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    二度目の結婚⑥(最終話)・六章 【 ずっと一緒に 】

     リックがニーガンと心を通じ合わせてから初めてのアレクサンドリアの徴収日。リックはいつものようにニーガンが運転する車の助手席に座っていた。
     しかし、その様子はいつもとは違う。リックは全身に力を入れて顔を強張らせながら前方を凝視しているのだ。
    「リィーック、全身が固まっちまってるぞー。」
     ニーガンは運転しながらもリックに視線を向けて面白がるように笑った。
     からかわれたことや笑われたことへの怒りは今のリックとは無縁だ。リックは今、とても緊張している。
     緊張しているのは「ニーガンと心を通じ合わせたことをカールに報告する」と決めているからだ。ニーガンと両想いになったことを大勢に言い触らす必要はないが、我が子には話さなければならない。ニーガンへの想いに悩む自分を気にかけてくれていたのだから尚更だ。
     カールは「自分は父の味方だ」と言っていたので反対されることはないと思いたいが、リックの相手はニーガンである。よりによって皆の宿敵のニーガンなのだ。報告を受けた瞬間に気持ちが変わっても不思議ではない。カールの反応がどのようなものになるのかを想像しただけで胃袋がキュッと掴まれたような心地がする。
     リックが思わず胃の辺りを押さえるとニーガンが「しっかりしろよ」と呆れた。
    「今から緊張してたらカールの前でひっくり返るぞ。」
    「仕方ないだろ、妻の両親に結婚の報告をしに行った時と同じくらい緊張してるんだから。」
    「心配するなよ。何だかんだ言ってカールは親父に甘いさ。」
     ニーガンはそう言ってニカッと笑った。その顔を見ているだけでリックは肩の力が抜ける。ニーガンに言われると大丈夫な気がしてくるから不思議だ。
     リックは口元を緩めて前方に見えてきたアレクサンドリアを眺める。緊張は少しだけマシになっていた。
     間もなくサンクチュアリに到着し、訪問者たちを受け入れるために門が開かれた。先導する車に続いてリックとニーガンの乗る車も中に入る。サンクチュアリから来た車が町の中に次々と停車し、その車から救世主たちが降りると待ち構えていた町の皆の表情が強張る。こればかりはどれだけ月日が流れても変わらない。
     お馴染みの緊張感を肌で感じながらリックは車を降り、アレクサンドリアの仲間たちと挨拶を交わす。
     挨拶の後は町の中を一通り巡って様子を見るのもいつものことで、リックはニーガンと共に町を歩いた。その最中に二人が言葉を交わすことや些細な接触は今までにもあったことだ。
     しかし、今までと確かに違うものがあったのだろう。
     眼差し、表情、声音、触れ方、視線の絡め方。
     自分の表情や仕草にニーガンへの愛しさが滲み出ていたのかもしれないと気づいたのは仲間たちの顔に驚愕と戸惑いが見えたから。
     一人、二人と背を向けて立ち去る仲間たちを見て、リックは自分のニーガンへの想いが仲間たちにも伝わり、それが皆を傷つけたのだと悟った。
    (覚悟はしていた。後悔は、しない)
     リックは拳を握りしめて胸の苦しさに耐える。
     ニーガンへの愛情が仲間たちを傷つけることも、怒りを買うことも、自身を拒絶されることも、全てを承知の上でニーガンと共に生きると決めた。それならば痛みも苦しみも胸に抱いて生きていく。
     改めて自分自身に誓うリックの背中に温もりが触れる。それはニーガンの手だ。
    「……リック。」
     隣にはニーガンがいて、注がれる眼差しは気遣うようなものだった。
     リックは背中に添えられたニーガンの手に意識を集中させた。そうすると彼の温もりを強く感じて安心する。
    「大丈夫だ、ニーガン。」
     リックはそう言って微笑む。その微笑みは無理に作ったものではなく自然と浮かんできたものであり、ニーガンが浮かべさせてくれたものだ。
     大丈夫。隣にはいつだってニーガンがいてくれる。彼が隣で見つめていてくれるなら、どんな痛みも受け止めて前に進んでいくことができる。
     リックはニーガンに促されて子どもたちの待つ家を目指す。痛みを堪えるために握りしめた拳は既に解かれていた。


    「父さん、おかえりなさい。」
    「パパ、おかえりー。」
     玄関のドアを開けるとカールとジュディスがハグと共にリックを出迎えてくれた。
     リックが子どもたちを抱きしめて「ただいま」と再会を喜び合っていると、後ろからニーガンの指に頬を突かれる。それに反応して振り向くと小さく笑みを浮かべる彼と目が合った。
    「俺は町の周りを見てくる。遠くには行かないから何かあったら呼べ。」
     その言葉に「わかった」と頷くリックの頬をニーガンの指が滑る。
    「反対されたら俺が説得してやる。だから心配するな。」
     ニーガンはその言葉を置いて去っていった。
     リックがニーガンの後ろ姿を見つめていると咳払いが聞こえ、慌てて振り返ればカールがこちらを睨んでいた。
    「早く家に入って、父さん。こんなところで立ち話なんて嫌だよ。」
    「すまない。」
     リックは家の中に入ってドアを閉め、さっさとダイニングテーブルに向かうカールの後を追う。
     カールは椅子に座ると自分の膝の上に幼い妹を座らせた。リックは兄妹の隣の椅子に座り、椅子ごと二人の方に体を向ける。
     そして膝の上で手を組むと深呼吸して気持ちを落ちつかせた。
    「……カール、今日は大事な話がある。」
    「ああ、ニーガンのこと?両想いになったんだね。意外と時間がかかったよね。」
     リックが緊張感を漂わせながら話を切り出したというのにカールは軽い口調で本題を口にした。世間話をするような雰囲気のカールに気が抜けてしまいそうになる。
     リックは気を取り直してカールに疑問をぶつけることにした。
    「……まあ、そういうわけなんだが、いつ気づいた?」
    「さっきのやり取り。」
     カールは先程のほんの僅かな時間で二人の関係性の変化を見抜いたようだ。
     リックは恥ずかしくなって思わず口元を片手で覆った。
    「そんなに態度に出ていたか?」
    「うん。今までと雰囲気が違ったから鈍くなければ気づくんじゃないかな。」
     リックとしては今までと変わった自覚はないのだが、やはり周りから見ると違いがはっきりしているようだ。無意識というのは恐ろしい。
     もう少し気をつけるべきだろうか、と考えているとカールから「父さん」と呼ばれた。
     ジュディスの頭を撫でながらこちらへ顔を向けるカールの表情は穏やかで、少し大人びた笑みを浮かべる我が子にリックは釘付けになる。
    「僕は二人のことを祝福も反対もしない。でも、父さんの味方だ。」
     それはカールの精一杯の優しさだった。
     仲間を殺した上に物資を搾取する男と自分の父が愛し合うなど許し難いはず。それでも父の幸せを願い、そのように言ってくれた。どれだけの感謝を捧げても足りないくらいだ。
     リックは目が潤むのを自覚しながらカールの頬に触れる。
    「ありがとう、カール。そう言ってくれるだけで俺がどれだけ救われるか……お前に伝わればいいのに。」
    「父さん、大げさだよ。」
     そう言って笑うカールの笑顔に胸がいっぱいになっていると幼い声に呼ばれた。父と兄の二人だけで話し込んでいたことが不満だったのか、ジュディスは頬を膨らませている。
     リックはすっかり拗ねてしまったジュディスをカールの膝から抱き上げると「ごめん」と謝った。
     リックは腕の中にいるジュディスに話しかけながら、彼女がある程度成長した時にニーガンのことや自分たちの関係について説明しようと決めた。
     ニーガンが仲間にしたことやサンクチュアリとアレクサンドリアの関係をきちんと説明し、その上で自分たちが愛し合っていることを話さなければならない。それは父親としてのリックの責任であり、娘であるジュディスには知る権利があるからだ。
     全てを知ったジュディスがどう思うのかはわからない。リックを嫌悪し拒絶する可能性もあるだろう。仮にそうなったとしても全て受け入れる。
     リックは大きな決意を胸に秘めながら愛する娘の額にキスを落とした。


    *****


     季節が移り変わっていく中で様々なことが変化する。
     まず、夏の気配が完全に消えてから農場の周囲に壁を作り始めた。大掛かりな工事なので多くの救世主と労働者が作業に加わり、あらゆる面で人手不足になった影響で誰もが大忙しだ。それでも不満が出なかったのは仕事量が平等であったことや、全員がきちんと休みを取ることができるようにスケジュール調整を行ったり、ポイントは関係なしに全員の食事にボーナスを与えたからだろう。
     壁の建設は少しずつであっても確実に進むため皆の表情は明るい。リックがサンクチュアリに来たばかりの頃は全体的にどことなく殺伐としていたが、今ではそのような雰囲気はどこにもない。
     他の大きな変化と言えばニーガンの妻たちだ。シェリーを始めとする数人の妻が「ニーガンとの婚姻関係を解消したい」と申し出て、それをニーガンが受け入れたのだ。理由は「ニーガンの妻としてではなくコミュニティを支える一員として生きていきたい」というものだった。
     ニーガンは彼女たちの申し出を受け入れて罰を与えることなく関係を解消した。他の妻たちにも「望むなら、いつでも関係を解消して労働者に戻ることを許す」と伝えて驚かせたそうだ。
     その話をリックに教えてくれたのはシェリーで、黒のワンピースではなくセーターにジーンズという格好の彼女は明るい笑顔を浮かべていた。
     そしてリックに自分の思いを打ち明けてくれた。
    「今のサンクチュアリを見ていたら部屋の中でぬくぬくしているなんて嫌になった。私もみんなと一緒に働きたい、みんなと一緒にここを良くしていきたいと思ったの。」
     陰りを帯びた笑みしか見せなかったシェリーが心からの笑みを浮かべていることをリックは嬉しく思う。
     シェリーと同じくニーガンとの関係を解消した元妻たちは皆に混じって様々な作業を行っている。その誰もが明るい表情をしていることがサンクチュアリの変化を表す一つなのだろう。
     その後も関係の解消の申し出はポツポツとあり、その全てをニーガンは受け入れた。「もしかしたら全員と離婚かもな」と明るく笑うニーガンにリックが苦笑を返したことは記憶に新しい。
     ニーガンは自分から妻たちに関係の解消を持ちかけるつもりはないが、申し出があれば全て受け入れるつもりなのだと言う。「離婚したがってる相手を無理やり抱く趣味はないから離婚するのが当然だ」というのが彼の考えだ。
     「ニーガンの妻」という役割を演じ続ける気があるのならそのままで構わない。そうではなく救世主や労働者と同じように皆のために働きたいと望むならそれを叶える。つまり、そういうことなのだ。
     そして秋が終わり、冬になると別の変化が起きた。それはアレクサンドリアの徴収に行った日のことだ。


     リックがいつものように自宅で子どもたちとの時間を過ごしていると玄関のドアがノックされた。
     ドアを開けてみれば、そこに立っていたのはダリルだった。ダリルが「リックと二人で話したい」と申し出たので、彼とは久しく会話をしていなかったリックはとても驚いた。
     ダリルと会話をしていなかったのは向こうがリックを避けているからだ。ダリルはリックがニーガンと愛し合っていることを察したらしく、秋頃から避けられるようになっていた。それは他の一部の仲間も同様で、そのことをリックは寂しく思いながらも受け入れていた。
     そんな相手が訪ねてきたことに驚きを隠せず返事をすることを一瞬忘れたが、不安げな眼差しを向けられたので慌てて「わかった」と頷く。
     リックはカールとジュディスの方に顔を向けて「しばらく二階で待っていてほしい」と頼み、父の頼みにカールは素直に頷く。
    「わかった。話が終わったら呼んで。」
     カールはジュディスと手を繋ぎながらそれだけを告げて二階へ上がっていった。
     子どもたちが二階へ行くのを見届けてからリックはダリルにダイニングの椅子に座るように勧める。ダリルが椅子に座るとリックもその正面に腰を下ろした。
    「せっかくあいつらと過ごしてるのに邪魔して悪い。」
    「気にしないでくれ。それで、話って?」
     ダリルはテーブルの上に手を乗せて拳をギュッと握り、躊躇う素振りを見せながらも口を開く。
    「……まだ、ニーガンのことが好きか?」
     向けられる眼差しは痛いくらいに真っ直ぐだ。
     リックはその眼差しを受け止めながら首を縦に振る。
    「ああ、愛してる。」
     リックの答えにダリルは唇を噛んだ。その顔に浮かぶやりきれなさに胸が痛むが目を逸らさない。
     ダリルは言葉を探すようにリックから視線を外し、しばらく考え込んだ後、再び視線を戻した。
    「あいつはグレンとエイブラハムを殺した。俺たちを侮辱して、いろんなものを奪った。それでも好きなのか?」
    「そうだ。ニーガンがやったことを許したわけじゃないが、それでも好きになった。」
    「俺たちを傷つけても、それでもあいつを選ぶのか?」
     ダリルの言葉はストレートにリックの心に刺さる。
     彼の主張はもっともだ。ニーガンを愛するということは仲間ではなくニーガンを選ぶということになる。それが仲間たちの心を傷つけるのは当然で、リックを避けるようになった者がいるという事実がそれを証明していた。
     リックとニーガンの間に生まれた愛は存在するだけで誰かを傷つける。
     その事実にリックは膝の上で固く拳を握った。
    「みんなを傷つけることも誰からも祝福されないこともわかってる。俺はみんなにとって裏切り者だということも。それでも俺は、ニーガンを好きになる前の自分には戻れない。」
     リックはダリルの目を見つめ返しながら言葉を続ける。
    「全て覚悟した上で俺はニーガンを愛して、一緒に生きていくと決めた。みんなに許してもらえるとは思わないし、許しを乞うつもりもない。俺がみんなのためにできるのは少しでもアレクサンドリアやヒルトップの負担が軽くなるようにサンクチュアリを変えていくことだけだ。……こんなことしか言えなくてすまない。」
     リックが言い終えると沈黙が下りた。
     ダリルは睨むようにリックを見つめ、リックは目を逸らすことなくそれを受け止める。
     やがてダリルはテーブルに肘を突き、その手に額を押し当てた。静まり返った部屋に彼の溜め息だけが響く。
     そして姿勢を正したダリルが「腹立つな」と呟いた。
    「本当に腹が立つ。俺たちからあんたを奪ったあの男に腹が立つし、あんなクソ野郎に引っかかったあんたにも腹が立つ。俺たちよりニーガンを選ぶことも、あんたが戻ってくる気がないことも、全部腹が立って仕方ねぇ。」
    「ダリル……」
    「それでも。……それでも、俺はリックを嫌いになれない。あんたを憎んで嫌いになれたら楽なんだろうけど無理だ。兄弟だからな。」
     そう言ってダリルは小さく笑みを浮かべる。彼が笑うのを見たのは久しぶりで、リックは胸がいっぱいになった。
    「もしニーガンが嫌になって戻ってきたくなったら、いつでも帰ってこい。他の奴らは俺が説得でも何でもしてやるから。わかったな。」
     ダリルの優しさにリックは笑顔で頷いた。
     消化しきれない感情を抱えながらも受け入れてくれる気持ちが、今でも兄弟だと思ってくれていることが嬉しかった。
     リックは涙が溢れそうになるのを堪えて微笑む。
    「ありがとう、ダリル。本当にありがとう。」
    「これくらいで泣くなよ。あんた、意外と泣き虫だよな。」
     からかうようにニヤリと笑うダリルにリックは「泣いてない」と言い返しながら笑った。
     そこにあるのは以前と変わらない二人の姿だった。


     二人で話をしてからダリルのリックへの態度は以前のように戻った。今までと同じように町の現状について話をしたり、帰り際に「体に気をつけろ」と互いへの気遣いを素直に示せるようになった。
     以前と変わらずに接してくれる仲間もいれば距離を置かれたままの仲間もいる。ダリルのように和解できる可能性は期待しない方が良いだろう。きっと和解しようと無理に近づいても相手を傷つけてしまう。
     ただ、リックなりにできる方法で守ることを許してほしい。それだけだ。
     その後も季節が変わると共に様々な変化が起きていった。その変化に喜びの笑みを浮かべる時もあれば、苦悩に顔を歪める時もある。
     そんな時、リックの隣にはいつもニーガンがいた。ニーガンは様々な表情や感情をリックに晒しながらいつも傍らに立っていた。変化を続ける日々の中で唯一変わらない互いへの気持ちがリックには尊く、愛おしく思える。
     何度季節が巡っても二人は離れることなく一緒にいた。


    *****


    ──リックがニーガンと結婚してから、三度目の春。
     暖かな春の日差しの中、広い農場では種蒔きが行われていた。複数の区画に分けた畑では何人もの救世主や労働者が種を蒔いたり苗を植えている。その誰もが慣れた手付きなので作業はスムーズに進む。
     畑のあるエリアから少し離れた場所には柵で囲われた放牧地がある。野生化していた乳牛を捕らえて飼い始めたのは半年ほど前のことで、ウォーカーに食われずに生き残っていた牛が何頭もいたことに皆が驚いたものだ。
     牛以外にも他のコミュニティーとの物資の交換で得た鶏や豚を飼っているため、農場にはいつも動物の鳴き声が響いている。それに引き寄せられるウォーカーは壁に阻まれて農場に近づくことができず、壁の周りを彷徨いているところを倒されるのが定めだ。
     そんな農場では新たにログハウスの建設が始まった。農場の作業は二週間ごとの交替制で作業する人間を派遣しているのだが、「農場に住んで野菜や動物の世話に専念したい」と希望する者がいるため、一部の救世主と労働者を農場に常駐させることに決まったのだ。
     そのためのログハウスの建設作業のためにリックは農場に来て皆と一緒に汗を流していた。いつものように作業しているとシェリーが「リック!」と小走りで近づいてくる。シェリーは畑と家畜の世話のために農場に来ており、今日は畑の作業を担当しているはずだ。そんな彼女が自分のところへ来たことにリックは首を傾げる。
    「どうかしたのか?」
    「サイモンがあなたを捜してるから呼びに来た。」
    「サイモン?来ているのか。どこにいる?」
    「門の前で待ってるはず。一緒に行きましょう。」
     リックはそれに頷いてシェリーと共に歩き出した。
     サイモンのいる農場の門を目指しながらリックはシェリーに話を振る。
    「シェリー、農場に住むのを希望していると聞いたんだが本当か?」
    「本当よ。言ったり来たりするんじゃなく腰を据えて野菜や動物の世話がしたくて。」
    「ドワイトと会う時間が減るが、いいのか?」
     リックがシェリーとドワイトの関係について知ったのは彼女がニーガンとの関係を解消した後だ。「簡単に前のような関係に戻るわけにはいかない」というシェリーの思いをドワイトが尊重したので二人の関係は今のところ友人のままだが、少しずつ距離を縮めているのは第三者から見てもわかる。それなのに離れてしまってもいいのかとリックは少し気になったのだ。
     そんなリックの心配を吹き飛ばすようにシェリーは晴れやかに笑う。
    「心配してくれてありがとう。でも大丈夫。私たちの関係はゆっくり進んでいけばいいし、会う時間が少なくなる程度で気持ちは離れないから。それに、ニーガンの元妻仲間と一緒にここで頑張りたいしね。」
     シェリー以外にもニーガンの元妻たちの中で農場に住むことを希望している者が数人いる。彼女たちは互いに支え合っていたので結びつきが強いのだろう。
     リックは小さく笑みを浮かべながら「それならいいんだ」と頷いた。
     シェリーについての話が終わると今度はシェリーから「そういえば」と次の話題を振られる。
    「ニーガンは最近どうなの?最後の一人とも離婚したんでしょう?離婚するとビックリするくらい顔を合わせることがないから、どんな様子か全然わからない。」
     先日、ニーガンは一人だけ残っていた妻から関係の解消を申し込まれた。「一人だけ何もせずにいるのは嫌なので労働者として働きたい」という思いを受け入れ、ニーガンは他の妻たちと同じように罰を与えることなく関係を解消したのだ。これにより大勢いたニーガンの妻は一人もいなくなった。
     リックはその時のニーガンの顔を思い浮かべながら答える。
    「特に落ち込むこともなく、いつもと変わらない。『仕方ないだろ』ってあっさりしていた。」
    「……あっさりすぎると逆に殴ってやりたくなる。」
     シェリーが不愉快そうに顔をしかめたのでリックは思わず「すまない」と謝った。
     それを受けたシェリーは「あなたは悪くないでしょ」と笑い飛ばす。
    「私たちがいなくなった分、リックが大変になるだろうから無理してあの男に付き合わないでね。自分を大事にして。」
    「ああ、ありがとう。」
     そんなやり取りを続けるうちに門の前に立つサイモンの姿が見えてきた。腕組みをして待ち構えるサイモンは苛立っているように見える。
     リックがシェリーと別れて急ぎ足で近づくと、サイモンは大股で寄ってきて思いきり顔を近づけられた。迫力のある顔に至近距離で睨まれると怯みそうになる。
    「おい、リック。お前がここに泊まり込んで何日経ったと思う?」
     いきなりの質問にリックは困惑した。
    「え?五日目になるが……それが?」
    「それが?じゃねぇ。こんなに長くニーガンの傍を離れていいと思ってるのか?さっさと帰るぞ。」
     そう言ってサイモンは胸を突いてきた。それなりに強く突かれたので痛い。
     なぜそんなことを言われなければならないのか、とリックは睨み返しながら反論する。
    「一週間泊まり込んでログハウス建設の作業をするとニーガンには伝えてある。反対もされていないぞ。」
    「それは今までお前が長期でサンクチュアリを離れたことがなかったからだ。ニーガン自身、自分がどうなるかわかってなかったのさ。俺からすりゃ考えなくてもわかることだけどな。」
    「どういう意味だ?」
     リックが尋ねるとサイモンは深々と溜め息を吐いた。
    「お前がこっちに来て二日目でニーガンの口数が減った。仕事はきっちりするし俺たちに影響はない。だけどな、あのお喋り大好きなニーガンが必要最低限しか口を開かないってどうだ?不気味でしかない。」
     リックは言われた言葉が信じられず「嘘だろ」と呟いた。
     その呟きを否定するようにサイモンは首を横に振り、ニーガンの様子を話し続ける。
    「酒は飲まないし、つまらなさそうにぼんやりしてるし、何か話を振っても『ああ』だとか『そうか』としか言わない。異常だろ。お前がいなくていつもの調子が出ないんだ。だから今すぐに帰ってやれ。お前の代わりは連れて来てある。」
     そう言ってサイモンはリックの頬を軽く叩き、「荷物を取りに行くぞ」と歩き出した。リックはきょとんとして頬を擦り、先を行く男の後ろ姿をじっと見つめる。
     サイモンは「不気味だ」「異常だ」という言い方をしながらも本当はニーガンを心配しているのだろう。だからわざわざ代わりの人間を用意してまでリックを迎えに来たのだ。
     リックはクスクスと笑いながら小走りでサイモンの後を追った。
     隣に並ぶとサイモンはじろりと目線をこちらに寄越した。リックが笑い続けていることが気になるようだ。
    「何を笑ってる?」
    「いや、その──あんたはニーガンが好きなんだな、と思って。」
     リックの返事にサイモンは思いきり顔をしかめながら肘で脇腹を突いてきた。
     その態度に「素直じゃないな」と思ったことは胸に秘めておくことにした。


     リックはサイモンと共に車でサンクチュアリに戻った。車には他のコミュニティーの名前が書かれた木箱も乗っており、到着するとそれを降ろすのを手伝った。
     木箱の中には農場で収穫された野菜が入っている。これはそれぞれのコミュニティーに渡すもの。徴収は相変わらず続いているが、サンクチュアリでしか栽培していない野菜やハーブを少しではあるが渡すようになったのだ。他にも各コミュニティーの壁や建物の修理にサンクチュアリから人を派遣するなど、徴収に対する見返りを強化しつつある。
     「完全に対等な関係で協力し合う」というのを実現するのは難しいかもしれないが、それに近づけることはできる。リックはそう考えて努力し続けていく。
     荷物を降ろした後、リックは自室に荷物を置いてからニーガンの部屋へ向かった。部屋の前に着くとドアをノックしながら「ニーガン、いるか?」と声をかける。
     次の瞬間、勢い良くドアが開いて驚いた表情のニーガンが姿を見せた。顔を見ていないのは数日だけなのに随分と久しぶりに会った気がして気恥ずかしい。
    「さっき戻った。予定より早いが──」
     話の途中で部屋に引きずり込まれ、そのまま強く抱きしめられた。
     ニーガンの体温と匂いに包まれると「帰ってきた」と実感して思わず安堵の息が漏れる。
     リックが抱きしめ返すと耳元で深く息を吐く音が聞こえた。
    「お前がいなくて調子が狂ってた。抱きしめたいしキスしたいし、とにかく顔が見たかった。」
    「サイモンが迎えに来たんだ。ニーガンのために早く帰れって。だから帰ってきた。」
    「流石は俺の右腕だな。……リック、俺に会いたいと思ってたか?」
    「もちろん。あんたのことを忘れた日はない。」
     リックが正直に答えるとニーガンは感極まったように「ああ、リック」と呟いて頬に口付けてくる。何度か頬にキスされ、目が合えばキスの場所が唇へ移った。
     啄むようなキスを交わした後、ニーガンは体を離して「ちょっと待ってろ」と部屋を出ていった。
     しばらくして戻ってきたニーガンは真っ赤な苺が実る小さな植木鉢を腕に抱えていた。リックが「旨そうだな」と感想を漏らすとニーガンは嬉しそうに微笑む。
    「お前にナイショで育ててたんだぜ。お前がいない間に食べ頃になったんだ。見事なもんだろ?」
     得意げなニーガンの言葉にリックは瞬きを繰り返す。
    「ニーガンが育てたのか?誰かに育てさせたんじゃなくて?」
     目を丸くしながら問うリックにニーガンが顔をしかめる。
     そして「失礼だぞ、リック」と植木鉢を目の前に突き出してきた。
    「お前にやるものを他の奴に育てさせるわけないだろ。ほら、受け取れ。」
     リックは突き出された植木鉢を受け取って胸に抱き、腕の中にある苺をじっくりと見つめる。
     赤く艷やかに輝く苺はとても美しい。まるで宝石のような──いや、宝石よりも美しいそれはニーガンがリックに贈るために育てたもの。その事実が苺を更に美しく輝かせている。
     リックは苺を見つめたまま素直な気持ちを口にする。
    「とてもきれいな苺だ。すごいな、ニーガン。」
    「そうだろ。全部お前が食べていい。」
    「ありがとう。本当に嬉しい。どうやって言ったらいいのか……とにかく嬉しい。ありがとう、ニーガン。」
     リックにとってニーガンは自分から大切なものを奪うだけの存在だった。仲間、誇り、生きる糧など、ただただ奪われるばかりだった。
     そんなニーガンが今では大切なものを与えてくれる存在になった。彼から与えられるものはリックの心を喜びで満たし、幸せにしてくれる。「自分はニーガンに何か返せているのだろうか?」と不安になりそうなくらいにニーガンはリックにたくさんのものを与えてくれた。
     幸せだ、とリックは心から思う。
     幸せを噛みしめるリックの顎にニーガンの指がかかり、優しく上を向かされた。注がれる眼差しには愛しさが滲んでいる。
    「リック、苺の花言葉を知ってるか?」
    「知らない。どんな花言葉なんだ?」
    「『尊重と愛情』だ。俺たちにピッタリの花言葉だろ?」
     そう言われてリックは小さく吹き出した。
    「なるほどな。……全く違うとは言わないが、完全にそうだとは言いきれないと思うが。」
    「どこが違うって言うんだ?」
    「アレクサンドリアに戻りたいから別れてほしいと言ったら、その意思を尊重してくれるか?」
     リックがいたずらっぽく微笑むとニーガンは一瞬目を丸くして、次の瞬間には「参ったな」と苦笑いを浮かべた。
    「確かに、それだけは尊重できないな。お前が俺から離れることは許さない。」
     そう囁かれた途端にリックは片手で腰を抱き寄せられて額に唇の柔らかさを感じた。
     そして額同士が触れ合わされ、ニーガンが目を細めて笑う。
    「リックを幸せにできるのは俺しかいないぞ。だからずっと傍にいろ。」
    「離れろと言われても離れてやらないさ。」
     ニーガンの手を放せば死ぬまで後悔し続けることになるとリックは確信している。それほどに彼に愛情を捧げている自覚があった。
     だから何があってもニーガンからは離れない。もし引き離されるようなことがあっても必ず彼の元へ戻ってみせる。
     リックの決意を察したようにニーガンが「良い覚悟だ」と呟いた。
    「お前の意思を尊重して、ずっと傍にいてやる。」
     その言葉と共に顎に添えられていた指が頬に移り、ゆっくりと唇が重ねられた。
     これから先、良いことばかりではないだろう。大きな壁が立ちはだかることがあるだろうし、人の心は常に凪いでいるわけではない。トラブルが起きればそれに悩まされることになる。その度に自分たちは意見をぶつけ合って傷つけ合うのかもしれない。
     そうであってもニーガンとなら乗り越えていけると信じている。ぶつかり合って傷つけ合っても別々の道を歩むことにはならない。きっと最後にはこうしてキスを交わすのだ。
     リックはそれを疑うことなく信じられる幸せを噛みしめながら愛しい人の唇の感触を確かめる。
     口付けを交わす二人の胸には共通する一つの思いがあった。

    ──あなたと、ずっと一緒に生きていく。

    END
    ♢だんご♢ Link Message Mute
    2019/04/27 11:14:01

    二度目の結婚⑥(最終話)

    #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク


    pixivに投稿した作品と同じものです。
    S7のニガリク。
    リックがニーガンと政略結婚をするお話。リックとミショーンは友情止まり。
    思いを通じ合わせた後の二人の話。最終話です。


    100%の幸せを得ることはできないけれど、それに近い形を目指しました。それでもかなり幸せだと思います。
    よかったら、どうぞ。

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    • リック受まとめ #ダリリク  #シェンリク  #腐向け  #TWD  #ニガリク ##ダリリク ##シェンリク ##ニガリク ##TWD


      privatterで投稿したものと今までに投稿していないものをまとめました。
      平和な世界だったり、ドラマ沿いだったりごちゃ混ぜです。



      ◆今日のダリリク:相手が風呂を上がっても髪を乾かさないので仕方なくドライヤーをかけてやる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       髪を濡らしたままバスルームから出てきたリックを見て、ダリルは眉間に思いきりシワを寄せた。
       リックが「疲れた」と何度もボヤきながらバスルームに入っていった時点でこうなることは予想していたが、予想通りになったからといって喜ぶことはできない。
       ダリルは髪の先から雫を滴らせるリックを捕まえるとバスルームへ引きずっていき、ドライヤーの熱い風をリックの髪に吹きかけ始める。
       乱暴な手つきで髪を乾かしてやるとリックが苦笑いを浮かべた。
      「放っておいてくれて構わないんだぞ?」
      「バカか。風邪でも引かれたら困る。」
       それも理由の一つではあるが、リックに構いたいというのが一番の理由。
       普段は頼もしく凛々しい男がダリルの前では気を緩めて無防備になるのが嬉しい。それだけ自分に心を許しているということなのだと思うと甘やかしてやりたくなる。
       そんなことをリック本人に言うつもりは少しもない。
       そんなわけで、ダリルは緩みそうになる顔を引き締めながらリックの髪を乾かし続けたのだった。

      End




      ◆今日のシェンリク:昼下がり、相手が楽しそうに洗濯物を干しているのを、洗濯物をたたみながら眺める
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       今日は仕事は休み。
       そのためシェーンはリックと共に惰眠を貪り、遅めの朝食……ではなく昼食を食べてから活動を始めた。
       洗濯機を回しながら食器洗いや掃除を行い、それが終わると昨夜干した洗濯物を取り込んでいく。
       洗濯物の取り込みが終わった時点でリックが洗い終わった衣類を持って姿を見せた。
      「干すのは俺がやるからシェーンは洗濯物をたたんでおいてくれ。」
      「任せろ、相棒。」
       仕事中のような受け答えに笑い合いながら各自の仕事に取りかかる。
       Tシャツをたたみ、ジーンズをたたみ、タオルをたたみ……。
       シェーンはキレイにたたんだ衣類を並べながら洗濯物を干すリックに目を向ける。
       物干しに洗濯物を干していくリックの顔には笑みが浮かんでいる。それだけでなく鼻歌まで歌っているようだ。
       「何がそんなに楽しいのだろう」と首を傾げかけて、シェーンは自分の口元も緩んでいることに気づいた。
       ああ、そうか。二人一緒なら何をしていても楽しい。
       シェーンはリックも自分と同じなのだと気づき、自分の笑みがますます深いものになっていくのを自覚した。
       これが終わったら次は何をしようか?
       リックと一緒ならどんなことをしても楽しいに違いない。
       そんな風に心を弾ませながら最後の一枚をたたみ終わると、洗濯物を干しているリックの方へ足を運ぶことにした。

      End




      ◆今日のニガリク:無意識に「おかえり」と言うと相手が驚いた顔で「ただいま…」と小声で返すので、何だかお互いに恥ずかしくなる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       遅くなるなら遅くなるって連絡しろ、クソ野郎。
       リックは怒りと共に冷めきったスパゲッティの皿にラップを貼ってから冷蔵庫を開けた。
       夕食の時間になっても帰ってこなかったニーガンからの連絡は未だにない。「夕食はいらない」という話もなかったので用意はしておいたのだが、日付が変わるまで残り三十分という時間になっても玄関のドアは開かなかった。
       ニーガンという男は他人の思い通りになるような人間ではないと知っていたが、少しは一緒に暮らしている者の身にもなってほしいとリックは常々思っている。
      「どこかの女の部屋にでも転がり込んだのかもな。」
       リックは吐き捨てるように言いながら冷蔵庫の扉を乱暴に閉めた。
       あんな男と一緒に暮らしている自分がバカなのだとわかっていても腹を立てずにいられない。
       ニーガンの言動一つに振り回され、翻弄され、感情が揺れ動く自分が情けなかった。それなのに離れずにいることも情けなくて悔しい。
       「早く帰ってきてほしい」だなんて惨めだ。
       リックは静まり返った部屋の中心に佇み、ボンヤリと床を見つめる。ニーガンがいるとうるさいと感じるのに、今はこの静けさが嫌いだ。
       どうしても「ただいま」の声が聞きたい。
       その時、ドアの開く音が微かに響く。その音に導かれるように玄関へ向かうと、そこにはニーガンの姿があった。
       ニーガンはリックを見ると普段通りの笑みを浮かべた。
      「文句は後にしろよ。説明してやるから、先にシャワーを浴びさせて……」
      「おかえり。」
       リックの口から滑り落ちた言葉にニーガンが驚いた顔をする。それは演技ではなく心からのものだとリックは確信した。
       ニーガンは驚きの表情を浮かべたまま口を開く。
      「……ただいま。」
       それは小さな声だった。
       そのことが妙な恥ずかしさを呼び起こしたため、リックは片手で顔を覆って俯いた。
      「どうして俺が恥ずかしくならなきゃいけないんだ?」
      「それは俺のセリフだ。……文句を言われると思ったのに、今のは反則だ。」
       意外にも近くで声が聞こえたためリックが顔を上げると拗ねた顔のニーガンが目の前にいた。
       リックは一歩後ろへ下がろうとしたが、ニーガンに抱き寄せられたためそれは叶わない。
       珍しく真剣な表情のニーガンは唇同士が触れそうな近さで囁く。
      「リック、もう一度『おかえり』と言ってみろ。」
       結局、この男には逆らえない。
       そう思いながら「おかえり」と口にするとニーガンは満足げに微笑む。
       そして「ただいま」と共に与えられたのは熱い口付けだった。

      End




      ◆ダリリク/制限付きの逃避行

      「笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか」
      https://shindanmaker.com/750576

      【制限付きの逃避行】

       ダリルの視線の先には難しい顔をして考え込むリックがいる。
       出会ったばかりの頃のリックはもっと表情豊かな男だったように思う。良いものも悪いものも表情に出していたように思う。
       しかし、リーダーとしての重さが増していくとリックの顔からは表情が消えていった。
       きっと、背負い過ぎたのだろう。
       きっと、失い過ぎたのだろう。
       それをどうにかしてやりたくても運命は過酷なもので、誰にもリックを救えない。
       だからダリルはリックの傍に行く。頬を撫でてやることしかできなくても、その一瞬だけリックに表情が戻るからだ。
       ダリルがリックの隣に立つとリックは視線だけを寄越してきた。
      「また考え事か?」
      「ああ、別に大したことじゃない。」
       嘘つきめ。
       そう言ってやりたかったが、言ったところで苦笑するだけだろう。
       ダリルは何となくリックに触れたくなって頬に掌を這わせた。そうするとリックは目を細めて幸せそうな笑みを浮かべる。
       笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか?
       ダリルは最近では滅多に笑わなくなった想い人に胸を痛め、自分にできることの少なさに落胆する。
       自分と過ごす時間だけでもリックが幸せだと思えるのならいくらでも傍にいるのに。
       そんなダリルの思いをやんわりと拒むようにリックが離れていく。
      「……もう行かないと。」
       小さく呟いたリックの顔からは表情が消えていた。
      「そうだな。」
       次にリックの笑顔に会えるのはいつになるのだろう?
       リックの傍にいたいのは彼のためなのか、それとも自分のためなのか、ダリルにはそれさえわからなくなった。

      End




      【この熱さをもたらすもの】ダリリク

       照りつける太陽が俺の背中を焼く。
       ジリジリと焦げつく背中に滲む汗は不快さしか与えてくれず、眉間にしわが寄ったのを自覚する。
       作業する手を止めて休めばいいのに「もう少しだけ」と作業を止められない。生き急ぐつもりはないが、小さな焦りが自分の中に存在しているせいなのかもしれない。
       思わず自分に苦笑を漏らした時、後ろから足音が近づいてきた。
      「仕事中毒か?水でも飲んで休め。」
       姿を見せたのはダリルで、彼は水の入ったペットボトルを手にして立っている。
       差し出されたペットボトルを受け取りながら礼を言うと、ダリルの手の甲が俺の頬に触れた。
      「おい、かなり熱いぞ。気分は悪くないか?」
      「大丈夫だ。だが、そろそろ切り上げた方がいいかもしれないな。」
      「あんた、結構汗かきだよな。脱水症状でぶっ倒れても知らねーぞ。」
       ダリルは呆れ顔で俺の頬を軽く叩いた。
       休まずに仕事を続けてしまうのは俺の悪い癖だ。そんな俺をダリルはいつも心配してくれる。
       本当に良い奴だな、と思わず笑みが溢れた。
      「気をつける。それにしてもお前は本当に俺のことをよく見ているよな。そんなに俺のことが好きなのか?」
       笑い混じりに冗談を言ってみた。
       「バカか」と呆れ顔をするダリルを想像していたが、予想とは違ってダリルは目を丸くして俺を見る。その顔が真っ赤に染まるのは一瞬のことだった。
       予想外の反応に何も言えずにいるとダリルが耳元に唇を寄せてくる。
      「好きだけど、何か文句あるか?」
       低く囁かれて背筋にゾクリとしたものが走る。
       ダリルは俺から体を離し、鼻を鳴らして去っていく。それを見送ることができないのは全身が硬直してしまったからだ。
       ああ、熱い。頬が燃えるように熱い。
       思いがけずダリルから与えられた熱に逆上せそうな気がした。

      End




      【Strawberry】ニガリク

       ああ、今日もよく働いた。
       そんな充実感と共にリックは体を伸ばす。
       スッキリと晴れた青空の下で作業をするのは気分が良い。そのためか今日はいつもより張り切って仕事をしたような気がする。
       休むことなく動き回ったので、さすがに体が重い。リックは休憩のために近くの家の壁に背中を預けて座った。
       吹き抜ける風の柔らかさが心地良い。
       耳に届く住人たちの賑やかな声が穏やかな気持ちにさせてくれる。
       様々な困難を乗り越えたアレクサンドリアは希望に満ちた町へと変わりつつある。
      (幸せだなぁ)
       素直にそう感じたリックは微かに笑みを浮かべた。


       リックが幸せな気分を満喫していると足音が近づいてくる。その足音の方へ顔を向ければニーガンが歩いてくる姿が見えた。
       ニーガンのシャツの袖には泥が付いている。畑仕事を嫌がらずに行うニーガンを意外に思ったのはそんなに最近のことではない。
       敵対し、憎み、戦争までした相手と手を取り合って生きていることが信じられないが、目の前にあるのは全て現実だ。そのことが不思議で、おかしくて、そして嬉しい。
       リックがクスクスと笑っていると目の前に来たニーガンが呆れたような顔をする。
      「働きすぎておかしくなったのか?」
      「違う。気にしないでくれ。」
       まだ笑いの余韻を残すリックにニーガンは顔をしかめたが、それ以上は追及せずにリックの正面にしゃがんだ。
       リックの前にしゃがんだニーガンの手には苺が乗っている。畑で育てていたものを持ってきたのだろう。
      「見事な出来だな。ニーガンが農作業が好きだなんて意外だった。」
       そう言ってやるとニーガンはニヤリと笑う。
      「小さなレディだと思えば手間をかけるのも惜しくない。」
       「何だそれ」とリックが笑っているとニーガンはリックの唇に触れた。
      「お前に一番に食わせてやる。口を開けろ。」
       その言葉に従ってリックは口を開けたが、ニーガンは苺を自分で咥えてしまう。
       一番に食べさせてくれるのではなかったのか?
       リックがそんな疑問を抱いているとニーガンが顔を近づけてきた。そしてニーガンが咥えた苺がリックの唇に触れる。「食べろ」という意味なのだと理解したリックは苺をかじった。
       かじった瞬間に口の中に果汁が広がり、甘く爽やかな香りが鼻を通り抜ける。リックは自分を真っ直ぐに見つめてくる瞳を見つめながら苺を咀嚼した。
      「美味い。」
       正直な感想を告げると、それを待ちかねていたかのように残り半分の苺がニーガンの口の中へと消える。
       ニーガンは己の唇に付いた苺の汁を舐め取りながら囁く。
      「お前のためにこの俺が育てた苺だ。全部食えよ、リック。」
      「……本当に押し付けがましい奴だな、あんたは。」
       溜め息混じりのリックの言葉を気にしていない様子でニーガンは再び苺を咥えた。
       リックは「仕方ない」と苦笑してからその苺を咥える。さっきよりも深く咥えれば唇同士が触れ合う。
       そして思いきって苺をかじれば触れ合うだけのものが深い口付けへと変わった。
       苺の甘い汁と共に舌を絡め合えば奇妙な背徳感に背筋がゾクリとする。その背徳感を嫌だと思わないのは目の前の男との甘い時間に溺れているせいだ。
      (甘い、さっきよりもっと)
       この甘さは自分だけのもの。ニーガンが自分のために育てた苺をニーガン自ら与えてくれることで生まれた甘さだ。
       そう認識した時、何度も噛むことでドロドロになった苺が喉を下りていった。
       まだ食べ足りない、と思ったリックは軽く口を開けて「もっと」と強請る。
       「仕方ない奴だ」とニーガンが楽しげな笑みを浮かべながら咥えた苺がリックにはこの世で一番美味しそうなものに見えた。

      End




      【唐突に告げる】シェンリク

      「愛してる。」
       シェーンの鼓膜を震わせたリックの一言は何の脈絡もないものだった。
       シェーンとリックは二人がけのソファーに並んで映画を観ている真っ最中。
       観ているのは恋愛ものの映画ではない。そういったジャンルに興味はなかった。ついさっきまでビール片手にストーリーにツッコミを入れて笑い合っていただけなのだ。
       それなのに突然リックが愛の言葉を口にしたため、シェーンは目を丸くして隣に顔を向けた。
      「何だよ、急に。」
       そう尋ねればリックは楽しそうに笑った。
      「何となく言いたかっただけだ。」
      「そんなムードじゃなかったぞ。」
       変な奴、と苦笑しながら新しいビールに口を付ける。
       突然のことに驚きはしたが、悪くはない。
       相手のことを常に愛しく思っているのはシェーンも同じだ。
      「愛してる。」
       今度はシェーンが愛の言葉を口にした。
       シェーンが再び隣へ顔を向ければリックも同じようにシェーンを見ていた。
       目が合った時、リックの目尻が垂れて幸せそうな笑みが浮かんだ。
       そんなリックを「愛しいな」と改めて思ったシェーンの口も弧を描いていた。

      End
      #ダリリク  #シェンリク  #腐向け  #TWD  #ニガリク ##ダリリク ##シェンリク ##ニガリク ##TWD


      privatterで投稿したものと今までに投稿していないものをまとめました。
      平和な世界だったり、ドラマ沿いだったりごちゃ混ぜです。



      ◆今日のダリリク:相手が風呂を上がっても髪を乾かさないので仕方なくドライヤーをかけてやる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       髪を濡らしたままバスルームから出てきたリックを見て、ダリルは眉間に思いきりシワを寄せた。
       リックが「疲れた」と何度もボヤきながらバスルームに入っていった時点でこうなることは予想していたが、予想通りになったからといって喜ぶことはできない。
       ダリルは髪の先から雫を滴らせるリックを捕まえるとバスルームへ引きずっていき、ドライヤーの熱い風をリックの髪に吹きかけ始める。
       乱暴な手つきで髪を乾かしてやるとリックが苦笑いを浮かべた。
      「放っておいてくれて構わないんだぞ?」
      「バカか。風邪でも引かれたら困る。」
       それも理由の一つではあるが、リックに構いたいというのが一番の理由。
       普段は頼もしく凛々しい男がダリルの前では気を緩めて無防備になるのが嬉しい。それだけ自分に心を許しているということなのだと思うと甘やかしてやりたくなる。
       そんなことをリック本人に言うつもりは少しもない。
       そんなわけで、ダリルは緩みそうになる顔を引き締めながらリックの髪を乾かし続けたのだった。

      End




      ◆今日のシェンリク:昼下がり、相手が楽しそうに洗濯物を干しているのを、洗濯物をたたみながら眺める
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       今日は仕事は休み。
       そのためシェーンはリックと共に惰眠を貪り、遅めの朝食……ではなく昼食を食べてから活動を始めた。
       洗濯機を回しながら食器洗いや掃除を行い、それが終わると昨夜干した洗濯物を取り込んでいく。
       洗濯物の取り込みが終わった時点でリックが洗い終わった衣類を持って姿を見せた。
      「干すのは俺がやるからシェーンは洗濯物をたたんでおいてくれ。」
      「任せろ、相棒。」
       仕事中のような受け答えに笑い合いながら各自の仕事に取りかかる。
       Tシャツをたたみ、ジーンズをたたみ、タオルをたたみ……。
       シェーンはキレイにたたんだ衣類を並べながら洗濯物を干すリックに目を向ける。
       物干しに洗濯物を干していくリックの顔には笑みが浮かんでいる。それだけでなく鼻歌まで歌っているようだ。
       「何がそんなに楽しいのだろう」と首を傾げかけて、シェーンは自分の口元も緩んでいることに気づいた。
       ああ、そうか。二人一緒なら何をしていても楽しい。
       シェーンはリックも自分と同じなのだと気づき、自分の笑みがますます深いものになっていくのを自覚した。
       これが終わったら次は何をしようか?
       リックと一緒ならどんなことをしても楽しいに違いない。
       そんな風に心を弾ませながら最後の一枚をたたみ終わると、洗濯物を干しているリックの方へ足を運ぶことにした。

      End




      ◆今日のニガリク:無意識に「おかえり」と言うと相手が驚いた顔で「ただいま…」と小声で返すので、何だかお互いに恥ずかしくなる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       遅くなるなら遅くなるって連絡しろ、クソ野郎。
       リックは怒りと共に冷めきったスパゲッティの皿にラップを貼ってから冷蔵庫を開けた。
       夕食の時間になっても帰ってこなかったニーガンからの連絡は未だにない。「夕食はいらない」という話もなかったので用意はしておいたのだが、日付が変わるまで残り三十分という時間になっても玄関のドアは開かなかった。
       ニーガンという男は他人の思い通りになるような人間ではないと知っていたが、少しは一緒に暮らしている者の身にもなってほしいとリックは常々思っている。
      「どこかの女の部屋にでも転がり込んだのかもな。」
       リックは吐き捨てるように言いながら冷蔵庫の扉を乱暴に閉めた。
       あんな男と一緒に暮らしている自分がバカなのだとわかっていても腹を立てずにいられない。
       ニーガンの言動一つに振り回され、翻弄され、感情が揺れ動く自分が情けなかった。それなのに離れずにいることも情けなくて悔しい。
       「早く帰ってきてほしい」だなんて惨めだ。
       リックは静まり返った部屋の中心に佇み、ボンヤリと床を見つめる。ニーガンがいるとうるさいと感じるのに、今はこの静けさが嫌いだ。
       どうしても「ただいま」の声が聞きたい。
       その時、ドアの開く音が微かに響く。その音に導かれるように玄関へ向かうと、そこにはニーガンの姿があった。
       ニーガンはリックを見ると普段通りの笑みを浮かべた。
      「文句は後にしろよ。説明してやるから、先にシャワーを浴びさせて……」
      「おかえり。」
       リックの口から滑り落ちた言葉にニーガンが驚いた顔をする。それは演技ではなく心からのものだとリックは確信した。
       ニーガンは驚きの表情を浮かべたまま口を開く。
      「……ただいま。」
       それは小さな声だった。
       そのことが妙な恥ずかしさを呼び起こしたため、リックは片手で顔を覆って俯いた。
      「どうして俺が恥ずかしくならなきゃいけないんだ?」
      「それは俺のセリフだ。……文句を言われると思ったのに、今のは反則だ。」
       意外にも近くで声が聞こえたためリックが顔を上げると拗ねた顔のニーガンが目の前にいた。
       リックは一歩後ろへ下がろうとしたが、ニーガンに抱き寄せられたためそれは叶わない。
       珍しく真剣な表情のニーガンは唇同士が触れそうな近さで囁く。
      「リック、もう一度『おかえり』と言ってみろ。」
       結局、この男には逆らえない。
       そう思いながら「おかえり」と口にするとニーガンは満足げに微笑む。
       そして「ただいま」と共に与えられたのは熱い口付けだった。

      End




      ◆ダリリク/制限付きの逃避行

      「笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか」
      https://shindanmaker.com/750576

      【制限付きの逃避行】

       ダリルの視線の先には難しい顔をして考え込むリックがいる。
       出会ったばかりの頃のリックはもっと表情豊かな男だったように思う。良いものも悪いものも表情に出していたように思う。
       しかし、リーダーとしての重さが増していくとリックの顔からは表情が消えていった。
       きっと、背負い過ぎたのだろう。
       きっと、失い過ぎたのだろう。
       それをどうにかしてやりたくても運命は過酷なもので、誰にもリックを救えない。
       だからダリルはリックの傍に行く。頬を撫でてやることしかできなくても、その一瞬だけリックに表情が戻るからだ。
       ダリルがリックの隣に立つとリックは視線だけを寄越してきた。
      「また考え事か?」
      「ああ、別に大したことじゃない。」
       嘘つきめ。
       そう言ってやりたかったが、言ったところで苦笑するだけだろう。
       ダリルは何となくリックに触れたくなって頬に掌を這わせた。そうするとリックは目を細めて幸せそうな笑みを浮かべる。
       笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか?
       ダリルは最近では滅多に笑わなくなった想い人に胸を痛め、自分にできることの少なさに落胆する。
       自分と過ごす時間だけでもリックが幸せだと思えるのならいくらでも傍にいるのに。
       そんなダリルの思いをやんわりと拒むようにリックが離れていく。
      「……もう行かないと。」
       小さく呟いたリックの顔からは表情が消えていた。
      「そうだな。」
       次にリックの笑顔に会えるのはいつになるのだろう?
       リックの傍にいたいのは彼のためなのか、それとも自分のためなのか、ダリルにはそれさえわからなくなった。

      End




      【この熱さをもたらすもの】ダリリク

       照りつける太陽が俺の背中を焼く。
       ジリジリと焦げつく背中に滲む汗は不快さしか与えてくれず、眉間にしわが寄ったのを自覚する。
       作業する手を止めて休めばいいのに「もう少しだけ」と作業を止められない。生き急ぐつもりはないが、小さな焦りが自分の中に存在しているせいなのかもしれない。
       思わず自分に苦笑を漏らした時、後ろから足音が近づいてきた。
      「仕事中毒か?水でも飲んで休め。」
       姿を見せたのはダリルで、彼は水の入ったペットボトルを手にして立っている。
       差し出されたペットボトルを受け取りながら礼を言うと、ダリルの手の甲が俺の頬に触れた。
      「おい、かなり熱いぞ。気分は悪くないか?」
      「大丈夫だ。だが、そろそろ切り上げた方がいいかもしれないな。」
      「あんた、結構汗かきだよな。脱水症状でぶっ倒れても知らねーぞ。」
       ダリルは呆れ顔で俺の頬を軽く叩いた。
       休まずに仕事を続けてしまうのは俺の悪い癖だ。そんな俺をダリルはいつも心配してくれる。
       本当に良い奴だな、と思わず笑みが溢れた。
      「気をつける。それにしてもお前は本当に俺のことをよく見ているよな。そんなに俺のことが好きなのか?」
       笑い混じりに冗談を言ってみた。
       「バカか」と呆れ顔をするダリルを想像していたが、予想とは違ってダリルは目を丸くして俺を見る。その顔が真っ赤に染まるのは一瞬のことだった。
       予想外の反応に何も言えずにいるとダリルが耳元に唇を寄せてくる。
      「好きだけど、何か文句あるか?」
       低く囁かれて背筋にゾクリとしたものが走る。
       ダリルは俺から体を離し、鼻を鳴らして去っていく。それを見送ることができないのは全身が硬直してしまったからだ。
       ああ、熱い。頬が燃えるように熱い。
       思いがけずダリルから与えられた熱に逆上せそうな気がした。

      End




      【Strawberry】ニガリク

       ああ、今日もよく働いた。
       そんな充実感と共にリックは体を伸ばす。
       スッキリと晴れた青空の下で作業をするのは気分が良い。そのためか今日はいつもより張り切って仕事をしたような気がする。
       休むことなく動き回ったので、さすがに体が重い。リックは休憩のために近くの家の壁に背中を預けて座った。
       吹き抜ける風の柔らかさが心地良い。
       耳に届く住人たちの賑やかな声が穏やかな気持ちにさせてくれる。
       様々な困難を乗り越えたアレクサンドリアは希望に満ちた町へと変わりつつある。
      (幸せだなぁ)
       素直にそう感じたリックは微かに笑みを浮かべた。


       リックが幸せな気分を満喫していると足音が近づいてくる。その足音の方へ顔を向ければニーガンが歩いてくる姿が見えた。
       ニーガンのシャツの袖には泥が付いている。畑仕事を嫌がらずに行うニーガンを意外に思ったのはそんなに最近のことではない。
       敵対し、憎み、戦争までした相手と手を取り合って生きていることが信じられないが、目の前にあるのは全て現実だ。そのことが不思議で、おかしくて、そして嬉しい。
       リックがクスクスと笑っていると目の前に来たニーガンが呆れたような顔をする。
      「働きすぎておかしくなったのか?」
      「違う。気にしないでくれ。」
       まだ笑いの余韻を残すリックにニーガンは顔をしかめたが、それ以上は追及せずにリックの正面にしゃがんだ。
       リックの前にしゃがんだニーガンの手には苺が乗っている。畑で育てていたものを持ってきたのだろう。
      「見事な出来だな。ニーガンが農作業が好きだなんて意外だった。」
       そう言ってやるとニーガンはニヤリと笑う。
      「小さなレディだと思えば手間をかけるのも惜しくない。」
       「何だそれ」とリックが笑っているとニーガンはリックの唇に触れた。
      「お前に一番に食わせてやる。口を開けろ。」
       その言葉に従ってリックは口を開けたが、ニーガンは苺を自分で咥えてしまう。
       一番に食べさせてくれるのではなかったのか?
       リックがそんな疑問を抱いているとニーガンが顔を近づけてきた。そしてニーガンが咥えた苺がリックの唇に触れる。「食べろ」という意味なのだと理解したリックは苺をかじった。
       かじった瞬間に口の中に果汁が広がり、甘く爽やかな香りが鼻を通り抜ける。リックは自分を真っ直ぐに見つめてくる瞳を見つめながら苺を咀嚼した。
      「美味い。」
       正直な感想を告げると、それを待ちかねていたかのように残り半分の苺がニーガンの口の中へと消える。
       ニーガンは己の唇に付いた苺の汁を舐め取りながら囁く。
      「お前のためにこの俺が育てた苺だ。全部食えよ、リック。」
      「……本当に押し付けがましい奴だな、あんたは。」
       溜め息混じりのリックの言葉を気にしていない様子でニーガンは再び苺を咥えた。
       リックは「仕方ない」と苦笑してからその苺を咥える。さっきよりも深く咥えれば唇同士が触れ合う。
       そして思いきって苺をかじれば触れ合うだけのものが深い口付けへと変わった。
       苺の甘い汁と共に舌を絡め合えば奇妙な背徳感に背筋がゾクリとする。その背徳感を嫌だと思わないのは目の前の男との甘い時間に溺れているせいだ。
      (甘い、さっきよりもっと)
       この甘さは自分だけのもの。ニーガンが自分のために育てた苺をニーガン自ら与えてくれることで生まれた甘さだ。
       そう認識した時、何度も噛むことでドロドロになった苺が喉を下りていった。
       まだ食べ足りない、と思ったリックは軽く口を開けて「もっと」と強請る。
       「仕方ない奴だ」とニーガンが楽しげな笑みを浮かべながら咥えた苺がリックにはこの世で一番美味しそうなものに見えた。

      End




      【唐突に告げる】シェンリク

      「愛してる。」
       シェーンの鼓膜を震わせたリックの一言は何の脈絡もないものだった。
       シェーンとリックは二人がけのソファーに並んで映画を観ている真っ最中。
       観ているのは恋愛ものの映画ではない。そういったジャンルに興味はなかった。ついさっきまでビール片手にストーリーにツッコミを入れて笑い合っていただけなのだ。
       それなのに突然リックが愛の言葉を口にしたため、シェーンは目を丸くして隣に顔を向けた。
      「何だよ、急に。」
       そう尋ねればリックは楽しそうに笑った。
      「何となく言いたかっただけだ。」
      「そんなムードじゃなかったぞ。」
       変な奴、と苦笑しながら新しいビールに口を付ける。
       突然のことに驚きはしたが、悪くはない。
       相手のことを常に愛しく思っているのはシェーンも同じだ。
      「愛してる。」
       今度はシェーンが愛の言葉を口にした。
       シェーンが再び隣へ顔を向ければリックも同じようにシェーンを見ていた。
       目が合った時、リックの目尻が垂れて幸せそうな笑みが浮かんだ。
       そんなリックを「愛しいな」と改めて思ったシェーンの口も弧を描いていた。

      End
      ♢だんご♢
    • 飽きたなら、さようなら #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク

      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7辺りのニガリク。
      ニーガンに素っ気なくされるようになったリックが徴収の前日に調達に出かけるお話。


      ニーガンに素っ気なくされるリックを書いてみたかったので挑戦してみましたが、あんまり素っ気ない感じがしないかもしれません。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • リック受けまとめ2 ##TWD ##ニガリク ##ダリリク ##メルリク

      ぷらいべったーに投稿した作品のまとめです。
      ほぼニガリクでした。
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • スコット受まとめ #蜘蛛蟻  #隼蟻  #盾蟻  #腐向け ##蜘蛛蟻 ##隼蟻 ##盾蟻


      診断メーカーのお題で書いたものをまとめました。privatterに投稿していたものです。




      ◆今日の隼蟻:洗う係と拭く係とで別れて、口論しながらも見事な連携プレーで食器を洗う
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

      「だーかーら!今日は俺が夕飯作るって言っただろ!?しかも言ったのは朝!」
       スコットが泡だらけの皿を水で洗いながら怒鳴ると、その隣ではサムが洗い終わった食器を乾いたタオルで拭きながらしかめっ面をする。
      「俺がやりたくてやってるだけだ。俺としては何で怒られなきゃならないのかが理解できないね。」
      「疲れて帰ってきた奴にさせたくなかったのがわかんないのか!?あー、俺の優しさが無駄になった!」
       やけくそ気味に言い放ったスコットの言葉に対してサムが「自分で言うな」とツッコむと、スコットの機嫌はますます下降していく。
       今日の任務はサムだけだったので、スコットは今夜の食事は自分が作ろうと思っていた。毎日食事を作ってくれるサムへの感謝のためでもあったからだ。
       それなのに買い出しで家を留守にした間にサムが帰宅し、スコットが帰宅する前に夕食を作ってしまったのである。
      「あんたに美味いものを食べさせてやりたいと思うのがそんなにダメか?」
       サムはスコットが渡した皿を受け取って手際良く水分を拭き取った。
      「そうじゃなくてっ……サムに少しでも楽をさせてやりたい俺の気持ちも考えろってこと。」
       差し出されたサムの手にスコットは洗い終わった皿を乗せる。その皿の水気もサムの手によってあっという間に消え失せてしまった。
      「あんたを喜ばせたい俺の気持ちも考えてほしいね。……早く次を渡せ。」
      「はいはい、これで最後だよ。」
       スコットが不機嫌そうに最後の皿を渡すと、サムは目を丸くしてスコットの顔を見た。
      「最後?これで終わりか?」
      「何か問題でも?」
      「早いな。もう洗い終わったのか。」
      「……ケンカしても連携プレーはバッチリだな、俺たち。」
       その事実が二人の仲の良さを表しているようで、不思議と笑みが浮かんでくる。
       こうなってしまえば怒りは萎んで消えてしまい、後は仲直りをするだけとなる。
       スコットとサムは向かい合うと互いの体に両腕を回して抱きしめ合った。
      「サム、ごめん。ムキになって怒り過ぎた。」
      「俺こそ悪かった。スコットの気持ちは嬉しかったんだ。」
       謝り合ってハグをすればケンカはお終い。
       残りの時間は甘く穏やかな時間を過ごすことにしよう。

      End




      ◆今日の蜘蛛蟻:なんだか無性に甘いものが食べたいと思ってドーナッツ1ダース買って帰ったら相手も1ダース買ってた
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       お腹が空いたな、と思った帰り道。
       甘いものが食べたいな、と思って回り道。
       良さそうな店を探すピーターの鼻に届いたのは美味しそうなドーナツの香り。
       甘い香りに誘われてフラフラと店に入れば数えきれないほどたくさんのドーナツ。種類の豊富さは選ぶ楽しさを与えてくれる。
      (スコットさんは何が好きかな?)
       同棲中の恋人の好みを思い出しながらドーナツと見つめ合うが、どれも魅力的で一つだけ選ぶのは無理そうだ。
       それならば何種類も買って帰ればいいではないか。
       「我ながら名案だ」とピーターは笑みを浮かべ、澄まし顔で並ぶドーナツたちを次々と指名する。
       ドーナツを購入し、「ありがとうございました」と店員の声を背に受けながら店を出たピーターの手には大きな箱。その中にはドーナツが一ダースも詰まっていた。
       買い過ぎたかな、と思いながらも家に向かう足はステップを踏みそうな勢いだ。
       腹の虫を鳴かせながら家に帰れば愛しいスコットが出迎えてくれる。
      「見て、スコットさん。ドーナツ買ってきたんだ。」
       そう言ってドーナツの入った箱を差し出すとスコットは「えっ!」と言って目玉が飛び出そうな勢いで目を丸くした。
       どうしたのかと尋ねればスコットは気まずそうにダイニングテーブルを指差す。
       そこにあったのはピーターと同じ柄と大きさの箱。
      「俺もドーナツを買ってきたんだ。ピーターが喜ぶかと思って。……一ダース。」
       ピーターは困り顔で頬をかくスコットに抱きつきながら「僕たちの相性は最高だね!」と頬にキスを贈ったのだった。

      End




      ◆今日の盾蟻:仕事で疲れ切った帰り道、家の明かりが灯っているのを見て不意に泣きたくなった(相手には絶対言わないが)
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       すっかり暗くなった通りを歩きながらスティーブは冷たい風に体を震わせる。
       今日の任務は予定よりも時間がかかった。想定外の出来事が起きるのは当然で、そのための心構えは常にできている。
       しかし、疲れるものは疲れる。超人的な肉体を持つスティーブであっても疲れが溜まるのは避けられず、今日は特に疲れが大きい。
       重いものを引きずるように歩きながらの帰り道は気分まで重くさせた。
       暗い道を寒さに震えながら歩くのは妙に落ち込む。通りすがりの相手から嫌なことを言われたわけでもないのに……というより、誰とも擦れ違わないのだが。
      (なんだか情けないな)
       自分自身に対して苦笑しながら歩くうちに我が家が見えてきた。
       狭くはないが広いとも言いきれない小さな家には柔らかな明かりが灯っている。
      (スコット、まだ起きていたんだな)
       同棲を始めたばかりの恋人には帰るのが遅くなると連絡は入れてある。先に寝ていてほしいとも伝えておいたはずだ。
       それでも彼はスティーブの帰りを起きて待っていたらしい。

      ───ああ、一人じゃないことがこんなにも嬉しい。

       そう思った途端に鼻の奥がツーンとして、目の奥が熱くなって、瞬きを繰り返さなければ涙が溢れてしまいそうな気がした。
       スコットという存在が自分の心に温もりを与えてくれることが幸せで……幸せだからこそ泣きたくなる。
       スティーブは家の玄関の前に立つと頬を軽く叩いた。
       泣きそうになったなんて絶対に悟られたくない。いつも通りの自分でスコットに会いたい。
       「よし!」と小さく声を出してからドアを開ければ、愛しい笑顔がスティーブを迎えてくれた。

      End
      #蜘蛛蟻  #隼蟻  #盾蟻  #腐向け ##蜘蛛蟻 ##隼蟻 ##盾蟻


      診断メーカーのお題で書いたものをまとめました。privatterに投稿していたものです。




      ◆今日の隼蟻:洗う係と拭く係とで別れて、口論しながらも見事な連携プレーで食器を洗う
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

      「だーかーら!今日は俺が夕飯作るって言っただろ!?しかも言ったのは朝!」
       スコットが泡だらけの皿を水で洗いながら怒鳴ると、その隣ではサムが洗い終わった食器を乾いたタオルで拭きながらしかめっ面をする。
      「俺がやりたくてやってるだけだ。俺としては何で怒られなきゃならないのかが理解できないね。」
      「疲れて帰ってきた奴にさせたくなかったのがわかんないのか!?あー、俺の優しさが無駄になった!」
       やけくそ気味に言い放ったスコットの言葉に対してサムが「自分で言うな」とツッコむと、スコットの機嫌はますます下降していく。
       今日の任務はサムだけだったので、スコットは今夜の食事は自分が作ろうと思っていた。毎日食事を作ってくれるサムへの感謝のためでもあったからだ。
       それなのに買い出しで家を留守にした間にサムが帰宅し、スコットが帰宅する前に夕食を作ってしまったのである。
      「あんたに美味いものを食べさせてやりたいと思うのがそんなにダメか?」
       サムはスコットが渡した皿を受け取って手際良く水分を拭き取った。
      「そうじゃなくてっ……サムに少しでも楽をさせてやりたい俺の気持ちも考えろってこと。」
       差し出されたサムの手にスコットは洗い終わった皿を乗せる。その皿の水気もサムの手によってあっという間に消え失せてしまった。
      「あんたを喜ばせたい俺の気持ちも考えてほしいね。……早く次を渡せ。」
      「はいはい、これで最後だよ。」
       スコットが不機嫌そうに最後の皿を渡すと、サムは目を丸くしてスコットの顔を見た。
      「最後?これで終わりか?」
      「何か問題でも?」
      「早いな。もう洗い終わったのか。」
      「……ケンカしても連携プレーはバッチリだな、俺たち。」
       その事実が二人の仲の良さを表しているようで、不思議と笑みが浮かんでくる。
       こうなってしまえば怒りは萎んで消えてしまい、後は仲直りをするだけとなる。
       スコットとサムは向かい合うと互いの体に両腕を回して抱きしめ合った。
      「サム、ごめん。ムキになって怒り過ぎた。」
      「俺こそ悪かった。スコットの気持ちは嬉しかったんだ。」
       謝り合ってハグをすればケンカはお終い。
       残りの時間は甘く穏やかな時間を過ごすことにしよう。

      End




      ◆今日の蜘蛛蟻:なんだか無性に甘いものが食べたいと思ってドーナッツ1ダース買って帰ったら相手も1ダース買ってた
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       お腹が空いたな、と思った帰り道。
       甘いものが食べたいな、と思って回り道。
       良さそうな店を探すピーターの鼻に届いたのは美味しそうなドーナツの香り。
       甘い香りに誘われてフラフラと店に入れば数えきれないほどたくさんのドーナツ。種類の豊富さは選ぶ楽しさを与えてくれる。
      (スコットさんは何が好きかな?)
       同棲中の恋人の好みを思い出しながらドーナツと見つめ合うが、どれも魅力的で一つだけ選ぶのは無理そうだ。
       それならば何種類も買って帰ればいいではないか。
       「我ながら名案だ」とピーターは笑みを浮かべ、澄まし顔で並ぶドーナツたちを次々と指名する。
       ドーナツを購入し、「ありがとうございました」と店員の声を背に受けながら店を出たピーターの手には大きな箱。その中にはドーナツが一ダースも詰まっていた。
       買い過ぎたかな、と思いながらも家に向かう足はステップを踏みそうな勢いだ。
       腹の虫を鳴かせながら家に帰れば愛しいスコットが出迎えてくれる。
      「見て、スコットさん。ドーナツ買ってきたんだ。」
       そう言ってドーナツの入った箱を差し出すとスコットは「えっ!」と言って目玉が飛び出そうな勢いで目を丸くした。
       どうしたのかと尋ねればスコットは気まずそうにダイニングテーブルを指差す。
       そこにあったのはピーターと同じ柄と大きさの箱。
      「俺もドーナツを買ってきたんだ。ピーターが喜ぶかと思って。……一ダース。」
       ピーターは困り顔で頬をかくスコットに抱きつきながら「僕たちの相性は最高だね!」と頬にキスを贈ったのだった。

      End




      ◆今日の盾蟻:仕事で疲れ切った帰り道、家の明かりが灯っているのを見て不意に泣きたくなった(相手には絶対言わないが)
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       すっかり暗くなった通りを歩きながらスティーブは冷たい風に体を震わせる。
       今日の任務は予定よりも時間がかかった。想定外の出来事が起きるのは当然で、そのための心構えは常にできている。
       しかし、疲れるものは疲れる。超人的な肉体を持つスティーブであっても疲れが溜まるのは避けられず、今日は特に疲れが大きい。
       重いものを引きずるように歩きながらの帰り道は気分まで重くさせた。
       暗い道を寒さに震えながら歩くのは妙に落ち込む。通りすがりの相手から嫌なことを言われたわけでもないのに……というより、誰とも擦れ違わないのだが。
      (なんだか情けないな)
       自分自身に対して苦笑しながら歩くうちに我が家が見えてきた。
       狭くはないが広いとも言いきれない小さな家には柔らかな明かりが灯っている。
      (スコット、まだ起きていたんだな)
       同棲を始めたばかりの恋人には帰るのが遅くなると連絡は入れてある。先に寝ていてほしいとも伝えておいたはずだ。
       それでも彼はスティーブの帰りを起きて待っていたらしい。

      ───ああ、一人じゃないことがこんなにも嬉しい。

       そう思った途端に鼻の奥がツーンとして、目の奥が熱くなって、瞬きを繰り返さなければ涙が溢れてしまいそうな気がした。
       スコットという存在が自分の心に温もりを与えてくれることが幸せで……幸せだからこそ泣きたくなる。
       スティーブは家の玄関の前に立つと頬を軽く叩いた。
       泣きそうになったなんて絶対に悟られたくない。いつも通りの自分でスコットに会いたい。
       「よし!」と小さく声を出してからドアを開ければ、愛しい笑顔がスティーブを迎えてくれた。

      End
      ♢だんご♢
    • スコット受け他まとめ ##アントマン ##蜘蛛蟻 ##スコット ##ロケット ##トニー

      ぷらいべったーに投稿した作品のまとめです。
      CPあり・なしの話がごちゃまぜ。CPありは蜘蛛蟻のみ。
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • ある寒い日のこと #ウースコ  #アントマン  #腐向け ##ウースコ ##アントマン


      自宅軟禁期間のウースコ。
      寒い日にスコットの自宅を訪ねるジミーのお話。

      寒い日は妄想がはかどるので書いてみました。ウースコというよりもウースコ未満かもしれません。
      いつも「ウーさん」と呼んでいるのでCP表記をウースコにしましたが、ジミスコの方がいいんでしょうか?
      とりあえずウースコでいこうと思います。
      短い話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 赤ずきんとおばあさん #蜘蛛蟻  #ピタスコ  #腐向け  ##蜘蛛蟻


      小説投稿機能のお試し。
      ぷらいべったーで投稿したものを少し手直ししました。タイトルのセンスがないのはお許しください。
      ピーターが遊びに来るのを待つ心配性なスコットのお話。
      よかったらどうぞ〜。
      ♢だんご♢
    • 本能が「欲しい」と囁いた #ニガリク  #TWD  #腐向け  #オメガバース  ##ニガリク  ##TWD

      pixivにも投稿した作品です。
      S7のニガリクで、オメガバース設定を使用しています。
      ネタバレになるので詳細は控えさせていただきます。

      好きなように設定を詰め込んでいますが、よかったらどうぞ。


      2018.6.21 一部を修正しました。
      ♢だんご♢
    • 小さなバースデーパーティー ##TWD ##リック ##カール

      アンディの誕生日にグライムズ親子の誕生日ネタで1つ。
      放浪中の親子の誕生日のお話。短いです。
      ♢だんご♢
    • さよなら、私のアルファ #ニガリク  #TWD  #腐向け  #オメガバース  #オリジナルキャラクター  ##ニガリク  ##TWD

      pixivにも投稿している作品です。
      【本能が「欲しい」と囁いた】の続きになります。
      ニーガンが運命の番と出会ったため、サンクチュアリを出ていくことにしたリックのお話。


      オリジナルキャラクターが複数名登場します。出番が多く、ニガリクの子どもも登場するので苦手な方はご注意ください。
      詳細は1ページ目に案内がありますので、そちらをご覧ください。
      ニガモブ要素を少し含みますし、ニーガンがひどい男です。
      よかったらどうぞ。


      2018.6.21 一部を修正しました。
      ♢だんご♢
    • ベッドひとつぶんの世界 #TWD #ダリリク #ニーガン #腐向け ##TWD ##ダリリク

      pixivに投稿したものと同じ作品です。
      S7辺りのダリリク。
      ニーガンの部下になったダリリクと、二人を見つめるニーガンのお話。


      ダリリクが揃ってニーガンの部下になったら、互いだけを支えにして寄り添い合うのかなーと妄想したので書きました。
      寄り添い合うダリリクはとても美しいと思います。
      CPもののような、そうでないような、微妙な話ではありますが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • ちょっとそこまで逃避行 #蜘蛛蟻 #ピタスコ #腐向け ##アントマン ##蜘蛛蟻


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      スパイダーマンFFH後の蜘蛛蟻。
      FFHのネタバレを含むのでご注意ください。
      辛い状況にあるピーターがスコットの家に逃避行するお話。


      FFHが個人的に辛すぎたので自分を救済するために書きました。
      蜘蛛蟻というより蜘蛛蟻未満?
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 数値は愛を語る #蜘蛛蟻 #腐向け #Dom/SubAU ##蜘蛛蟻

      pixivに投稿したものと同じものです。
      Dom/Subユニバース設定で、Switch×Subの蜘蛛蟻。
      ピーターに惹かれながらも寄せられる想いに向き合うことができないスコットさんのお話。
      特にどの時間軸というのはなく、設定ゆるゆるです。


      突然降ってきたネタに萌えてしまったので勢いで書きました。スコットさんがヘタレです。
      特殊設定なので「大丈夫だよ!」という方は、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • プリンシパルとアンサンブル(前半) #TWD #ニガリク #腐向け #夢小説 ##TWD ##ニガリク

      S7の頃。救世主として日々を過ごす主人公が偶然リックと関わり、それをきっかけにリックやニーガンと深く関わるようになるお話。

      夢小説なので主人公はドラマに登場するキャラクターではありません。夢主がキャラクターたちと関わるのを楽しみつつニガリクを堪能する作品です。
      夢小説とCP小説を合わせた作品なので苦手な方はご遠慮ください。
      主人公とキャラクターが恋愛関係になる展開もありませんのでご了承ください。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 家族写真 #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7辺りのニガリク。
      大切にしてる家族写真をニーガンに奪われたリックのお話。

      「ニーガンはグライムズ親子の写真を勝手に持って帰りそう」と思ったので書いてみました。
      特に盛り上がりのない私向けの話です。お暇な時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 道なき未知を拓く者たち③ #TWD #ニガリク ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      「リックを最初に拾ったのがニーガンだったら?」というIFストーリー『生まれ落ちた日』の続編。
      リックは食料調達のためにシェーンとカールと共に森に入り、その最中に事件が起きる。それはグループの運命を変えるものだった。


      ドラマの展開に沿ったストーリーですが、オリジナル要素を盛り込んでいます。納得できない展開になってもご容赦ください。
      ニガリクタグを付けたら詐欺になりそうなくらいにニガリク要素が少ないです。ニガリクを探せ!という気持ちで読んでください。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 僕はコーヒー豆を挽かない #TWD #ダリリク ##TWD ##ダリリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S5でアレクサンドリアに到着した後。
      「生きてきた世界が違う」という理由でリックや仲間と距離を置くダリルを心配するリックのお話。


      ほんのりダリリクの味がするお話です。
      アレクサンドリアに着いたばかりのダリリクの何とも言えない距離感も良いですね。
      タイトルについては深く考えずに読んでいたたければありがたいです。
      地味な話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • Restart #蜘蛛蟻 #ピタスコ #最新作のネタバレあり ##蜘蛛蟻


      ※スパイダーマンNWHのネタバレを含むのでご注意ください。


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      スパイダーマンNWH後。
      パトロール中のピーターがスコットに出会うお話。
      蜘蛛蟻未満だけど後々に蜘蛛蟻が成立するという解釈で書いているので蜘蛛蟻です。


      スパイダーマンNWHは面白い映画でしたね。
      でも個人的にとてもしんどい展開だったので自分を救済するために書きました。蜘蛛蟻は癒やし。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 侵入者との攻防 #ロケスコ #腐向け ##ロケスコ


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      アベンジャーズ・エンドゲームでのロケスコ。
      毎朝ロケットが自分の上で寝ていることに困惑するスコットのお話。


      エンドゲームを観て見事にロケスコにすっ転んだので書いてみました。
      口調が掴みきれてないので違和感があったら申し訳ないです。
      短い話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 亡霊殺し #TWD #ダリリク #腐向け ##TWD ##ダリリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S2終了後のダリリク。
      リックの傍にシェーンの亡霊が見えるダリルのお話。ほんのりシェンリク風味もあります。

      盛り上がりが特にない私得なダリリクです。ダリリク未満かもしれません。
      じんわりとリックへの執着を滲ませるダリルが好きなので書いてみました。
      本当に暇な時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 雛の巣作り #ニガリク  #TWD  #腐向け  #オメガバース  ##ニガリク  ##TWD

      pixivにも投稿している作品です。
      【本能が「欲しい」と囁いた】の番外編。
      ニガリクが番になって1年が経った頃のお話。
      よかったら、どうぞ〜。


      2018.6.21 一部を修正しました。
      ♢だんご♢
    • 罪な味 #TWD #リック #シェーン #カール #ダリル #ニーガン ##TWD


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      リックと誰かの食にまつわるお話。
      時期も長さもバラバラ。基本的にほのぼのですが、ニーガンとの話はほのぼのしてません。


      ・【ピザ】 リック&シェーン
       アポカリプス前。「ピザの魅力には抗えません」というお話。

      ・【ケーキ】 リック&カール
       アポカリプス前。「いつもと違う食べ方をすると楽しくて美味しい」というお話。

      ・【肉】 リック&ダリル
       平和な刑務所時代。「調味料は偉大だ」というお話。

      ・【フルーツティー】 リック&ニーガン
       S7辺り。「悔しいけれど美味しいものは美味しい」というお話。


      リックに美味しいものを食べてほしいと思ったので書いてみました。ニーガン以外はほのぼのしてます。
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 特に何も始まっていない二人 #TWD #ダリリク #腐向け ##TWD ##ダリリク

      pixivに投稿した作品と同じもです。
      平和な刑務所時代のダリリク。
      特に何も始まってないけれど仲よしなダリリクの詰め合わせ。

      CPというよりブロマンスなダリリクです。お互いに相手を大事に思ってることが滲み出るダリリクが好きです。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 道なき未知を拓く者たち① #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      「リックを最初に拾ったのがニーガンだったら?」というIFストーリー『生まれ落ちた日』の続編。
      リックの家族を捜す旅に出たリックとニーガンだったが、過酷な世界での旅は簡単なものではなく……。


      ドラマの展開に沿ったストーリーですが、オリジナル要素を盛り込んでいます。納得できない展開になってもご容赦ください。
      長編なのでのんびり書いています。次の章を投稿できるのがいつになるのか不明です。
      完全に私得な話なのでお暇な時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • プリンシパルとアンサンブル(後編) #TWD #ニガリク #腐向け #夢小説 ##TWD ##ニガリク


      S7の頃。前作の続きで、ケガの治療のためにサンクチュアリに滞在するリックを世話する主人公がリックとニーガンの関係性を目の当たりにするお話。

      夢小説なので主人公はドラマに登場するキャラクターではありません。夢主がキャラクターたちと関わるのを楽しみつつニガリクを堪能する作品です。
      夢小説とCP小説を合わせた作品なので苦手な方はご遠慮ください。
      主人公とキャラクターが恋愛関係になる展開もありませんのでご了承ください。
      前編よりも主人公がリックに肩入れしています。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 恋しい、と獣は鳴いた #TWD #ダリリク #ニガリク #腐向け #オメガバース ##TWD ##ダリリク ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7辺りのダリリク・ニガリク。
      リックと番になっているダリルがリックと引き離されて情緒不安定な時にニーガンと話すお話。ダリルとニーガンのちょっとしたバトル。


      「αが番のΩに依存する」という設定で書きたくて書いてみました。会話してるだけなので特に盛り上がりのない地味な仕上がりです。
      気が向いた時にでもどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 彼らが愛したのは「   」です #TWD #セディリク #ゲイリク #ニガリク #妊夫 #腐向け ##TWD


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S8終了後。
      ニーガンの子どもを妊娠したために孤立するリックを支えるセディク、ゲイブリエル、ニーガンのお話。セディクがメインです。

      ※注意
      ・男性の妊娠、出産、授乳の表現あり
      ・リックへの差別、迫害要素あり
      ・全体的に重苦しい展開


      CP要素があるような無いような微妙なところです。
      重苦しい雰囲気の話なのでご注意ください。
      本当に気が向いた時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 生まれ落ちた日 #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S1初回。
      ニーガンが病院でリックを見つけるお話。
      S1初回にニーガンを放り込んだだけ。ニーガンの過去について原作の設定を使っているので未読の方はご注意ください。


      S1の時点でニガリクが出会っていたら最強コンビになったのでは?という妄想を形にしてみました。別人感が強いです。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 赤い糸の憂鬱 #TWD #カルリク #ニガリク #腐向け ##TWD ##カルリク ##ニガリク

      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7のカルリク・ニガリク。
      リックとニーガンが赤い糸で繋がっているのが許せないカールのお話。
      特殊な設定がありますが、深く考えない方がいいかも?


      カルリクとニガリクで三角関係が読みたくて書きました。カールの前に立ち塞がるニーガン美味しいです。
      「カールは赤い糸が見える」という特殊設定がありますが、深く考えず雰囲気を味わって頂ければと思います。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 「大丈夫」の言葉 #TWD #ダリリク #腐向け #ケーキバース ##TWD ##ダリリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      平和な刑務所時代のダリリク。
      リックが「ケーキ」であることを知ったダリルが思い悩むお話。
      ケーキバース設定を使っています。この話にグロテスクな要素はありませんが、ケーキバース設定自体がカニバリズム要素を含むので苦手な方はご注意ください。


      リックのことが好きすぎて思い詰めるダリルが大好物なので書いてみました。
      盛り上がりの少ない私得な話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
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