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    【番外】Hello,shining!3庇われた話折り紙パーティ潜入準備キスするかと思った話女体化庇われた話
     元より色白だった水希の顔は、いつにも増して血の気が引いていた。
    「水希」
     名前を呼び、細い肩にそっと手を乗せる。
    「クラウスさんなら、大丈夫だよ」
     血界の眷属が出現した。
     戦う術を持たないレオだが、相手が吸血鬼となると話は別である。神々の義眼が必要になるからだ。
     対して水希は戦闘員だが、奴らとの戦闘時は前線から外される。クラウスたち血法使いと違って、彼女は超能力者。あの細い体躯に流れる血は奴らにとって餌であり、うっかり吸われようものなら〝転化〟してしまう。作戦に加わるとしても、一定以上距離を保っての後方支援だ。
     今日もそうだった。念力が届くギリギリの場所から、クラウスたちのフォローをしていた。そして諱名を読み終えたレオを安全圏に誘導しようとしたところで、事が起きた。
     人を屍喰いグールに変えたり、何度身体を破壊されても復活を繰り返したりと恐ろしい能力を持った化け物だが、どうやら周囲の気配を感知する器官もずば抜けて敏感らしい。諱名を読めるレオと、そのレオを逃がそうとする水希の存在を察知し、襲いかかってきた。
     そうなれば水希だって応戦するしかない。けれど血界の眷属と戦うのが初めてな彼女は、攻撃を防ぎきれなかった。眷属の鋭い爪が水希の細い首を引き裂こうとした瞬間を、レオは思い出す。
     危ないところだった。
     クラウスが庇わなかったら、水希の命はなかった。
     代わりに、クラウスが負傷してしまったけれど。幸い急所は外れていたし、眷属の密封も完了している。
     現在、クラウスは病院で治療中だ。出血は多いが命に別状はないと、スティーブンははっきり言っていた。「心配することはない」と水希にも言っていたけれど。
    「水希」
     背を撫で、努めて優しい声を出す。
     人を避けて生きてきた彼女にとって、誰かに庇われたり、その守ってくれた誰かが怪我するなんてことは初めてだったのだろう。
    折り紙 ドアの開閉音に作業の手を止めて振り返ると、事務所に現れたのは後輩の水希だった。
    「こんにちは」
    「ども」
     ライブラに入ったばかりの頃はスティーブンと組むことの多かった彼女だが、ある程度実地経験を踏んだからだろうか。ここ最近はツェッドが面倒を任されるようになった。
     彼女より少しだけ先輩で、ライブラで活動することにも慣れてきたツェッドだが、人類の少女との接し方はいまいちわからなかった。人見知りをする彼女もまた、ツェッドとの距離感を掴みあぐねているようだ。
     水希と仲のいいレオが一緒だと、まだ間が持つのだが。残念ながら彼は不在。
     なにか気の利いた話題はないものか。しかし人類の少女が飽きない話題とは。頭を悩ませるもそれらしい話は一切浮かばず、固い沈黙の中作業を再開する。
     チョキン チョキン
     ふと視線を感じて顔を上げると、水希がこちらを見ていた。
    「それ、大道芸で使ってたやつ?」
     目が合ってしまえば、水希とて不自然に黙り込んだりはしない。
     彼女は何度か、レオと一緒にツェッドの芸を見に来てくれたことがある。
    「ええ。違う色も混ぜてみようかと」
    「一枚、貰っても?」
    「どうぞ」
     てっきりメモにでも使うのかと思ったが、違った。三角形に折って、さらに半分に折り合わせ。かと思えば四角形に変形し、なにやら複雑な畳み方を繰り返している。
     思わず眺めていたら、一枚の紙は立体物に変化していた。
    「それは?」
    「折り鶴」
     彼女曰く、鳥の形を模した物らしい。折り紙という、紙を折って様々なものを作る遊びなんだそうだ。
     テーブルに置かれた鶴が揺れ、紙の羽根が上下に動く。まるで本物のように宙を飛ぶその動きは、彼女の念力によるもの。それはツェッドが大道芸で披露する蝶の羽ばたきを彷彿させた。
    「僕も作ってみたいです。教えてくれませんか」
    「いいよ、でも」
     青い眼がちらりと蝶の束を見やる。
    「これほどの量を作るのは大変だから、程々にした方がいい」

       *

    「うわー、なに。なにこれ。どうやって折るの?」
    「すみません、そこで一時停止を──あっ、破けた」
    「あーあー、ダメだよツェッドさん。爪気をつけなきゃ」
     ドアを開けたレオは、一瞬だけその場に立ち尽くす。
     水希とツェッド。最近任務で組むことが多いが、二人きりで盛り上がっているのは珍しい。
    「何やってるの?」
     ひょいと二人が囲むテーブルをのぞき込む。スマホで動画を流しながら、紙を複雑に折り曲げているようだ。
    「折り紙」
     一つ手に取って、テーブルに降りたソニックの横に置く。ペンで目と鼻が描きこまれたそれは、器用に四つ足で立っている。
    「それは?」
    「猿。ツェッドさんが作ったやつ」
    パーティ潜入準備 口を思いっきり歪ませ、彼女は言った。
    「冗談でしょう?」
     その問いに、スティーブンは首を緩慢に振る。
    「今言った通りだ」
     どれだけごねられようが、水希に下された任務は変わらない。
     クラウスのパートナーとして、パーティに潜入せよ。一言で簡潔にまとめると、こうだ。
    「諜報も戦闘もできる君が一番適任なんだ。わかるだろう」
     我が儘を言う幼児に言い聞かせるように、スティーブンは繰り返す。
    「ドレスなんて持ってないし、着たこともないんですが」
     ホームパーティをやるような家庭環境でなかったことはお察しだし、スイート16に招待する友達もいなければ、プロムに誘うボーイフレンドにも恵まれなかったんだから、まあそんな機会はなかっただろう。
     水希との付き合いが長いレオだが、彼女が女の子らしい恰好をしているのを見たことがない。今回レオは作戦から外れているが、物珍しさに興味を惹かれて、上司たちの打ち合わせに耳を傾けていた。
    「仕事なんだから、それぐらい必要経費で融通するさ」
    「アタシがドレス着たって、女装にしか見えないと思うんですけど」
     〝女装〟って……。
     水希は中性的と言えば聞こえが良いかもしれないが、つまりは男顔だ。ぶっちゃけ、異性に好かれる容姿ではない。
     しかし本人の口からとはいえ、言いすぎだろう。
    「フォーマルな場は慣れてないだろうが、クラウスのエスコートに任せれば良い。そう気張ることはないぞ」
    「そりゃボスの隣なら、メスゴリラだって華憐なレディに見えるでしょうよ」
    「水希」
     スティーブンの隣で成り行きを見守っていたクラウスがしかめっ面をする。怖い。
    「君は立派なレディだ。そのように自身を卑下するのは――」
    「あっ、そういうの求めてないです」
     クラウスは世辞でなく本気でそういったことを言う男だが、むしろだからこそ水希は居たたまれないとばかりに手を振り遮った。
    キスするかと思った話 通路にいてもドアの向こうで同僚たちが騒いでいるのが聞こえてくる。「お助けえええ」と悲鳴を上げるレオナルドは、今日も先輩にいびられているらしい。
     程々のところで誰かが止めるのだろうけれど。そう思いながら、事務所に通じるドアを開ける。
    「ギャーーーッ!!」
     途端、勢いよく眼前に迫ってくるレオナルド。
     反射神経が人並である水希は咄嗟には動けなかった。それでも辛うじて悟る。このままでは自分がぶつかってしまう──それも顔面衝突待ったなしで。

       *

     いつもなら全体重をかけて頭の上に乗っかってやると、猿のようにキャンキャン喚くザップだが、今回ばかりは吠えつきはしつつも大人しい方だった。
     ソファに横たえられてるのは、つい先ほどまでザップが血糸で縛りぶん回していたレオ。
     その傍らで、水希が真っ青な顔で立ち尽くしていた。
     ザップが後輩に、あらぬ暴力を働くのは初めてのことではない。つい先日だって、レオはザップに(物理的に)振り回された挙句にテーブルの角に頭をぶつけられている。
     今回もザップは少し痛い目に遭わせて解放するつもりだっただろう。しかし投げた先が悪かった。
     タイミング悪く事務所に顔を出した水希と、あわや衝突しかけたのだ。
     そこで得意の念力でレオを受け止めていれば、平和的に解決したのだが。仰天した水希は、その念力でレオを叩き落としてしまった。
     たぶん、顔に向かって飛んできた虫を、反射的に手で払うようなものだったのだろう。しかし彼女の念力はちょっと強すぎた。可哀想に、もろに喰らったレオは床に伸びてしまった。
     幸い、ギルベルトの見立てでは軽い脳震盪らしいが、水希からすれば気休めにもならないだろう。下手したら大怪我だってありえたのだから。
     ましてや、相手はレオである。
     水希がレオを特別視しているのは、よほど鈍い人間でなければすぐわかることだ。事故とはいえ、意中の相手を怪我させてしまったら、そりゃあ落ち込むだろう。
     ──あーあ、泣かした。
     実際には半泣き止まりだが。非難を込めて、靴底を頭に擦りつけてやった。
    女体化 通話開始ボタンを押した途端、壁の向こうまで響き渡るほどの笑い声と悲鳴に、水希はスマホから顔を離す。
    「だあっはっはっは! 水希! 来い! ぶふっ……今すぐ事務所! お゛えっ」
     えずくほど笑い転げているザップの言葉は聞き取りづらかったが、辛うじて事務所に呼ばれていることはわかる。あそこは職場であって、遊び場ではないはずだが。
    「やめろよおおお! 呼ぶなよおおお!」
     皆とは言わずとも察した。半泣きで悲鳴を上げてる誰かさんになにかあったと。かなり昂ってるようで、声がやけに甲高い。
    「……ツェッドさーん。誰か他にいないの?」
     緊急性を伴う空気でないことはわかるが、二人が落ち着くのを待ってたら埒が明かない。さっさと見切りをつけて、説明してくれそうな第三者を求める。
     声が届いたのか、「代わりました」とツェッドが応答した。
    「レオのやつ、どうしたわけ?」
     期待を裏切り、ツェッドは「ええ、まあ……」と煮え切らない返事。その背後で今度はザップが「ぐおあああ目があああ」と叫ぶ。レオが緊急時以外で義眼を使うとは珍しい。
    「水希!!」
     視界混交によりザップから見事スマホを奪取したレオが呼ぶ。
    「来ちゃダメだから! 絶対! 来るなよ!」
    「そこまで言われると、逆に気になるんだけど」
    「ダメ……ちょっとザップさん! なに写真撮ってるんすか!」
    「っしゃ、送しーん」
     向こうばかりが盛り上がり、温度差が激しい。完全に白けた水希はもう電話を切ってやろうかと思ったが、引き留めるように通知が鳴る。ザップが画像を送ったようだ。水希は迷わずタップする。
    「は」
     そこにいたのは、レオに瓜二つの女の子。そっくりさんかと思いきや、背景はライブラ事務所だし、ツェッドのものらしき手も端っこに移ってる。
     なんでもござれのHLだ。女の子が誰なのか、想像はつく。
     しかしなによりも水希の目を引いたのは。
     ──でっか。
     トレーナーを押し上げる二つの膨らみだった。
    ティウス(夢用) Link Message Mute
    2023/03/25 0:00:00

    【番外】Hello,shining!3

    レオ夢
    ツイッターで書き溜めていた番外SS
    ※オリ主/名前変換なし
    #夢界戦線 #夢小説 #オリ主

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