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    子供の言いがかり注意事項注意事項
    【ATTENTION!!】読む前に確認お願いします

    ・「ヒプノシスマイク」の二次創作作品です

    ・カップリングとして「左馬一(碧棺左馬刻×山田一郎)」が含まれます

    ・周りのキャラも多いです

    ・創作設定も多くでてきます

    ・文章は拙いです

    ・ご都合主義です


    上記の点確認の上、自己回避よろしくお願いします
    なんでも許せる方のみお楽しみくださいませ!

    Side 左馬刻
     
     ——お前に会いたいんだそうだ
     
     そういって個室のある居酒屋に俺を呼び出したのは銃兎だった。いつもならそんな呼び出し見返りがなけりゃあ行くわけもないが、銃兎に頼った俺を呼び出した奴が問題だった。

     山田二郎

     それはあいつの大事な家族の片割れの名だ。堅気がヤクザ者になんの用があるかは知らねぇが、俺はあの子供に負い目がある。無視するわけにもいかずこうやってのこのこ呼び出しに応じているわけだ。

    「で、俺様になんの用事だ」

     呼び出したウサポリと並んで俺の前に座るかつてブクロの番犬と名乗っていた子供は、見ない時間を感じさせるくらい立派な青年に成長していた。身長も体格も初めてバトルで会い見えた時からは比べ物にならない。こりゃモテるな、と勝手に納得する。
     そんな一方的な感想を口にするわけもなく、俺は子供に問いを投げかけて応えを待つ。
     子供はしばらく視線をうろちょろさせた後、ゆっくりと口を開いた。

    「……なあ、あんたと兄ちゃんって付き合ってたんだろ」
    「昔はそう言われることもあったな」

     ——これはまた突拍子もない質問もあったもんだな

     まさかの話題に少々面食らうが、素直に答えた。確かにT.D.Dを結成していた時はそんなゴシップ記事や噂が腐るほどあったのは事実だし、特に否定もしていなかったから今時ネットに転がっていてもおかしくない。つまりはそれをこの子供が知っているのもまぁ、ないことはないだろう。だが、同時に疑問も湧いてくる。己の兄と過去の仇敵との間にある関係を探る。それにどんな意味があるのだろうか、と。こうやって銃兎を使ってまで確認にくるようなことなのか、と頭では疑問符が浮かぶ。
     そんな俺の内心など気にもしていないだろう子供は何を思ったのか、その語気を少し強めた。

    「今も好きだろ?」
    「テメェはお互い罵倒しあって殺し合った奴を好きになれるんか。とんだ甘ちゃんだな」

     思わず声が厳しくなってしまったことに子供の顔を見て気づく。先程までの語気はどこえやら少し青ざめた顔を見て己のやらかしを悟る。苛立ち紛れに頭をかくがなんとも言えない気持ちに胸が締め付けられる。こんなところでもアイツと比べる自分に嫌気がさす。それにいつもならここで煙草でも吸って切り替えるが、あいにくここは禁煙席のため吸えないということも拍車をかけていた。

     ——銃兎のやつ、余計なことしやがって

     とりあえず一つ息を吐くことで強制的に切り換える。子供もこちらの気配の変化に気づいたのか眉をハの字にしながらこちらを伺っていた。

    「わりぃな」
    「エッ、あ。こっちこそ急にごめん」
    「気にすんな。まぁ、俺とあいつは確かに昔は恋人って名前がつく関係に見えたかもしれねぇ。だが、あいつが俺に抱いていた感情なんか憧れが大部分だろうし、俺も可愛い弟分だったあいつを大事にしてた。それだけだわ」

     それは半分嘘で半分は本当だ。アイツのことを大事に思っていたのも、下心を抱いていたことも。だがそれをこの子供に教える必要はない。結局何もなかったことに変わりはないのだから。

    「今はどうなんだよ。和解、したんだろ。あんたうちに謝りに来たじゃねぇか」

     確かに俺は一連の騒ぎが落ち着いた後、萬屋に詫びの品を供に頭を下げに行った。誤解があったとはいえ謂れのない主張を通してしまったのは俺だった。確かにバトルの対戦相手という立場上多少の煽りは許容されるだろう。だが俺のそれは自他共に認める最低なモノだった。それに関しては疑いようのないことだったこともあり、俺は単身謝罪行脚したわけだ。だがそれは、元の仲良しこよしの関係に戻ったというわけじゃあない。

    「和解、和解ねぇ……確かにしたな。誤解も中央区の策略だってことは理解した。お互いにかけた言葉もそれを前提にすれば俺に非があることもあった。だから謝罪で筋を通した。ただ、それはお互いを許し合ったわけじゃねぇ。また同じ状況になったとしても同じ道を選ぶ、そう再確認したにすぎない。これのどこに俺たちの関係が元に戻る可能性があると思うんだか、俺には理解できねぇな」
    「それはっ!」
    「そもそも、お前の兄貴はそんな簡単な奴じゃねぇだろ」

     というか、俺が萬屋に行った時だってアイツは謝罪を受け取りはしたが、俺を許すなんぞ一言も言ってない。弟それぞれにも謝罪を求めただけで、危うく詫びの品さえ受け取ってもらえないところだった。そこは食べ物に罪はないと説き伏せたが。

    「俺だってそう思ってる!でも、ディビジョンの集まりや、T.D.D.の飲み会とかには集まるじゃねぇか!」
    「それはお前らもだろうが。俺はバトルがなくなったとしてもヨコハマのトップだ。他のディビジョンの動向は把握しておきたいし、先生への恩もある。基本的に席は空けねぇよ」
    「う、うぐ」

     俺の返しに言葉を失う目の前の子供を見ていると思わず舌打ちが出そうになる。隣に座っている銃兎は何を考えてんだか口を出してこねぇし、結局本題が何なのか全く見えてこねぇ。そろそろ痺れを切らしそうになった俺は、深く息を吐いて兄と揃いの色違いの瞳を見据えた。

    「ハァ、てめぇは何が聞きたいんだ。俺とあいつの関係なんてお前らにとっちゃ虫唾が走るようなモンだろ。なんでそんなこと聞き出そうとする」
    「うるせぇっ!俺だって聞きたくねぇよ!でもそうしないと兄ちゃんが……」
    「あ?」
    「兄ちゃんを助けるために兄ちゃんの想い人が必要なんだよ!」
    「はぁ?」

     ——アイツの想い人、だぁ?こいつ何言ってんだ?

     本日二度目の突拍子のなさに思わず思考が止まる。だが目の前の子供の表情からして嘘を言っている可能性は低かった。よもやこれだけ理解できると思っているのかと子供を睨むが視線は合わない。どうやらよっぽど言いたくなかったことらしい。俺はここが個室であることを心底感謝しながら、隣の悪徳警官に視線を向けた。

    「やれやれ。ここからは私が説明しましょうかね」
    「……なんだ、ずっとダンマリかとおもってたぜうさちゃん」
    「その呼び方はやめていただけますかね。適材適所という奴ですよ、貴方もわかってるでしょう?」
    「チッ。はよ話せ」
     コホン 「それでは」

     銃兎の口から出てくる事実はこうだ。
     曰く、巷を賑わす違法マイク事件の首謀者のアジトがイケブクロにあって警察と協力して壊滅作戦を決行した。理鶯も協力しての大捕物はほぼ警察側に被害なく進んだかのように思えた。しかし、最後の最後にまた例の意法マイクの攻撃を受けてしまったらしい。売り捌かれていたマイクのプロトタイプでの攻撃だったが、そこにいたのはディビジョンバトルに参加した猛者達ばかり。被害は軽いと思われていた、が予想外のことが起こってしまった。

    「んで、あいつだけが眠り込んじまったと」
    「ええ。彼だけが、です」
    「それに想い人とやらがなんで関わってくる」
    「解除条件が想い人からの呼びかけなんですよ。そもそものマイクの効果はこの資料にまとめてあります。読んだら意味がわかると思いますよ」

     銃兎が差し出した資料にザッと目を通す。数枚綴りの資料は例のマイクが使われた事件の概要と被害者の証言、その解除条件の推定が行われていることを示していた。

     ——見る限り警察資料のコピーといったところか

     被害者の診察を担当しているのは先生だった。これならこの資料に書かれてることは信頼に値するだろう。マイクに関して彼ほど精通した医者はいないのだから。

    「なるほどなぁ。マイクが効いたからあいつに想い人がいるのは確定。でもその相手は弟どもも把握していないってわけか」
    「そういうわけです。しかし、眠り込むという効果は初めてなのでプロトタイプが持つ特性が作用している場合も考えられます。そうなると解除も一筋縄ではいかないでしょうが」
    「そりゃそうだろうな」

     確かに資料にあった被害者は、恋人や想い人の呼びかけで幻覚から目を覚ましたようだ。それは弟どもがこぞって兄の想い人探しをしたことに納得する。アイツが今どういう状況なのかは知らねぇが、こんなヤクザ者にまで会いにくるのだからそれだけ追い詰められてもいるのだろう。

     ——ま、ここまで来た理由がわかったところで俺の行動に変更はない

     そう、俺の取る態度は最初から変わらない。

    「ま、俺には関係ないな」
    「は?」
    「言っただろ、俺とあいつに今更お前らが思ってる関係なんてないってな」
    「そんなの嘘だろ⁈俺らが知らないだけで、影でこっそり会ったりしてんだろ!」
    「するか、んなこと。最近俺があいつに会ったのは乱数主催の飲み会の時だけだ」
    「嘘だろ……そんなのゆうに2ヶ月は前じゃねぇか……」
    「そうゆうこった。諦めてお兄ちゃんの想い人は他をあたるんだな。疑うんなら、そこのうさちゃんにでも頼んで調べてもらいな」

     子供に言い捨てるまま、俺は席を立つ。何か言いたげな視線を感じはするが、気にせず部屋を出る。きっと追いかけてはこないだろう、と予想はできていた。ただそれは“子供”に対しての話だったと部屋を出てすぐ思い知る。

    「……やっぱり、うさちゃんは来るのかよ。あの子供みたいに可愛げ見せとけよ」
    「言ったでしょう?適材適所というやつです。それで左馬刻。さっきのこと、本当なんですか?」

     ——まぁ、そうなるわな

     同じチームというのはこういう時に面倒だ。行動を共にすればするほど、お互いのことを知ってしまう。おそらく俺を疑うのも、そんな今までの関係で築いてきた勘のようなものが働いたんだろう。しかし本人としても半信半疑なのか、その表情に本格的な疑念はない。それなら俺が取る行動は一つだ。

    「銃兎、オレ様最近忙しいんだわ。こんな余計なことにさいてる時間はねぇんだよ」

     会ってないのは事実だ。調べたらそれはすぐにわかることだから俺も誤魔化したりしない。だが、これ以上腹を探られるのは面倒であるのも事実で俺は銃兎に釘を刺す。ここまでが譲歩だ、と。

    「……そうか」
    「おう。また時間空いたら連絡するわ」
    「わかった。理鶯にも伝えておく」

     さっさとこの場を去りたくて俺はスマホをいじり始める。部下に連絡するためだ。

     ——それにしてもアイツの話なんていつぶりだろうか

     ジワリと胸に滲むそんな余韻に浸りたくなくて、胸元の煙草に手を伸ばす。部屋を出たのだから吸っても問題ないはずだ。

    「兄貴」
    「おう、来たか。じゃあな、銃兎。ヤサシイ俺様がここの会計は持ってやるよ」

     近くに控えさせていたこの部下が声をかけたということは、車が回されたということだ。俺は先程席を立つ時に持ち出した注文表をそいつに手渡し、銃兎に声をかける。あとは勝手に支払いを済ませてくるだろう。

    「それはどうも。ですが、左馬刻。あなたは……」
    「あ?んだよ?」
    「いえ、なんでもありません。何かあればこちらからも連絡を入れるのでちゃんと出てくださいね」
    「応えるかはその時次第だな」

     支払いを終えた部下の先導に従い店を出る。銃兎はもう追って来なかった。

    〜***〜

    Side 左馬刻
     
     今のあいつは本当にイケブクロにいないらしい。
     それが俺の命令もなしに勝手に調べ上げた部下の報告結果だった。曰く、ここ何ヶ月萬屋は休業状態で、今はブクロに住んでいない次男坊が最近になってうろちょろしている姿が目撃されているらしい。
     あの子供や銃兎の言葉を嘘だと思ったわけではないが、どうやらあの話は本当のことのようだ。
     正直、あの話を聞いて動揺しなかったと言えば嘘になる。あいつの想い人はおそらく俺だろう。それは俺がそうであれと願っているだけに過ぎないのかもしれないが、妙な確信があった。
     しかし、俺に一郎のそばに行く資格はない。行ってはならない。それがあいつと俺の最後の約束なのだから。
     俺は灰皿に短くなった煙草を押しつけた。

    「……なるほどな。まぁ、あいつの事だ。ひょっこり出てくるだろ」
    「所在まで調べやすか」
    「いい。これ以上あいつの周りを動いたら今度はこっちが目をつけられる。さっさと戻しておけ」
    「わかりやした」

     見た目に反して静かな動作で部屋を出た部下がいなくなれば、この部屋にいるのは俺一人だ。いつもの位置に置いてある貴重品を持って立ち上がる。元々移動に物を持ち運ばず、そのほとんどを部下に持たせている俺にとって、貴重品とは手の中にあるジッポだけだった。
     もらってからいくらか経ったせいか細かい傷がついている。そんな傷をすりすりとなぞった。手に馴染む重さはかわらずで、それがどうしようもなく嬉しかった。

    「……でかくなったよな、おまえの弟。びっくりしたわ」

     どうせ誰も聞いていない。そう思いながらぽつりぽつりと言葉を漏らす。それはあの日から人知れずついてしまった癖のひとつだった。アイツからもらった物にアイツを重ねて問いかけるという、側から見たら気が触れたような行動だ。そうわかっていてもやってしまうから癖というのは恐ろしい。

    「あんま心配かけてやんなよ」

     ——アイツならなんと応えるのだろうか

     そんなことを考えても意味はないのに浮かんでくる思いは、若頭と呼ばれる己にふさわしい覇気など欠片もなくて笑えてしまう。
     あの資料を見る限り、幻覚といってもそこまで強いものではなかった。対応したマイクがプロトタイプとはいえ、幻覚のスペシャリストである乱数の攻撃を受けても倒れなかったアイツのことだ。そう遠くないうちに自分で目を覚ましてしまうだろう。化け物と呼ばれるアイツの強さを俺は過小評価しない。あの兄弟は過保護なのだ、お互いに。
     最後にもう一つの癖である刻印への口付けを落として煙草に火を付ける。夜は深くまだ仕事は終わりそうにない。もうそろそろ車を回してくる頃だ。俺は椅子にかけてあった上着を手に取りドアへと向かった。
    夕霞 Link Message Mute
    2021/04/15 18:00:00

    子供の言いがかり

    こんばんは、夕霞です
    今回の話は、主人公は二郎くんです。
    ちょっとピリつくかも?

    それでは注意事項を読んでお楽しみください!
    #二次創作 #左馬一

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