三時間分のデータ取り戻す!!!!」
    ただし、最も不純な動機でだが。

    大法典(コーデックス)と言う巨大組織がある。その組織により隠匿されているゲームや小説等のファンタジー世界ではお馴染みの“魔法”を使い世界を守る者達が居る・・・・・・・・と、本当にどんな王道ファンタジーだよとツッコまれそうな所だが、現実問題そういう荒唐無稽な事が人知れず起こっているという事だ。そんな大法典に慌てたような声が響き渡る。
    「司書(ライブラリアン)! 司書 黒護月哉! ちょっと待って下さい!!」
    「・・・・・・・・」
    「お願いです、今回の仕事を引き受けて下さいー!!!!」
    と、大法典以外の依頼はやる気0の無気力系冷酷男と囁かれる司書 黒護月哉(くろもり つきや)相手に、若干半泣きに泣きついている職員との攻防。大法典職員との、このやり取りは、なんとなーく日常と化している気もする。ただ、余程の事が無い限り動かない月哉を説得するのは至難の業だ。ただ一人・・・・・・・・いや、一匹を除いて。
    「お願いします!!!!」
    「緊急性が無いならやる必要ない」
    「本当にお願いします!!! 今、手が空いて対応出来る方が貴方しかいないんです!!」
    「・・・・・・・・そんなめ・・・・・・・・」
    「また人間を困らせてるのかにゃ、この無気力冷酷男めが」
    その呟きと共に月哉の頭の上に、何か黒い塊が落ちてきた・・・・・・・・ようにその職員は見えた。黒い塊は月哉の頭より少し大きかった為か、さり気なくダメージが大きかったのか唸るようにしながら、月哉は黒い塊を引き剥がした。
    「困らせてないし、ただ面倒を引き受けたくないだけだ、馬鹿猫」
    「君は、本当に自分の欲求に素直だにゃー。でも、残念。僕が来たからには、この仕事は引き受けなければならないにゃー」
    月哉が顔の前にぶらーんとぶら下げるのは、少し身体が大きい赤いリボンが特徴の黒い猫がいた。なんと不思議なことに尻尾は二股に別れて人語を喋る―所謂、猫又だった。その猫又を見て、職員は救世主が着たとばかりに喜んだ声を上げた。
    「ジャックさん!!!! 良かったぁー司書のジャックさんもご一緒なら、引き受けて貰えますね!!!! 助かります!!!!」
    「おい、俺はまだひき」
    「そうにゃ、そうにゃ。僕と月哉は一蓮托生にゃ~と言うわけで、詳細を教えて欲しいにゃー」
    「はい! 今、詳細が掛かれた物をお持ちしますね!」と元気良く職員が答えるとダッシュで資料を取りに行った。それを呆然と見送る月哉に、未だに首根っこを掴まれているジャックはひらりと抜け出し、地面に着地すると顔を洗い出した。
    「僕は何も悪くにゃいにゃ。今回は君の師匠から直々のご指名にゃ」
    「・・・・・・・・マジか・・・・・・・・」
    「それに、君が毎回毎回職員困らせるから、僕が無駄に来ることになるにゃー。僕はゲームしたいのに、君のせいでゲームする時間が減らさせるのにゃー・・・・・・・・つーか、僕がここに来る度に揉みくちゃにされるから、君にはブラッシングを要求したいにゃ」
    と、顔を一通り洗い終わると、再びひらりと跳躍し月哉の頭の上に乗っかる。こうなると、この猫又は離れないのを知っているので、月哉は諦めて詳細を聞きに、先程の職員の元に向かう。その猫又を乗せた男の異色のコンビは、大法典では“人魔の司書コンビ”と呼ばれていた。

    魔法が使える世界で、人間以外の者が大法典に属する者になるのは当たり前なのだが・・・・・・・・まぁ、まさか元異端者と猫又が続けて司書になることは異例だったらしく、成り立ての頃は騒がれたものだ。(実は年齢的にはジャックが年上だが、月哉が先に大法典入っている)
    ただ、月哉は必要と迫られない限り仕事を受けないことで有名で、ほとほと職員を困らせていた。だが、猫又 ジャックが着た事により事情が変わった。
    「にゃにゃ、月哉。この仕事やるにゃー」
    「やりたくない、面倒くさい、緊急性を感じない」
    「にゃ、でも、ちゃんと人間と共存をしないと」
    「だいたい、俺はここの書庫立入権限が欲しかっただけだ。あと、甘味も食べられればそれで十分だ」
    「・・・・・・・・にゃに゛ゃー・・・・・・・・全く世話の焼ける」
    「ああ、そうだ。ジャック、これ読み終わったら、甘味でも」
    「とぉーりゃー」
    間延びした掛け声と共に、不意打ちの渾身の猫又尻尾アタックを食らい、月哉は本を空中に投げ出す形で地面に頭を叩きつけてしまった。ジャックは綺麗に空中転回し本をキャッチしてから着地し、二本足で立ち上がると月哉の襟元を掴んで引きずり出した。
    「ちょ、おい、ジャック! 何するんだ! 離せ、おい!」
    「読書も甘味も後にゃ、仕事やるにゃー」
    「はぁ? ふざけんな、なんで俺がそんな面倒くさいことを! は、離せってか、相変わらず馬鹿力だな、この馬鹿猫!!!!」
    「年の功でこんなのはどうにでもにゃるにゃ。怠けて、それすら怠った君の落ち度にゃ」
    「だー離せ! マジで離せ! お前は俺の母猫か! いや、母親か!!!!」
    「に゛ゃ! 誰が母猫にゃ! ってか、母言うにゃー!!!! もー怒ったにゃ、 何がにゃんでも仕事させるにゃー!!!!」
    毛を逆立てながら怒る二足歩行する猫又とそれに引っ張られる成人男性(元異端者)のやりとりを見て、全職員が思った。


    (この猫又が居れば、あの無気力冷酷男の司書は仕事してくれる!)と。


    それが、“人魔の司書コンビ”誕生秘話であった。
    一仕事終えた後は人魔の司書コンビは、(ジャックは人の姿になって)甘味を堪能していた。
    「あぁ~美味しい。仕事した後の甘味は美味しい」
    と上機嫌に団子を食すジャックとは対照的に、月哉は不機嫌そうに団子を黙々と食べていた。それも結構な量を。
    「・・・・・・・・」
    「いい加減に機嫌直せよ、月哉。お前は仕事しなさ過ぎなんだから、これくらいはやらないと駄目だろうが。ってか、食べ過ぎだぞ。君は夕飯を食べない気か? 全く、そういう不摂生は良くないぞ」
    「・・・・・・・・るさい。好きに食わせろ」
    「はぁー・・・・・・・・もう、団子はそんくらいにしとけ。 君の食べたい物を夕飯に作るから、いい加減に機嫌を直せ。全く、本当にそういう所は子供というか・・・・・・・・」
    「お前は俺の母親か」
    「あ゛ぁ゛? 誰が母親だ、ごらぁ?!」
    「そういう口喧しい所や献身的な所とか」
    「ふっざけんな!!!! 僕は母親じゃないつーの!!!!」
    「じゃあ、彼女か?」
    「おう、その顔殴らせろ月哉。それと、君は眼科か脳外科行ってこい。僕は母親でも、彼女じゃないぞ」
    「どう見てもそうだろうが。一部の人達に需要がありそうなレベルで」
    こんな光景も、人魔の司書コンビと言われる所以であるのだろう。この一人と一匹のコンビの活躍は今後も期待されるものだろう。





    ~司書猫又と戦闘特化な書工好事家~



    今日も今日とて、ゲームなら何でも取り揃えているゲーム屋は日がな一日を過ごしていた。今日は据え置き機の懐かしいゲームをしているようで、丁度エンディングに辿り着いたのだろうか? スタッフロールと共にエンディングが流れていて、 それを見て号泣する男とそれをレジカウンター挟んだ向かい側で見ている女が居た。
    「う゛ぅう゛うう・・・・・・・・名作だ。ほんと、名作だ。あ゛ー最新機種にリメイクされて、何度もやっているのに・・・・・・・・未だに泣ける」
    「初めて見たけど、凄いね。私も思わず貰い泣きしちゃった」
    「これの最新機種バージョンはめっちゃめちゃ綺麗だからオススメだぜ」
    「うん、物凄く分かった
    ・・・・・・・・けどね、私がここに来たのは別の理由なの! なんで、ゲーム鑑賞会になってんのさ!!!!」
    と、そういうと立ち上がると男の両頬を抓りだし、痛みに叫びだす。
    「に゛ゃぎぃいいいぃぃいいい~ぼーにゃくひゃんたい!!!!」(暴力反対!)
    「うっさい、このゲーマー猫又がぁああああ!!!!」
    余り大きくない店舗に、うら若き女性の怒号が響き渡る。
    「にぃいいー・・・・・・・・本当に、全力で抓るなんて・・・・・・・・老人を労れよ。第一に、君がエンディング目前でここに来るのが悪いんじゃないかー」
    「今、若い姿取っているのに何言ってんのさ。それと、私悪くない」
    と持っていた扇子を扇ぎながら、優雅に座る(年齢不詳気味の) 2~30代の着物美人 御手神 紗弥(おてがみ さや)笑う。その笑い方は艶やかで、誰もが骨抜きになる魅力的な物なのだが、この笑いをするときは大概面倒な事だと知っている男はこれ見よがしにため息を付いた。
    「あら、何よ。折角私がわざわざ出向いてきて上げたのに」
    「君が来ると、だいたい碌な事が起きないから嫌なんだけどな。だいたい、僕に頼るよりは月哉に頼めばいい事案ばっかり持ってくるんだよ?」
    「だって、黒森月哉に頼もうとすると、真っ先に“やりたくない、面倒くさい、緊急性を感じない”と断られるのがオチだもの。あと、私は書工だけども攻撃特化なんだから、相性が必然と良いのは 猫又の司書 ジャック、アナタしか居ないんだけど?」
    と扇子を綴じて、男-ジャックを指差す動作をする。当のジャックは苦虫を潰した顔をし、呆れていた。悪友と呼ぶにふさわしい黒森月哉が間違い無く言う一言を御手神は言い切ったのだから。そして、それを強く否定も出来ないジャックだった。
    「はぁー・・・・・・・・今回の成功報酬によっては、僕も少なからず手伝わない訳じゃない・・・・・・・・」
    「ふふ、ありがとうジャック。アナタが人間だったら、文句なかったんだけども」
    「猫又で悪かったな」
    「そんなアナタも素敵だって話よ?」
    「どーだが・・・・・・・・で、どうなんだ?」
    「謝礼は勿論だけども、あるツテで手に入れた最高級品マタタビで作ったマタタビ酒よ」
    「よし、引き受けた」
    「(ほんと分かりやすい)あと、大法典の仕事込みだから。宜しく❤」
    「・・・・・・・・え?」
    「よし、了承も得たことだし行きましょう!」
    「・・・・・・・・ええ?」
    「今更無しは駄目よ? じゃないと、 マタタビ酒無し。あ、これ上からの依頼でもあるからね。そうゆう意味で、拒否権無かったわ❤」
    「・・・・・・・・えええええええええ・・・・・・・・!!!!」
    ジャックの虚しい叫び声が、今度は響き渡る。
    司書 ジャック、何かにつけて御手神沙弥の報酬目当てで、何故か余計な仕事増える猫又で合った。ある意味では、黒森月哉よりも欲望に素直である。





    ~新米魔法使い記者と情報屋司書~



    「お願いだよ、ジャック!!!! この情報欲しいんだ!!!!」
    「んー? その情報くらい、自分の足で探せばゴロゴロ出るだろ~僕は四日ぶりに戻ってきて、やっとこの新作を進めているんだから。緊急性の高い依頼以外は引き受けないよ」
    「そんな事言わないで、お願い!!!!」
    古今東西のゲームが集まるゲーム屋に、レジカウンター内で相も変わらずゲームをしているジャックと少し小柄な女性が押し問答していた。ジャックはカウンターに出された資料をチラッと見て、どんな内容か把握したものの動く気は無いらしく、いつも以上に素っ気ない。
    「ジャック!!!! 本当にお願いします……本当に・・・・・・・・うぅううう」
    ちょっと泣き落としが入ってきて、呆れた様子でジャックは芦屋 テナーを見る。
    「だーいーたい、こーんーなー事で僕のゲーム時間をこれ以上削られたくなーいーんーでーす。とぉおお、全滅する、やば!!!!」
    携帯ゲーム機から目を離していたらちょっと危ない状態だったらしく、さっきまで穏やかだったボタンを操る音が凄まじい響き渡る。
    「そんな事言っても、私は元々一般市民だよ? ジャックと黒護さんは別だけどさ。沙弥さんみたいに、そういう道で居た訳じゃないんだよ? ただ記者していただけ・・・・・・・・そんな元 一般市民が出来る事なんて限られているんだよ? 少しはこの世界に引っ張り込んだんだから、手伝ってくれたって良いじゃない」
    「・・・・・・・・」
    「記者としての仕事は、私はその道のプロだよ。だけど、魔法の事なんか・・・・・・・・私、まだ・・・・・・・・」
    「・・・・・・・・よし、勝った」
    「・・・・・・・・分かった、自分で探します。何事も真理に近付くためには、自分で探せって事なんでしょう! 駆け出しでも、頑張って仕事するわ!!!! 馬鹿猫!!!!」
    小さくガッツポーズをしたジャックを見たテナーは痺れを切らした様子で、バンとレジカウンターを叩くと、そのまま店を出ていった。その後も何も言わず、ジャックはゲームを続けて居たが、ある程度進ませセーブし椅子から立ち上がった。
    「んにゃぁあああああ~・・・・・・・・あー身体がボキボキ言うな・・・・・・・・とに、あそこまで言われて黙ってられるほど、僕は落ちぶれちゃ無いさ」
    テナーが忘れていった資料を再度読み込み、エプロンを椅子に掛けると店の外に出た。

    一方、テナーは地道に情報を探していた。だが、やはり見つからないらしく公園のベンチで、缶コーヒーを飲みながらへたり込んでいた。
    「んぁーもーみつからなーいー!!!! やっぱり、私じゃあ限界かな・・・・・・・・はぁ、こうなったら沙弥さんに頼み込むかな。どんな仕事に付き合わせられるか分からないけど 見つからない・・・・・・・・ん?」
    テナーの後ろの茂みからゴソゴソと音が聞こえ、そちらを向くと白い猫が出てきた。そして、テナーを見つけるとちょこんとベンチの隣に座り口に咥えていた物を置く。
    「何これ・・・・・・・・あ・・・・・・・・」
    咥えていたのは、A4の長封筒で裏面をひっくり返すと猫手判子が 押されていた。それを見たテナーが、何故この白猫が自分の元に来たのか察した。急いで鞄の中を漁り、猫用のおやつを見つけ白猫に与える。
    「ジャックのお使いに来てくれたんだね、ありがとう。これはお礼だよ、食べて」
    「にゃーぅん」
    そう一声鳴くと白猫はおやつを食べ出し、テナーは封筒の封を開け 中身を確認していた。途中までテナー自身確認が取れた情報とプラスされるような事柄、掴めてない情報が添えられていた。これで、ある意味ではテナーのすべき事は完了したも同然だった。
    白猫はおやつを食べ終わると、一声鳴いて去っていた。
    「今度、お礼しなきゃね」
    そう呟くと、缶コーヒーを一気に飲み干して、見事なコントロールでゴミ箱に捨てると急いで資料を抱えて走り去った。






    ・各キャラクター紹介




    野良猫キャラ→ジャック(猫又)
    性別男
    階梯 3
    位階 司書(ライブラリアン)
    一人称 「僕」、三人称「君」(親しい相手だと砕ける)

    ・300歳オーバーの黒猫で、赤いリボンがトレードマークで、今回のセッションではリーダーポジションに当たる。
    魔法使い時は80歳前後の好々爺、表の顔の時は2~30代位の若者と姿を変えている。世話焼きが高じるのか、月哉から「母猫か」等と言われる。月哉とは大法典に来る前からの知り合いもとい悪友であり、友人(友怪?)である。
    表の姿で、古今東西機体ボードゲームTRPGやら様々なゲームを取り扱うゲーム屋を経営しながら、情報屋もどきな事をしている。

    リア友1キャラ→黒護 月哉(くろもり つきや)
    性別男
    階梯 3
    位階 司書(ライブラリアン)
    一人称「俺」、三人称 「あんた(又は)お前」

    ・元異端者(鬼火)でありながら、司書まで上り詰めた経歴の持ち主。今回中の人がGM(ゲームキーパー)担当の為、創作での登場。
    読書と甘味をこよなく愛する。他人に興味が余りないが、親しい者達にはそれなりに対応する模様。独自の正義感指針があるため、大法典の(緊急性の低い)仕事を、余り積極的にやらないので、よく職員を困らせる。ジャックとは大法典に来る前からの知り合いもとい悪友であり、月哉の数少ない友人(友怪?)である。

    リア友2キャラ→御手神 沙弥(おてがみ さや)
    性別 女
    階梯 3
    位階 書工(アルチザン)
    一人称「私」、三人称「アナタ」

    ・年齢不詳(多分見た目2~30代くらい?)で魔剣召喚や剣乱などの戦闘特化している着物美人な書工。リアルセッションのメンバーの一人。
    表向きの仕事が好事家なので、その収集も兼ねてジャックと組むことが多い(ただ、ジャックは、ほぼ巻き込まれ)何を収集しているかは不明。
    サポート魔法を多数取得しているジャックとは相性がよく、通常の任務でも月哉と同じ位ペアを組むことが多い。

    リア友3キャラ→芦屋 テナー(あしな てなー)
    性別 女
    階梯 3
    位階 訪問者(ゲスト)
    一人称「私」、三人称 名前呼び+さんor呼び捨て

    ・この世界に迷い込んだ20代前半女性記者で、このメンバーでは一番の新人。リアルセッションメンバーの一人でTRPG初心者。
    一般人の時から情報屋もどきの仕事をしているジャックとは前々から面識があり、その際にひょんな事から魔法使いとしても関わる事となった。その縁で、沙弥とも知り合いになり情報を貰い受ける代わりに、紗弥の収集の方の仕事をジャックと共々手伝ったりとしている。







    ・次から、各キャラの日常を野良猫が想像してみた話です。







    ・とある猫の休日



    とある古今東西、様々なゲームが集まるとまことしやかに囁かれるゲーム屋 「猫又亭」と呼ばれるゲーム屋は本日定休日・・・・・・・・と臨時休業となっていた。定休日を設けているが、時々臨時休業が入る為に、良く潰れないなと近隣からまことしやかに囁かれる不思議な店であった。そんな「猫又亭」の主人であるジャックは、カウンターで据え置きゲームを起動させて一心不乱にゲームを進めていた。本来(猫)の姿で器用にコントローラー片手に、脇には最近ブームである冷酒のどでかいパックとグラスを添えて。
    「・・・・・・・・ヴァー・・・・・・・・ええ、これどうしたっけにゃ。あーちょっと休憩すっかなにゃあー」
    コントローラー持ったままグラスの中身を半分まで飲み干して、また新しく冷酒と用意していた氷も再度入れて、これまた器用に冷酒を注ぎ、ゲーム攻略に唸る猫。必要じゃない時は人の姿を取らない為に、なんだが不思議な光景だった。そんなジャックは表と裏の仕事が(嬉しい事だが)忙しかったせいで、新作ゲームラッシュだったのに何一つ触れなかった反動で凄い勢いで進めていた。ちなみに(お酒飲みながら)三徹目である。
    そんな廃人ゲーマーライフを楽しんでいると、裏口から誰かが入ってくる。ジャックは耳を動かし、鼻をひくつかせて誰かを確認すると、「にゃっふあ~」と気の抜けた欠伸をして、そのままゲーム続行していた。

    「おーい、馬鹿猫。生きているかー」
    「にゃあーに当然の事聞いているにゃあ。僕は好きなゲームの新作が出続けるなら、生き続けるにゃあー」
    「ああ、その馬鹿な回答が聞けてよかっ・・・・・・・・酒くさ!!!!! おまっ、どんだけ飲んでんだよ!!!!」
    足の踏み場が無いくらいに、日本酒の大きい紙パックがゴロゴロ転がっていた。そしてゲーム機による排気熱で換気も追いついてない状態で、最高に酒臭い・・・・・・・・酒嫌いには溜まったもんじゃない環境だ。
    「にゃあぁー? あー・・・・・・・・と、一ℓの冷酒を買い溜めしてたのずっと飲んでいたにゃ」
    「・・・・・・・・ひいふうみ・・・・・・・・おい、十本以上飲んでいるじゃないか。しかも、その様子だと三徹目か」
    「んにゃあーそうにゃるにゃあ。確か、沙弥ちゃんの仕事終わりからずっと引き籠っていたにゃ」
    「・・・・・・・・マジか・・・・・・・・」
    「んで、新作ラッシュの一作目終わってから、その次の新作やって、据え置きに移植されて新規要素詰めこまれたやつやっていて、一週目終わってから二週目入る前に下準備しているんだが、まっっっっったく終わらない状態になっていて若干苦行になっているにゃ。・・・・・・・・なんで、システムもうちょい変えなかったのかにゃ。これは据え置きじゃあ色々無理あるにゃあー第一に、据え置きなのに口パクってどうにゃあ?? 折角の据え置きなのに、新規キャラもいるのに口パクなんだよ、新規ストーリーもあるのに。あと一部ステージ手抜きもどうなんだよ、いつぞの高画質紙芝居劇場彷彿とさせるな・・・・・・・・ってか、何を見せられているんだよ・・・・・・・・(ブツブツ)」
    (駄目だ、寝かさないとまずい)
    「まず、そもそも200人以上のNPC悩み解決めっちゃめんどくさいにゃ・・・・関係解消してから進むのが多いし、装備品一部足りないから敵を倒さなきゃで、そいつが居る場所まで移動せにゃならんのがにゃあ・・・・・・・・ああああああああああああ、二週目の女主人公で新規ルート行きたいのににゃあああああああ!!!!!!!」
    久しぶりに見せる廃人ゲーマーの様を見て、一刻早く寝かせばならないと思った月哉であった。
    「とりあえず、少し寝ろ。で、飯を食え」
    ひとまず落ち着かせるために、首根っこを掴み上げると、コントローラーを抱えたままに宙釣りになるジャックを目線まで持ち上げると虚ろな目から一転、目を輝かせる。
    「にゃあああー・・・・・・・・あ! もしかしなくても、月哉がご飯作ってくれるにゃ?! 僕、オムライスが良いにゃ! 固く焼いた卵のケチャップライスが良いにゃあぁ~」
    「ああ、はいはい。分かったから騒ぐな馬鹿猫」
    たまにしか振るわれない月哉の料理に、はしゃぐ徹夜猫だった。


    ・ゲーマーモードになると普段とは違い、自堕落を通り越して廃人レベルで駄目猫(命名・月哉)と言われる程に酷い。ほぼ不眠不休でゲームをやるので、時々月哉か沙弥、最近ではテナーも加わり、三人が様子を見に来て、半強制的にゲーム休憩+人(猫)並みの生活を送らせる事にしている。ただし、セーブさせてから休ませる事が絶対条件だった。
    (以前半強制的に休ませる際、データが飛んでしまい、マジ切れを起こした事がある。月哉曰く「二度とあんなジャックは見たくない」)





    ・とある魔法使いの日がな一日



    「うむ・・・・・・・・なかなか興味深いな」
    大法典で保管されている貴重な禁書・資料や書物が膨大に保管されている書庫(と言うよりもほぼ図書館に近い)場所で、迷惑にならない程度に小声で呟く黒護 月哉が居た。今日はありがたい事に、大法典からの大なり小なりの依頼も無いために、ここに缶詰め状態で、その周りには、大量の本の山が出来上がっていた。その様子を周りの職員、他の魔法使いは驚きや関心した様子で脇を通り過ぎていく。
    時にじっくり、時にパラ読みして、その書物の世界に浸り込んでいた。

    パラ・・・・・・・・パラ・・・・・・・・パラ・・・・・・・・。

    紙の擦れる独特な音とここに集まる者達の営みと小さな鈴の音。
    (鈴の音?)
    「つーきーやー、差し入れの時間だにゃあ~」
    「・・・・・・・・ジャックか・・・・・・・・相変わらず甲斐甲斐しいな、このは」
    「それ以上言うと、熱々の茶を掛けるにゃ」
    「・・・・・・・・貴重な資料を駄目にする気か。お前は」
    「僕はそこまで間抜けじゃないにゃー大切な資料はきちんと確保してからやるにゃ」
    「・・・・・・・・」
    そんな事を言いながら、一人(両脇には本を大量に)と一匹(大きい鞄を抱えながら)は連れ立って、併設されている休憩スペースに向かう。

    丁度いい席を陣取ると、また本を読み始める月哉を尻目に、ジャックはいそいそと鞄の中からランチョマット(と月哉が服を汚さない様に膝にもシートを敷く)、受け皿・プラスチックのコップ、水筒、お弁当箱を出す。
    「今日の気分はサンドイッチだったので、色々な種類作って来たにゃー。飲み物は珈琲にしたから砂糖・ミルクはべっこだから好きに入れるにゃ。あと、熱いから気を付けるにゃ」
    「ん」
    中身を説明しながら、珈琲を注いでやり、皿に適度に持ってやると、即座に食べ始める月哉。ただし、本を読みながら。
    「行儀が悪いにゃあー全く」
    「ふるへい」モグモグ
    「全く」
    そう言いながら月哉用にカフェオレもどきを作り、自分用に珈琲を注ぎながら陽だまりで寛いでいた。それから、数分経った頃だろうか。月哉が黙々と本とサンドイッチと珈琲を交互に消化し、甲斐甲斐しく世話を焼いていたジャックの欠伸の回数が増えてきた。
    (ちなみに、その世話を焼いてる間に職員やら他の魔法使いの応対もしていた)
    「ふにゃあ~・・・・・・・・」
    「・・・・・・・・」
    「にゃあ~・・・・・・・・月哉ー膝貸せにゃ」
    「なんで・・・・・・・・おい」
    言うなりごそごそと月哉(のシートの下)に潜り込むと、ぴょこりと顔だけ出して一つ欠伸してジャックは眠りだす。月哉が文句を何処吹く風で、聞き流しながら穏やかな寝息を立て始めたジャックを心底呆れた表情をしながらも、片手に書物、サンドイッチを器用に持ちながらジャックと共に緩やかな一日を過ごす。これもまた大法典の名物であった。


    ・ジャックとは、別の意味で自堕落になる(ただし、人の目があるのでジャックのようにはならない)
    月哉の場合は、ジャックが飲食物を用意して、休憩スペースで月哉が飲み食いしている膝で丸くなっているジャックが見られる癒し空間と言う評判だった。





    ・好事家の趣味



    「はああ~最高だったわ!!! 特に、ユウトが演じていたキャラが私の最推しだったから尚最高!!!!!」
    「満足したみたいで良かったよ・・・・・・・・流石に一日に二回、しかも三日連続で舞台観るとは思わなくて、身体がボキボキだよ・・・・・・・・」
    至極ご満悦な御手神 沙弥とは反対に、若干疲れた様子を見せるジャックが劇場から出て来た。沙弥の(表仕事の方で)手に入れられた舞台のチケットが二枚だった為に、半強制的に連れて来られていた。
    内容は殺陣もありの時代劇ぽっいファンタジーものだった。元々漫画原作で、作者が舞台オリジナルストーリーを作り、衣装も監修したと言われている力の入れようだった。何よりも日替わりで主役の役者が変わるWキャスト仕様だったのもあり、三日連続で舞台に付き合う事になった。ちなみに、ユウトと言うのは沙弥が好きな舞台俳優の名であった。
    「んん~何よ、折角最前列で見られた最高の舞台だったのにケチを付ける気? なんだかんだで、殺陣のシーン大興奮しながら見ていたじゃない」
    「殺陣のシーンとか最高だったよ? 勿論。ただ、三日連続で見ると思わないじゃんか・・・・・・・・流石に同じ態勢取っていたから、首とか辛い」
    「それもそうね。うーん・・・・・・・・あ、あそこでお茶しましょうー」
    「ぐにゃあーいきなし引っ張るなあー」
    そんな事を言いながら、沙弥はジャックを引っ張って近くにあったファミレスに連行した。とりあえず、さっきの舞台の感想を話したくてうずうずしていてジャックの言葉は色々総スルーされていた。

    「そういやあ、沙弥ちゃんは舞台観るのが趣味だっけ?」
    ファミレスでぬるくなった珈琲を飲みながら、疑問に思っていた事を口にする。月哉程ではないにしても、そこそこの付き合いである沙弥だが、意外と蒐集しているものが何か等知らないでいた。あまりジャック自身深く、その辺を突っ込んで聞くことしない事があるからだろう。
    「んん? そうね、最近の趣味であると言えるわね。前々から観るのは好きだったけど、ここまでで無かったわね。最近はオリジナル舞台もだけど、ゲーム・漫画アニメの舞台化があるから余計にね」
    「あーそういやあ、僕の好きなゲームも何十周年記念で舞台やっているのもあるからね~。ゲームサントラのオケコンもあるくらいだし」
    「そういうの多くなったわね。あと、コラボとかね。ジャックもそういうの好きよね? 結構カフェに付き合ってあげたしね」
    妖艶な笑みを浮かべながら、ドリンクバーではお馴染みのドリンクミックスしたものを啜る。見た目と違い、ジャンキーなものが好きな沙弥だった。ちなみにコラボカフェで、ジャックが好きなゲームキャラが余りにも出ない為に、沙弥にも泣きついて手伝って貰った経緯がある。
    「あれは苦い思い出だよ。・・・・・・・・で、そんな舞台化が多くて、最近はイケメン俳優の出る舞台を観るのが趣味な訳か。君らしいと言えば、君らしいと言えるのかな」
    「まあねえ~。舞台はその時の輝きが、その時居た観客にしかわからないからね。役者の輝く“命”は、一期一会なのよね。だからこそ、その瞬間を、その時間を、全て刻み付けたいし焼き付けたいと思う。・・・・・・・・だから、行けるなら行っときたいじゃない?」
    そう語る紗弥の微笑は、いつもの妖艶なものでなく、それは・・・・・・・・。
    (恋する乙女だなあ・・・・・・・・沙弥ちゃんもこんな顔出来るんだねえ・・・・・・・・)
    「ん? 何よ、なんか気色悪い笑顔浮かべて」
    「気色悪いって随分辛らつだね(´・ω・`) まあ、君の趣味に対する敬愛と言うか、愛情が良く分かったよ」
    「ふふふん、当然でしょう? 私が愛するものは、何であれ敬愛と愛情が注がれるのは当然よ」
    恋する乙女な表情なまま沙弥は笑うと、ジャックも一緒に笑った。
    「ちなみに、沙弥ちゃん・・・・・・・・蒐集しているのって何?」
    「あら、興味あるの? 聞きたいの? ・・・・・・・・ある意味、高くつくわよ?」
    「・・・・・・・・やっぱり、遠慮しておきます・・・・・・・・」
    「あらあら、残念~」
    (なんか聞いたらあかんと、野生の本能が言っている!!!)


    ・好きな役者さんが活躍して、輝いている姿を観るのが好きな沙弥が唯一素の表情を見せる所であるため、なかなかレアな沙弥を見ることが出来る。ただ、一日二回等複数回観に行くのに付き合うので、ある意味体力勝負である。





    ・新人との宴


    「「カンパーイ」」
    軽くグラスとジョッキを掲げて、互いに今日一日の労働を労う音頭を取り、ジャックはビール、テナーはカクテルを飲む。ただし、ジャックはビールを半分以上飲み切る訳だが・・・・・・・・。
    「にゃっはああああああ・・・・・・・・ビールうっまあああああ!!!!!!!」
    「ジャックは相変わらず飲むの早いよね・・・・・・・・うん、このカクテル美味しい」
    「いや、全盛期の時と比べて遅いけど?? 君は甘い方が好きだろうと思って、種類が豊富なここにしてみたよ」
    今日は表の仕事が互いに一区切りがつき尚且つ時間があった為、ジャックおすすめ居酒屋に芦屋 テナーを誘って飲み会をする事が偶に行われる行事みたいなものだった。
    「遅いって・・・・・・・・嘘でしょう? でも、相変わらず居酒屋とか色々な所知っているわよね~。チェーン店でも、個人経営ぽっいお店とか。今日はチェーン店で、飲み放題付きだけど」
    「僕が滅茶苦茶お酒飲みたい気分だったのでね」
    そう言いながら一杯目のビール飲み終えて、一緒に頼んでおいたゆずハイボールを続けて飲む。ちなみに、テナーはまだ一杯目すら飲み終えていなかった。
    「んはあー・・・・・・・・最高。ゆずハイボールも美味しいな(n*´ω`*n)」
    「本当に、ジャックは飲みが早いね」
    「遅くなったってば」

    「そういやあ、最近“仕事”の方は順調かいー?」
    少しアルコールが入って、いつも以上に陽気な感じになっているジャックはおちゃらけた感じになりながら、魔法使いとしての仕事の近況を聞く。経緯は何であれ、ただの一般人だったテナーを巻き込んでしまった負い目もあるようで、ジャックは時々このような催しをして、新米魔法使いの手助けが出来ればと言う想いもある・・・・・・・・ただし、その事をテナー本人には伝えてはいないが。そんな事とは露知らずに、一口カクテルを飲みながら思い出す素振りを見せる。
    「最近は、沙弥さんと組む事が多いかな。大法典関係絡みだから、別の意味で良かったかなー……とか? ほら、ジャックの見ているとね?」
    「・・・・・・・・沙弥ちゃんは、あれでも振り分けていいと判断した場合にしか、あんな無茶ぶりはさせないよ・・・・・・・・。最初の頃は、あんな事無かったんだけどね・・・・・・・・」
    「あれでもまだマシな方ってのにも驚きだけど、どんだけな事させられたの?」
    「・・・・・・・・聞きたい?」
    「・・・・・・・・遠慮しておく」
    「むしろ、後世の為に聞いておけ」
    「ただ単に聞いて欲しいだけじゃない!!!」
    テナーのツッコミを受けつつ、三~四杯目とノンアルコールを追加で頼みながら、沙弥と(大法典外の)仕事以外での依頼で、色々と沙弥にやらされた事を若干死んだ目で語るジャックを見ながら、のんびりと二杯目を飲むテナーはいずれ自分にも降りかかるのではないかと不安な顔をしてしまった。それに気付いたジャックは苦笑しながら手を振る。
    「ああ、多分ねーテナーちゃんはそこまでしないから大丈夫だから。僕や月哉には・・・・・・・・うん、まあ、それなりに無茶ブリしてくるけどイノチニカカワラナイカラダイジョウブダヨ」
    「ねえ、片言な時点で色々怖いんだけど!!!!」
    「はっはははは、まあテナーちゃんなら大丈夫だよ。大丈夫」
    片手でビールジョッキを飲みながら、片手を顔の前で振る動作をするジャックを見て、テナーは更に不安そうな表情を深める。
    「うー・・・・・・・・ん、ジャックがそういう言うと、本当に不安しか残らないんだけど」
    「まあー僕の場合、その分、幻と呼ばれる名酒貰ったりしているからーギブアンドテイクなのは変わらないけどね」
    「お酒とゲームに関して目が無いのね。私も必要となれば、沙弥さんを頼ろう・・・・・・・・ある程度の事を覚悟して」
    「そうそう。一歩一歩地道に頑張れ」
    そんな取り留めない事を話しながら、夜は更に更けて、二人の宴は続く。


    ・テナーは魔法使いとしては新米なので、まだまだ手探りで仕事をこなすので、時々アドバイスがてらの労い会をするのが、月に一度の宴。その時のジャックの気分に合わせて、店のセレクションが変わる。










    ゲームと名の付く物がなんでも集まる猫又亭。本日は無事に営業が終えられて、丁度翌日は定休日も挟むため、今回はここで宴会を開く事となった。
    「芦名、その料理取ってくれるか?」
    「はーい。あ、月夜さんのそれ、後で下さい」
    「んー美味しいお酒ね。何処で手に入れたの? ジャック」
    「秘密のつて」
    銘々好きなように料理も食べ、酒を飲む。テーブルの上は、食べきった物や空瓶がゴロゴロ転がっていた。宴会を始めてから、二時間経過し程良く酔いが回ってくる。
    「にゃーぁああ゛あああ゛あああ゛あああ、うっまぁあああ(´∀`*)」
    「おージャック! 良い飲みっぷりね~ほーら、これもどう?」
    「にゃー沙耶ちゃんのお酌して貰えて、ボクは幸せにゃー。・・・・・・・・うんにぁーこれは割と甘いのにゃ。これ、テナーちゃんにピッタリにゃ」
    そう言うと、新しいグラスに飲んでいた酒を注ぎ、テナーの目の前に置く。
    「ありがとう、ジャック。・・・・・・・・あのさ、その酒瓶空なんでしょ? 片づけるよ?」
    「に゛ゃー駄目」
    「でも、危ないよ?」
    「・・・・・・・・やだ・・・・・・・・」
    空の一升瓶を抱き抱えて、まるで子供のような駄々をこねるジャックに、どうしたものかと眉をひそめるテナー。それを見ていた沙耶は、扇で扇ぎながら笑っていた。
    「ジャック、飲み過ぎみたいねー。芦屋ちゃんも困っているみたいだし、私じゃあ、あんな状態のジャックを相手に出来ないしぃ?」
    とチラリと流し目で、隣で黙々と食事を運んでいる月夜に訴える。 月夜は若干ジト目をして、沙耶を見るが、当の沙耶はどこ吹く風で扇を扇ぐ。取り皿によそった分を食べきると、一つため息を着きながら立ち上がる。
    「ため息つくと、幸せ逃げるわよ~」
    「その原因を作っている輩に言われたくない」
    それを聞いて、尚も可笑しそうに笑う沙耶を残し、未だに攻防を続ける 一人と一匹に近付く。
    「ジャックー! ほら、それ渡して! 今のジャック、手元覚束ないから危ないの!」
    「に゛ゃあああ゛あああ゛あああ!!!! だーめーにゃーぁああー」
    ぎゅぅううと瓶を抱え込んでしまったジャックに、テナーはほとほと困っていた。実際問題、猫の姿で一升瓶を持って、テーブルの間を行き来しているが、自身の大きさ以上のを持っている為にフラフラしている。瓶を割るだけで済むなら良いが、今酔っぱらっているジャックの状態では怪我をしかねない。・・・・・・・・まぁ、この猫に限って、そんなヘマをしないだろうが、万が一もある。それに、何故かジャックは段々酔ってくると(中身が合ってもなくても)酒瓶を抱える癖がある模様。それが人間の姿を取っているならまだしも、猫の姿でその癖が出て来る。さて、どうしたもんかと思って頭をひねらせているとジャックの背後に月夜の姿。どうするかと様子を見ていると・・・・・・・・ジャックの首根っこを掴みだした。その状態に関わらず、酒瓶は掴んだままだった。その様子に、テナーは慌てた声を上げる。
    「おわああ! ちょっと月夜さん?! そのままだと、ジャックが酒瓶落としちゃいますよ?!」
    「その状態にさせているんだ。芦屋、ちゃんとキャッチしてくれ」
    「・・・・・・・・はぁ?!」
    そう宣言しているうちに、ジャックの腕(足?)から、酒瓶がずり落ちて来たので慌ててキャッチする。酒瓶を不可抗力で、離したジャックはぶらーんとした手足をジタバタと動かして、次に抗議を始めた。
    「に゛あああ゛あああ゛あああ!!!! 月夜、何するにゃー!!!! 僕の酒瓶!!!!」
    「あーはいはい、お前の酒瓶は回収させて貰う。その代わり、これで我慢しろ」
    と椅子に座り直し、膝の間にジャックを座らせると、通常よりも倍もあるビールジョッキをジャックの目の前に置いた。
    「にゃああああああ!!!! 頂きます!!!!」
    「こぼすなよ」
    「そんなヘマしにゃい!」
    器用に自分の体より大きいジョッキを飲むのを確認したら、月夜もまた取り皿に料理を、自分の分とジャックの分と分けると、また黙々と食べ始めた。
    「おい、ジャック。料理も食べろ」
    「にゃっはー! ・・・・・・・・にゃー僕は飲みたいにゃ」
    「良いから食べろ、馬鹿猫」
    「にゃぐぅ」
    食べる気配のないジャックの口に無理やり料理を押し込むと、また自分の料理を食べる。そんな一人と一匹の様子を唖然とした様子で見るテナーと面白そうに見ている沙耶が居た。
    「・・・・・・・・月夜さん、ジャックのお世話している・・・・・・・・」
    「ねー面白いでしょ? 普段はジャックに世話焼かれているのにね。こう言うときは正反対なのよ。ジャックお酒入ると、普段と違って駄目なの」
    「はへー休みの時のあの姿だけかと思ったら」
    「あれは三割り増しよ? 酔っているけど、ゲームしている訳だし。ただの飲みだと・・・・・・・・ああよ」
    扇を閉じて、月夜達の方を差しながらケタケタと笑う沙耶。月夜の膝でビールジョッキ抱え、 時々強制的に料理を食べさせられるジャックと言う不思議な光景を見て、なんとなく思ったのは・・・・・・・・。
    「まぁ、こういうのも良いですね。猫の姿で、甘えているジャックってのも珍しいですし」
    「そういう事よ」
    気分屋。 Link Message Mute
    2023/04/14 20:32:53

    魔法使い達の日常と宴ーマギロギカ

    此方は、テーブルトーク(通称TRPG) 河嶋陶一朗と冒険企画局作 「マギカロギア」をやるにあたってキャラ制作した際に、各キャラの繋がりを書いた作品でありリプレイレポ等でなく、完全にその設定を借りた創作です。
    此方はあくまで創作ですので、河嶋陶一朗氏と冒険企画局とは関りが無いものです。
    各キャラの階級等は、冒頭参照で。
    ※pixiv再掲載なので、野良猫表記のままにしてあります※

    ##pixiv掲載作品
    ##テーブルトーク
    ##TRPG
    ##マギカロギア
    ##自キャラ
    #魔法使い
    #サブクエストみたいな日常

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