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    嵐の前の静けさ注意事項
    【ATTENTION!!】読む前に確認お願いします

    ・「ヒプノシスマイク」の二次創作作品です

    ・カップリングとして「左馬一(碧棺左馬刻×山田一郎)」が含まれます

    ・周りのキャラも多いです

    ・創作設定も多くでてきます

    ・文章は拙いです

    ・ご都合主義です


    上記の点確認の上、自己回避よろしくお願いします
    なんでも許せる方のみお楽しみくださいませ!

    Side 銃兎
     
     左馬刻との会話を終え部屋に戻ると、言い負かされた子供が頭を抱えていた。
     それでもしっかり注文した飲み物は新しいものに変わっているし、目の前には注文した覚えのない品が並んでいるところを見るとやけ食いでもするつもりだろうか。人が奢るのを見据えた行動に苦笑いが止まらないが、こう正直に甘えのようなものを見せられると悪くない。
     自分も歳をとったと柄でもないことを考えながら子供を見下ろした。

    「何してるんですか」
    「見てわかんだろ。頭抱えてんだよ!何だよあいつ、兄ちゃんのことなどうでも良いのかよー!」
    「それか、何かを隠しているか、ですかね」
    「何かって何だよ?」

     こちらを見上げる色違いの瞳にクエスチョンマークが浮かぶ。そんな様子に気が抜けてしまいそうだ。見た目は随分育ったというのに、こういうところは初めて会った頃から変わらないように思う。俺は肩をすくめながら彼の前に座り直した。

    「それはもちろん。一郎くんと左馬刻の関係を隠さねばならない何かですよ。まぁ、その関係が本当にあるのかどうかも今回で怪しくなりましたが」
    「そうなんだよなー。でも、あいつぐらいしか俺心当たりねぇよ」
    「そもそも、それがどうなんです?一郎くんも立派な青年です。あの見た目ですし引く手数多でしょう?」

     正直疑問だったのだ。この問題を解決する上で、なぜ同性でかつて敵でもあった左馬刻が第一に候補に上がったのか。昨今付き合いに性別は関係ない風潮ではあるが、普通そこは元カノだとか周りにいる女性が最初に上がるものだろう。

    「ねぇよ。兄ちゃんに女の影なんて」
    「わかりませんよ。彼も一人の男性なのですから、君たちに隠れて付き合ってるかもしれないですし」
    「ないな。三郎も絶対ありえないっていうぜ」
    「何故ですか?何か根拠でも?」

     最初は弟としての意地のようなのものかと思ったが、それにしては様子が違う。まるで確信しているかのような言い分だ。

    「兄ちゃんは万屋の仕事は全部カレンダーに書き込んでた。つまり俺たちは家族でスケジュールを共有してた。当然休日だって把握してる。でも、兄ちゃんは絶対その日の自分の行動を俺たちに話してくれてた。その内容に嘘はなかったし、それが本当ならデートなんか一度も行ってないよ」
    「それが嘘だったら?」
    「俺たちは施設育ちでつい最近まで三兄弟で育ったってこと忘れたか?ずっと一緒だったんだ。嘘をついてるかどうかぐらいわかるよ。それに兄ちゃんは出来るだけ俺たちに嘘とか黙ってるとかしないようにしてたから、きっと全部本当。……たぶんまだ気にしてるんだ。俺たちが昔兄ちゃんを嫌ってた原因は、兄ちゃんが施設出ようと準備してたこと俺たちに黙ってたせいだってこと」
    「……そうですか」

     そうとしか言えなかった。だが、そこまで言うのならば本当に女性の影はないのだろう。となると疑惑があるのは左馬刻しかいない。振り出しに戻ったことを悟った俺はメガネをグッと押し上げた。

    「ならば、左馬刻との関係を洗っていく方がいいでしょう。ひとまず、彼らをよく知っていそうな人に声をかけましょうか」
    「おう。つっても、誰に聞くんだ?」
    「それはもちろん。伝説には伝説、ですよ」

     ▼△▼△▼△▼△

    「それで僕たちを呼び出したってわけね~」
    「なるほど。呼び出された理由は理解しました」
    「あのっ!わざわざイケブクロまで来てくれてありがとうございます!」

     呼び出された形になる二人ー元シブヤ代表・飴村乱数とシンジュク代表・神宮寺寂雷ーは勢いよく頭を下げる二郎くんに笑って頭を上げるよう諭していた。

    「ちょっとやめてよっ!一郎に弟に頭下げさしたなんて知られたら今度会ったとき怒られちゃうじゃん!」
    「そうですよ、二郎くん。一郎くんのことは私も気になっていましたから、こうして頼ってくれて嬉しいくらいなんですよ」
    「っはい!」
    「ちょっと、早く本題に入るよ。ただでさえ何も進んでないんだから」

     そろそろ兄たちのやり取りが焦ったくなったのか、画面から三郎くんが声をかける。彼は留学先からテレビ中継している。しかし、明日には留学先から緊急帰国する手筈だそうだ。相変わらず兄弟仲の良いことだ。

    「そうだな、悪い三郎」
    「はぁ。二郎に任せてたら進まないからここからは僕が進める。「おいっ」さて、ここにお二人を呼んだのは一兄、山田一郎が違法マイクの効果によって昏睡状態に陥っている件を解決する為です。それはご理解いただいてますよね?」
    「もちろんだよ。彼は今私の患者として病院にいるからね」
    「僕も上の弟くんから連絡が来た時説明してもらったからわかってるよ!まさか最近連絡返してくれないのがそんな理由だとは思わなかったよ~」

     二人の話し振りはいつもとそう変わらないように見える。だがその姿勢は真剣でよほど山田一郎は彼らにとって大事なようだ。もしかしなくとも左馬刻も同じ枠のうちなのだろう。

    「ご理解いただいてるなら話は早い。この度そのマイクの効果の解除条件が推定されました。それをどうにか満たすために先程お願いした『碧棺左馬刻と山田一郎の関係』についてお二人の話を伺いたいんです。マイクの件については入間さん、頼んで良いですか。僕より貴方の方が詳しいでしょう?」
    「仕方がありませんね。ではまず事件の方から簡単に押さえていきましょう」

     三郎くんの言い分は正しい。だがしかし、改めて説明すると言うのは億劫なもので、思わずぼやき交じりの言葉が漏れ出てしまう。すぐさま弟どもの鋭い視線が飛んでくるがそんなものは無視して口を開いた。


     それなりのボリュームを持った解説とこれまで行った行動の経緯の説明が終わり、呼び出した二人の様子を伺うとそこにあったのは苦虫を噛み潰したような表情だった。流石にそんな反応になるとはおもわず二郎くんたちの方に視線をやるも、彼らも戸惑っているようだ。俺は思わず背後に控えていた理鶯に声をかけた。

    「理鶯、彼らはどうしてあんな表情に?」
    「小官は銃兎が話始めて後ろから見ていただけだから何とも言えないが、彼らの表情が変わったのは左馬刻との会話の説明をしている時だったぞ」
    「そうですか。ありがとうございます」

     とは言え、俺たちが何かできるわけもなくその場にはしばらく無言の空気が漂った。
     その空気を破ったのは、いつもの様子の影もない静かな飴村乱数の声だった。

    「あーごめんね。僕たちのせいだよね、こんな空気になったの」
    「それは否定しませんが。大丈夫ですか?」
    「んーまぁ、大丈夫かって言われるとあんまりそうじゃないけど。でも、話さなきゃ始まんないしね。寂雷もいいよね?」
    「……そうですね。話さないとわかるものもわからないでしょうし。お話しします。私たちから見た一郎くんと左馬刻くんのことを」

    ~***~

    Side 銃兎
     
    「結局のところさ、一郎と左馬刻は、揃いも揃って似すぎなんだよ。血の繋がりなんてないくせにさ」
    「確かに彼らは似ていますね。昔も今も」
    「どういうことだ?」

     あの二人は見た目も思考も似ているところはないと思っているのだろう。二郎くんが大きく首を傾げている。一方、三郎くんは俺たちと同様何か引っかかることがあるのか静かに続きを促している。

    「なんていうかな。二人とも考え方が似てるんだよね。愛情とか家族とかに対する考えが。
     一郎は君たちと違って両親の記憶があって、どういう状況かはわからないけど弟たちを残して保護者たる大人を失った。だから人一倍家族を大切にするし、弟を守るって気持ちが強い」
    「彼は家族で唯一実の親を知ってる分、その愛情を君たちに与えたいって必死だったよ」
    「でもそれは左馬刻も同じ。暴力を振るう父親を恨んで、そんな父親から自分を守ってくれた母親を大事に思ってるし尊敬してた。そして妹という守るべき対象がいる」
    「彼の場合は自分の家庭環境を反面教師にしていた部分がありますけどね。そんな彼らに共通しているのはただ一つ。『大事なものは守る』ということです」
    「守る、ですか」

     それは一瞬何ともあの二人には不似合いな言葉のようなものに思えた。だがよく考えればすぐにしっくりくる。お互いやり方に差異はあれど、身の内に入れたものには優しくする人物だと双方と関わりがある俺は知っていたからだ。

    「そうだよ。それも守りたい対象が無事ならなんだってする自己犠牲タイプ!」
    「二人とも長男ですし、彼らが過ごしてきた環境も勝ち取った立場も己の力で手にしてきた立派なものだ。だからこそ、と言いますか彼らは頼るということを知らない」
    「っでも、兄ちゃんは俺たちに頼ってくれるぜ?」
    「そうだっ!一兄は僕たちにも仕事を回すし協力を頼むことだって……!」

     ——そうじゃない。彼らが言ってるのはそういうことじゃない

     俺が内心そう思ってるのを見透かすように、神宮寺寂雷の目がゆっくりと細められた。

    「MTCのみんなはわかってるみたいだね。そう。彼らは何も全てにおいて他者に頼らないわけじゃない。自分のこと、俗に言うプライベートなこと限定される」
    「ま、一郎のそういう悪癖は左馬刻がTDDの時、何とかマシにしてたんだけどね」
    「今は共に行動を起こしているわけですからね。左馬刻くんのことですから一郎くんのそういった面も配慮して動くぐらいしてそうですが」
    「左馬刻にもその悪癖はあるんだっつーの!自覚してやってるんだから腹が立つよね、全く!」

     今度はぷりぷりと怒りだした飴村だったが、その表情は暗いままだ。まるで何かを後悔しているかのような表情にこちらも何も言えなくなる。またさっきのような空気になるのか、そう考えたその時。二郎くんがボソリと呟いた。

    「じゃあさ、やっぱり兄ちゃんは左馬刻のことが好きなのかな」

     つまりはそういうことだと、昔を知る二人も判断しているのでしょう。二人はお互い視線を合わせたかと思うと深く頷き、自らの主張を訴えるため声を上げました。

    「僕はそう信じるよ!だってアイツらのお互いを見る目、今も他を見るのと違うもん!」
    「私にはそんな目の違いは残念ながらわからないのですが、数少ない彼らの会話の声音は相手を思いやるものだと感じていました。それこそ昔を彷彿とさせるような」
    「そっか。やっぱりそうだったんだな」

     その訴えは彼の弟たちにとってはあまり嬉しくない追い風でしょう。ですが、すでに覚悟は決まっていたのか二郎くんはその視線を画面越しの弟に向け答えを待っているように思えました。

     ——それは三郎くんもおなじだったようですね

     画面には肩をすくめ大袈裟にため息をつく彼の姿が写っていました。

    「……じゃあやっぱり一兄を助けられるのは不本意ながらアイツしかいないってことですね」
    「そうだと思う。でも弟くんたちに策はあるの?」
    「今集まってるのは結局のところ状況証拠しかありません。入間警察官、こういう時どうすれば良いかわかりますよね?」

     ——こういう時ばかり俺を警官扱いしてくるのはやめて欲しいものだな

     そうは思いながらも、この神童がどう動くのか見てみたいと思う自分もいる。どんなバトルでも一番の意外性を見せてきたこの山田家の末っ子の策にかけてみよう、と。

    「それはもちろん。決定的な証拠、物的証拠を見つけるのみです。ですが、ここまで徹底して隠していた関係です。証拠も何もないのでは?」
    「一兄には悪いと思いますが部屋を検めます。それしかないでしょう」
    「寝ている間に家探しするなんて貴方も思い切ったことをしますね。それに、そこで万が一証拠が見つかったらショックを受けるのは君たちでは?」
    「確かにショックを受けるかもしれません。強い一兄のことだ。あと少しすれば急に目を覚ますのかもしれない。でも、目を覚まさないかもしれない」
    「それなら後で兄ちゃんにめちゃくちゃ怒られようと、俺たちは左馬刻と兄ちゃんの関係の証拠を見つけるよ。複雑だけどな」
    「なるほど。貴方たちの覚悟はわかりました。私達も協力しましょう。良いですね、理鶯」
    「もちろんだ」

     ここまで来たら理鶯も放り出す気はないのか、すぐに返事を返す。

    「僕も何か協力出来ることがあるなら言ってね!他ならぬ一郎と左馬刻のことだもん。ちゃんと解決したいんだ」
    「私もです。彼らの頼れる大人になれなかった。その贖罪をしたいんです。もちろん、一郎くんの治療もできる限り手を尽くします」

     そう、呼び出した二人も協力を約束してくれたところでブクロの二人と今後の予定を詰めていく。
     それにしても、まさかお互いのリーダーの恋愛関係を探るために元は敵対したチームが手を組むとは。

    「数奇な運命とはこのことかもな」
    「何か言ったか、銃兎?」
    「気にしないでくれ。ただの独り言だ」

    〜***〜

     ・その後の話

    「じゃ、あとは頼んだぞ。二郎」
    「おー、っては?何言ってんだ。お前も手伝うんだろうが!」
    「僕は僕のやることができた。だからそっちは任せる」
    「何勝手なこと言っ、モガモガ」
    「ならば私が二郎くんについていましょう。理鶯は三郎くんについてください」
    「承知した」
    「ちょっと、勝手に決めないでよ」
    「一郎くんのいない今、危険なことに首を突っ込んだ場合守る大人がいません。君が勝手をするとは思いませんが、一応の保険というやつです」
    「ふん。でも、僕のやることに口は出さないでよね」
    「なるほど。そういうことなら小官は三郎の護衛として動くことにしよう。銃兎、それで構わないだろうか」
    「彼の命が保障されるならそれで良いですよ。くれぐれもよろしくお願いします」
    「わかった」
    「話は纏まった?なら明日空港にまで迎えに来てよね。時間はそこの悪徳警官の端末に送っておくから」
    「承知した」
    夕霞 Link Message Mute
    2021/04/16 18:00:00

    嵐の前の静けさ

    こんばんは、夕霞です。
    今回はあの二人が登場です。

    それでは注意事項を読んでお楽しみください!
    #二次創作 #左馬一

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