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    夏草にひつじ 第一印象はこうだ。噂よりは堅苦しくないが、身長以上に、大きく見える女性だな、と。

    「本日をもって警視庁警備部特科車両二課に着任致しました、後藤喜一警部補です」
     滅多にないことだが、それなりの気合を入れて敬礼をすると、女は舞踊のように美しい所作で同じように敬礼をし、「警視庁警備部特科車両二課小隊長、南雲しのぶ警部補です」、と耳障りのよい声で返してきた。
     良くも悪くも、本庁にいた人間で後藤のことを知らない人はいないし、部下を率いるには良いが、本庁で出世するには真面目が過ぎて、ついに居場所がなくなった南雲のことは多少は耳に入っている。互いに相手について知らなかったのは声と顔と身長ぐらいだろう。そんな関係性から考えれば白々しい儀式ではあるが、飛ばされるほど律儀な同僚と適度な関係を築くためには必要不可欠なものだろう。
     ただ、これから始まる関係がいつまで続くかは不確定だが。南雲が後藤に根を上げるか、後藤がついに警察機構すべてについてばからしくなるか。いわばチキンレースの旗が振られたようなものだ。
     そんな醒め切った後藤の内心など気にもしない様子で、さらに言うなら後藤自身にさして興味がない様子で、南雲はてきぱきと二課棟を案内しながら、効率よくこれからの段取りを話してくる。日常業務から始まり、出動から撤収、そして報告書の提出までの流れを後藤自身が学びつつ、並行してあと半年と少しで人員の選定を終え、研修を修了させて頭数を揃えなければならない。第二小隊に配属される機種は、いま南雲の部隊が使っている96式改が流用されるはずだと、南雲は言った。
    「八王子の佐久間教官にも近々挨拶に行って、研修方針などの打ち合わせをすることになると思います。先任しているものとして、出来るだけ手伝いをさせていただきますので。……そして、ここが、隊長室になります」
     最後に案内されたのは、二階の陸側に面する隊長室だった。そこはかつては事務室だったのだろう、一人で使うには持て余す広さの場所に机が二つ並べらている。ロッカーと月間予定表と資料が詰まった棚しかしかない殺風景な部屋。質実剛健といえば聞こえはいいが、場末の部署に相応しいがらんどうさとも言える。
     ここに一年ほど、たった一人淡々と勤務していただけでなく、理不尽な理由で飛ばされたと腐ってることもないのだから、さすが警備部が持て余すだけはある。その強かなありように後藤は内心舌を巻いた。
     紹介された隊員たちも篠原からの出向を含めた整備員たちも、みな、エリートとして誇り高く、全力で職務に当たっている。そのうち、整備員については警視庁でも整備の達人として名が知れた榊の力が大きいだろう。そして隊員たちの士気はこの女隊長の影響に違いない。それでなくてもへき地に飛ばされてきたうえに、男社会で育ってきた隊員たちを率いなければいけない女性警官ときたら、互いにやりにくい面もあったはずだ。にもかかわらず、自分より五歳も違わないであろう男たちをうまく束ね、捌き、そして走らせるぐらいには優秀で頭もあるということか。
     いつまでの付き合いかは分からないが、それまでの間、少なくとも退屈することはなさそうだ。後藤は自分に先立ち、あちらですと机を指さす南雲にわずかばかりの関心を抱いた。
     後藤は馬鹿なものが嫌いだ。見栄や利益でしか動かないものは楽に扱える。そして素直なものはよいコマになる。
     南雲は少なくとも十分に賢そうで、噂通りなら虚栄心とは無縁の性格だ。どうせしばらく二人きりなのだから、存分に観察でもしてみようか。
    「それでは、とりあえずこれを」
     後藤の内心などどうでもいいとばかりに、南雲は今日から後藤が座る机に置いてあった紙袋をよこす。今、彼女が着ている、特撮ヒーローもののような派手な制服についに袖を通す時が来たらしい。今回の異動にはなんら感慨はなかったが、制服を見たときだけはひとりため息をついたものだ。目の前の南雲はなかなかどうして着こなしているが、間違いなくおじさんが着て似合うものではないだろう。しかし社会人として、そんな複雑な感情を決して顔に出さないまま、大げさに言えば覚悟を決めて袋を開けると、思ったものとは全く違うものが入っていた。
    「あの、これって」
    「質問はあと、更衣室はあちらです。二人で共有なのでそこは了承してください」
    「あの、いや」
    「質問はあとで」
     強い語調で横目に睨まれる。そうするときつめの印象の顔が一層冷たく感じられ、純粋に美しく映えた。
    「後藤警部補」
    「あ、はい」
     もう一度促され、後藤はそそくさと更衣室へと消えた。

     残暑が未だ残る東京の湾岸部は吹き付ける風も温い。
     燦燦とした日差しをうけ、波のよう揺れるセイタカアワダチソウの前で、後藤はただ絶句していた。
     手には鎌、目の前には草。するとやることは一つ。とはいえ。
    「あの南雲警部補……これ本当に、刈るんです? 私も?」
    「住環境の保持も大事な職務ですよ、警部補」
     それに視界が利かないと警視庁の施設としても問題があるとは思いませんか。そう続けられるとぐうの音も出ない。目の前の野っ原には、南雲の部下たちが二人、先に黙々と草を刈っている。
    「彼ら」
    「どうしました?」
    「一小隊しかないのに、いいんです?」
    「ああ」、南雲は教師のような顔を作って「今日は出動もかかりにくいですから、そういうときは順番に作業しているんです。誰でも一回はやることになってるんですよ。私は隊長職なので人より免除が多いだけで」
    「はあ……。掛かりにくい日って、あるんですか」
    「ええ、レイバーは基本土木機械ですからね、日曜はどの現場でも動いてないですし」
     言われて後藤は、初めて今日が日曜日であることを知った。もう長いこと、曜日のことなんて気にもしていなかった。
     そんな自分を南雲が見上げてくる。先ほどまでの無関心さとは打って変わった、真摯な視線だ。まじまじと見たくなるほど、そこまで呆気にとられた顔をしているのだろうか。
     しかし南雲は後藤の目を見て、
    「酷い顔をしていますね」
    「え?」
    「そういうときはまず、なにも考えずに、ただ体を動かすんです。頭を空っぽにしてね。さ、腰に気をつけて、頑張って」
     そしてぽん、と背中を叩いた。

     なにが体を動かせだ。
     用心して、セイタカアワダチソウをまず一つかみ刈り取る。
     だいたい、この数か月。
     鎌の切れ味の鋭さに少しだけ恐怖して、また一つかみ。
     まともに。
     寝ても。
     いない。
     男に。
     ざっくりと鎌を動かすたびに、徐々にコツをつかんでいって、草を手でがっしりと掴んでは、ざくりざくりと、リズミカルに次々と刈り取っていく。
     最近じゃ、荒事からも遠ざかっていて。
     草をつかんで。
     道場で稽古も。
     鎌で刈りこんで。
     つけてないし。
     掴んでは刈って、掴んでは刈って。
     そのうち、体は機械的に動き始め、脳は考えるのを放棄して。
     そうして一心不乱に、後藤はただ黙々と草を刈っていった。

     ふと目を開くと、そこには見慣れた、たばこで燻された天井が見え、それから自分が家に帰っていたことを自覚する。
     辛うじてスーツを脱いでネクタイは外したようだが、くしゃくしゃになってるYシャツに、下半身はパンツ一丁というなかなかみっともない格好だ。顔をぐるりと動かせば、食べようと思って買ってきたおにぎりとカップ麺が、空のビール缶の山の中に埋もれている。
     少しずつ意識がはっきりしてくるにつれ、昨日のことも徐々に思い出してきた。
     そうだ、異動一日目は結局終業近くまで、ただひたすら草を刈って、刈って、刈って、そしてへとへとになったところで、南雲にお疲れ様、と労わられたのだった。心身ともに疲労困憊の状態で、気力だけで車を運転し、玄関をくぐったところでついに限界を迎えたのだろう、体も、脳も。
     あーとかうーといった声を上げながら時計を見れば、夜明け間近の午前五時前、帰ってきたのが六時前だから…軽く十時間以上は寝ていたわけだ。
     寝ていた、ということに思い至り、後藤はなにやら深く感慨を抱いた。寝るということ自体、そして自分もまともな人間並みに寝られるのだという事実そのものを、長い間忘れていたからだ。
     睡眠不足の身体にはまだまだ足りない睡眠量だが、それでも久しぶりの夢にすら妨げられない深い眠りは、後藤の脳に明確な思考を戻そうとしていた。――そして、鮮明な意識さえも。
     後藤は久しぶりにしらふのまま、改めて家を見渡した。
     床に散らかるビール缶とワンカップと弁当のごみ、捨て損ねた燃えないゴミの袋。ただ雑に寄せてあるだけの新聞やチラシ。埃にまみれ、薄汚れたみっともない部屋。台所は水垢にまみれ、洗濯物は溜まり、そして誰の気配もない。
     この部屋には、生きているものはもう誰もいないようだった。あるのは酒臭さと、埃のつく匂いと、そして嘆きだけだ。かつてここにあった思い出の全部、温かいものも厳しいものも、そしてそれぞれの部屋で辛うじて追えた面影でさえついに消えていたことに、後藤は初めて気が付いた。
     もう長いこと、ここに独りきりだったのだ。
     もうずっと、独りだった。
    「……っ」
     喉の奥から湧き上がるものがある。頬を一筋、涙が流れ落ちるのを感じた。
    「なんで……」
     こぼれたつぶやきは声にすらならず、砂のように崩れて吸い込まれていった。
     どうして、ここに独り残されたのか。怒り、わめき、気を紛らわせ、目をそらし。そうして目を閉じて逃げているうちに、すべては変わってしまっていた。
     愛して、大事にしていたのに。こうなるとわかっていたら、すべてを放り出して傍にいたというのに。
     今や口からこぼれるのは殺した悲鳴であり、視線はぼやけ、空っぽの家の風景はゆがんでいく。
     朝焼けが部屋を焼く中、後藤はついに慟哭した。顔を手で覆い、力なく崩れ落ちる。涙を止める方法すらわからず、声を立てないまま、全身で泣きわめく。
     そういえば、もうずっと長い間、泣くことすら忘れていた。

     やがて涙も枯れ、嗚咽が落ち着き、体の震えも収まったころには、もう朝は隅々まで街に満ちていた。
     外からは鳥の甲高い鳴き声に交じって、駅へと急ぐハイヒールの足音や、朝練に向かう学生の声がする。
     カーテンを思い切って開けて、換気のためにと窓を開けば、妙にすっきりとして、凪のように落ち着いた心持だった。まずシャワーを浴びて、夕べからこびりついていた土埃やセイタカアワダチソウのかけらや汗や涙の跡を素早く洗い流し、そして丁寧にひげを剃る。
     いつもの習慣のまま、とりあえずカフェインを体にいれようとやかんを火にかけて、ふと耳を澄ませば、二軒隣の老婆がこっそりと飼っている小型犬を連れて散歩にいく声が聞こえてきた。もう老犬だから、足音はたったかたったかというよりとんとんとんとゆっくりなものだ。外の様子はなぜか新鮮だが、なにより、台所の匂いが強烈に気になる。次の非番は掃除に費やされることになるだろう。それにしてもこれだけゴミがたまっているとは。どうでもいいと死んだつもりで日々を過ごしていても、結局は生きて、暮らしていたというわけだ。
     腹に食パンとコーヒーだけを入れて、昨日より清潔な身なりで入谷インターから首都高に乗ると、幾つかのビルが建て直され、見慣れない看板がどんどん目に飛び込んできた。そのすべてが不思議なほどに鮮明に目に飛び込んできて、今、自分は生活をしているのだと、強く意識させられる。そのまま平和島インターから環七を海へと走ると、新しい職場の姿が見えてきた。潰れた会社を改装した古びた建物は、出勤二日目とは思えないぐらい、目に馴染んだ風景に感じられた。
     階段を上り昨日案内された隊長室へと入ると、南雲はすでに制服に着替え、書類に目を通している。一人で回してる部署だ、こうして毎日誰よりも早く出勤し、すべてについて準備をしているのだろう。
    「あら、早いんですね。おはようございます。腰、大丈夫でしたか?」
    「おはようございます。腰は、まあ、ええ、大丈夫です」
     彼女と目があった瞬間、そういえば今朝方号泣してきたのだから、さぞ顔がはれているのではないかと思い至ったが、南雲は後藤の顔にひとかけらの関心も寄せず、「机の上。安心してください、今日こそ、この制服ですよ」
    と安心していいのかどうかわからないことを言ってくる。彼女なりにジョークを言っているつもりなのかもしれなかった。
    「あ、届いちゃいましたか。じゃあ、着替えてきますわ。……笑わないでくださいね」
    「まさか」
     南雲に事務的な笑顔で送り出され、後藤はいそいそと更衣室へと入っていった。仕立てられたばかりの新品の制服に袖を通しながら、果たして本当に似合うのか、せめてコスプレになってない程度には体に馴染んでくれるのかと心配になる。そうしてひと揃え身に着けて、覚悟を決めて鏡を見ると、やはりウルトラ警備隊の一員にしか見えない。自分はさながら村松敏夫といったところか。
     お披露目ではないが、同僚に笑われることはなくても、うっかり吹き出されることぐらいは覚悟して部屋へと戻ると、コーヒーメーカーの前に立っていた南雲は振り返り、予想に反して、今度は自然な笑みで迎えてくれた。
    「想像していた以上に、お似合いじゃないですか」
    「本当に? お世辞じゃなくて?」
    「お世辞なんて、なんの得にもならないことはしない主義ですから。コーヒー、飲みます?」
    「あ、頂きます」
     部屋にたちまちに香ばしい豆の香りが広がり、ほどなくして、南雲が後藤にマグカップを渡してくる。飾り気のない白のそれは、コーヒーのこげ茶をよく引き立てていた。
    「そのカップは昨日百円ショップで買ってきたものですから、お気になさらず。もし気に入ったものがあるなら自分で持ってきてください」
    「いや、そういうことに気は使わないから、これで十分です。ありがとうございます」
     入れたてのドリップコーヒーはやや酸味が強く、なにより胃に熱く広がる。ここのところずっと酒とコーヒーだけで暮らしていたはずなのに、今朝だってインスタントとはいえ家で飲んできたはずなのに、新品のマグカップから伝わる熱すら、久しぶりに感じた。
     体中が内側からあったまるのを感じながら窓の外を見ると、残暑の日に照らされた首都がめんどくさそうに揺らめいている。もう一度薫りを胸いっぱいに吸い込んで、後藤は南雲に声を掛けた。
    「あの、俺、今度粉買ってきてもいいです? 近所に美味しいの、売ってるんですわ」
    「あら本当?」、南雲はありがたい申し出とばかりに明るく返事をした。「後藤警部補のお住まいはどちらでしたっけ」。
    「入谷です」
    「なら浅草のカフェのものを味わえるわけですね。素敵な贅沢だわ」
     提案がよほど気に入ったのか、南雲は目に見えて上機嫌になる。
     感情が表に出やすいんだな、と後藤は思った。恐らくは本人が自覚している以上に。ともすればとっつきにくい冷たい顔の造形を、豊かな感情が彩り、彼女の印象を幅広く見せているのだろう。
    「警部補の口にも合えばいいんですが。まあ、これのお礼ですよ」
     手に持ったカップを上げると、
    「たかが百円ちょっとのものよ、気にしないでください」
    「コーヒーだってそんな高級な豆じゃないですよ。それに、ここじゃあコーヒーぐらいしか贅沢が出来なそうだし」
     率直な感想を述べると、南雲は了承するように口の端を上げ、「それなら楽しみにしていますね」と言って、書類に目を通しながら満足そうにコーヒーを飲んだ。
     時刻は午前八時五十分。
     今日は警備部が作成した隊の運用マニュアルに目を通して、それから南雲の小隊のトップだという石和巡査部長からレクチャーを受けて、午後には今度は榊の一番弟子だという斯波からレクチャーを受けて。やることはこれから当分山積みな上、昨日の様子だと、暇になったと南雲が判断したら、またジャージと鎌を渡されることだろう。
    「あの」
     おずおずと南雲に声をかけると、彼女は書類から顔を上げ、後藤の言葉を待つ。
    「今日、どんな感じですかね……?」
     主語もなにもかも、わざとぼかした言い方をしたが、南雲は後藤が指したものをすぐに察したようだ。そして柔らかくも真面目な顔になった。
    「そうね……。昨日よりは、ずっとましな感じ、でしょうか」
     後藤は自分から尋ねたのに、どう返していいかわからず、結局ただ「そうですか」とだけ返して、自分もコーヒーを口にする。気分は、悪くなかった。
     いつか、痛みや苦しみも、喜びと同じように覚えていられるようになれるのだろうか。
     それはわからないが、少なくとも真っ当な生活をしようという気持ちは湧いてきた。家を掃除し、たまには散歩をし、まともなものを食べ、笑い、泣きたくなったら泣こうとも。
     そしてこの率直な同僚と、しばらくの間仕事をしていこうと思う。昨日、自分がおぼろげに想定していた期間よりは、少しだけ長く。

     それにしてもたった一日で大した変化じゃないか。
     後藤は当人に気付かれぬように、そっと南雲の顔を見た。無遠慮なのか、必要とあれば相手の様子を無視できるほど鈍感を磨いたのか、それとも誰に対しても自然体なのか。いずれにしても、哀れみと優しさの皮をかぶって、誰もが彼から目を逸らして来たなか、今の後藤を正面から覗き込み、実直に話してきた人は彼女が初めてだった。
     昨日よりずっとまし、なら上等だ。
     今日はまた眠れないかもしれない。だが、眠れぬ夜はもう長くは続かないだろう。どんなに文学的な言葉で気持ちを重ねて思い咽び、心を閉ざしたところで、いまここで生きていることを思い出してしまえば、もう後戻りはできない。
     後藤は、その本性が冷血で薄情あったとしても、相反して人が好きで、そして生きることに貪欲であった。それを切り捨てられない自分を嘲笑いたくなることもあったが、恐らくは、そんな自分でさえもやがて許されていくのだ。誰にかはわからない。しかし、いつか、時が過ぎたときには。
    「…さて」
     南雲がおもむろに声を掛けてくる。時間は九時きっかり。
    「本日はまず、事務職員の方をご紹介しますね、職員の方は土日休みなので書類などの提出の際は気に留めておいてください。用意できてます?」
    「ああ、はい、いつでも大丈夫ですよ、……南雲さん」
     後藤の返事に南雲は一瞬不意を突かれたかのようなぽかんとした顔になったが、すぐに表情を戻して強気にも見える笑みを唇に乗せた。
    「結構、では行きますか、後藤さん」
     そうして二課での、南雲との二日目が始まる。
     秋が深まるころには、日常ですら、この手元に戻ってきていることだろう。
    いずみのかな Link Message Mute
    2022/06/26 18:14:23

    夏草にひつじ

    #パトレイバー #ごとしの
    「夏を見渡す部屋」と同設定ですが、単独でも読めます。赴任一日目。

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