悪夢を拭い去る温もり「ぐはっ…!!や、やめてくれ…!!」
また『あの夢』が僕を襲う
そう、山野と小西の亡霊が僕を殺しに来る夢だ
この夢を見たときは決まって、目覚めて数十分間吐き続けることになる
出所後、堂島さんから告白され、恋仲というやつになった
その頃からこの現象は度々発生している
まるで僕には愛情を得る資格がないと言われんばかりにだ
…加えて、堂島さんに抱かれた後数日はこの状態になる
堂島さんにそれを気づかれないよう、
致したあと数日は堂島さんのお誘いを断ったりしてなんとか隠してはいるのだが
そろそろ勘づかれているかもしれない
そんなことを考えながら
僕は決まって気持ちを落ち着かせるため、ボロボロの身体を引き釣りながら、
ベランダで堂島さんが吸っている銘柄の煙草を吸う
でも今日はちょっと油断しすぎた
そう
堂島さんが合鍵を使って僕のマンションにきてしまったのだ
「足立?いるんだろう?この間話した書類、持ってきたぞ。…!!足立、どうしたお前!!」
こうなってはもう隠しておけない。
僕は意を決して事情を堂島さんに話した。
すると堂島さんは僕をきつく抱き締めてこう言った。
「そんな夢、俺がずっと傍にいて近寄らせないようにしてやる!
…今日も明日も、ずっとだ。…だから安心してお休み、足立。」
そうして、堂島さんの煙草の匂いと堂島さん自身の匂いに包まれ安心したのか、
一筋涙を流し、僕はすっと意識を手放した。
そのあと見た夢は
堂島さんと笑い合いながら
広い草原を散歩している夢だった