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    イデアズ。と🐙のクラスメイトくん。3残念ながら、今日は錬金術の補習だ。言い訳をさせて欲しい。決して成績が悪い訳ではない。実験に失敗した訳でもない。でも補習だと言われて残された。何故か。
    「限定盤の予約開始をこんな真昼間に設定したやつ誰だよ……」
    「ほんとそれな……学生はその時間授業中なんだよ……」
    ぶつくさ言いながら植物園で必要な分の薬草をむしり取った。むかしから好きだったアニメの限定版DVDの予約スタートは昼の十二時。めちゃくちゃ授業中だ。しかもこれが受注生産とかならよかったのに、数量限定ときたら予約スタートと共にリロードの嵐とショッピングカート連打をキメなくては勝てぬ。机の下でこっそりとそんな戦いをしていたところ、まんまとクルーウェルに見付かった。試合に勝って勝負に負けたとはこのことだ。無事限定版は手に入ったけれど、同時に補習も手に入れたという訳だ。
    「これで全部か?」
    「うん。さ、戻るか」
    小さなカゴに草を入れて右腕に通す。その姿は買い物帰りの主婦のようでもあるし、雑草集めが趣味の小学生のようでもあった。同士に続いて植物園から出て魔法薬学室に戻ると、そこには来客がひとり。
    「寮長だ」
    「最近よく外で見るな?」
    確かに。とは言え月イチとかな気がするけど。クルーウェルとあれこれ話して、こちらを振り向くことなく出て行った。寮長は優秀だから先生方から魔導工具の発注を受ける事があると以前聞いた気がする。今回もその類だろうか、とテーブルにカゴを置いた。
    「よし、補習を始める」
    いつ聞いてもいい声のクルーウェルボイスに、はあいと返事をして着席する。同じ補習でもバルガスのそれよりは座っていられるだけ数万倍マシだった。

    翌日、また校舎内で寮長の姿を見かけた。たった今俺達がトレインの授業を受け終えた教室から生徒がはけるのを待っていたらしい。最後に教室を出た俺とすれ違いに教室に入り、トレインと何やら話し始めた。普段あれだけ頑なに部屋から出たくないと言っている割に、連日校舎内で生身の寮長を見掛けるなんて珍しい事もあるもんだ。教科書を片手に、ふあと欠伸をする。欠伸で滲んだ涙を拭わないまま歩いていると、正面から見覚えのあるメガネが歩いて来た。アーシェングロットだ。向こうも俺に気付いたらしく、ちらと視線をよこされる。
    「どこ行くの?」
    そのまま無視するのも憚られてすれ違いざまに問いかけた。
    「先程の教室へ」
    「忘れもん?」
    「いえ、別に」
    「あ、そう言えば、さっき教室に寮長が入ってくの見たよ」
    「……はあ、そうですか」
    「最近寮長よく校内で見かけるよな」
    「は?」
    何気ない立ち話のつもりが、突然本気で呆れられて驚いてしまった。そんなマジでびっくりした!みたいな顔されるようなこと言ったかな。
    「な、なに?」
    心当たりがなさすぎて思わず聞き返すと、少し眉を寄せたアーシェングロットがメガネのブリッジを押し上げた。こいつこれ癖だよな。よく見る気がする。いや、メガネかけてるやつはみんなそうなのかな。やれやれと言った態度のアーシェングロットが口を切った。
    「あなた同じ寮なのにご存知ないんですか? イデアさんは来週の魔導科学学会に生徒特別枠で登壇するんですよ。そもそも学会に生徒が出る事自体滅多にあることではないんですが、現役学生で魔導工学の天才と名高いイデアさんだから呼ばれたと言うのも不思議ではないんですけど。その資料制作で先生方からアドバイスをもらったりしていたんですが、それももう大詰め。授業終わりのタイミングで直接捕まえた方が早いということになって、各授業が終わるのを待って先生方に相談してると言うわけです」
    何故かめちゃくちゃドヤ顔されてるけど、これ寮長の話でお前の話じゃないよね? 何で俺こんな、そんな事も知らないのか的な言い方でドヤられなきゃいけないんだ? 何か途中から聞くの面倒くさくなっちゃったんだけど。何はともあれ。
    「お前よく知ってんな」
    「まあ当然でしょう。イデアさんの知名度が上がれば彼が作った魔導パーツの値が上がりますからね」
    ふんと鼻を膨らました顔にうんざりした。いやこいつマジで守銭奴だなー。金より大事なものはないのかい? とか言ってみたいけど、即答で「ない」って言われて終わりそうだから訊かない。ドヤドヤされてんのもめんどくさくなった時、丁度さっきの教室から出て来た寮長の姿をアーシェングロット越しに見付けた。のそのそとこちらに向かって歩いて来る。
    「何してんの」
    「あっ、終わりました?」
    「はあ……出待ち?」
    「俺は通りすがりです。じゃあ失礼します」
    さっと手を挙げてその場を離れた。これ以上アーシェングロットにも寮長にも用はない。し、俺が踵を返すより前からアーシェングロットが何かあれだこれだと話し始めてたから、多分俺の挨拶は誰にも聞かれないまま廊下に落ちたに違いない。ひとりくらいレシーブしてよ寂しいから。
    にしても、アーシェングロットってほんと寮長のこと好きだよな。まあお互い友達いなさそうだからそんなもんなのかな。取り敢えず小腹空いたから購買寄っておやつ買って行こ。
    KazRyusaki Link Message Mute
    2021/06/15 9:42:09

    イデアズ。と🐙のクラスメイトくん。3

    ##モブ太郎物語

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