演練日和 3注意事項
【ATTENTION!!】読む前に確認お願いします
・「刀剣乱舞」の二次創作作品です。
・原作登場刀剣男士の女体化があります。
・カップリングとして「くりんば」が含まれます。
・オリジナル主人公がかなり話します
・創作設定が多くでてきます
・文章は拙いです
・ご都合主義です
・書いたのが数年前なので極が実装していない表記があります。ご了承ください。
上記の点確認の上、自己回避よろしくお願いします
なんでも許せる方のみお楽しみくださいませ!
side 山姥切国広
「はぁ。それでこれはどう言う状況なんだ」
演習が終わり、負った怪我も綺麗に直った俺たちが主の元に戻ると、そこには機嫌のいい主と獅子王、そして顔を青ざめさせている相手の審神者と鯰尾藤四郎がいた。
「おかえりなさい。みんな期待通りの動きでしたよ。彼らは、ちょっとお話しただけですよ」
「お話、か。明らかにそれが原因であんな表情になっているんじゃないか?それにこのままだといらない誤解を、「主⁉︎なんでそんなに顔色悪いの?はっ、まさかこいつらに何かされたの⁉︎」生むぞと言いたかったんだが少し遅かったようだ」
相手も部隊が帰ってきたのか、自分の主の表情を見て初期刀だろうと言っていた加州がこっちをギッと睨んでくる。俺はその視線から守るように主の前に立った。だが、俺はそこであることに気づいた。
「ん?あんたその紙紐……。もしかして、あの上位者会議襲撃の時、会場にいたんじゃないか?」
目の前の加州は髪を本来の白ではなく緋色の紐で縛っていた。通常の個体とは違うため、その姿はよく覚えていた。再び顔色が悪い審神者を見てみると、なんとなく見覚えがあるかのように感じた。
「へ?確かに俺は襲撃の時いたけど……ってまさか、それを知ってるってことは、っああ!思い出した!どうりで見たことあると思ったんだよ!ほら、主、こいつらあの時指揮を取ってた審神者だよ!なんだっけ、龍の軍師とか言われてるってやつ!」
驚きのあまり叩かれている加州の主はまだ理解できていないのか目を白黒させている。
「その龍の軍師というのはやめてほしいですけれど、確かに私はあの時指揮をしていた審神者で名を白蓮と言います」
「じゃあ白蓮さんって呼ばせてもらうね。それと、どうして主の顔色がこんなに悪いのか聞いてもいい?」
「私たちを疑っていたんじゃないのですか?」
その発言に加州は一つため息を吐いた。
「はー、あのね、俺だってさ、主の命令とはいえ白蓮さんの指揮の中で戦った刀剣男士だよ?白蓮さんが主を害するような人だとは思っていないよ」
その言葉を聞いて、今までは先ほどの加州の態度から会話を俺越しにおこなっていたが、危険はないと判断して俺は主の前から隣に移動した。後ろに下がらないのは、まだ加州しか信頼できないと判断したからだが、加州もわかっているのか何も言わなかった。
「それならその信頼に応えて正直にお話ししましょう。少々こちらとしては不愉快な思いをしましたので、それに関して物申させて頂いたのです。顔色が悪いのは、その時うちの獅子王もかなりお怒りで、刀気が抑えられなかったようなので、それにあてられたのもあると思いますが」
「そっか。ありがと、話してくれて。その不愉快な思いしたっていうのはもしかしてそっちの部隊の奴らみんな?」
「どうしてそう思われたのですか?」
「そりゃ、あんなに殺気が出ている骨喰に倒されたら、ね。他のみんなも相手がなんか殺気立ってたって言うし」
加州が苦笑するように言うと、彼の背後から燭台切が近づいてきた。
「話の途中なのにごめんね。でも、僕もどうしても聞きたくて。伽羅ちゃんも乱くんもとても怒っていたから、なにかしたんだろうとは思っているんだけど」
「そうですね。あなたたちは何もわからないうちに、うちの不機嫌な刀たちの攻撃を受けることになったのですから。では説明しましょうか」
そうして主による俺たち(といっても俺を除くのだが)の不機嫌の理由の説明がなされた。
話をしている最中にも加州は頭を抱えるし燭台切は何やらブツブツ言いながら(俺が聞こえたのは「何それ僕最低じゃん」だったな)座り込んでしまったし、審神者など目に涙が浮かんでいた。後ろにいる他の連中は納得がいったのかうなづいているが浮かぶ表情は申し訳なさそうだ。
「そういうこと……。うん、どう考えてもうちが悪いね」
「いいえ、こちらも聞き流せられる余裕があればよかったのですが、今日の部隊は良くも悪くも最古参の刀剣で構成していましたし、何より私がキレてしまっていたので……。大人気ない行動だとは思っています」
「ちょっとそっちが謝らないでよ。どう考えたってうちが、というか主の発言が引き金みたいなんだから」
そう言い切ると、加州は己の主に近づいていった。おそらくだいぶ混乱しているから落ち着けにいったのだろう。そうやって加州を目で追っていたので、目の前に誰かが近づいていたのに気づけなかった。
目の前に影があると気づいた途端、俺は後ろから腕を引かれて誰かの背中にかばわれた。
「こいつに何の用だ」
そんなことをするのはやはり伽羅で。頼りになる背中越しに聞こえる声はまだ怒りが残っていた。
「伽羅ちゃん……」
「その呼び方をするな」
どうやら近づいてきたのは燭台切のようで、その声は普段伊達男として自信あふれる姿からは想像できないほど弱々しかった。
「……そうだね。大倶利伽羅。君が怒るのも最もだと思う。でも、ほんの少しでいいんだ。山姥切くんと話をさせてくれないか」
「断る」
「伽羅?」
「あんたの言った言葉でこいつは傷ついたんだ。これ以上、こいつに傷が増えることを俺は許せない」
その言葉に俺は思わず頰が熱くなるのを感じた。こんな些細な言葉で俺は大事にされていると実感する。それに、言葉に出さないだけで、主や他の奴らも俺に対する言葉に不機嫌になったからこんな戦いになった。俺は嬉しくて嬉しくて。でも、だからこそ、俺のためにたとえ他の本丸の燭台切だとしても、大事な恋刀が昔馴染みと喧嘩別れはして欲しくなかった。
「伽羅。大丈夫だから。燭台切と話をさせてほしい」
「ひろ。だが……」
「心配いらない。けど、気になるなら傍にいてくれ。なぁ伽羅、頼む」
「……はぁ」
「ありがとう」
なかなか俺の前から動いてくれなかった伽羅だが、流石になんども頼み込むと、ため息をつきながらではあるが、燭台切との間からその身をずらした。やっと顔がみれた伊達男の視線は、伽羅と俺を行ったり来たりしていてなかなか面白かった。
「本当に伽羅ちゃんに大事にされているんだね」
「ありがたいことにな。さて、燭台切。話とはなんだろうか」
思わず、といったように発した言葉に相槌を打つ。そして話を促すと、すぐに真剣な表情になった燭台切は口を開いた。
「今回は君のこと、僕の勝手な発言で傷つけてしまった。本当にごめんなさい。君とは直接戦ったわけではないけれど、加州くんを倒した時に肌で感じたよ。「僕より強い」ってね。それに君たちの部隊が怒るのもわかるよ。僕たちだって加州くんを馬鹿にされたら怒るからね、確実に。だから、きちんと謝らせてほしい。申し訳なかった」
そう言って深く頭を下げる燭台切に、俺は正直何も思うことはなかった。謝ってくれたんだからこれで終わりにしよう。そう言えばいいのだろうけど、なんだかそれも違う気がして。
ギュッ
「伽羅?」
「お前の思うままを言えばいい」
そんな内心がわかっていたのか、伽羅が手を握ってくれた。思わず見上げると返ってきた言葉は俺の求めていたもので。本当に、こいつはどれだけ俺を惚れ直させれば済むのだろうか。それはそれとして、俺はその言葉の通り思うがままを口にすることにした。
「……正直、俺としては何も気にしていない、と言うのが事実だ。確かに内容としては女として顕現したことが真実とはいえ、引っかかる事ではあるが。でも、俺としてはそれに対して仲間が怒ってくれた事、主がキレてくれた事で、もうどうでもよくなってしまったんだ。俺のことで怒ってくれる奴らがいる。俺はそれが実感できただけ、この戦いをした意味があったのだから。だから伽羅、それに燭台切ももう気にしなくていい」
燭台切は俺の言葉を何も言わずに聞いていた。そして静かに一度大きく頷いた。伽羅の方を見てみるといまだにそっぽを向いているけれど、その気配に怒りは感じられなかった。
「あ、あの!」
燭台切も自分の部隊の方へ帰ったところで加州に付き添われながら相手の審神者が近づいてきた。泣いていたのかその眦はほんのりと赤くなっている。
「なんでしょうか」
「お、俺、その、すいませんでしたっ‼︎」
それは刀剣男士としても驚くほどの大声で。主も驚いたようだった。
「ほ、本当に俺、山姥切を馬鹿にするつもりとかはなくてっ。でも、さっき加州に自分があんな事言われたらどう思うって言われて。考えてみたらめちゃくちゃ腹たって!でも、それを俺がしたんですよね。普段から思った事すぐに口に出しすぎって言われてたのに、そんな気にしてなくて。ばちが当たって当然ですよ。でも、おれっ本当にっ、「わかっていますよ」え?」
主に話を遮られた審神者はうつむきがちだった顔をパッとあげた。
「わかっていますよ。君と話していた時に刀たちを愛している審神者だなって感じましたから。でも、口が災いのもとと言うように、今回の件でもわかると思いますが、己の発言が首を絞める事というのは多いのです。そして、位が低いとは言え神を使役する私たちにとって言葉は普通より力を持ってしまいます。だからこそ、気をつけなければならない。それはわかりましたね?」
「はい……!」
「なら、それで終わりです。私たちも演練で思う存分暴れましたしね?」
そう言ってこちらをみる主に俺たちは軽くうなづいて答えた。
「次会う時、さらに強くなっていることを期待しています。加州清光、あなたもきっと、今以上に強くなっていますよね?」
「もちろん。だからまた相手してよね、白蓮さん」
「ええ。望むところです」
そうして俺たちは相手の審神者と別れ、当初の予定どうり万屋通の方へ足を向けた。
「あ、そう言えば。ひろ、こっちこっち」
「なんだ?」
ゆっくりと歩いていると主に呼ばれたので俺は少し前を歩いていた主に近づいた。
「はい、これ。返してなかったから。せっかく似合っているんだし、またつけてたら?」
それは、演練が始まる前に預けていた花冠と一輪の花だった。ごこと伽羅がくれたそれらは、戦いで崩れてしまうのがいやで主に預けていたのだ。
俺は自分で花冠を被った後、花を持ったまま伽羅に近づいた。
「伽羅!」
「……なんだ?」
不思議そうに見つめてくるのは、いつものように優しい蜂蜜色の瞳。俺は幸福感に包まれながら愛しい刀に『たのみごと』をした。
「また、着けてくれないか?」
「……もちろん」
~***~
その後、万屋街では審神者とお揃いの花冠をし、オレンジのガーベラを髪に挿し入れた女型の山姥切国広を含む一行が、仲良く団子を食べる姿が多くの審神者に目撃された。なお、その山姥切はずっと大倶利伽羅と手を繋いでいたとかいないとか……