イラストを魅せる。護る。究極のイラストSNS。

GALLERIA[ギャレリア]は創作活動を支援する豊富な機能を揃えた創作SNSです。

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    しおり
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    しおり
    争乱 幕間 丈留伝注意事項各々の戦攻撃の要終わりよければすべてよしってな!注意事項
    【ATTENTION!!】読む前に確認お願いします

    ・「刀剣乱舞」の二次創作作品です。

    ・モブ(オリジナル主人公及び登場人物)がかなり話します

    ・創作設定が多くでてきます

    ・文章は拙いです

    ・ご都合主義です

    上記の点確認の上、自己回避よろしくお願いします
    なんでも許せる方のみお楽しみくださいませ!

    各々の戦
    『落ち着け、お前ら!俺は嶺染本丸の丈瑠だ。一応戦闘系として名が通ってるはずだ。このまま各自で動いていてもらちがあかねぇ。とりあえず戦える奴は俺のところに集まりやがれ!』

     ——しっかし愛し子の捕まえた嬢ちゃん、ありゃあ化けるぜ。人の上に立つモンが備わって、しかも女ときた。この状況で平常時を貫けるだけの精神力、そして俺たちを纏めあげるだけの統率力。どっちも申し分ない。あの陸奥が認めたっていうんだから大したモンだぜ全く。神さんも愛し子も離す気なんてさらさらなさそうだしなぁ。まぁ、逆に言えば甘えるのが下手そうなガキどもでもあるが。そこは俺たちの出番ってもんだろ。
     
     集まった審神者達の顔を確認しながらも頭を占めるのは、旧来の知己に紹介された一人の女審神者のことだ。知り合いの知り合いというある意味縁のある出会いだが、丈留は彼女のことをすでにだいぶ気に入っていた。どこが、と聞かれれば応える解は持ち合わせていない。ただ率直に“おもしろいやつだ”と思ったのだ。それは智蕾のに抱いたものとひどく似ていた。だが、なんといっても年若い。愛し子と同じく、丈留にとって守り導く対象に違いなかった。
     
     ——どれだけ頭が良かろうと、優れていようと、まだまだ俺たちにとっちゃ子供と一緒だ。扱いは別だがな、甘やかすのも大人の役目だ。あいつらの手が届くところに俺たちがいてやればいい。さて、頼れる大人になってやろうじゃねぇか

    『集まったな!これから俺たちは直接奴さんの首を取りに行く!偵察の方は千木のの極短刀達がやってくれるだろうがンなもん待ってる暇はねぇ!一つでも多く、一秒でも早く首を先に取った方が勝つ。それだけだ!』
    「しかし、嶺染の。戦えはするが自前の武器がねぇ。そこはどうすんだ」
    『……こんえもん‼︎』
    「困ったら私めを呼ぶのやめて下さいよ!審神者の皆様、御安心を。ただ今をもって、こんのすけのシステムは復旧いたしました。ご自身の本丸のこんのすけにお呼びかけくださいませ。そうすれば本丸にあろうとも各々の武器を取れます」
    『だそうだ!』
    「嶺染のは何もしてねぇな⁉︎」

     ~***~

     次々と他の戦闘系審神者たちがこんのすけに武器を貰っていく。

    『……お、そうだ。緊急時だし俺の息子呼んでもいいだろ?こんえもん』
    「こんのすけですってば!いいですよ!もう、どうせそういうこと言い始めると思って許可取っときましたから‼︎感謝してください!ご褒美は豆腐屋のお揚げで作った稲荷で許してあげます!」
    「ほぉ?出汁揚げはいらんちゃ?」
    『そうか、いらねぇのかー(棒)」
    「え!いいんですかさっすがー!これからもお願いしますね!丈留様!陸奥守様!」
    「「「清々しいほどチョロいな⁇」」」

     そんな茶番が許される程度にこの場の雰囲気は悪くない。まぁ、半分本気のやりとりだし、こんえもんに提示した褒美も準備する予定ではある。しかし、そろそろ本気で“準備”しないとな。
     
    『んじゃ、呼ぶからお前さんらどいてろよー』
     
     丈留の声に勝って知ったる仲間達は呆れた顔をしながらもぞろぞろと場所を開けていく。そこで戸惑うのは、新参者の審神者達だ。
     
    「あの、呼ぶってなんですかさっきから」
    「お?お前さんまだ嶺染のが戦う前を見たことねぇのか。まぁ、これも経験だ。黙って見てな」

     パァン

    『こい、蜻蛉。鯰尾。一期。蛍。平野』

     ザァァァアアアアアア

    「はっ、お呼びでしょうか。親父殿」
    「あれ?あるじさんじゃないですか〜!っていうかここ何処」
    「……これはこれは、また急な呼び出しですな」
    「はいはーい!俺は何すればいいのー?」
    「お待たせ致しました。父上」
    『おー、全員来たな』
    「んなぁ⁉︎」
    「ウンウン、そうなるよなぁ。わかるぜ、新人。俺たちも最初自分の目を疑ったもんだ」
    「そうそう。柏手打って呼ぶとかないよな」
    『人を変人扱いすんじゃねーよ!智蕾のだってしてんだろーが!』
    「いやあんたらが別格なだけだから」
    「できても初期刀の一振りだけで、そんな複数呼べてるの智蕾のと嶺染のだけだからな?」
    「というか蜻蛉切は珍しいな」
    『あぁ、コイツは来るのが遅かったからな。丁度いいと思って』
    「「「はぁ⁉︎」」」
     
     皆が驚くのを背後に丈留と蜻蛉切は向かい合った。主として命令を下すために。
     
    『蜻蛉ー、お前この機会にこういう他本丸との連携に慣れとけ。ついでに特になるまで手入れしねーかんな。だからといって必要ない怪我をするのも禁止。分かったか?』
    「……分かりました。必ずや今よりも強くなって見せましょうぞ」
    「「「いやいや、待て待て待て!」」」
    『あん?』
    「それはねぇーだろ嶺染の!」
    『うっせ、うちはこういう方針なんだよ。他も全員戦場に放り込んでんだ。蜻蛉だけ特別扱いするわきゃねーだろ』
    「「「この鬼畜!!」」」
    「おんしゃあら、そんなこと言いゆう暇ないじゃろ^ ^」
    「「「すいません」」」
     
     丈留の方針に異議を唱える周りを一括したのは我らが初期刀・陸奥守吉行。戦いの後聞いたある審神者によれば、その背後には修羅が見えたという。
     
    『すまん、陸奥。おし、皆武器は持ったな!』
    「「「「おう!」」」」
    『生きて本丸に帰るぞ、出陣!』

     ~***~

     ガンっッバキィッ
     キィンッ ざしゅっっっ

    『ふんっ!』

     ドサッ

    『……ふう、こんなもんか。そろそろ敵さんも少なくなって来たな。陸奥ー!お前怪我してんだろ、一回戻ってこい!』
     
     あっちで大太刀を相手にしていた陸奥に呼びかける。
     
    「ほんにおんしはよぉ見とるやつじゃな」
    『あったりめぇだろ。それに、陸奥』
    「……まっことおんしゃあの勘はよぉ当たるからのぅ。気をつけておくぜよ」
    『頼んだ。……ん?』
    「主よ、貴方に天下無双の名前が与えられるよう、精進します」
    『蜻蛉じゃねぇか。上がったのか?よくやった!偉いぞ〜!今直してやるからな』
    「はっ、ありがとうございます。主、これからも一層精進を重ねます!」
    『おう、頼りにしてる』
    「では私は先に戻りますね」
     
     持ち込んでいた簡易の手入れ道具で手入れを行い、すぐさま戦場に戻る息子を見送る。
     
     ——ほんと頼りになる息子達だこと
     
     そう思ったのも束の間、丈留の目は刀剣男士に抱えられたまま、こちらに近づく白蓮の姿を捉えていた。
     
    『……ん?なんで嬢ちゃんが鳴狐と来てるんだ?というか切国どこ行った?』
    「あぁ、切国のなら、何かあった時すぐに審神者のもとに行けるよう少し下がっておるぜよ」
    『そうか』
     
     そこにはすごい速度でこちらに向かって来る、横抱きになって鳴狐に運ばれる白蓮の姿があった。
     
    『何で嬢ちゃん鳴狐に運ばれてんだ?』
    「こっちの方が速かったんです!」
     
     赤い顔の嬢ちゃんに聞けば、俺が呼んだというから来たらしい、が。
     
    『俺は呼んでないぞ?』
    「え?..……そうですか」
     
     それを聞いて嬢ちゃんが(多分)念話で嬢ちゃんの近侍と連絡を取り始めた。……終わったみたいだな。
     
    『嬢ちゃん?どうにかなったか?』
    「ええ、こちらはどうですか?丈留さんが私と話せているなら順調なんでしょうけど」
    「まぁ。順調っちゃあそうなんだが。……さっきから嫌な感じがしてな。だからちょっと武器のメンテと陸奥に手入れ札つかってたんだ」
    「主の勘は当たることが多いきにゃ〜」
     
     俺がそう言うと、嬢ちゃんは難しいそうな顔で俺に質問して来た。
     
    「丈瑠さん、今全体でどれぐらい倒せたのですか?」
    『全体を二百と見積もってたが、脇差達の増援もあってあとほんの数十体ってとこだ。見えるか?多分あれが最後のは、ず……』
    「……残念ながら、嫌な予感当たったみたいですね」
     
     目の前には、見渡す限り現れた青く光る時空の歪み。
     
    「け、検非違使だーーー‼︎」
     
     誰かがその名を呼ぶと、周りは途端に慌て始める。それもそうだ。ようやく終わるかと思った戦いの継続。それも、練度に合わせて強さを変える検非違使が来ようとしているのだから。この場は高練度の刀剣男士しかいない。なんなら修行に行きしばらく経った刀も多い。
     
    『だから嬢ちゃんはこっちに連れてくるよう仕向けられたってわけか』
    「でしょうね。どうやったってここは再び戦場になる。それも先ほどよりもっと苛烈な」
    「それにしては、落ち着いているんじゃのう?」
    「いいえ、落ち着いてなんていませんよ。今だって情けないことに、震えが止まらないのを堪えているんですから」
     
     白蓮の握った拳は手のひらに爪が食い込んで血が滲んでいる。女性らしく小さく白い手にその赤は痛ましさを誘う。
     
    『嬢ちゃん……』
    「いいんです。ここは戦場。そして、私の指示に従って動いている人たちがいますから。仮にも上に立つものが弱みを見せるわけにはいかないって、丈留さんならわかるはずです」
     
     ——本当に、将来が楽しみな玉だ。こんなところで潰されていいような奴じゃねぇ
     
    『そうだな』
     
     それだけ応えて武器を構える。きっと数分もしないうちに検非違使が出現するだろう場所を見据えた。
     
    『でもどうするんだ。この騒々しさじゃ陸奥の鉄砲の音も聞こえねぇ。俺は陸奥も自分の武器も一応回復はしたが、疲労は変わらん。今の今まで戦ってたやつらは手入れの時間はないだろう?』
    「検非違使の高速槍に対応するため、極短刀部隊を集めてこちらへ呼んではいますが、厳しいでしょうね。私の守りは鳴狐がしてくれますから、戦力には数えられませんし」
     
     《ならば、疲れが取れればいいのか?》
     
    「そうですね。せめて疲れさえ取れれば」
     
     突然白蓮が丈留ではない誰かと話し始める。突然のことに陸奥守と共に慌てて白蓮に声をかける。
     
    『おい、嬢ちゃん誰と話してるんだ』
    「え、誰って。丈留さんじゃないですか」
    『俺は話してない』
    「え?」
     
     《ふむ 上だ、上を見よ》
     
     響く声に言われるがままに揃って上を見る。
     
     ——ヤベェもんがいるじゃねぇかよ、おい
     
    「上?..……え?なんで、ここにいるんですか!というか、あなたは夢で会った……」
     
     《久しいな 哀れな人の子 面白そうなことになっておるではないか》
     
    「こちらは面白くないのですが」
     
     応える白蓮の声に隠しきれない苛立ちが見える。しかしそれもかの龍には愉悦でしかないのか、頭に響く声の調子は変わらない。
     
     《そう怒るな なに、それなら我が力を貸してやろう》
     
    「はい?あ、いえ、申し訳ありません。なぜ、そのようなことを?」
     
     《ただの気まぐれだ それに対価はもらうぞ》
     
     どうやらこの龍は白蓮が夢で会ったことのある相手らしい。
     ——おいおい、この嬢ちゃん夢見の才能もあるのか?それともこの龍、いやこの神さんに好かれてんのか。どっちにしろ相手は神。一つでも失礼なことをすれば、攻撃されかねない。しかもこの神さん嬢ちゃんに取引持ちかけやがった‼︎
     
    『対価⁉︎おい。嬢ちゃん、早まるなよ!』
    「……何がお望みですか」
    『おい!』
     
     《そう怖い顔をするでない ただ食事を作れば良い
     お前の作る食事は美味なのだろう?
     一度で構わん 我が一度お前を助ける代わりに、一度お前の食事で持て成せ》

     ——は?
     
    「……それだけですか?」
    『マジで?そんなもんで神様って力貸すのか……』
     
     《ああ 約束は守ろう
     して、どうする?》
     
    「受けましょう。あなたの力、私たちにお貸しください!
     
     《は、その意気やよし!
     我が名は倶利伽羅竜王
     番の縁より繋がりし人の子らに我が力の一片を貸し与えん!》
     
     黒い巨大な龍が空に現れ、とぐろを巻いたかと思うと、審神者達と刀剣男士たちの体を赤い光が覆った。
     
    「え、くりからりゅうおう?それって、もしかして」
     
     《そなたらには我が嫁も世話になっとるからな
     これしきのことは些細なことよ》
     
     白蓮が戦場であるにも関わらず、頭を抱えて倒れそうになるのを陸奥が支える。
     
     ——もしかしてだけど〜もしかしてだけど〜
     
     そんな懐かしい曲が脳内で流れる。
     
    『もしかして、ここでいう妻って』
    「想像どおりですよ。丈留さんがよく一緒にお酒を飲む蛟様、いえ、正しくは蒼龍様のことです」
     
     ——やっぱ、そういうことなんじゃないのぉ!
     ガッデム‼︎当たって欲しくなかった‼︎マジかーあっちの神さんの番か〜
     
    「倶利伽羅竜王っちゅうことは?」
    「刀剣に彫られることも多い倶利伽羅龍の元というか本霊と言ったところですかね?」
     
     ——……うん
     
    『……あとにするか』
    「そうしてください。正直私もよくわかってません」
     
     検非違使もそろそろ顕現する。今はここでもめている場合ではない。
     そこに、大勢の刀剣たちを連れた千木のが馬に乗って走ってくる。
     
    「白蓮どの!短刀たちを連れてきたぞ!後、君の近侍殿から伝達だ。ここ以外の遡行軍は殲滅完了。重傷の刀や審神者を休息所に預け次第、こちらに救援に来るそうだ!それと、この赤い光はなんだ!」
     
     千木のも戦うつもりなのか弓と矢筒を携え、そのどちらもほのかに赤く光っている。
     
     ——こういう時は、背中を押してやれってな
     
    『ほら、嬢ちゃん。これがきっと最後の仕事だ。この光の説明とこの戦場への最後の檄、飛ばしちまえ!』
     
     《む?それなら小道具がつきものだろう ほれ、これを使え》
     
     いつの間にか龍から人型に変化した竜王が渡したのは鮮やかな緋扇。これだけで周りの注目を集められるだろう。そう確信できるほどの一品だった。
     
     ——ドチャクソ高そう
     
     丈留がそんなこと思っていた隣で、背中を押されたであろう白蓮は深く息を吐いた。
     
    「……なき。あの高台まで連れて行ってくれる?」
    「……ん」
     
     愛し子の鳴狐が嬢ちゃんを運ぶ。護衛がいるかと思い周りを見渡すがそれも杞憂だった。
     
     ——そうだよなぁ。智蕾のがあんな約束しておいて護衛をつけてねぇはずないよな。しかもアレごこじゃねぇか。なんであのデカイ虎連れててバレねぇように動けんだよ。解せぬ
     
     そんなことを考えるうちに舞台は整っていた。この場の総指揮として審神者・白蓮が術を使って皆に最後の鼓舞を始める。
     
    「結界を張っている審神者の皆さん、治療と手入れをしている審神者の皆さん、動き回っている役人の皆さん、そして今なお戦場にいる戦闘系審神者と刀剣男士の皆さん、白蓮です。遡行軍の脅威が去り、終わりと思われた戦いは検非違使の出現という悪夢により、再び始まろうとしています」
     
     白蓮の声は術を通して震えているのが丸分かりだ。だが、必死に絶望ではなく希望を伝えようとするその姿は美しい。
     
    「戦いに疲れた人の身よ、傷ついた刀たちよ、今もまだ辛いですか?そうではないはずです。先ほどその身をまとったのは龍神のご加護。我らには龍神の加護がついています!」
     
     検非違使たちもこちらに気づいた。向きを変えこちらの戦力と見合う形になる。
     
    「これで、これで最後です!ここで勝てば自分の本丸に帰れます!」
     
     白蓮が扇を開きまっすぐ上に持ち上げる。皆の注目が扇に集まった。その小さき体はこの一瞬、この場の誰よりも大きく、全ての目に映ったことだろう。そしてその目線の先は、倒すべき敵のみ。
     
    「最後に命じるのはただ一つ!」
    「我らに勝利を!」
    「「「「おおっ‼︎‼︎」」」
     
     次の瞬間、飛び出した審神者たちによる殲滅が始まった。
     
     
    攻撃の要


    『……っだぁ!!キリがねぇ!』
    「主!そっちに行った!」
    『りょーかい!』
    「鯰尾、油断は禁物です、ぞ!」
    「わぁあっごめん!」
     
     息子達と連携して戦力を削っていくが、この場にレベルを合わされた検非違使の強さは今までの比じゃない。
     
    『平野!虎の方角に飛べ!』
    「っつ、」
    『そぉらよ‼︎』

     ガギィィイイインッ

    「主君、お怪我は⁉︎」
    『ねぇ!』
    「「真剣必殺!!」」
    「本気の俺はすげぇんだからね…!」
    「黙って両断されてもらおうか!」
    『蜻蛉、蛍』
     
     まずい、うちの奴らも限界が近いな。真剣必殺が出たってことはどちらも中傷以上ってことだ。…っと、気を抜いたらこっちこそ殺されちまう。
     
    『っ、お前ら一回下がれ!癒してもらってこい!』
    「けどっ」
    「ここで我らが退いたら今下がられている方たちに向かいますぞ!」
    『俺が残る!』
    「おんしだけ残すわけなかろうが!」
     
     息子たちの言うことは最もだった。今丈留達がいるのは最前線。それがが後退するということは、戦線の後退を意味する。そうすれば後ろで休んだり、倒れている者たちに被害が及ぶだろう。ここまで持ったのも竜王の神の加護のおかげだが、それもさっき切れたようだった。
     
     ——くそったれぇ‼︎どうすればいい⁉︎アイツらを全員折らずに帰る方法はなんだ!
     
     考えつつも、平行して敵をまだ倒せているのは今までの経験から身体が動いているからだろう。しかしそんな身体も無傷といえるものでもなく、体力にも限界がある。
     
     ——あと、少しなんだよ‼︎
     
     最初はこちらの勢いを無くすほど現れた検非違使も今や残り十数体というところだ。ただし、今ここに残っている審神者は丈留ただ一人である。

     —主よ、呼んでくれ。さすれば俺はアンタに手を貸そう
     
    『はぁ⁉︎お前誰だ!』
    「こんな時に誰と話しているのですか‼︎」
    『分からん!ただ頭に声が……、』
     —まだ分からんか。お前と共にずっと戦ってきたというのに
     
    『おま、っまさか!』
    「主君!上に!」
     
     —我が主。印せ、俺の名を。刻め、我が躰に
     
     パァンッ
     
    『こい‼︎「刻永」!』
     
     〈……やぁっと、俺を呼んだなぁ!〉
     
     
     いつもより段違いの桜吹雪が舞う。その色は濃い、赫
     その中から現れて迫ってきた検非違使数体を、一瞬で斬り刻んだのは間違いなく、俺の、俺だけの刀
     
     
    「「「………」」」
    『……俺は何もしてねぇからな!』
    「大丈夫じゃ、主。後でゆっくりと聞いてやるきに。安心するぜよ」
    『そういう時のお前の主呼びはロクなことがねぇって知ってるから‼︎』
    「主君、残りの数体が向かって来ています!」
     
     〈我が主。俺も戦って良いだろう?〉
     
    『マイペースだな‼︎そしたら俺はどーすんだ!』
     
     〈そんなことか。なら我が主が俺を纏えば良いだろうに〉
     
    『まと、?』
    「おい!主さん敵来てるってば!」
     
     〈……まぁ習うより慣れろ〉
     
    『んお?!』
     
     何も相談せずに、刻永が丈留の身体に重なる。
     ——いやいやいや、お前ちょっと俺にも相談しろよ。拒否権なしかよ
     
     —これなら我が主も俺もいつものように共に戦えるだろう?何、手段が変わっただけだ
     
     ——また頭の中で声がする。なるほど、ぬら○ひょ○の○の技みたいなもんか。アレスゲーよなと思ってたら出来てるよ怖いな!

     —我が主の身体も今は疲れにくいはずだ。ほら、一気に殺すぞ
     
    『あぁ。おいお前ら!なんかよく分からんが今、俺、強いらしいです!全部まとめてぶっ倒して家にかえんぞ!』
    「「「「「「はい!\おう!」」」」」」

    終わりよければすべてよしってな!
    ざんっ
     ……ドサッ

     最後の一体が地に倒れた。それと同時に息子たちの歓声が上がる。それも無理はない、よくここまで皆折れることなく戦ってくれた。息子たちの喜びを前に、もうほとんど気力だけで保っていた自分の体の力が抜ける。なっさけねーと思いつつも何も心配せずに力を抜けるのは、
     
    「まっこと、わしらの大将は人間とは思えんぜよ」
    『……陸奥』
     
     俺が一番信頼している初期刀がいつも必ず側でいると分かっているからだ。息子には見せられたもんじゃねぇがコイツならいいと思える俺の相棒。頼ってばっかだけどな。そんな陸奥に少々支えられつつ、自分同様ボロボロの息子たちに声をかける。
     
    『皆、よく戦ってくれた。よくっ、折れずに俺の元に帰ってきた!誇りに思うぜ!俺の大事な息子ども。……よし、やるこたぁ分かってんな。全員点呼ならびに自主報告!』
    「一、陸奥守吉行、中傷じゃ!」
    『うん、嘘だな!舐めんなよ陸奥。テメェは手伝い札無しの手入れ部屋な』
    「げぇっ、あの長い時間を部屋で過ごせと言うんかおんし!」
    『聞かん!ハイ次』
    「二、一期一振。重傷です」
    『一期は手伝い札使うわ。陸奥は一期を見習え、聞いたか?この簡潔で分かりやすい報告。次!』
    「はい!三、鯰尾藤四郎!軽傷です!」
    『はい、鯰尾返事百点満点。素晴らしいです、が。嘘はよくねぇな手入れ部屋行き』
    「えぇ!見逃してくださいよ!そんなに怪我してないですって!」
    「よん、蛍丸。中傷でーす」
    『今日は突然なのにめっちゃ頑張ってくれたな蛍。ゆっくり休めよ』
    「はーい」
    「ちょっと!対応違うくないですかぁ⁉︎」
    「五、平野藤四郎。……重症です。お役に立てず、申し訳ありません、父上」
    『アホ言え。全然助けてもらったわ平野。さっきも俺の死角の短刀潰して、その時の不自然な体勢で出来た傷だろう、それ。ありがとうな。それにそんなこと言ってたら黙ってねぇぞ?なぁ、一期』
    「そうですな。平野、此度の戦い、よく戦い抜きました。そんなお前は粟田口の誉れだよ」
    「いち兄……。はい!これからも精進します!」
    「そうしなさい、平野」
    『よーし、次。蜻蛉ー』
    「はっ、蜻蛉切。重症です」
    『お前も人の身体にまだ慣れきってはないっつうのによく折れずに戦ってくれた。ありがとな。蜻蛉』
    「そんなことありません。親父殿とともに戦えて光栄でしたぞ」
    『俺の息子かっこよ……』
    「ほけってないで、戻るぜよ。おんしは、報告もあるじゃろうに」
    『ほうこく……あ゛⁉︎そういやアイツは?おい「刻永」!』
     
     〈ん。なんだ……呼んだか我が主。我の出番は終わったのではなかったのか?〉
     
     ふわり、と赫い桜の花弁を纏って刻永が姿を現した。
     
    『おまっどこにいたんだ!』
     
     〈どこと言われても、主が俺の憑依を解いたんだぞ?本体に戻るに決まってるだろう〉
     
    「げに調子の狂う奴じゃな」
    『……正直なところお前のことはよく分かってねぇが……助かった。お前の力のおかげで戦い抜けた。礼を言う』
     
     〈……何を言っている?俺はお前の想いでカタチになったモノ。お前の力そのものだ。礼を言われる筋合いはないんだが〉
     
    『それでも!お前さんが応えてくれなかったらこの窮地は脱出できなかっただろう。たとえ、お前さんの存在が俺の力そのものだとしても、俺は「刻永」に礼が言いたいだけだ』
     
     〈……ハハッ可笑しなニンゲン、我が主。いつでも我が名を呼べば、馳せ参じようぞ〉
     
    『近々呼ぶと思うがなぁ‼︎』
     
     〈さて我が主。あちらに戻るのだろう?共に行こうじゃないか〉
     
    「話の切り方までソックリとは驚きじゃな」
     
     そうして刻永も交えて会場に戻った一行は先に戻って治療を受けている別の審神者たちと合流した。
     
    「嶺染の〜!おま、お前ぇ‼︎」
    「「「何増やしてんだよ‼︎」」」
    『最初に言うのがそれかよ!俺を労えよ!』
    「ふっ、冗談だ。すまんな、先にリタイアしちまって。不甲斐ねぇ。嶺染のも早く癒してもらえよ」
    「あぁ。最後まで頼りきってしまった、が。
     嶺染のなら旨い酒で許してくれんだろ?」
    『ちっ、懐の深〜い俺はそれで許してやるよ。良い酒用意しとけよ!俺のことよりも智蕾のはどこにいる?』
    「そうだった!嶺染の、早く行ってやれ。智蕾のがまだ結界張り続けてんだよ。終わったっていうのに集中してて聞こえてないみたいでさぁ。切国さんと霞のが今頑張って声かけて、」
    『そんなこたぁはよ言え!他は応急処置して貰ってこい!陸奥頼んだぞ!』
    「分かっちゅう!」
     
     なんてことだ。俺が限界だというのに智蕾のが限界を迎えていないはずがない。人混みをかき分けて、治療班と結界班の方へ急ぐ。ぼろぼろの姿のまま結界の中心へ向かうと、結界を叩く明らかに重症の切国に、それを止め、声をかける霞の。苦しそうに結界を張り続ける智蕾のの姿を捉える。
     
    『っ智蕾!』
    「主!ここを開けろ!」
    「切国さん!待ってくださいっ!あなたも重傷なんですからそれ以上は折れてしまいます!っは、丈留さん、彩綾さんがっ」
    『わぁったから落ち着け。』
     
     普段、あまり感情を表に出さない彼女がこれほど取り乱し、切国が荒ぶっているということは明らかに無理をしているということだ。
     
    『とりあえず俺が姿見せれば一旦落ち着くだろ。切国止めてあっちで直してやってくれ。智蕾のが見たら泣くからな』
    「っ了解です」
    『刻永、コレ斬ってくれ』
     
     〈この薄いヤツだな?了解した〉
     
     そう言って智蕾の周りにある結界に触れる。平行多重結界はただでさえ神経を擦り減らす。これ以上の無理はさせられない。結界を無理矢理刻永にこじ開けさせて中にいる智蕾のが組んでいる印を強制的に外す。
     
    『おい、智蕾!聞こえねぇのか!智蕾!』
    「……っは、なん、で」
    『……戦いは終わった。全部斬った。もう、やっこさんは来ねぇよ。』
    「そう……。はぁ、も、ようやく終わったのね……」
    『おう。お前さんももう気を張らなくていい』
    「……貴方何してるの。そんなボロボロで。さっさと治療しなさいな!っうぁ」
    『おいおい、ボロボロなのは認めるがそっちも結構酷いんだから安静にしてろ。……しゃあねぇからこのまま連れてくぞ』
     
     落ち着いた智蕾のが倒れるのを支え、そのまま気合いで抱き上げて、待っている治療班の場所を目視で確認する。……あー、智蕾のは見かけを気にするんだっけか。
     
    「……ちょっと、歩けるわよ」
    『黙って担がれてろ、力はいらねぇくせに。こういうのは男に任せときゃいいんだよ。おい、こんえもん』
     
     ぽふんっ
     
    「こんのすけですぅ。お呼びでしょうか?」
    『俺の羽織は?』
    「それでしたらここに」
     
     会議前に預けておいた羽織を受け取り、担いでる智蕾のに被せる。
     
    「うわっ、ちょっと!」
    『ごちゃごちゃうるせーな。人目気にするんだったらそれでも被っとけ。んで黙れ』
    「はぁ……もういいわ。分かったわよ、任せました!借りるわよ!」
    『おぉ。』
     
     やっと静かになった智蕾のを抱き上げたまま、霞のや他の治療班の所へゆっくりと歩く。
     
    「っ彩綾さん‼︎」
    「主!」
     
     待っていた霞のと切国に智蕾のを預ける。
    「心配かけてごめんなさいね、霞ちゃん」
    「いいえっ、いいえ!私もお力になれず申し訳なく……」
    「こういうのは適材適所よ。気にしないの。霞ちゃんだってみんなを癒してあげてたじゃない」
    「……ありがとうございます。彩綾さん、完璧に霊力不足ですから丸々二日は安静にしていてくださいね。ひとまずはこちらへどうぞ」
    「分かった。運んでくれる?切国」
    「勿論だ」
    『さっさと今日は帰っちまえよ』
    「……助かったわ嶺染の。また次の機会に会いましょう」
    「陸奥守、呼んでくれて助かった。礼を言う」
    『そんなんいいきに、お互い様じゃ』


     こうして丈留たちはそこから過去最高の速度で過去最高レベルの検非違使をぶっ倒し、完全に殲滅したのだった。ちなみに、今日だけでメンバーのレベルは各十以上上がりましたとさ。

    夕霞 Link Message Mute
    2021/01/17 20:00:00

    争乱 幕間 丈留伝

    こんばんは、夕霞です。
    そろそろ1月も半分を過ぎますね。時間が経つのがはやいです。
    今回は争乱の別視点です。本編と同じ内容も多いので、気になる方のみご覧ください。
    また、この作品は先輩審神者達のキャラ設定を考えてくれた人の話を参考にしています。(作品にする許可は取ってあります!)
    そのためいつもと違うところがあるかもしれません。ご了承ください。

    それでは注意事項を読んでお楽しみください。
    #二次創作 #オリキャラ #刀剣乱舞

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