我が主と秘密遊戯を if… 2(第一章)【遊戯概要】
舞台は実在の中学校をモデルに作られた施設。神隠しされた審神者八名、彼らを神隠しした刀剣男士八名の計十六名が戦いを繰り広げる。遊戯の参加者にはそれぞれ『離脱条件』(例:遊戯開始から12時間が経過する、遊戯の勝者が2名以上になる等)が与えられ、遊戯に勝利するには、自分を隠した刀剣男士(自分が隠した審神者)より先に離脱条件を満たす必要がある。
【注意事項】
・『我が主と秘密遊戯を if…』時間軸の第二回秘密遊戯の話です。単独でもある程度はわかりますが、『我が主と秘密遊戯を if…』と『我が主と秘密遊戯を2』を読んでいることが前提の表現があります。
・刀→主がほとんどの刀さに小説です。審神者の男女比は半々、夢と腐の両方があります。あくまで刀さに小説ですので、頭脳戦や心理戦、大どんでん返しのカタルシス等は期待しないでください……。
・神隠しや真名を使った呪い、刀剣男士の寿命(?)は九十九年等の非公式設定・独自設定を含みます。
・『汝は人狼なりや?』というゲームの特殊村(特殊ルール)を参考にルールを作りました。人狼要素は皆無ですが、大元になったギャルゲーを参考にした箇所があります。
【登場人物およびカップリング】
話の展開上、参加者およびカップリング、登場キャラクターは伏せます。何かしらの地雷がある方はお控えください。
第一章:柳に雷
眼前の印に触れると、彼の体は瞬時に見知らぬ空間へと飛ばされていた。平衡感覚が狂い、どちらが天か地かわからなくなる暗闇。それでいて自分の姿と、同じ空間にいる者の影だけは視認できる。
「では始めましょうか」
先に来ていた女が言った。正確に言えば、先に来ていた担当者の女と思しき影が言った。経験者の彼から聞いていたとおり、対面にあるのは辛うじて人だとわかるぼやけた影で、声も性別が特定できないように加工されている。
「『皆様お集まりのようですね。』」
暗闇に五芒星が浮かび、五芒星の中から魂之助──この遊戯のために創られた管狐──が現れる。女と違い、魂之助の姿ははっきりと見える。本丸にいるこんのすけと似ているが、魂之助は青白い炎をまとい、まるで人魂のようだった。
「『私は魂之助と申します。この秘密遊戯の進行役──審神者様方には、GMと言った方がわかりやすいでしょうか──でございます。』」
魂之助が参加者役の彼らに向け、台本に書かれたとおりの台詞を言う。
「『この度は第二回秘密遊戯へのご参加ありがとうございます。遊戯はここにおります刀剣男士八名、審神者八名の計十六名で行います。まずは審神者様方、支給いたしましたタブレットをご覧ください。』」
輪郭もはっきりしない影だというのに、審神者役の女が下を向くのがわかった。彼女が見ているのは、参加者に配布される予定のタブレットだ。タブレットは魂之助と同じく形がはっきりしているので、黒い靄の中に浮かんでいるように見える。
「『遊戯中、皆様は現在タブレットに出ている遊戯者名を名乗ってください。くれぐれも真名は名乗らないように。』」
刀剣男士役である彼も同じ物を持っているが、審神者のタブレットはここで持ち主の遊戯者名が画面中央に表示されるよう設定されている。
「『真名を禁じるのはわかるが、このふざけた名前は何なんだ?』」
女がやけに感情を込めて言う。事務的に淡々とこなすと思っていたので、意外だった。
「『この遊戯者名は真名を隠す役割の他に、遊戯中使用する仮の器と魂の結びつけを強める役割もあるのです。』」
「『意味がわからない。』」
「『遊戯が行われるのは実在の中学校をモデルにした建物ですが、本丸とはまた違う特殊な空間になります。そのため特殊空間に耐えられる器を用意しておりますが、審神者様方に所縁の深い刀剣男士様に由来する名を与えることで、皆様の魂と仮の器との結びつきがより強固なものへとなるのです。』」
「仮の器って、審神者の体はその間どうなる?」
ふと疑問に思い、予定にはない台詞を口にした。魂之助の視線が彼に移るが、魂之助は回答できないと答え、台本に戻った。
「『遊戯中、食事や睡眠は取らなくていいよう設計されています。また、仮の器が傷ついたり消失したりしても、遊戯の勝敗には関係ありませんのでご安心を。』」
「遊戯後の体への影響は?」
「貴方まで台本にないことを聞かないでください」
「台本をただ読むだけではリハーサルの意味がないでしょう。それで、遊戯後の影響は?」
「お答えできません」
「承知しました。他に何かありますか?」
彼は自分に振られたのだと気づくのに遅れ、間が空いた。咄嗟にないと答えると、魂之助が即座に声を張り上げる。
「『ここからが重要ですので、よくお聞きください! 刀剣男士の皆様もタブレットをご覧ください。『遊戯の決め事』・『離脱条件一覧』・『地図』と書かれた三つの四角がありますね? その内の『離脱条件一覧』を指で押してください。』」
≪離脱条件一覧≫
刀剣男士1:???
離脱条件 宝珠が2回以上使用、もしくは破壊される
刀剣男士2:???
離脱条件 遊戯開始から12時間が経過する
刀剣男士3:???
離脱条件 全ての離脱条件の所持者を特定する
刀剣男士4:燭台切光忠
離脱条件 審神者8以外の審神者の真名を把握する。ただし、本人から直接聞かなければならない
刀剣男士5:???
離脱条件 審神者の半径3.28メートル以内に連続して3.28時間いる
刀剣男士6:???
離脱条件 参加者4名以上に対し、離脱条件の達成を妨害する
刀剣男士7:???
離脱条件 審神者から神隠しの合意を得る。ただし、暴力や真名を使用した呪いは使ってはならない
刀剣男士8:一期一振
離脱条件 2名以上の審神者と、2時間行動を共にする
審神者1:???
離脱条件 刀剣男士を1振刀解する
審神者2:???
離脱条件 5時間以上他の参加者と遭遇しない
審神者3:???
離脱条件 5時間以上嘘を吐かない
審神者4:???
離脱条件 遊戯の勝者が2名以上になる
審神者5:???
離脱条件 政府の用意した道具のうち、2つ以上を使用し、1つ以上を破壊する。ただし、自らの手で行うこと
審神者6:???
離脱条件 審神者が1名以上遊戯に勝利する
審神者7:???
離脱条件 刀剣男士が審神者に怪我を負わす
審神者8:???
離脱条件 2名以上の刀剣男士に自分の真名を伝える
彼が持っているタブレットは、一期一振に貸与されるタブレットだ。離脱条件一覧を開くと、一期一振以外に燭台切光忠の名が出てくる。
「『私以外に何故燭台……』」
燭台切と言おうとした瞬間、キーンと高く不快な音が響く。真名や遊戯者名、遊戯の進行上不都合な発言は、妨害音を被せる措置を施すとは聞いていたが、耳障りな音だった。
「聞こえたか?」
確認のため聞けば、女と魂之助がほぼ同時に返答する。
「いいえ、何故以降はかき消されて聞こえませんでした」
「はい、燭台とまで言ったのがはっきりと聞こえました」
二人が嘘を吐く必要はないが、今一つ信じがたい。しかし、もう一度あの不快な音を聞くのは御免こうむりたいので、彼は台詞を少し変えて続けた。
「オレ以外の参加者の名前が書いてあるのは何でだ?」
「『特別に同陣営の参加者一名の離脱条件が貴方方には与えられます。』」
魂之助は貴方方と言ったが、この貴方方には審神者も含まれる。女が持っているのは山姥切国広に隠された遊戯者名『写し』のタブレットだが、写しの他には、一期一振に隠された『五七桐』の名前が書いてある。
「『各参加者には、それぞれ独自の離脱条件があります。遊戯の目的はただ一つ。自分を神隠しした刀剣男士もしくは自分が隠した審神者よりも先に、自身の離脱条件を達成することです! 相手よりも先に離脱条件を達成した者が、この遊戯の勝者となります。』」
「『ふざけるな!』」
写しになりきった女が声を荒げる。
「『こんな条件達成できるものか! 今すぐ変えろ!』」
「『離脱条件を変更する手段は用意しています。』」
魂之助の頭上に金色に輝く刀装のような球体が現れた。第一回秘密遊戯の反省を踏まえ導入された道具、『宝珠』だ。
「『これは宝珠。離脱条件の変更、もしくは遊戯を棄権することができます。』」
参加者が宝珠に触れると、離脱条件の変更と遊戯の棄権、どちらを選ぶのかを聞かれる。離脱条件の変更を願えば、使用者の離脱条件および対となる参加者(審神者が使用すればその審神者を隠した刀剣男士、刀剣男士の場合はその刀剣男士が隠した審神者)の離脱条件が変更される。
ただし、離脱条件はより達成が困難なものになるので、女が演じた参加者の希望は叶わない。女は台本にはない乱暴な言葉で魂之助を罵ったが、魂之助は決まりですのでの一言であしらった。
「『宝珠は十五分ごとに置き場所が変わります。また、一度使用もしくは破壊すると、二時間経つまで現れません。刀剣男士1の刀剣男士様および審神者5の審神者様は、特にご留意ください。』」
「審神者5の離脱条件にある『政府の用意した道具』は、宝珠のことですか?」
「政府の用意した道具については後ほど詳しく説明します。先に『遊戯の棄権について説明します。棄権すれば使用者の組は引き分けとなり、審神者様の魂は消滅し、次の世に転生することは叶いません。しかし、刀剣男士様との繋がりは断ち切れます。また、刀剣男士様は審神者様を失いはしますが、定められた期間まで御本霊に呼び戻されることはありません。』」
宝珠の説明が一区切りついたところを狙い、彼も台本にない質問をしてみた。一度宝珠が使用された後に、刀剣男士1が宝珠で離脱条件の変更を願った場合、刀剣男士1の離脱条件は達成したとみなされるのか。
なかなか気の利いた質問だと彼は心の中で自画自賛したが、離脱条件をどう解釈するかも遊戯の一部だと、魂之助は曖昧な回答しかしなかった。しかし彼は知っている。遊戯の一部というのは建前で、本当のところは前回大会のような事態に陥らないよう、曖昧さを残しておきたいのだと。
「続きまして、『政府の用意した道具について説明いたします。先ほどの宝珠以外にも、遊戯に役立つ道具を遊戯会場内に隠しております。宝珠以外の道具は、置き場所は変わりません』」
「『それでは説明になってない。全部でいくつある? どこに置いてある?』」
「『お答えできません。ご自分の目でお確かめください』」
「『離脱者の所持していた道具は? 共に消滅するのか、道具だけ残るのか』」
「……その質問、今回もありますかね?」
「ちゃんと台本にある質問ですよ」
「それはそうですが」
「また運営本部に確認するふりをすればいいじゃないですか」
「時間を見て判断します」
魂之助は最後にタブレットへの書き込み(離脱条件一覧や地図に文字を入力できるが、入力した文字は元からある情報と区別するため、黒ではなく赤く表示される。また、黒く表示されている文字を変更することはできない)について説明した後、必要に応じて遊戯中も補足説明を行うと前置きしたうえで、参加者に質問を募った。
女が先に質問をし、続いて彼の番となる。事前に用意していた質問は全て女が行ったので、もうないと答えてもいい。だが彼は考える。参加者が最後に何を確かめたいのか。しばらく考えた後、彼はこう口にした。
「この遊戯に勝てば、本当に現世に帰れるんだよな?」
彼は刀剣男士役だったが、魂之助は審神者からの問いと受け止めた。
「はい。審神者様が勝利した暁には、対戦相手の刀剣男士様は本霊の元へ還り、審神者様は現世へ帰還できます」
刀剣男士側の確認は女が行った。
「俺が勝てば本霊と同格の神格が手に入り、主と永遠の時を過ごせる。違いないな?」
「刀剣男士様の場合は、本霊と同格の神格を得ます。ご自身の神域に審神者様をお連れし、永遠の時を共に過ごすことが可能です」
魂之助は審神者に返したのと同じ調子で、刀剣男士にも返した。
魂之助による開幕の宣言が終わると、彼らがいた空間は強い光に包まれた。彼は反射的に目を瞑り、再び目を開いた時には、別の場所へ転送されていた。
開始位置は参加者ごとに異なるとのことだったが、彼がいたのは学校の廊下だった。周囲に他の参加者はおらず、右手には階段、左手にはトイレが見える。更なる情報を得るため後ろに振り向けば、短い階段を上った先に鉄製の青い扉があった。
彼は鉄製の扉に向かい、少しばかり重い扉を片手で開けると、湿気を含んだ空気が流れ込んで来た。踏み出すつもりでいた足が止まる。
外は雨が降っていた。躊躇するほどの雨勢ではないが、屋上にプールがあり、それが記憶にある姿と変わりないことがわかれば十分だった。
「会場は同じか」
遊戯者名『写し』は来た道を戻り、右手の階段から一階へと下りた。
政府主催の『秘密遊戯』。参加者は神隠しされた審神者と神隠しした刀剣男士。審神者は現世に帰るため、刀剣男士は永遠の命を得るため、遊戯に参加している。写しという名を与えられた彼も、現世に帰るため遊戯に参加した。
だが、彼には他の参加者と異なる点がある。彼は第一回秘密遊戯で『引き分け』となった参加者だった。ただし、前回大会における引き分けは今大会とは意味合いが違い、彼と彼を隠した山姥切国広は、共に勝者の条件も敗者の条件も満たさなかったので、協議の結果引き分けとなり、今大会で勝敗をつけることになったのだ。
そしてもう一つ、彼が他の参加者と異なるのはその姿だ。一階に下り、中庭を囲むガラス壁に、写しの姿が映る。身長は成人男性の平均程度、学生服に防具を付けたような変わった格好をしているが、何より目を引くのは、金色の長い前髪でも隠し切れない人間離れした美貌だ。
「クソが」
写しがそう吐き捨てると、ガラスに映る山姥切国広の顔が歪んだ。
中庭を東に曲がって最初に見える部屋は、前回と同じく理科室だった。雨が降っていることもあって室内は薄暗く、彼は試しに照明のスイッチを押したが、電気は点かなかった。
「(今回もか)」
心の中でつぶやき、部屋の中へと進む。黒板横にある準備室、準備室入口の前にある透明なケースに入った人体模型、等間隔に並んだ実験台。屋上のプール同様、前回から変わりはない。だが、どの実験台の上にも目当ての物は置かれていなかった。
「……」
期待していたからこそ真っ先に理科室にやって来たわけだが、一方で想定どおりの結果でもあった。
何故なら、政府は審神者の敗北を望んでいる。
元政府の役人で政府の内情に詳しい彼が、前回大会の経験から導き出した答えだ。審神者7『刀剣男士が審神者に怪我を負わす』が抑止になっているとはいえ、ルール上審神者への攻撃は禁じられていない。真名による呪いも、前回同様有効だろう。
「……クソがっ」
写しは身を翻し、入って来たのとは別の戸から出ようとした。しかし彼は足を止め、振り返る。
──もちろんだ。刀解されるだけで……
不安定な心が生んだノイズだとわかっているのに、動けなかった。写しはしばし躊躇した後、もう一度クソがと吐き捨てると理科室の中へ戻る。まずは準備室から探し、続いて人体模型が入ったケースの中や、実験台の引き出しの中まで確認したが、目当ての物どころか他の政府の道具も見つからなかった。
時間を無駄にしたことを後悔しつつも、無心に物を探す時間は彼を冷静にさせた。写しはあることを確認するため、二階の放送室に向かった。
彼は審神者8『2名以上の刀剣男士に自分の真名を伝える』である。達成が困難な条件だと誰もが思うだろうが、彼は前回大会で『校内放送で他の参加者へ真名を伝える』という最適解を得ていた。
最初に向かったのは理科室だが、放送室こそ彼が最も期待していた場所であり、少し前の彼ならば期待を裏切られたとわかった瞬間、遊戯中であることも忘れ喚き散らしていただろう。
しかし、冷静さを取り戻した彼は前回大会で放送室があった場所が壁になっていても、舌打ちするに留めた。
「そう来たか」
念のため壁に触るが、正真正銘、ただの壁だった。
──審神者6の徳島。真名は×××。
──離脱者の発表を行います。審神者6の徳島、敗北。刀剣男士6の……
この壁の向こうで、年若い女の未来が断たれた。写しは彼女のことを、刀剣男士に感情移入して身を滅ぼした馬鹿な女だと思っている。けれど、魂之助の離脱発表の後に聞こえた絶叫は、今も頭から離れない。
「違う」
彼はあえて声に出して言った。同情なんかしていない、俺はあんな風にはならないと自分に言い聞かせるための宣言だった。
「俺は勝って、あのクソ野郎に地獄を見せてやる」
放送室が使えない以上、正攻法で挑むしかなかったが、写しにはもう一つだけ試したいことがあった。
前回大会どおりであれば、情報処理室に簡易の鍛錬所があり、そこで新たな刀剣男士を鍛刀できる。写しは三階の地図を開くと、情報処理室があった場所が消えていないことを確認し、近くの階段から三階に上がった。
情報処理室は三階西の端にあり、東端の階段を上ってきた彼は三階を突っ切る必要があったが、幸いなことに刀剣男士と遭遇せずにすんだ(離脱条件を考えると、幸いと言っていいかはやや疑問が残るが)。
恐る恐る戸を開けると、机の上に開発初期段階の分厚いパソコンが見えた。
「(第一関門クリア)」
わずかな隙間から体を滑り込ませ、後ろ手で戸を閉める。視線は既にホワイトボード横にある準備室に向けられていた。
彼は逸る気持ちを抑え、深呼吸し、左右を見渡した。他の参加者はいないと安心したのも束の間、視界の端に動く影が見え、息をのむ。しかし、本丸にもいた小人のような刀鍛冶だとわかり、脱力した。
「鍛刀がしたい」
写しがそう言うと、刀鍛冶はタブレットを両手で掲げ、写しに近づいてくる。どうやら今回の刀鍛冶は木のプラカードではなく、タブレットでメッセージを伝えるらしい。隣に来た刀鍛冶のタブレットの黒い画面に、白い文字が浮かび上がる。
『依頼札を探してきてください』
タブレットの文章を読んだ彼は、実際に自分の目で確かめるため、刀鍛冶をその場に残し準備室へ行った。彼が手を伸ばす前に扉は自動で開き、小さな鍛錬所が現れる。資源置き場には各千ずつ資源が、札置き場には手伝い札と富士札が置いてあったが、依頼札は見当たらなかった。
「『完売』ではないんだな?」
後ろを付いてきた刀鍛冶に聞けば、刀鍛冶はこくこくと頷く。
「依頼札は全部で何枚ある?」
審神者1『刀剣男士を1振刀解する』
審神者5『政府の用意した道具のうち、2つ以上を使用し、1つ以上を破壊する。ただし、自らの手で行うこと』
審神者7『刀剣男士が審神者に怪我を負わす』
審神者8『2名以上の刀剣男士に自分の真名を伝える』
離脱条件の達成に依頼札が関わる審神者は、彼を含め四人いる。二度目の質問に答えるため、刀鍛冶が持つタブレットの文字が薄れていって消え、代わりに新たな文字が浮かび上がる。
『荳?譫壹〒縺』
不意打ちを食らい顔が強張る写しを見て、刀鍛冶が不思議そうに首を傾げる。写しは刀鍛冶の真意を読めずにいたが、刀鍛冶はタブレットを裏返すと驚きで飛び上がり、その拍子にタブレットを落としてしまった。
「……まあいい」
試しに聞きはしたが、枚数の見当はついていた。もちろん彼が予想する枚数でも、協力し合えば全員が離脱条件を達成できるが、彼にとっては考えるだけばかばかしいと思うほど、ありえない発想だった。
転送先で彼女が見たのは、四台のコピー機と壁際に積まれたコピー用紙の山だった。正確には作業台と思われる机もあったが、どちらにしろ、彼女のイメージする中学校とは異なっていた。
引っかかりを感じつつも、誤った場所に飛ばされたのではと疑念を抱くほどの余裕はなく、彼女は支給されたタブレットを操作し、離脱条件一覧を開いた。遊戯説明の場でも見たが、彼女の遊戯者名である『長船』の名があるのは、十六の離脱条件の一番上。『刀剣男士を1振刀解する』が、彼女に与えられた条件だった。
彼女が現世に帰るためには、彼女を隠した燭台切光忠より先に、この離脱条件を達成しないといけないわけだが、達成方法は皆目見当がつかなかった。
「刀解に合意する刀なんているわけないじゃないか」
刀解とは一度依り代に降ろした神を、一定の手順を踏んで本霊の元へ還す儀式である。刀剣男士が自身より神格の低い審神者に従うのは、偏に彼らの好意によるものであり、本霊に還ってもらうにも彼らの意思を尊重せねばならない。
──道具の中には、獲得することで遊戯を優位に進められる物もあります。
魂之助の言葉を思い出し、長船は地図を開いた。遊戯会場のメインとなる建物は四階建てで、一階渡り廊下で他の建物(現在地どころか部屋の名称も表示されないので推測になるが、体育館や講堂だと思われる。東西に一つずつあり、西側はさらに小さな建物が側に建っている)と繋がっている。校舎は東西に長く、二階から四階の同じ部分にバツ印があることと各階とも外階段で行き来できること以外は、特筆すべき点はない。
彼女は学校にしては狭いと感じた。小学校から大学まで同じ敷地に建っていた母校を基準に考えていたからだが、それでもと彼女は思う。魂之助は宝珠以外の道具については一切説明しなかった。道具の種類や用意されている数もわからない中探すのは、無謀としか言いようがない。
一方で、他に策がないのも事実であった。長船は溜息を一つ吐いてから、顔を上げた。スタート地点にあるとは思えなかったが、念のため今いる部屋の中を軽く探し、何もないことを確認してから彼女は部屋を出た。
ドアの先は一転して学校らしい光景が広がっていた。見ただけで学校の廊下だとわかる造り、それから特有の空気に、遊戯会場が中学校であることをようやく実感する。だが、学校らしい光景であるが故に、今自分がどこにいるのかは特定しづらかった。彼女は手がかりを求め、正面にあるガラスの壁の前に行き、下を覗き込んだ。
ガラスの壁の正体は、一階の中庭に光を通すための吹き抜けだった。雨のせいでぼやけて見えるが、背の高い樹木はなく、黄色い花が庭の至る所に植えられているのはわかった。
「(ここは二階かな)」
中庭との距離感からそう判断した後、左斜め前に階段があるのに気づき近くまで行ったが、まずは今いる階から調べようと思い直して、左手に見える普通教室へと向かう。室名札は抜かれていたものの、彼女が予想したとおり、中に入れば教壇と生徒用の机が並べてあった。
黒板横の掲示板に『3年1組 時間割表』と書かれた時間割が貼ってあるのを見、自身の経験から二階でなく四階かもしれないと長船は思ったが、そんな些細な疑念はすぐに頭から消し飛んだ。
いざ本格的に道具探しを開始する段階になって初めて、探す物の大きさがわからないことに気づく。もし隠された道具が消しゴムサイズだったとすると、ありとあらゆる場所が隠し場所の候補となる。机の中にあればいい方だ、隙間に入り込んだ消しゴムが掃除の時間に出てきた経験は長船にもあった。
そして何より恐ろしいのは、この部屋に道具があるとは限らないということだ。無謀だと思った彼女の直感は正しかった。
逃げ出したいと思ったからだろうか。部屋の中にばかり向けられていた視線が外へ行く。窓越しに雨に濡れた街並みが見えた。久しぶりに見る近代的な建物に対し、もっと感傷的な気持ちになってもおかしくないのに、長船は何の感慨も湧かなかった。
「(僕は何でこの格好なんだろう)」
それよりも、窓ガラスに映る仮の器が気になった。魂之助は、審神者には特殊空間である遊戯会場で自由に動けるよう、仮の器を用意したと言った。仮の器と言われてもピンと来ないと言った参加者がいた一方、相変わらず悪趣味だと漏らす参加者もいた。口にこそ出さなかったが、長船も後者の参加者と同じ感想を持った。
長船は跡取りの男児が欲しかった父のため、男の格好をし、男の振る舞いをして長年生きてきた。けれど窓ガラスに映る仮の器は、白いフリルのブラウスに深紅のスカートを履き、長い髪を三つ編みのハーフアップにしている。どれだけがんばって低い声を出そうと、誰も彼女を男と見間違えてはくれないだろう。
ただ、彼女にとってまったく覚えのない姿というわけではない。燭台切に神気を注がれ、女らしい体に作り変えられた姿を、政府は仮の器として選んだ。だから窓ガラスに女の姿が映っていても、彼女は驚かなかった。
「(この姿に慣れてしまった)」
神隠しされた直後は鏡を見る度に驚いていたのに、今では元の自分を思い出すことの方が難しい。
「(いろんなことに慣れてしまった)」
かわいいと言って髪を撫でられることも、逃げ出した長船を燭台切が迎えに来ることも。
「主、ここにいたんだね」
記憶の中の声と実際に聞こえた声が混ざり、彼女はゆっくりと後ろを振り返った。
「無事に会えて良かった。一人にしてごめんね、でももう大丈夫だから」
教室の戸の前に立っていた燭台切が、そう言いながら長船に近づいてくる。机が邪魔で逃げ道がないと長船は自分に言い訳をしたが、彼女の心の内に湧いたのは、恐怖や焦り、ましてや怒りではなく、諦めだった。
「主は審神者の何番だった?」
「……」
「タブレット、見てもいい?」
返事をするかわりに、彼女の視線は手に持っているタブレットへと向かう。遊戯の経過時間が画面の左端に表示されるが、まだ始まって四十五分しか経っていなかった。
ルールが一部変更になったとはいえ、秘密遊戯経験者である山姥切国広と彼の主──前回の遊戯では『写し』という遊戯者名だった──は、他の者より有利である。それ故、彼らは政府より制約が課せられていた。
政府の許可が出るまで、前回大会に関することは他言禁止。また、審神者・刀剣男士問わず、他の参加者への協力・妨害は禁止。他にも細々とした禁止事項はあったが、主なのはその二つだ。
いずれ撤回されるのだろうが、山姥切が一期一振と出会ったのは遊戯開始から二時間が経過した頃で、まだ政府の許可は下りていなかった。
「お久しぶりです山姥切殿」
「あんたとは初対面だが」
山姥切は他の参加者との接触を避けるべく、姿を隠しながら二階東端の部屋に来たのだが、戸を開けるなり一期一振と目が合った。薄灰色の机が二列に分かれて並んでいて、一期はその列の間にいた。
山姥切の頭に禁止事項が過ったが、部屋の中へ入り、前回大会と変わりがないことを確認する。もっとも、前回大会で彼がこの部屋に来たのは一度きりなので、細かな違いまではわからないが。
「これは失礼。私のいた本丸の山姥切殿を思い出して懐かしくなりましてな」
「そういうものなのか」
「そういうもんです。貴方は違うのですか?」
「本丸に俺以外の刀剣男士はいなかった」
「それはそれは」
含みのある返しをしておきながら作った笑みは微動だにしない。やりにくい相手だと山姥切は思った。だが、腹の探り合いに時間をかける気はなかったので、彼はすぐさま用件を切り出した。
「ここに政府の道具はなかったか?」
「……何故ここに道具があると思われたのです?」
「どこにあるかわからないから、先に来てたあんたにあったかどうかを聞いたんだが?」
もちろん嘘だ。山姥切は『遊戯会場にいる者の位置情報が表示されるアプリ』を得るためやって来た。
前回大会で彼は位置情報アプリを使い、彼の協力者および自身の主の居場所を突き止めた。アプリをタブレットに入れたのは山姥切ではないが、この部屋で彼は『参加者の位置情報を地図に反映させるアプリをダウンロードできます。』と書かれた説明書きを見た。政府の用意した道具の側には、その道具に関する説明書きが置かれている。少なくとも前回大会ではそうだった。
前回大会と同じ物が同じ場所に置かれているとは限らないが、山姥切は一期の反応を見て確信を深めた。
「あったんだな? ここに、政府の用意した道具が」
「……」
無言を肯定と捉え、山姥切は柄を握る。しかし、反射的に臨戦態勢を取ったが、刀を抜く状況になって困るのは制約がある山姥切の方だ。平静を装いつつ、状況を打破する次の一手を考えていると、一期がさらりと言った。
「ええ、ありましたよ」
山姥切が刀を抜くより先に、一期は顔の横にひしゃげた紙の筒を持ってくる。光沢のある金色の紙から白い糸が垂れていた。
山姥切は突如現れた謎の物体をまじまじと見つめた。そんな山姥切を見て一期はくすくすと笑いながら手招きをし、一メートルほど離れた先にある机の前に彼を連れて来ると、今度は下を指さす。
『政府特製のクラッカーです。気分が明るくなります。(特別な効能はありません)』
前回大会と同じ材質の紙に、同じ字体で書かれた説明書きだった。
「審神者5のことがありますので、壊しておきました」
山姥切は顔を上げる。
「『政府の用意した道具のうち、2つ以上を使用し、1つ以上を破壊する。』」
「『ただし、自らの手で行うこと』……ですな」
山姥切が審神者5の離脱条件を口にすれば、一期がその続きを引き取った。
腹に一物どころか二物も三物もありそう男の言葉を鵜呑みにはできないが、机に貼られた説明書きが、ここに位置情報がわかるアプリは存在しないことを証明していた。
山姥切は被っている布を引っ張り目元を隠すと、一期へ背を向ける。次の行き先は決まっていた。『参加者Aの日記』が置いてあった四階の図書室だ。図書室に行くには来た道を戻るより外階段から向かう方が早く、彼は外階段に繋がる曇り硝子の開き戸の前まで行ったが、そこで『茶坊主』と呼ばれた審神者のことを思い出す。
「……」
審神者7がいる間は問題ないが、釘を刺しておいた方がいいと判断した。
「俺の主に手を出したら、誰であろうと切る」
「承知しました。それで、貴方の主はどのような方で?」
既視感のあるやり取りに、山姥切の眉間に皺が寄る。山姥切は振り返ると、いら立ち混じりに言った。
「俺の主は俺だ!」
ここに来て初めて、一期の表情が崩れる。山姥切曰く、『何言ってんだこいつ』と思っている顔になった。
彼の主に会えば彼の言う意味は瞬時に理解できるはずで、主を守るという意味では、これ以上の説明は必要ない。しかし、ふと興味が芽生えた。
「俺は主のことがわからなかった」
鶴丸に隠された女は、策を練るための情報の一つとして受け止めた。その横にいた源氏の重宝は、面白いことするねとのんきに言った。
「初期刀として俺を選んでおきながら、何故俺を見ないのか。何故他の刀を求めるのか」
三人目は自分の主のこと以外とことん興味がなく、『あの男』は夜の闇の中でもわかるほどに顔を引きつらせていた。
「だから俺は主を俺と同じ姿に変えた。写しの身でも、自分のことならわかる。俺だったら俺のことを見る」
そして彼の主は、彼の想いを強い怒りで否定した。
果たして豊臣秀吉の愛刀はどのような反応をするか。崩れた表情は話の途中で元に戻ったが、一期は何も言わない。せっかちな彼はそれが一期の答えだと判断し、曇り硝子の戸に視線を戻したが、一期が彼を引き留める。
「一つ聞いてもよろしいですかな」
「何だ?」
「貴方の望みは叶いましたか?」
「……いや」
山姥切と彼の主は何もかもが一緒になったはずなのに、彼は山姥切の顔で山姥切をにらみ、山姥切の声で山姥切を口汚く罵る。山姥切は不思議でならなかった。何が足りないのかをずっと考え続けていた。
けれど、前回の秘密遊戯で、彼は自分の考えが誤っていたことに気づく。
「山姥切長義と写しの俺が異なる存在であるように、俺を基に作り直しても、主は主だ。俺にはならない」
「主を神隠ししたこと、後悔されているのですか?」
一期の問いかけに一泊間を置いた後、彼は再び否定した。
「異なる存在を俺にしようとしたのが間違いだったんだ。主を俺に混ぜれば、主は俺になる」
そう告げる彼に迷いはない。返事が遅れたのは、見当外れなことを聞かれたせいだ。
「そうすれば今度こそ、主は俺を見る」
遊戯者名『菊一文字』は、膝に置いたタブレットを拾うと、離脱条件一覧を開いた。
≪離脱条件一覧≫
審神者1:???
離脱条件 刀剣男士を1振刀解する
審神者2:菊一文字 2:33:34
離脱条件 5時間以上他の参加者と遭遇しない
審神者3:???
離脱条件 5時間以上嘘を吐かない
審神者4:???
離脱条件 遊戯の勝者が2名以上になる
審神者5:播磨
離脱条件 政府の用意した道具のうち、2つ以上を使用し、1つ以上を破壊する。ただし、自らの手で行うこと
審神者6:???
離脱条件 審神者が1名以上遊戯に勝利する
審神者7:???
離脱条件 刀剣男士が審神者に怪我を負わす
審神者8:???
離脱条件 2名以上の刀剣男士に自分の真名を伝える
刀剣男士1:???
離脱条件 宝珠が2回以上使用、もしくは破壊される
刀剣男士2:???
離脱条件 遊戯開始から12時間が経過する
刀剣男士3:???
離脱条件 全ての離脱条件の所持者を特定する
刀剣男士4:???
離脱条件 審神者8以外の審神者の真名を把握する。ただし、本人から直接聞かなければならない
刀剣男士5:???
離脱条件 審神者の半径3.28メートル以内に連続して3.28時間いる
刀剣男士6:???
離脱条件 参加者4名以上に対し、離脱条件の達成を妨害する
刀剣男士7:???
離脱条件 審神者から神隠しの合意を得る。ただし、暴力や真名を使用した呪いは使ってはならない
刀剣男士8:???
離脱条件 2名以上の審神者と、2時間行動を共にする
菊一文字は溜息を吐くと、またタブレットを膝に置いた。彼の遊戯者名の横にある時間表示(遊戯開始後に突如現れた)について、説明は何もなかったが、ホーム画面にある経過時間と彼の離脱条件から考えて、離脱条件達成までの残り時間だろう。
「(半分まで来たと思うべきか、まだ半分しか経ってないと思うべきか)」
体感で言えばとっくに五時間以上経っているのに。菊一文字は再度溜息を吐いた。
魂之助による説明の後、菊一文字は教材置き場と思われる薄暗い部屋に転送された。そのまま動かずに隠れていても良かったかもしれないが、より安全な場所を求め会場内を見て回るうちに、屋上へたどり着く。
外は雨が降っていた。小雨でも必ず傘を差す彼からすれば、立入を禁止されたに等しかったが、プールサイドの隅に三角屋根の小さな物置を見つける。彼は着ていたロングカーディガンを傘代わりにすると、物置まで走った。
物置にはデッキブラシとホースが納められていたが、隅に固めれば足を伸ばして座れるだけのスペースは確保できた。用具を片付けたことで現れた黒ずんだ床は見なかったことにし、菊一文字は屋上の物置で時間が過ぎるのを待つことにした。
「(則宗さん、どうしてるかな)」
自分を神隠しした男のことを考える。
「(一番いいのは刀剣男士7だけど、刀剣男士2と1以外ならどうにかなりそう。というか、どうにかしてくれるはず)」
──わかった。×××、僕の神域に来るといい。
見るからに薄い壁なのに、雨音は聞こえてこない。けれど、湿気を含んだ空気が肌にまとわりつき、雨が降っているのだと彼に教える。だからだろうか、初めて名前を呼ばれた雨の日のことを思い出し、彼は目を閉じ天を仰いだ。
則宗との出会いは、最悪だった。彼の両親は彼に『あなたの病気を治してくれる刀の神様よ』と言って則宗を紹介した。彼は自分より先に親の頭がやられたと思ったし、則宗のことを人の弱みに付け込む詐欺師とも思った。
けれど重い病を患っていた彼に抵抗する力はなく、本丸と呼ばれる広い家で一文字則宗との同居生活が始まる。
何一つ安心できない始まりではあったが、意外なことに、同居人としての則宗は悪くなかった。異常なほど過保護になった両親と違い、彼は十六歳の少年との適切な距離を心得ていた。彼ができることとできないことを見極めたうえでサポートし、からかうことはあっても彼のプライドを傷つけることは決してしない。
親しくなるうちに、則宗が噂に聞く刀剣男士であることを知ったが、飄々とした同居人が人ではない異質な存在であると、どうしても彼には信じられなかった。
菊一文字が考えを改めたのは、本丸に住むようになって一年が経った頃だ。彼の母親は本丸で刀剣男士と住み続ければ病気が治ると彼に説明したが、実際は病気の進行を遅らせることしかできず、菊一文字は寝たきりの状態に陥る。
あの日、外は雨が降っていた。首を動かして外を見ることは叶わなかったけれど、雨特有の湿気を含んだ空気が肌にまとわりつき、不快だった。なあ坊主と枕元に座った則宗が、彼の顔を覗き込んだ。彼が何度自分の名を教えても、則宗は彼を坊主としか呼ばない。ただ、その時はいつもの飄々とした様は鳴りを潜め、彼の知らない顔をしていた。
──僕はお前さんが死なずにすむ方法を知っている。
だが人によっては死より辛い方法なのだと則宗は言う。そして則宗は、死の何が怖いのか彼に聞いた。
──親兄弟と会えなくなることか?
──未知の世界へ旅立つことか?
──それならやめておくんだな。
若く美しい、人間離れした美貌。それでいて話す言葉一つ一つに、老成した者にしか出せない重みがある。
答えなければいけない、拒否することは許されないと本能が告げた。菊一文字は初めて、神の存在を理解する。けれど、何と答えればいいのかがわからなかった。医者に不治の病だと告知されてから今に至るまで、自身の死と死後について繰り返し考えてきたけれど、答えは常に靄の中にあった。
考えているうちに、天井の木目がぼやけ、辺りが暗くなっていく。雨のせいではなかった。ぼやける視界の中、過去の映像が鮮明に映し出されたからだ。
小学校の運動会や中学の入学式を映したかと思えば、母方の祖父母からもらったお年玉が期待した額とはかけ離れていたとか、弁当だけでは足らず友達と購買でパンを買ったとかいう些細な出来事まで。映っては消え、映っては消えを繰り返す。
最後に映ったのは、小学二年生から通っている道場だった。剣道は親に強制されて始めた習い事で、楽しい思い出もあるにはあるが、熱中症になりかけた夏の日や、足が冷たくて泣きそうになった雪の日のことの方が真っ先に思い浮かぶ。
それなのに、今は稽古がしたくて仕方なかった。あの日常に帰りたい。死が怖いとすれば、永遠にあの日常に帰られなくなること。答えを見つけた彼の目から、涙が零れた。
──もう一度、竹刀を握りたい。
きちんと声になっていたか彼にはわからなかったけれど、則宗が彼の手を握った。華やかな容姿に反し、刀を握る者の硬い手だった。わかったと則宗が言う。
──×××、僕の神域に来るといい。
初めて名前を呼ばれた日、彼は神隠しされ生きながらえた。
ある日、菊一文字が暮らす則宗の神域に、一文字則宗の本霊を名乗る男がやって来た。則宗と寸分違わぬ見目をした男は、政府主催の『秘密遊戯』が開催されると言った。彼は審神者の才こそあったが審神者としての知識はなく、本霊は彼らの常識を彼に教えた後、秘密遊戯について語った。
秘密遊戯とは、神隠しされた審神者と神隠しした刀剣男士が争うゲームである。彼の知る一文字則宗は、一文字則宗の神霊から分けられた分霊であり、存在できる期間は九十九年と決まっているが、秘密遊戯で勝てば本霊と同等の神格が手に入り、永遠の存在となる。
一方、菊一文字が勝てば、則宗は九十九年を待たず強制的に本霊へ還される。則宗の神域は崩壊し、彼は現世へ戻ることができる。
望まぬ神隠しに遭った審神者であれば朗報なのだろうが、菊一文字は違う。菊一文字が口を開く前に、本霊が待ったをかける。
──話は最後まで聞くんもんだぞ坊主。
──……坊主の治療法が見つかったのか?
彼は則宗の方を向き、その後、答えを得るためもう一度本霊を見る。声やしゃべり方まで則宗そっくりな本霊は、口角を上げた。
──治療法どころか、お前さんの体を蝕んだ病はもう存在しない。
彼の病は歴史の歪みにより生まれたものであり、歪んだ歴史が正された結果、病そのものがなくなったのだという。本霊は再び歪められた時にどうなるかはわからんがと前置きしたうえで、則宗が望めば秘密遊戯に参加できるとも言った。
本霊の視線は菊一文字から則宗に移り、つられて彼も則宗を見たが、すぐに顔を逸らした。自分の胸の内に湧いた思いを、彼は恥じた。彼が望んだ日常とは違うけれど、健康な体を取り戻し、再び竹刀を握れる喜びを与えてくれたのは誰でもない、則宗だ。
坊主と則宗が彼を呼ぶ。だがその呼びかけに、菊一文字は応えることはできなかった。口を開けば言ってはならないことを言ってしまいそうで、膝の上に置いた拳を強く握り締める。
坊主と再び則宗が呼ぶ。今度は肩を叩かれた。自分に構わず早く断ってくれればいいのにと思いながら、則宗が折れる気がないことも感じ取っていた。仕方なく顔を横に向ければ、頬に則宗の指が当たった。呆気に取られる菊一文字に対し、則宗はいたずらが成功しにんまりと笑う。
──子供が一丁前に気を遣うんじゃない。
菊一文字の目を見つめ、則宗が坊主と言う。彼はいつぞや見た神の顔になっていた。
──物は……
ガタンと戸が開く音がし、菊一文字の意識は現実へと引き戻される。建て付けが悪く、戸を開けるのに力が必要だったことを思い出す前に、彼は反射的にタブレットを拾い、身構えた。
雨音と共に現れたのは、黒いマウントパーカーのフードを被った……女性だった。緊張していた体の力が一気に抜け、菊一文字は安堵の溜息を吐く。しかし安心したのも束の間、重要なことを思い出し、離脱条件一覧を確認する。彼の遊戯者名の横にある時間表示は『5:00:00』にリセットされていた。
「もしかして、貴方は」
貴方という二人称を使われたのは初めてで、自分に対して言っているとわかっていても違和感があった。菊一文字はタブレットから顔を離し、改めて目の前に立つ女性を見る。
女性は彼の母親と同世代に見えが、全身黒のカジュアルなファッションといい話し方といい、彼の周りにはいないタイプの女性であった。
「審神者2ですか?」
遊戯者番号を言い当てられ、困惑しつつもはいと返事をする。返事をした後に身を隠している審神者=審神者2と考えたのだと気づくが、女性は彼の反応を違うように解釈したらしい。
「離脱条件、私のせいでリセットされてしまいましたよね……すみません」
「ああ、いえ」
気にしないでくださいと言おうとしたがスムーズに言葉が出ず、気まずい沈黙が流れる。
「本当にすみませんでした。道具が隠してありそうな場所だと思って」
「道具」
「ええ、魂之助が説明した政府が用意した道具です。……責任転嫁しているようで申し訳ないですが、気を悪くしないでくださいね? 雨が降っていて気軽に立ち寄れない場所に、唯一物が隠せそうな物置があったら、中を確認してみようと思うのは私だけではないと思いますよ」
気を使った物言いではあったが、菊一文字は頭を思い切り殴られたような衝撃を受けた。雨に濡れるのを嫌がるなんて自分くらいなのだと、彼は己の甘さを自覚した。
──物はいつか壊れる。それが少し早まるだけさ。
則宗はいつぞや見た神の顔をして、そう言った。けれど、いつか壊れるからといって、いつ壊れてもいいわけではない。則宗には則宗の、なしたいことがあったはずだ。
「(則宗さんが刀剣男士2だったとしても、まだリカバリーできる)」
則宗ならどうにかしてくれるはず、ではない。則宗の想いに応えるため、彼自身で、どうにかしなければならないのだ。菊一文字は女性に言った。
「離脱条件がリセットされた以上、この機会を活かしたい。あなたが知っていること、俺に教えてくれませんか?」
女性の顔に一瞬緊張が走ったが、彼の決意が伝わったのだろうか。いいですよと言って、柔らかく微笑んだ。
「私は審神者6の『眉月』。三日月宗近に隠された審神者です。離脱条件は『審神者が1名以上遊戯に勝利する』。もちろん離脱条件のこともありますけど、審神者同士、協力してみんなで現世に帰りましょう。ただ、場所を移してもいいですか?」
「狭いですけど、もう一人くらいなら」
「待たせている人がいるんです。彼女も一緒にいいですか?」
「わかりました」
ダメ出しをされた場所にこだわる気は毛頭なく、彼はクッションにしていたカーディガンを頭に乗せ、物置の外に出た。
本人の中では整合が取れているのかもしれないが、狂人の理論は理解しがたかった。けれど、指摘したところで山姥切が受け入れるとは思えなかったし、そうする意味もない。一期にとって、これ以上彼を留まらせるのは得策ではなかった。
「引き止めてしまい申し訳ありませんでした。ご武運を」
「……」
強い視線だけ返してきた彼の考えは読めなかったが、山姥切は今度こそ曇り硝子の扉の向こうへ消えていった。
扉が完全に閉まったのを見届けてから、一期はタブレットを取り出し、地図を開いた。彼がいる二階の地図が画面に映り、階中央、東端の大部屋、大部屋隣の外階段の計三箇所に、青い点が表示されている。
『参加者の位置情報を地図に反映させるアプリをダウンロードできます。「遊戯の決め事」の「政府の用意した道具について」を選び、以下のパスワードを入力してください。』
一期は政府が用意した道具を二つ所持している。一つは山姥切に見せたクラッカー、そしてもう一つがこの位置情報アプリだ。道具の説明書きに従い、所定の箇所に十六桁の数字を入力すると、地図上に参加者の位置情報が表示されるようになった。
もっとも、参加者名は表示されないので個人の特定はできず、三色の点の違いも説明がないので自分で推察するしかない。
「(数と位置からして、青が刀剣男士、赤が審神者で間違いない。だが、二つある黄色は何を示す?)」
当初一期は、一階を転々とする黄色の正体を確かめに行くつもりだった。近くに審神者もいるのでちょうどいいと思っていたのだが……。
──ここに政府の道具はなかったか?
主を己と同じ姿に変えた山姥切国広。狂気の沙汰としか言いようがないが、秘密遊戯に参加している刀剣男士など、皆似たようなものだろう。彼が気になっているのは、何故山姥切は一期に道具の存在を聞いたかだった。
「(まるでここに政府の道具があると知っているようだった)」
一期が先に部屋にいたので聞いただけだと山姥切は言っていたが、果たして本当にそうだろうか。他にも不審な点はある。何故食い入るようにクラッカーの説明書きを見ていたのか? 何故外階段に繋がる扉を探す素振りなく見つけられたのか?
そして彼が最も腑に落ちないのは、山姥切がすぐにこの部屋に見切りをつけ、次の場所へ移ろうとしたことだ。一部屋につき道具は一つと考えたとしても不思議ではないが、もし山姥切が二つ目の道具を疑い、部屋に留まっていれば。部屋の奥まった場所にある扉──位置情報アプリが置かれていた部屋の扉──を見つけていたはずだ。
部屋に入りさえすれば、机の天板に貼られた位置情報アプリの説明書きを見つけ、入力すべきパスワードが書かれていない(パスワードは一期が入力すると消えてしまった)のを不審に思った。
「……」
彼が思考を巡らしている間に、外階段の青い点は三階、四階へと移動し、四階の東端の部屋に入っていく。部屋には赤い点も表示されていた。大義名分を得、一期は山姥切の後を追うことにした。
外階段を上りきると、二階と同じ曇り硝子の扉があった。彼らの間に割って入ることも考えたが、地図上の二点は会話をするには遠い距離を保ったまま変化がなく、不自然な距離の意味を計りかねた一期は待つことを選んだ。
元々期待はしていなかったが、建屋の中の様子は何も聞こえてこない。聞こえるのは、雨が降る音だけだった。外階段には屋根があるので濡れることはないが、湿気を含んだ空気が体にまとわりつく。
一期はふと思いつき、庭側に手を伸ばした。しかし、彼の手は屋根の外に出る前に、見えない壁に阻まれる。
「(ここにも逃走防止の結界が)」
一階の医療室と思われる部屋から建屋の外に出られはしたが、外階段より先は結界が張ってあって進めなかった。彼は手を引き、再び壁の向こうの様子を探ろうとした時、困ったように笑う主の姿が頭に浮かんだ。
──刀解なんて言わないでよ。一期は粟田口の大切なお兄さんで、
何故今と思うと同時に、これ以上思い出してはいけないと脳が警告を鳴らす。だが記憶の中の主は、なおも彼に語りかける。
──俺にとっても大切な人だ。
彼の愛した主は寛大だった。彼が想いを告げた後も近時の任は解かず、一期は主の最も信頼する部下であり続けた。
けれど、彼は寛大であるが故に残酷だった。一期と選んだ着物と羽織を着て、一期のことを大切だと言いながら、彼の想いをなかったことにした。
一期はもう理知的で物わかりがいい部下に戻ることはできなかった。その日を境に、主に臆することなく好意を告げ、時には弟たちを使い、主を振り向かせようと躍起になった。
「(ああ、なんて醜悪な姿だろう)」
粟田口吉光唯一の太刀であり、太閤秀吉の刀、帝に献上もされた自分が。これほどまでに落ちぶれてしまった。
──お慕いしております主。
──……駄目だよ。
──ならば刀解してください。
──そんなことできない。
──もう自分でも、自分の気持ちが抑えられんのです。
辛うじて残った理性で一期は刀解を願うが、彼の主は聞き入れてくれなかった。
──駄目なものは駄目なんだ!
そう言って走り去った彼は、きっと気づいていない。あの時、一期の手は腰に伸びていた。柄に手が触れる前に我に返り未遂で終わったものの、もう一人の彼が体から抜け出し、主の背に刀を振り下ろした。
刀を握っていない手に、肉を切る感覚が伝わってくる。遡行軍とは違う、人の肉の感触だ。戸惑う彼をよそに、もう一人の一期は刀を振るって血を飛ばし、感情の抜け落ちた顔で畳に横たわる主を見下ろす。
返り血を浴びた髪の毛先から血が雫となって顔の中心を流れ落ちるが、一期は微動だにしない。見ている一期の方が血の流れる感覚に耐え切れなくなり、顔を拭うため手を上げたが、もう一人の一期も同じ拍子で手を上げる。
顔を拭うために上げた手が、口元を覆う。肌に触れた途端、顔の筋肉が動いた。恐る恐るもう一人の自分を見ると、口を隠していてもはっきりとわかるほど、笑っていた。
口元に手をやると手袋が湿り気を帯びていたが、血ではなく雨のせいだとわかる程度には冷静だった。
「逃走防止、か」
何故今と己への問いかけに対する答えを見つけ、一期は苦笑する。改めてタブレットを確認すれば、わずかな時間の間に動きがあった。
山姥切たちがいる部屋は南北に長く、外階段は部屋の中央より南に位置しているのだが、山姥切は北側出口付近に移動していた。一方の審神者はというと同じ場所に留まったままで、山姥切を追ってきた一期ではあったが、山姥切が部屋を去ったのを確認してから、扉の取っ手を捻った。
扉を開けて見えたのは、一定の間隔を空けて並べられた長机とその向こうに見える複数の書棚だ。図書室のようだと一期は思った。左手奥にある半円の台は受付台だろう。筆立てやノートパソコン(彼自身は使ったことはないが、主の側に控えることが多かったので、用途は知っていた)が置かれている。
一期はタブレットを見、それから再度受付台の方を見て、なるほどなと心の中でつぶやいた。タブレット上の赤い点は受付台の後ろに位置しているが、彼の瞳に映るのは、壁一面の書棚だった。地図と見比べなければ、書棚の後ろに身を隠せる空間があるとはまず思わない。
「(今の私たちが気配を辿れないとわかったうえで隠れているのか)」
平時ならば、たとえ姿は見えずとも審神者が隠れていると気づけたはずだ。しかし、山姥切の時もそうだったが、山姥切が部屋に入ってきて一期がその姿が認めるまで、一切の気配を感じなかった。
「そこにいらっしゃるのでしょう? 審神者殿」
審神者の考えがどうであれ、一期は審神者を捉えた。それが全てだ。悪趣味なのは承知のうえで、隠れている審神者に話しかける。そしてわざと靴音を立て、ゆっくりと、書棚へ向かって歩いていく。
「大人しく従ってくれれば、悪いようにはいたしません。私は刀剣男士8ですから」
離脱条件に審神者が必要な刀剣男士だと明かすも、審神者からの反応は返ってこない。一期は歩きながらタブレットを横目で見るが、地図上の赤い点は尚も動かない。恐怖で動けなくなったか、それとも何か策があるのか。考えているうちに、半円の台の前にたどり着いた。
書棚の後ろに行くには、半円の机を乗り越えるか回り込むかしなければならなかったが、一期はノートパソコンの画面が白いことに気づく。ノートパソコンは部屋に来た時から開いていたが、その時は画面が黒く、電源は入っていないのだと一期は思っていた。
しかし、近づいて真正面に立つと、画面は白く変わった。一期は文字を打つ箇所の下に存在する正方形部分に指で触れた。
氏 名:―― ―――
性 別:男性
登録番号:202111581
管 轄:岩見国
就任年月:22××年9月
失踪日(神隠し):22××年9月××日
刀剣男士:鶴丸国永
白い画面に、二十代と思しき男の写真と紹介文が映る。指先で操作して画面を上に動かすと、また別の若い男の写真が出てくる。品があり、育ちの良さを感じる先ほどの青年と違い、これといった特徴のない男だったが、刀剣男士の欄には和泉守兼定と堀川国広の二振りの名前が書いてあった。
その後も画面を遡るごとに二十代から三十代の男女(一人だけ還暦過ぎの男がいた)の写真と刀剣男士の名が表示され、最後に彼の主が現れた。
氏 名:――― ――
性 別:男性
登録番号:203231021
管 轄:相模国
就任年月:22××年5月
失踪日(神隠し):22××年12月××日
刀剣男士:一期一振
彼の主は神隠し後も、真名を頑なに隠し続けた。手荒く扱ってもなだめすかしても、暴くことができなかった主の真名が、今目の前にある。一期は顔を上げ、正面の書棚を見た。
「――」
緊張から主の名を呼ぶ声は掠れた。だが、いくら待てども沈黙しか返ってこない。安心している自分に複雑な思いを抱くも、主でないならば躊躇する必要はなかった。一期はまず、秋田藤四郎に隠された審神者の名前を呼んだ。
「――」
反応がなかったので、次に明石国行、その次にへし切長谷部の審神者を呼ぶ。書棚の向こうは静かなままだ。
氏 名:―― ―――
性 別:女性
登録番号:198222965
管 轄:相模国
就任年月:21××年7月
失踪日(神隠し):22××年3月××日
刀剣男士:薬研藤四郎
「―――」
女の名を呼んだ瞬間、空気が震えた。一期が出てきなさいと命じると、薬研藤四郎の審神者が姿を現す。
年の頃は彼の主の実年齢(三十代と間違われることが多いが、彼が神隠しした時の年は二十三だった)と同じくらいに見える。女にしては長身で、履いている厚底の靴を差し引いても、同田貫と同程度はあった。
一期は女に微笑みかけ、手のひらを見せた。
「貴方のタブレットをください」
元々青かった女の顔が、ますます青くなる。だが真名を掴まれた以上命令には逆らえず、女は体を震わせながら握り締めていたタブレットを一期の手に置く。下向きに置いたのはせめてもの抵抗なのだろうが、一期は躊躇なくタブレットを裏返した。
「貴方は審神者4ですか?」
遊戯者名が書かれていたのは、審神者4『五十番』と審神者8『写し』だった。山姥切国広が参加している以上、薬研の審神者が『写し』になるとは考えにくい。しかし、彼があえて尋ねたのは、五十番という遊戯者名と薬研が結びつかなかったからだ。
「そうだけど」
「失礼、貴方が五十番になる理由がわからなかったもので」
「刀帳番号が五十番あたりじゃなかった?」
「(薬研は四十九番のはずだが)」
結局名づけの理由はわからずじまいだが、真名を掴まれた女が肯定したのだ。彼女が『遊戯の勝者が2名以上になる』が離脱条件の『五十番』であることに違いはない。
「先ほども申し上げたとおり、私は刀剣男士8。貴方が協力してくださるなら、悪いようにはいたしません。……貴方にとっても悪い話ではありますまい。違いますかな?」
一期が女にタブレットを返すと、女は受け取りはしたものの、何も言わず目を逸らしてしまう。だがそれは、罪悪感と後ろめたさ故だと彼は見抜いていた。
順調に事が運んでいることを喜ぶ一方、一期は女を浅ましいと思った。現世に帰るためならば、こうも簡単に同胞を裏切られるものなのかと。
私の主ならばと一期は考える。彼の主は心根の優しい人だ。己に良からぬ想いを抱く男にさえ情けをかける。主がもし女と同じ立場になったとしても、彼ならば……。
「何?」
「何、とは?」
「何もないなら別にいいけど」
一期は質問の意図がわからず問い返すが、女は自己完結してしまう。しかし、女の横顔は腑に落ちていないように見え、その横顔を眺めるうちに、一期は自分の考えが表情に出ていたのだと気づく。
彼の主は優しい人だ。神隠しした後でさえ、彼は一期に怒りを向けなかった。秘密遊戯への参加を拒んだのも、分霊の一期が消える可能性を危惧したからだった。
だが、彼が一期から逃げ続けたのもまた事実だ。想いを受け止めることも刀解もせず、秘密遊戯に関しては一期と永遠を共にすることを拒んだとも言える。そんな彼が、もし女と同じ立場になり、決断を迫られたならば。きっと一期を拒む選択を取るだろう。
四階には薬研の審神者以外に、二人審神者がいる。一人は西端の小部屋に刀剣男士といる審神者、もう一人は吹き抜け付近の廊下にいる審神者だ。
図書室からの距離や刀剣男士の存在を考慮すれば、狙うは必然的に吹き抜け付近の審神者になる。一期は女にノートパソコンを持ち運ぶよう命じると、二人目の協力者を確保するため、部屋を出た。
しかし、斜め前方にいるはずの審神者の姿が見当たらない。どうやらタブレットから目を離した一瞬の隙に逃げてしまったらしい。吹き抜け前の階段から、階段を駆け下りる音が聞こえてきた。
「(勘づかれたか)」
しかし、彼は即座に自分の考えを否定した。刀剣男士でさえ気配を正確に察知できない状況下で、審神者が先手を打てるはずがない。単なる偶然、そう考えるのが自然だ。
「……」
疑念は解消されなかったが、優先すべきは審神者の確保である。姿は見えなくとも、位置情報アプリのおかげで件の審神者が三階に下りたのはわかった。一期は階段まで走り、その勢いのまま手すりを乗り越えると、三階に飛び降りた。
着地と同時にタブレットを確認すると、審神者は東端の部屋──図書室の下に位置する部屋──の中だった。外階段から逃げるつもりなのかもしれない。後を追おうとした一期だが、吹き抜けの支柱を挟んだ向かいに、赤い点があるのに気づく。
三階にも一人審神者がいたことを思い出し、一期は顔を上げた。距離があるのに加え、外は雨が降っている。硝子の支柱越しに見る人物は、とてもおぼろげだ。けれど、一期が己の主の姿を見間違えるはずがなかった。
「――!」
いざ主を前にすると、その名を口にすることに躊躇は覚えなかった。名を叫ぶと同時に、一期は支柱を回り込む。遊戯会場にいる審神者の肉体は遊戯のため用意された仮の器だと魂之助は言っていたが、彼が初めて仕立てた濃紺の着物に同色の羽織を羽織り、筋肉が少ないので体の前で腕を組んでいる。容貌だけでなく、全てが主そのものだった。
「――」
もう一度真名で呼んだのは、未だ信じ切れない気持ちが残っていたからかもしれない。それか、決して逃がさないと無意識のうちに思ったからか。止めていた足を再び前に踏み出しても、主は逃げず、その場に留まり続けた。
一歩ずつ主へと近づくにつれ、一期は気分が高揚していくのがわかった。けれど、残り一間弱になったところで、不意に鯉口を切る音が聞こえる。周囲に一期以外の刀剣男士はいない。彼も刀に触れていないので、単なる幻聴だ。
だが不思議なことに、一期は左親指に硬い物を押す感覚がした。首を左下に傾ければそれで解決するとわかっていても、彼にはできなかった。
「……貴方の離脱条件を教えてください」
彼は主から距離を取ったまま、できるだけ感情を乗せないよう努め言った。対して、返って来た答えは震えていた。
「『刀剣男士が審神者に怪我を負わす』」
制約の一つとなっていた審神者7は彼の主であり、鯉口を切る音が彼を守った。割り切って考えられる者もいるだろうが、一期は違う。自身に対する嫌悪感が、彼を饒舌にさせた。
「私の離脱条件は『2名以上の審神者と、2時間行動を共にする』です。既にお一人、ご協力くださる方を見つけていますので、あとは二時間貴方と共にいればいい。主、二時間後に私が勝ちます」
「そんなのまだわかんないだろ」
「では、――。貴方はこの状況をどう挽回するおつもりですかな? まさか、二時間の間に審神者に危害を加える刀剣男士が現れると?」
「そんな刀剣男士いなければいいと思ってるし、俺は宝珠を使うつもりだ」
言い返してきたのは単なる強がりか現実逃避だと思い、一期は真名を使って考えを言わせたのだけれど、予想よりきちんとした答えが返って来た。もっとも、真名で縛られている彼に宝珠が使えるはずがないのだが、一期は会話を続けるため、あえてその点には触れなかった。
「宝珠を使えば私の離脱条件も変わりますし、審神者を害する刀剣男士の登場を待つよりはいいでしょうな。しかし、十五分おきに置き場所が変わる宝珠を探しだしたうえ、『刀剣男士が審神者に怪我を負わす』以上に困難になった離脱条件を達成する必要があります。――はそのことをどうお考えですか?」
「宝珠が見つかった後のことは何も考えてない」
「流れに身を任せると?」
「ううん。あ、でも、条件が難しくなるのはいいことだよね」
主が思いつくまましゃべり話が取り散らかるのは今に始まったことではないが、今日は特に話が見えてこない。いつもは一期が話を聞きながら彼が言いたいことを整理してやるのだが、今の彼にそんな心の余裕はなく、疑問をそのまま口にした。
「貴方は何がしたいのですか?」
「秘密遊戯を棄権したい」
迷いなく告げられたその一言で、噛み合わなかった会話が何を意味していたか理解するが、それはあまりに彼の常識から外れていた。
「魂之助の説明を聞いていなかったのですか?」
「聞いてた」
「いいえ、聞いていなかったとしか思えません! 遊戯を棄権すれば、貴方の魂は消滅する。魂之助は次の世に転生できないと言ったが、解脱とは違うのですよ」
魂之助から宝珠の説明を受けた時、棄権などあってないような選択肢だと一期は思っていた。きっと一期だけでなく、あの場にいた刀剣男士全員がそう思っただろう。けれど彼が主はわかってると、まるで取るに足らないことのように言う。
「……っはははは」
一期の口から乾いた笑いが漏れた。一期と永遠を共にするくらいならば、自分という存在がなくなる方がましだと言われたのだ。もう笑うしかなかった。
「そうまでして私を拒まれますか。ずいぶんと嫌われたものですな」
「違う」
「では何故私を拒むのです!?」
感情のまま叫んだ後、沈黙が訪れる。彼自身にその気はなかったが、ありえない事象だと気づき、一期は主を見た。唇がわなわなと震えている。真名の呪いに抗っているのだ。どんなに霊力が高い審神者でも真名を掴まれれば一巻の終わりだというのに。
信じられない思いで一期はその様子を見つめていたが、ごく平凡な審神者である彼が真名の呪いに打ち勝てはできず、時間をかけて唇が横へ開いていく。
「君を愛しているからだよ一期一振」
歪な表情で、主は彼に愛を告げた。
あまりに言葉と表情が合っていなかった。一期は聞き返すことすらできず、その場に立ち尽くす。ただ、仮に言葉に相応しい表情だったとしても、一期の反応は変わらなかったに違いない。
一方の主はというと、命じられてもいないのに饒舌に語り始めた。観念したというより自暴自棄になっているようだった。
「ああ、そうだよ。誰よりも何よりも、君を愛してるよ一期一振。ずっとずっと君のことが好きだった。けど俺は藤四郎たちのように君と強い絆があるわけじゃない、三日月のように美しくもない。俺にはなんにもないから、君の告白を受け入れれば、終わりが始まる。でも一番は無理でも、君の特別な存在になりたかった」
「……」
「昔、源氏物語のあらすじ読んでてさ。俺はこの中の誰にもなれないだろうけど、なれるとすれば空蝉だなって。ぶさいくでこれといった才能はなくても、逃げ続ければ特別な存在になれる。君に忘れられたくない、嫌われたくない、特別な一人になりたかった」
「だから骨喰を小君と呼ばれたのですか」
──主が俺を時々小君と呼ぶ。理由を聞いてもごまかされる。
物に想いを託して伝えようにも主は受け取らず、ならば愛らしい弟たちを使いに出そうと一期は考えた。礼儀正しい前田や五虎退の泣き落としより、主が受け取るまで三日三晩執務室の前から動かなかった骨喰が一番戦績が良く、自然と骨喰に頼むことが多くなった。
そんな折に骨喰が小君と呼ばれていると皆の前で漏らしたのだ。羨ましがった他の弟たちをなだめているうちにうやむやになり、一期もその出来事自体今の今まで忘れていたが、空蝉の弟は作中で小君と呼ばれている。
光源氏に惹かれながらも最後まで彼の求愛を拒み、薄衣一枚を残して逃げ去った女。
一期は主に近寄り、体の前で組んでいる腕を解く。やだとか細い声が聞こえるが、彼が見ていたのは腕で隠されていた羽織紐の玉飾りだ。
主が着物を嗜むようになったのは、一期が勧めたからだ。一緒に万屋に着物を仕立てに行き、羽織はその翌月の給金で買った。主がまだ駆け出しの頃である。値段相当の、彼から言わせれば物足りない品だったのに、主はいたくこの羽織を気に入って、万屋からの帰り道に一期にこう言った。
この羽織の飾りに一目惚れしたんだと。緑青の玉飾りは一期の髪色とよく似ていた。一期は羽織紐は付け替えられるんですよと言ってごまかしたが、本当は自分が選ばれたかのように感じ誇らしかった。
「私の思い違いではなかったのですね」
一期が想いを打ち明けた後も、主は緑青の玉飾りがついた羽織紐を使い続けた。だから羽織紐の玉飾りと彼の髪色を重ねていたのは自分だけだったのだと、主の羽織紐を見るたび、一期は自惚れていた己を恥じたのだが、自惚れなどではなかったのだ。
「臣下でなく、一人の男として貴方を好いております」
一期は主の目を見つめ、初めて想いを告げた時と同じ言葉を選んだ。主は大きく目を見開き、あの時もこんな顔をしていたのかと一期は思う。彼の目には怯え以外の感情が確かに存在していた。平伏していなければと悔いるも、気づく機会はいくらでもあったのだと思い直す。主の目の奥には、いつも彼への好意が滲んでいた。
「愛しております。誰よりも何よりも愛しているのに」
どうして信じてくれなかったと続けようとして、音にする前に飲み込む。主のためならば全て捨てていいと思った。自分を慕う弟たちも、刀剣男士としての誇示も。彼のためならば惜しくはなかった。
けれど、捨てたものは一期が一期一振であるためにはどれも必要不可欠だった。何もかもが遅すぎた。
主の手首を離し振り返ると、薬研の審神者がノートパソコンを胸に抱えて立っていた。一期は女の真名を呼び、命じる。
「―――、それを持って薬研のところへ行きなさい」
薬研の居場所を知らない中での命令が、果たして役に立つかは定かでないが、一期が弟のために唯一してやれることだ。女が息をのむのは見えたが、すぐに身を翻し、吹き抜けの支柱の向こうへと駆けていった。
「一期……?」
何もわかっていない主が、彼の名をつぶやく。一期は主に向き直った。手足、胴体と見て、最後に不安げに彼を見つめる顔に視線が止まる。
「顔がいいな」
「え?」
「顔ならば隠せまい」
一期は柄を握り、刀を抜いた。主が反射的に距離を取ろうとしたのはわかったが、今の彼は一期の許しがなければ動けない。一期は主の左頬に刃先を当てた。
「え、何? 何してんの?」
「逃げるよりもより強く存在を刻む方法があるでしょう」
「ちょっと待って、冗談きついよ。ねえ一期、一期ってば」
「貴方の一番も特別も私でなければいけない。他の者に目移りすることは許さない。……私に全てを捨てさせたのですから、私との約束、違えてはなりませんよ」
「一期!!」
右手に力を入れるとわずかな抵抗の後、刃の上に血が広がり、赤い雫となって垂れていく。どこからか勝者を告げる魂之助の声が聞こえてきた。彼は自分がどんな表情をしているのか不安になる時があったが、今ははっきりと、嘘偽りない本当の笑みを浮かべているとわかった。
「離脱者の発表を行います。審神者7の五七桐の勝利。刀剣男士8の一期一振、敗北です」
天井近くの四角い箱から魂之助の声がし、一期一振の敗北を告げた。三日月宗近は二人がいた場所まで歩いていった。光沢がある金色の紙ごみが廊下の真ん中に落ちていたが、一期とその審神者がいた形跡はどこにも残っていない。
「お前も難儀な相手を好きになったもんだ」
三日月が三階に上ってきた時、会話が聞こえてきたので近づいてみると、一期が審神者に刀を向けていた。単なる脅しのはずだったのに一期は審神者の頬を切り、切られた審神者は一期にすがりついて『何で』『嫌だ』『ごめん』と繰り返す。最後は一期の名前を泣き叫びながら消えていった。
そう、刀剣男士8の一期一振と審神者7の五七桐は、遊戯会場から消えたのである。二人とも輪郭がおぼろになり、徐々に体も透明になっていって、空気に溶けるようにして消えてしまった。
「これより遊戯を一時中断し、補足説明に入ります」
また天井の箱から魂之助の声がした。そして不思議なことに、天井から声が聞こえている中、魂之助が彼の目の前に現れた。
「タブレットで審神者の離脱条件をご覧ください」
目の前の魂之助の言葉に従い、三日月はタブレットの離脱条件一覧を開いた。初めはタブレットの操作がわからず、遊戯説明の場で魂之助を呼びつけ小言を言われたものだが、三日月は審神者の離脱条件の箇所まで画面を移動させた。
審神者1:???
離脱条件 刀剣男士を2振刀解する
審神者2:???
離脱条件 24時間以上他の参加者と遭遇しない
審神者3:???
離脱条件 24時間以上嘘を吐かない
審神者4:???
離脱条件 審神者と刀剣男士が、それぞれ2名以上遊戯に勝利する
鬼札:???
離脱条件 政府の用意した道具のうち、2つ以上を使用し、1つ以上を破壊する。ただし、自らの手で行うこと
審神者6:???
離脱条件 審神者が3名以上遊戯に勝利する
審神者7:五七桐 【勝利】
離脱条件 刀剣男士が審神者に怪我を負わす
審神者8:???
離脱条件 全刀剣男士に自分の真名を伝える、ただし遊戯から離脱した者は除く
「……ほう」
「気づかれましたか?」
「離脱者の名前と勝敗が書いてあるな。それに審神者5が鬼札になっている」
「他には?」
「鬼札以外の審神者の離脱条件が、どれもより困難なものに変わっている」
「そのとおりです。第一の勝者と同陣営の参加者から一名、『鬼札』が選ばれます。鬼札と同陣営の者は皆、離脱条件の難易度が上がります」
「そんな決まりは聞いていないと思うが、『遊戯中必要に応じて説明する』とはこのことか?」
参加者が集められた遊戯説明の場で、魂之助は説明を終えた後に参加者に質問を募ったのだが、その際前置きとして『その他の遊戯の決まりごとは遊戯中必要に応じて説明する』と言ったのだ。
第一の勝者と同陣営の者は離脱条件が変わるとわかっていれば、戦略は自ずと変わる。特に離脱条件が『遊戯の勝者が2名以上になる』だった審神者4や、『審神者が1名以上遊戯に勝利する』の審神者6といった一抜けできないことが確定している参加者は今頃憤っているだろう。
魂之助は平然とそのとおりですと返答したので、三日月は答えがわかっていながら魂之助に聞いた。
「審神者6は離脱条件を達成したのではないか?」
「第一勝者と鬼札以外の同陣営の参加者は離脱条件が変わり、離脱条件変更後に二組目の勝敗判定をいたしますので、審神者6は離脱条件を達成しておりません」
「はっはっは、そこまでして審神者を勝たせたくないか」
「第一勝者が審神者様であったので審神者陣営の離脱条件が変更されただけであり、第一勝者が刀剣男士様でしたら貴方方の離脱条件が変更されていました」
「まあそういうことにしておいてやろう」
「それに離脱条件が変わった審神者様方にも、離脱条件を一つ前のものに戻す方法を用意しております」
その時、三日月には魂之助が笑っているように見えた。魂之助の表情は全く動いていないのだが、三日月も笑みを返し、魂之助に離脱条件を戻す方法を問うた。魂之助はそれまでの説明と変わらぬ調子で言う。
「鬼札の敗北です」
一波乱起こる予感に、三日月はさらに笑みを深めた。
≪離脱条件一覧≫
刀剣男士1:???
離脱条件 宝珠が2回以上使用、もしくは破壊される
刀剣男士2:???
離脱条件 遊戯開始から12時間が経過する
刀剣男士3:???
離脱条件 全ての離脱条件の所持者を特定する
刀剣男士4:燭台切光忠
離脱条件 審神者8以外の審神者の真名を把握する。ただし、本人から直接聞かなければならない
刀剣男士5:???
離脱条件 審神者の半径3.28メートル以内に連続して3.28時間いる
刀剣男士6:???
離脱条件 参加者4名以上に対し、離脱条件の達成を妨害する
刀剣男士7:???
離脱条件 審神者から神隠しの合意を得る。ただし、暴力や真名を使用した呪いは使ってはならない
刀剣男士8:一期一振 【敗北】
離脱条件 2名以上の審神者と、2時間行動を共にする
審神者1:長船
離脱条件(易)刀剣男士を1振刀解する
離脱条件(難)刀剣男士を2振刀解する
審神者2:菊一文字
離脱条件(易)5時間以上他の参加者と遭遇しない
離脱条件(難)24時間以上他の参加者と遭遇しない
審神者3:???
離脱条件(易)5時間以上嘘を吐かない
離脱条件(難)24時間以上嘘を吐かない
審神者4:五十番
離脱条件(易)遊戯の勝者が2名以上になる
離脱条件(難)審神者と刀剣男士が、それぞれ2名以上遊戯に勝利する
鬼札(審神者5):播磨
離脱条件 政府の用意した道具のうち、2つ以上を使用し、1つ以上を破壊する。ただし、自らの手で行うこと
審神者6:眉月
離脱条件(易)審神者が1名以上遊戯に勝利する
離脱条件(難)審神者が3名以上遊戯に勝利する
審神者7:五七桐【勝利】
離脱条件 刀剣男士が審神者に怪我を負わす
審神者8:写し
離脱条件(易)2名以上の刀剣男士に自分の真名を伝える
離脱条件(難)全刀剣男士に自分の真名を伝える、ただし遊戯から離脱した者は除く
≪道具一覧≫
・宝珠
・秘密遊戯の候補者リスト
・位置情報アプリ
・鍛錬所
・クラッカー