間話:前兆注意事項
【ATTENTION!!】読む前に確認お願いします
・「ヒプノシスマイク」の二次創作作品です
・カップリングとして「左馬一(碧棺左馬刻×山田一郎)」が含まれます
・周りのキャラも多いです
・創作設定も多くでてきます
・文章は拙いです
・ご都合主義です
上記の点確認の上、自己回避よろしくお願いします
なんでも許せる方のみお楽しみくださいませ!
Side 銃兎
気づいたのは偶然だった。
普段、ヨコハマで働く俺がイケブクロを訪ねたのは、必要な資料を受け渡す相手の都合に合わせた形で、仕事の一環とはいえ面倒なことだとため息が出る。
そんな用事など、終わればすぐさま帰るつもりだったわけだが、相手が都合で待ち合わせが遅れることになり、俺は暇を潰さなくてはならなくなった。
「とりあえず、コーヒーでも飲みますかね」
端末があるのだから飲みながら仕事を減らせばいい。そう思って近くの喫茶店に入ることにした。チェーン店らしく人はいたが、平日の昼間に店内で仕事をする人は意外と少ないようだ。ちょうど目の前の通りが眺められるカウンターの椅子を引いた。
それからしばらく仕事をしていた。ちょうどキリがいいところまで終わらせたのを確認し、手元を覗くと、最初に注文したコーヒーはとうの昔に飲み切ってしまっていた。追加で購入するかと席を立とうとしたその時だった。
「おや、あれは」
真っ黒の髪に赤が取り入れられた服装、そして何より日の光でキラキラと光るオッドアイが目に飛び込んできた。買い物帰りなのか手には野菜が顔を覗かせたエコバッグを持ち、道すがらの地元民と話している。明るく、笑顔で話をしているだけなのに、そこにどんどん人が集っていく。あっという間に小さな集団が出来上がってしまった。さすがのカリスマ性だな、とつい眺めてしまう自身も魅了されている一人なのかもしれなかった。
だが、そこで視界の隅になにか違和感がちらついた。
——普通の光景なはずだ。俺は何に違和感を覚えたのだろうか
彼にはバレないように視線を巡らせていく。するとすぐに違和感の原因は見つかった。
「……あれか。なんでここにあいつらが?」
視界の端、あまり目につかないところに絞って視線を巡らせばすぐにその正体がわかる。暗がりからそっと覗く二人の男。視線の先にあるのは彼で、時折二人で何かを確認しあっている。その視線に悪意は感じられないが、問題はそこではない。問題は、この男たちは見覚えがあるということだ。
俺はすぐさま席を立った。危険性はないにしろ、確認しておかねばあるまい。
「全く、なんで俺がこんなことをしなくちゃならないんだか。」
そうは言いつつも、放ってはおけないのだから焼きが回ったのだろう。
ガサリとゴミ箱が音を立てた。
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あれが彼に左馬刻がつけたものだと知ったのは、あの後事務所に呼び出されたからだった。職質まがいの追求を逃げ切った部下が連絡してきた。そう口にする我らが王様の機嫌はすこぶるよろしくなかったが、俺に隠す気はないようだった。
曰く、壁崩壊後の山田一郎との話し合いにおいて、イケブクロに火貂組の事務所を置くことを認めてもらったらしい。それは情報を得るための措置だったが、一部では火貂の縄張りにイケブクロも含まれたと勘違いするバカもいるらしく、そのトップである山田三兄弟に危害を加えようとする輩もいる。それは火貂組としても本意ではないため敵の見定めも含めて部下を派遣しているらしい。
「一応アイツにも話はつけてあんだよ。だからもうほっとけ」
「言われなくてもそうします。ですが、彼を守るためかと思いましたよ」
「馬鹿いうな。アイツはそこまで弱くねぇよ」
左馬刻はそうニヤリと笑ってタバコに手をつける。その口角の上がりようは彼への信頼からか、はたまた俺の発言への冷やかしか。最後までそれはわからなかった。
その時、ブクロにいる部下の人数について、俺と左馬刻の間で大きな差異があったことが後々大きな鍵を握ることになるなんて誰も予期せぬ未来だった。