争乱 幕間 くりんば伝注意事項
【ATTENTION!!】読む前に確認お願いします
・「刀剣乱舞」の二次創作作品です。
・原作登場刀剣男士の女体化があります。
・カップリングとして「くりんば」が含まれます。
・モブ(オリジナル主人公及び登場人物)がかなり話します
・創作設定が多くでてきます
・文章は拙いです
・ご都合主義です
上記の点確認の上、自己回避よろしくお願いします
なんでも許せる方のみお楽しみくださいませ!
竜の甘やかし
やっとの事で本丸に帰り、主を部屋に連れて行った後、伽羅によって俺は自分の部屋に来ていた。
「ひと段落したらあんたを甘やかせって言う主命だからな」
突然の宣言に驚いた俺は、思わず固まってしまった。
「は?」
「だから、今から国広」
「んぅ!」
チュッ
「あんたは俺に存分に甘やかされろ 」
そう言って俺を抱き上げ、あぐらをかいた自分の足の中へ座らせた伽羅は、俺の腹に手を回し離そうとしない。それどころか、後ろから耳やうなじに触れる感触がある。
「な、な!何を言ってるんだあんたは!それに、何してる!」
「あんたじゃないだろ。もっとこっちにもたれろ」
「うっ……」
「なんでもいい、今日のことで引っかかっていることがあるだろう?全部吐き出せ。近侍として大変だったんだろ」
——どうしてわかってしまうのだろうか
確かに頭にモヤモヤとするものがあった俺は伽羅の言うとおり、その胸に自分の頭を預けた。
「……ああ。なぜか主が、姉さんがみんなの指揮をとることになって……」
「そうか」
伽羅は俺の髪を撫でながら静かに話を聞いていた。それで少しずつ落ち着き始めたのか、口から言葉が溢れてくる。
「俺も情報まとめたり、戦闘系審神者の網からこぼれたやつを倒して……でも、姉さんに呼ばれて……」
「ああ」
「そこで、姉さんは襲われてた」
「っ!」
腹に回っていた腕に力が入った。きっとあの時の俺の体もこうなっていたのだろう。
「大丈夫だ。兄さんがいた。俺が行った時には倒されていたしな」
「…そうか」
伽羅の腕が緩む。でも、俺はあの時のことを思い出して、自分の腕で固く膝を抱えた。
「……でも、俺は危険な時、側にいれなかった」
「……」
「姉さんを、主を守るのが俺の仕事だったのに……」
「……だが、国広は主命を果たしていたのだろう」
伽羅が優しく聞いてくる。そう確かにあの時俺は現場に残り、指示をまとめるのが仕事だった。
「それはそうだが」
「俺たちの主は、頭がいい。その命なんだ。きっとそれが最善だった」
「だがっ!」
——そうとわかっていても納得がいかない
思わず振り返った顔に出ていたのか、伽羅の瞳が宥めるような色を纏う。
「わかっている。国広の気持ちは。俺だってその場にいたらそう思うはずだ」
「……広光が?」
素で驚いてしまった。口も開いてポカンとした自覚があるから、伽羅もすぐわかっただろう。
「なぜそこで不思議そうな顔をする」
「だって、一匹龍王がそんなこと言うと思わないじゃないか」
「……。なんだ、俺にとってもあいつは大事なやつだからな」
「ふふっ。うん。そうだよな」
照れたのか目線をそらす伽羅はとてもかわいい。ふと耳を見てみるとほんのりと赤いのがわかる。それを見てしまえば笑うのは止まらなかった。
「そろそろ笑うのはやめろ。……まあ、国広がやっと笑ったからいいが」
笑い続ける俺を呆れた目で見ながらも、伽羅の瞳は依然として優しいままだ。いつのまに腕を外していたのか、俺は伽羅の腹を足で抱えるように座っている。もちろん、手は伽羅の首に回してある。
「え、俺笑ってなかった?」
「いや、笑ってた。作り笑いだったが、多分俺や初期第一部隊のやつら以外にはバレてない」
「それ、古参にはバレてるってことじゃないか……」
思わず拗ねると、伽羅が額を合わせてくる。
——うっ!そんなにカッコいい顔を近づけるな!
「そうとも言うな。それで話を戻すが、あいつも国広を信じていなかったわけじゃない。むしろ信じていたからこそ、己と離れた場所での仕事を任せたんだと思う」
ずいぶん落ち着いてきた俺は、なんとか伽羅の言うことを飲み込めるようになってきていた。
「そう、だな」
すると、今まで額を合わせていた伽羅が離れて俺としっかり目線を合わせた。
「それに、ゲートをくぐる前言っていた」
「え?」
「『今日はひろに本当に助けてもらった』とな」
「っ…!」
「だから心配するな」
そう言って笑う伽羅の言葉は本当に安心できて、俺は本当に伽羅が恋刀で良かったと実感したんだ。
「っうん!ありがとう広光!」
「構わない。これも国広の恋刀の特権だからな」
「また、そういうこと言う!」
さらりと漏れる伊達男ぶりに文句を言うが、伽羅はどこ吹く風だ。
「しょうがない、事実だからな。それに……」
「ん?広光?」
腰に添えられていた伽羅の腕が、俺を抱きしめるように背中に回った。
「国広たちを迎えに言った時、後ろの戦場を見た」
「!」
「あの会場は俺も行ったことがあるからな。だからこそ、今回の襲撃とやらがどれほどの規模だったのかは感じることがある」
「広光……」
「本丸に帰って、国広の傷とあいつの怪我の治療が終わって、ここで国広を抱きしめて、俺はようやく安心した」
「……」
「俺が知らないうちに国広が傷つくのは、まだ慣れないな……」
そう言って俺の肩口に顔を埋める伽羅は、そこでゆっくりと息を吐いた。
「広光……。すまない、そんなに心配をかけていたとは思わなかった」
「……いや」
「でも、それこそ心配することはないぞ。俺は絶対に広光のところに帰ってくる。もちろん、主を守ってな!」
そう、それはずっと俺の中にある信念。主と約束し、伽羅に誓った言葉だ。だから絶対守ってみせる。
「国広」
——だけどな、今日はしょうがないだろう?
「……でも、今日は本当に大変だったんだ。だ、だから……」
「……」
「だからっ!今日は、だ、抱きしめて寝てくれないか?」
きっと顔は過去最高に赤くなっていることだろう。でも、離れがたくて伽羅におねだりをしてみた。
「ふっ、ああ。もちろん、喜んで」
案の定、快諾してくれた俺の恋刀はなぜかそのまま俺を抱き上げた。ご丁寧に横抱きだ
「よかった。って、え?ちょっ、伽羅?」
「名前、戻ってるぞ」
「い、いやだって、なんで抱き上げて……」
「俺の部屋で寝る」
「歩けるぞ?」
「いいだろ?俺がそうしたい」
俺がしたいって……。いつもだったら恥ずかしいけど、今日は甘えたい気分だった。だからこそ、俺はそのまま伽羅に身を任せた。
「楽だろ?」
「まあな。じゃあ、頼む」
「ああ、しっかりつかまっておけ」
そうして、その日は広光に抱きしめてもらいながら眠った。そんな俺は次の日主の悲鳴で飛び起きることになるなんて思いもしていなかった……