Gift注意事項
【ATTENTION!!】読む前に確認お願いします
・「鬼滅の刃」二次創作作品です。
・原作登場人物♂ ×創作夢主♀です
・モブがかなり話します
・現代パロも含みます
・文章は拙いです
・ご都合主義です
上記の点確認の上、自己回避よろしくお願いします
なんでも許せる方のみお楽しみくださいませ!
とある隊士のとある災難
— 大正時代の一幕
「うぇっ?!」
与えられた任務を終え、傷の治療のため蝶屋敷に向かっていた俺は目の前にせまっていた蝶屋敷の門横に顔にいくつもの傷がある男の姿が目に入り、とっさに身を隠した。
そーっと覗くと、やはりそれは以前任務を共にしたことのある風柱で、壁に体を預けている様子を見る限り誰かを待っているようだった。
「えー、何でこんな時に。さすがにあの横通る勇気はないんだけど…。って、あれは…?」
まさかの事態に物陰で頭を抱えていると、蝶屋敷の方から誰かが歩いてくるのが見えた。ついでに、それがわかったのか風柱も伏せていた頭を上げ、門の方へ視線を向けた。そして俺はと言うと出てきた人を見て大いに納得していた。
「遅くなりました。」
「ん。」
そう、出てきたのは風柱の側近とも言われる蔵人様だったからだ。普通、柱にでもならなければつけられない敬称を使っているのは、彼女が柱に認められるほど強いからだ。というか、柱にも推挙されたのを断ったと言うのは鬼殺隊の中でも有名な話で、それでも変わらず彼女は風柱の隣で戦っている。
「私の用事だったのにわざわざ待たせてしまってごめんなさい。」
「こんぐらい気にしてねぇよ。んで、何の用だったんだ。」
「傷薬が切れかかっていたのを補充したかったんです。私個人のもですけど、実弥さまの家に常備されてるものも残り少なくなっていたから。」
(え、なんで蔵人様は風柱邸の常備薬の量把握してんの???)
「…そうだったか?」
「あなたの怪我の世話をしている私が間違えると思いますか?」
「…ちっ!」
「舌打ちしないでくださいな。それと、しのぶからこんなものをもらったんです。甘くて美味しかったからって。」
「あ?」
(な、なるほど。そりゃ治療もしてたら把握するよな…!)
蔵人様が見せたのは手の中に収まっているようで、俺の場所からは見えなかった。だが、話の内容からすると菓子の一種だろう。
「これ、金平糖か。」
「ええ、屋敷の女の子たちが買ってきてくれたんですって。しのぶ思いのいい子達よね。」
「知らねぇよ。」
風柱が一粒手にとって日にかざす。小さな金平糖は風柱の手が動くたびにきらきらと光のかけらをこぼしていた。その様子は風柱の白い髪に光が反射するのと似ていてちょっと幻想的だった。
だが、俺はこの後衝撃の瞬間を目にすることになる。
「食べないんですか?」
風柱様はそう問いかけた蔵人様の顎におもむろに手をかけたかと思うと、そのまま蔵人様の口に金平糖を押し付けたのだ。突然のことに蔵人様はそのまま金平糖を口にしてしまう。それに満足したのか、風柱様は指をぺろりと舐めたと思うと蔵人様の荷物を取り上げてしまった。ここからは横顔しか見えないけれど、蔵人様の頰はほんのり赤く染まっているような気がした。
「何をするんですか…ここ往来ですよ。それに荷物私のですから返してください。」
「俺に使うのも入ってるなら、俺が持ったってかまわねぇだろうが。」
「ですが。」
「くどいんだよてめぇは。女なんだから、ちっとは甘えとけ。」
「はぁ。しょうがない人。」
荷物を持って先に歩き出してしまった風柱の隣に並ぶように蔵人様が追いかける。隊服の上に羽織った2つの白い羽織がふわりと舞った。徐々に遠くなる二人の姿に俺はようやく蝶屋敷に入れるとそっと胸をなでおろし、二人から背を向けた。
〜〜〜***〜〜〜
「それで、なんであんなことしたんですか?」
「てめぇは俺のもんだって示しただけだ。”覗き”がいたようだしなぁ?」
(ヒッ!!なんか悪寒がするんだけど!?)
[あとがき]
実は風柱は独占欲強めだと私が嬉しい。このモブ隊士くんはただの被害者です。玲さんに対してはすごい人としか思ってないです。
とある日の喫茶店
— 現代での一幕
カランとドアベルの音が店内に響くと、私は入り口の方へ目を向けた。
「よぉ。」
「いらっしゃいませ。テイクアウトですか?」
「頼む。いつも通り数は3つでいい。」
「わかりました。少々お待ちくださいませ。」
注文を受けた私は、すぐさまカウンターで用意を始める。お客様を待たせるわけにはいかないが、だからと言って手を抜くわけにはいかない。彼の注文なら尚更だ。
「これからは車移動ですか?」
「ああ、他社との打ち合わせがある。その前に車内にはなるが、ひと息入れていただこうと考えてる。本当は緑茶とかの方がお気に召すんだろうが。」
「お館様の好みとしてはそうでしょうけど、これからも仕事ならコーヒーの方が集中が続きそうですね。」
「ここに買いに来たのは俺がお前に会いたかったからだけどな。」
いつのまにか目の前に座った彼に思わず顔を向ける。目の前の男は何を言っているのだろうか。思わず頬に熱を感じる。
「ククッ、顔赤くなってるぞ。」
「なっ!誰のせいだと思って!」
「どう考えても俺のせいだな。」
目の前で優しく笑われるものだから、私は視線をあらぬ方に向けた。いつもそうだ。あの時代から、私は彼のこの顔に弱い。
「まぁ、しばらく忙しくて会えてなかったんだ。俺だって似合わないことを言いたくもなる。」
「それは、わかりますけど。突然すぎます。」
「悪かった。これやるから許してくれ。」
そうして差し出されたのは一枚の封筒だった。抽出に気をつけながら封筒を開くと、そこに入っていたのは2枚のチケット。
「これ、私が前言ってたコンサートの…!」
「席も取れたし、その日は有休とった。行くだろ?」
「もちろん、行きます!楽しみにしてますね。」
「おう。」
久しぶりのデートの予定に浮かれるけれど、今はお互い仕事中だ。注文されたコーヒーも淹れ終わり、持ち帰り用に入れた紙袋を目の前に差し出す。
「お待たせしました。注文の品です。中に試作品も少し入れてあるので、よかったら後で感想聞かせてくださいね。」
「おう。じゃあまた連絡する。」
コーヒーを受け取ったのとは反対の腕がすっと私の方に伸びてくる。伸ばされた手はそのまま頬に当てられ、親指で目の下をそっとなぞられた。久しぶりの接触に、思わず自分から手に擦り寄ってしまう自分がいた。
「お前も忙しいとは思うが、しっかり休めよ。」
「分かってますよ。せっかくの予定だめにしたくないもの。」
すぐに離れてしまった手を名残惜しくは思うが、仕事に戻る彼を見送るのは嫌いではないのだ。あの時代、彼と共に戦っていた時は出来なかったことを楽しんでいるとも言える。
「いってらっしゃいませ、実弥さん。」
「おう、行ってくる。またな、玲。」
△▼△▼
(店長さんも彼氏さんも店内に私たちがいること気づいてるのかなぁ…)
(さぁ…?)
((とりあえず、
ブラック2つ追加で!!!!!!!))
[あとがき]
常連さんたちも公認の2人です笑
彼氏がいると分かった時は血の涙が流れたとか…
客層はどちらかと言えば年配の方が多いですが、平日の夕方とかは女子高生もよく利用してます。
その幸せを享受する
— 2020不死川実弥生誕記念
「お誕生日おめでとう。実弥。」
「ありがとうございます、お館様。」
今日は俺の誕生日だ。もう喜ぶような歳でもないが、敬愛するお館様からお言葉をもらえばなんとなくいい1日になる気がしてしまう。
「せっかくの日だというのに、仕事に付き合わせてすまないね。」
「いえ、元々予定されていたことですし、代わりの休日はいただいていますのでお気になさらず。」
「そうかい?だけど、今日が実弥にとっても、周りにとっても大事な日であることは変わらないよ。午前で会議は終わるのだから、後始末などが終わったら早く待っている家族のもとに帰ってあげるんだよ。」
「そうですね。ではお言葉に甘えさせて頂こうと思います。」
柔らかく微笑むお館様のご好意を無碍にすることもできず、俺は仕事を午前で終わらせるとそのまま帰途に着いた。今日はいつものように一人暮らしの部屋に帰るのではなく、下の兄妹たちが待つ自宅に帰るのだ。自宅は今住んでいるところからだと少し離れていて、到着する頃には夕方になろうとしていた。
「おかえり、兄貴。仕事お疲れ。」
「おう。みんな元気か?」
「なんかすごい興奮してるよ。兄貴久しぶりに帰ってくるからかもな。」
「あー、たしかにここしばらくは帰ってなかったからなァ。」
「まあ、諦めて相手してやってよ。俺は母ちゃんの手伝いしてくるからさ。」
「頼むわ。」
久しぶりの自宅はやはりいい意味で気が抜ける。出迎えに来た玄弥ととりとめない会話をして部屋に入ると、下半身にいくつもの塊がぶつかってくる。
「「「実弥にーちゃん、おかえりー!!」」」
「おう、ただいま。いい子にしてたか?」
「もちろん。」「俺もしてたぜ!」
「わたしもー!」
ぎゃいぎゃいと話しかけてくる弟妹たちを相手しながら、母親がいるであろうキッチンへ向かう。さっき玄弥が手伝うと言っていたから問題はないだろうが、手伝うことがあるなら手伝うつもりだった。
「ただいま。」
「おかえり、実弥。みんなの相手疲れたでしょう?」
「いや、俺も久しぶりだったから。何か手伝うか?」
「大丈夫よ。玄弥もいるし、この後手伝いに来てくれる人もいるの。今日の主役はゆっくりしてて。」
「お、おう。って待て、手伝いだァ?一体誰がそんな、」
ピンポーン ピンポーン
「「あ、誰か来たー!!」」
「おい、お前らっ!知らないやつだったらどうすんだ!」
「たぶん、さっき言ったお手伝いしてくれる人だからお迎えに行ってあげて。」
「は?」
頭の上に疑問符を乗せながら、早歩きで玄関に向かう。急いで着いた玄関では妹たちが今まさに扉を開けようとしているところだった。
「「いらっしゃーい!!」」
「こんばんは。お邪魔します。」
「玲⁈」
そこにいたのは己の恋人で、俺は会いた口が塞がらなかった。嬉しそうにしている妹たちはくることを知っていたのか、彼女の腕を引っ張ってリビングに連れこもうと躍起だ。その様子に我に帰った俺は、そんな彼女から上着と荷物を受け取り後をついて進んでいく。
「実は玄弥くんからお誘いいただいて。実弥さんとは明日会う予定でしたけど、やっぱり当日にお祝いしたいなって。」
「そうか、玄弥が。」
「ご迷惑でしたか?」
「んなことねェよ。ただ驚いてはいる。」
彼女のことは付き合いだしてすぐ紹介してるから家族もみんな知ってる関係だ。玄弥も、過去に世話になっていた記憶もあり懐いてるから、隠れて連絡を取っていても不思議はない。
ただどうしようも無く、自分の知らないところで彼女と自分の家族が仲良くしているという状況がこそばゆかったのだ。
「幸せってのはこういうことをいうのかねェ。」
「何か言いましたか、実弥さん?」
「いや、なんでもねェ。お袋と玄弥がキッチンでお前を待ってたぞ。」
「それは急いでいかないと。あと、今日のご馳走、楽しみにしててくださいね。腕によりをかけますから。」
「ん。楽しみに待ってる。」
思わずつぶやいた言葉は彼女の耳には届かなかったらしい。誤魔化しつつ続けた会話で、彼女もこの交流を楽しんでいることが伺えて、知らず口角があがる気がした。
[あとがき]
風柱、誕生日おめでとうございます!!
どうか鬼のいない世界で、普通の幸せを堪能してください、という思いで書き上げました。