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    Calf love is always broken注意事項初恋は実らない預ける恋心再会の恋心は…注意事項
    【ATTENTION!!】読む前に確認お願いします

    ・「鬼滅の刃」二次創作作品です。

    ・原作登場人物の女体化があります。

    ・カップリングとして「煉炭」が含まれます。

    ・現代パロです

    ・文章は拙いです

    ・ご都合主義です

    上記の点確認の上、自己回避よろしくお願いします
    なんでも許せる方のみお楽しみくださいませ!

    初恋は実らない
     side 炭治郎

     生きてさえいれば、将来誰かと結婚して、子供を持ち、家族をつくるのだろうな、と漠然と考えたこともありました
     
     生きてさえいれば、誰かに好意を持ったり、愛しく思ったりもするのだろうと

     家族とは違う特別な感情を、誰かに抱くのだろうとずっと思っていました

     けれど

     あんな感情を知ってしまった
     
     あなたに出会わなければ、俺は知ることもなかったのだろうか
     
     この気持ちを抱くこともなかったのだろうか

     それでも、あの気持ちを抱けたことを俺は後悔していません
     
     それどころか、幸せだったと思っています
    預ける恋心 

     カァーカァーッ

    「炭治郎!なんか手紙来てるよー!」

     普段と変わらず、蝶屋敷で機能回復訓練に勤しんでいると、聞き慣れた声に名を呼ばれた。顔をあげると先に休んでいたはずの善逸が、俺の鎹烏を肩に乗せてこちらに走ってきていた。

    「すまない善逸。気づかなかった。伝えてくれてありがとう!」
    「いいえーどういたしまして!でも、早く見たほうがいいよ?なんかめっちゃ急いでるみたい。俺すごい突かれたんだからな!俺が何したっていうのよ、ねぇ!」
    「ご、ごめん。俺の烏が…。」
    「あ、炭治郎を責めたつもりじゃないんだよ!?」
    「そうなのか?でもごめんな。」

     善逸に謝ると、俺は烏の足に結ばれていた手紙を抜き取る。ついてしまった折り目を正すように伸ばしながらそっと手紙を開いた。
     そこで俺は固まった。

    「炭治郎?」

     善逸が心配そうな匂いをさせながら、気遣わしげに声をかけてくれる。でも、俺にはそれに応える言葉が出てこなくて、手にしていた手紙を文面が見えるように善逸に差し出した。

    「なに?そんなにひどい司令とか送られてきたの、って。…え?これって…」

     俺と同じように善逸からも困惑とほんの少し悲しみの匂いがする。でも、手紙の内容は本当だ。なぜならその送り主は、つい最近出会ったばかりの心優しい少年なのだから。

    「ああ。煉獄さんの納骨式の日取りが決まったって。」

     俺はその時自分が笑えていたか覚えていない。


     〜***〜

    「炭治郎さん!」
    「千寿郎くん、遅くなってしまってごめん!これ、少しだけど後で食べてくれると嬉しい。」

     手紙に書かれていた日、今日は一応休みの予定だったけれど、鬼殺の仕事はそんなの考慮してくれるはずもない。俺は突然入った任務で、式に参加することはできなくなってしまった。まあ、よそ者の俺が参加するのもな、と諦めていたのだけれど、千寿郎くん自身が待っているので来て欲しいと再び手紙をくれたのだ。それで事情を知っている善逸が後始末を肩代わりしてくれて、いま煉獄家にやってきたというわけだ。

    「そんな、こちらが勝手に呼びつけたのに…!」
    「気にしないで!…それに、俺も本当は来たかったんだ。」
    「…あとで父上といただきますね。ありがとうございます!」
    「慎寿郎さんは食べてくれるだろうか…。」
    「大丈夫ですよ。父上もあんな態度ですが、炭治郎さんのことを気に入っていらっしゃいますから。」
    「それならいいんだけど。」

     そうこう話しているうちに目の前には立派な墓石が立っていた。どうやら千寿郎くんは会話をしながら案内していてくれたようだ。俺は礼を言いながら、さっき渡したものとは別に包んであった菓子をそっと備えた。

    「…それでは私は先に戻っておりますね。」
    「千寿郎くん?」
    「ゆっくりしていってください。積もる話もあるでしょうから。」

     終わったら家に来てくださいね!そう言い残して彼はこの場を離れていってしまった。

    「気を使われてしまったかな…。」

     千寿郎くんの姿が見えなくなった後、ふたたび立派なお墓に向き直る。

    「改めて、お久しぶりです。煉獄さん。遅くなってしまいすみません。でも、たくさんお土産持ってきたので許してください。と言ってもあなたにはもしかしたら足りないかもしれませんね。」

     列車であんなにたくさんの弁当を平らげていた人だ。これっぽっちでは到底満足できないだろう。でもなぜか、笑顔で受け取ってくれる彼の姿が簡単に想像できた。
     それから、目覚めてから今日までのことを話した。機能回復訓練が大変だったこと、任される任務が増えてきたこと、階級が上がっていたこと、柱の方々に修行をつけてもらっていること、ぽつぽつと思いつくままに語っていく。はたから見れば墓石に話しかけている変な人と見られるだろうが、今ここには俺しかいないのだ。千寿郎の心遣いに再び感謝しながら、話すのをやめなかった。
     それでも、時が過ぎるのはあっという間で日は傾き空は赤く染まりつつあった。

    「もう日が…。そろそろ行かないと。また来ますね、煉獄さん。」

     墓に備えていた菓子をそっと手に抱えお墓に向かって一礼する。そのまま身を返し去ろうとしたその時、あの香りがした。

     〈 ああ、信じている 竈門少年が再びここにやってくるのを 〉

     熱い熱がくゆり火の粉が爆ぜる炎の匂い、全てを包みこむ偉大な柱の匂いが。
     バッと振り向いたがそこにはさっきと変わらず立派な墓石があるだけだった。あんなに分かりやすかった匂いも今は消えていて。いやでも煉獄さんはそばにいないのだと理解させられた。
     そう。煉獄さんはもういない。いないのだ。当たり前だ。死に際を看取ったのは俺自身なのだから。

     ポロッ

    「っ!本当にあなたはずるい人だ!あんなに短い時間でこんなにも俺の中に色々なものを残していったのに、逝ってしまうなんて!」

     気づいたら涙をこぼしながら俺はお墓に向かって叫んでいた。ちゃんと分かってる。煉獄さんはみんなを守って戦い、見事守り抜いた素晴らしい剣士だった。鬼殺隊の柱として立派に務めを果たされた。そんな彼より何もできなかった俺の方が責められるべきなのだ。それでも、声は煉獄さんに向けられる声は止まらなかった。

    「他の柱の方々に修行をつけていただくと、あなたのことを思い出してしまう!あなたからも教えを受けられたらと。あの日、列車で継子にしてやろうと言っていたではありませんか!それなのに、どうしてあなたはいないんだ!」

     溢れる涙はとどまることを知らず足元に黒い染みを作っていく。しきりに目元をこするけれど、ただ袖を濡らすだけとなってしまった。

    「今も!どうして来てしまったのですか!気づかれないと思ったのでしょう?生憎、俺は鼻がいいから分かってしまうんです。そして、あなたのその気高く優しい匂いを俺が忘れられるわけがない!」

     叫びながら俺は気づき始めていた。己がどうしてここまで心を揺さぶられるのか。いつの間にか心の奥底に芽吹いていたこの小さな感情に。

     〈忘れるなんてできるわけがなかったんだ。今まで気づかなかったけれど俺から匂うこれは思慕の匂い。どうして、どうして…この思いに気づかせたんですか!想うあなたはもういないのに!〉

    「本当にあなたはひどい人だ…。」

     今度は応える声は聞こえてこなかった。それでよかった。今度こそ俺は涙を少し色が濃くなってしまった袖でぐいっと拭った。

    「でも、俺はあなたが信じてくれた思いを胸に、これからも禰豆子を人に戻す方法を探しながら鬼無辻をさがして、いずれ倒します。その旅路にこの想いは持っていけない。持っていけるのは、あなたに教わった”心を燃やす”信念だけだ。」

     ”心を燃やせ” これは唯一彼から教わったものだ。きっと生涯忘れることはない言葉になった。だから他は持っていけない。でも、この想いを消すことはできない。気づかずにここまで育ってしまった想いだ。そう簡単に捨てることなどできやしない。

    「だからここに置いていきます。俺のあなたへの想いはここに。だから、ちゃんと見守っていてくださいね。」

     今度こそ俺はお墓に背中を向け歩き出した。それから煉獄家に着くまで一度も振り返ることはなかったけれど、なぜだか煉獄さんが苦笑している姿が目に浮かんだ。


     
    再会の恋心は…

    「そのあとは煉獄家に寄って千寿郎くんや慎寿郎さんとお土産のお菓子を食べたんですよね。それで、千寿郎くんが煉獄家のお墓はすでにあったが煉獄さんのために新しく作ったのだと教えてくれて。」
    「ふむ。それは俺も聞いたことがあるぞ。父上の罪滅ぼしもあったと今世で教えてくれた。」
    「それもそうなんですけど、実はもう一つ理由があったんですよ。」
    「なんだ?聞かせてくれ。」
    「俺が来やすくなるようにという意味もあったそうです。煉獄家の墓だと来にくいだろうから、と。まぁ、それを知ったのはだいぶ後になってからだったんですが。」
    「そうか。いや、不思議ではないな。なにせ父上は君のことをとても気に入っていたようだから。ところで、話を戻してもいいか?」

     はて、話を戻すとは。一瞬疑問符が浮かんだが、自分がこの思い出話を始めた理由である最初の問いに答えていないのだと思い至った。そうだったそうだった。ちゃんと答えなくては。

    「コホン。つまりですね、俺の初恋は終生叶うことはありませんでした。あのお墓の前で月命日やお盆にご挨拶に行く時だけあの想いは俺の中に戻って来ていたけれど、それだけです。”煉獄さん”に抱いたあの想いは初恋にふさわしく報われなかった。」

     そこで腰に回されていた腕からするりと抜け、横抱きのような形で座っていた姿勢から向き合うように座り直す。そっと頰に手を添えてずっと前から変わらないその美しい瞳を覗き込む。

    「でも今、かつて”煉獄先生”に受け取ってもらい、”杏寿郎さん”に同じくらい想い返されているこの想いはとっても報われていますから、初恋なんて気にしてません!」


     〜***〜

     およそ100年前、俺は鬼が蔓延る哀しい世で俺は一つの恋をした

     叶うことのなかった想いは永い刻を経て新たな恋を連れて来た

     かつては芽吹くことのなかったその想いの種は今度こそ芽吹き大輪の花を咲かせた

     鬼のいない世で俺は2度目の恋を実らせたんだ


    初恋は実らなかった。だけど、2度目の恋は実りをもたらす。





     〈注釈〉
     普通納骨式は火葬などが終わったらそう間をおかず行われるものです。しかし、今回の場合は煉獄父が杏寿郎のために新しくお墓を作ることにしたため、炭治郎が目覚め活動できるようになっています。
     その他、いろいろ食い違いがあるかもしれませんがそこはifということで何卒。
    夕霞 Link Message Mute
    2020/11/29 14:14:54

    Calf love is always broken

    こんにちは、夕霞です。
    冷え込んだ日が増えて来て、布団と仲良しになってる今日この頃です。
    さて、今回は番外編です。
    三部作の彼らの話はここまでとなりますが、シリーズ化した方が見やすいですかね…

    注意事項を読んでお楽しみくださいませ!
    #二次創作 #煉炭 #腐滅の刃

    [追記]
    2020/11/30 細かな点修正しました
      ——————————————————

    (初恋、ですか?ああ、実らないってよく言いますよね。俺の場合は……)

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