くろさんからいただいた堂足ネタ作品_連投!■でっかい貿易会社の社長・堂島さん×特殊能力持ちの孤児・足立さん
ある日、罠に嵌って取引に失敗し、大損をする堂島さん。
信用を失い、覚えのない借金をかかえる堂島さん。
ありとあらゆることを調べ上げ、犯人と思しき人にはたどり着くのだが、証拠がない。
このままでは倒産して何千との社員を途方に暮れさせることになる…。
悩みに悩んで、海外赴任先で出会った不思議な力を持つマーガレットに連絡とってみることにした堂島さん。
「お前、不思議な力を持っているんだったな…。力を貸してくれないか。」
「…そうね…。あなたはとても誠実なヒト。こんなところで終わりにするのは勿体ない。
安心なさい。あなたの運命はまだ光り輝いている。」
いったんはその言葉を信じ、いつもの行きつけのバーで酒をあおりながら策を練るものの、まったく良案が浮かばない。そんなとき、一人の青年に出会う。
「あんた…罠にはめられちゃったの?かわいそうに。…僕があんたの光になってあげようか。」
自分の境遇を一切話していないのにすべてを見通したその声の方を振り返ると、
金目をした黒髪の給仕の青年がそこに立っていた。
そうして彼は俺の手を取り口づけを落として言ったのだ。
「僕の名前は足立透。…あなたの光になれると思うんだ、『堂島遼太郎』さん。
ねぇ、僕を飼ってくれませんか。」
※足立さんの能力
物質・精神の残存気配を読み取る能力かな…考え中。
■代々足立家に仕えている執事・堂島さん×実は本家筋ではない足立さん
稲羽の地区で名のある名家…足立家。
そこの当主となった足立透。
彼は実は父親と愛人との間に生まれた子で、ずっと本家との関わりを絶っていた。
母親もすぐ蒸発していたので、生活も本当に最低限な生活を送っていた足立さん。
ある日、本妻との間の子が交通事故に遭い帰らぬ人に本妻も同様の事故で死亡。
唯一の息子であった足立さんが呼び寄せられ、次期当主として連れてこられた。
堂島さんは代々足立家につかえる執事の血筋で、次期当主に仕える予定だったので、
足立さんに仕えることに。
最初は足立さんも堂島さんに心を開かず、自分の世話は不要だと追い払っていたのだが、
ある日、堂島さんが、夜、自室で趣味としてこっそり演奏していたバイオリンを聴かれてしまう。
だが、足立さんはその音色を聞いて涙を流す。
…いつだったか、母親が聞いていたレコードの曲だったという。
それを子守歌にしながら眠りについていたとか。
それから毎日その音色を聞きにやってくる足立さん。
いつだか二人は二人だけの世界に安らぎを覚え、どちらともなく惹かれ合う。
「ご主人様。私は抱いてはいけない心をあなたに持ってしまいました。
…でもこの想い、あなたには伝えておきたい。
…好きです。大好きです。あなたの儚げな顔も、はにかんだ笑顔も。
辛そうな顔をされているときは優しく抱きしめ、その顔を和らげて差し上げたい。
…こんな従者で申し訳ございません。ですが…どうしてもこの気持ちは抑えきれないのです。」
「…堂島さん…。敬語、やめて。僕の前では本当のあなたを見せて。」
「…!!」
「初めてだった。僕を、『足立透』っていう一人の人間として見てくれるのが。
当主である僕じゃなくて、
一人の人間として愛してくれるんでしょう?そんな嬉しいこと、ないですよ。
ずっと…ずっと一人で生きていくって思っていたから。
こんな身分制度なんてクソくらえだ。僕は…僕はあなたと一緒にいられるだけで、
それだけでいいのだから。」
「…あぁ、あぁ。お前が…『足立透』の全てが好きだ。愛しているよ。
なぁ、全部を俺にくれるって、約束してくれないか。俺も全部、お前にやるからよ。
閉じ込められたこの世界が嫌なら、壊してやる。俺がお前の世界を壊して、広い世界へと連れて行くから。」
そうして二人は月明かり照らされている部屋で涙を流しながら接吻をして誓い合うのだった。
二人でなら…どんな世界にいたって怖くない。
だって他でもないあなた(お前)が隣にいるのだから
■若手警察官堂島さん×サボり癖のある学生足立さん
今日も今日とて、僕は学校をサボって、少し学校から離れたコンビニの入り口で座りながら、
お気に入りの本を読んでいた。
そこに最近寄ってくるやつがいる。
「まーたお前サボっているだろう学校…!」
最近配属されたという警察官だ。
名前は初めて自己紹介されていて、「堂島さん」という。
そっとしておいてほしいのに、どうやらこのコンビニを立ち寄りルートにしたようで、
度々僕に絡んでくる。
無視をしても僕と一緒に読んでいる本を読み始める始末だ。
「あんた…暇なの?仕事ちゃんとしなよ。」
「仕事はちゃんとしているぞ?お前の警護とパトロールをな。」
にこっと笑い、また僕の読んでいる本へと視線を落とす。
そんな日常が少しむず痒く感じながらも、いつしかそんな日々が楽しみになっている自分がいた。
家に帰っても居場所がない、学校でも独りぼっちだった僕にとって、
この少しの時間が僕にとっての唯一の居場所であり、幸せな時間だったのだ。
いつしか僕は、堂島さんのことが好きになっていた。
そんなある日。
コンビニの近くまで来たところで人だかりができているのを見つけた僕は、
間を現場近くへと寄っていった。
するとそこには腕を負傷して血を流している堂島さんと、包丁を振りかざしている男がいた。
堂島さんは女の人をかばっているようだったが、だいぶ分が悪い状況。
そんなとき、相手が堂島さんに向かって包丁を前に向けながら走ってきた。
堂島さんは慌てて女の人をかばうように覆いかぶさったのだが、
そのままでは堂島さんが刺されてしまう…!
そう思ったら自然と身体が動いていて、次の瞬間、僕は包丁を素手で掴んで行く手を阻んでいた。
「あんたさ、迷惑だから早く捕まってくれないかな?」
そういうと、相手は驚いて包丁を落として地面に尻餅をついていた。
…そう、僕は痛覚が鈍すぎて、痛みを感じない。
だから包丁を素手で掴んで血を流していてもちっとも痛くない。
だけど、代わりに痛そうな顔をして堂島さんが僕の方へと歩いてきた。
「お前……どうして平気そうな顔してそんなことしたんだ!」
「…僕も良くわからない。…けど、体が勝手に動いていました。」
「…!!」
「あぁ、でもこれは平気ですよ?僕全然痛覚ないから。あぁ、何か刺さったな?くらいにしか感じないので。」
「そんなこと、平気な顔して言うな!…いや、いい。俺がお前に教えてやる。
お前、俺のこの腕みてどう思う?」
「…ドクドク血が流れていて、辛そう?」
「そう。辛いな。でもな、俺はお前がこんな怪我をして『痛い』よ。…心(ここ)がいてぇんだよ。」
「……な、なんで?」
「…お前が大切な存在で。お前を失うかもしれない、そう思ったからだよ。」
そう言われて僕は初めて『痛い』を知った。
僕も堂島さんの腕を見て『痛い』って感じたんだ。
だから「護りたい」と思ってあんな行動をしたんだ。
「僕、も…心(ここ)が、痛いよ…。あなたを失うと思ったら、すんごく心、痛かったよ……!」
気が付くと僕は涙を流して堂島さんに抱き着いていた。
■大精霊堂島さん×召還士足立さん
魔獣討伐報酬としていただいた久々に上物の召還図。
だいぶ魔力を消費しそうだけど、古そうな召還図なので、強そうなやつが出てきそうだ。
古代聖獣とか?希少種の生物とか?はたまた激レアな魔法具か…。
そう思いながら、僕は召還図に魔力を注ぎ始めた。
僕はちょっと特殊な体で、物質を魔力として変換して使うことができる。
だいぶ魔力を吸収されていたが、なんとか召還に必要な魔力を注ぐことができた。
「さて、ご対面だよ…!」
そうして出てきたのは……
「…俺を呼んだのは……お前か?」
おっさんだった。
「えぇぇ?!ちょ、あんた人間?」
「失礼だな、俺は精霊族だ!」
「でも精霊の証の羽ないじゃないですか……。」
げんなりしながらも、召還した手前、契約しないわけにもいかないので一応契約した。
「あんた、名前は?」
「遼太郎、でいい。」
「ryo-taro-?」
「そう、その発音で合っている。」
「ふーん。じゃ、よろしく、遼太郎。」
数日後、討伐から帰ると、待機していた聖獣や精霊たちと仲良くなっている遼太郎の姿があった。
(こいつ、精霊族だって言っていたが…どんな能力持っているんだ…?)
そう思って図鑑を調べても全く情報が出てこない。
謎だらけの精霊に頭を悩ませながらも、人間と同様の生活が送れるようなので、
とりあえずはそっとしておいていた。
そんなある日。
討伐帰りで野宿をしていたところに魔獣が現れた。
(くそ、今の手持ちではこいつは倒し切れない…!!)
軽い討伐任務だったので、連れていた聖獣や精霊たちも数少ない状態だったので、
この大きさの魔獣を倒すには自分の魔力で戦うしかなかった。
だがそれでも力が足りない。
…さすがにまずいと思ったそのとき。
「主に手を出すやつは…俺が許さん。」
現れたのは遼太郎だった。
「ちょ、どうやってここにきたんです?!待機組だったでしょ?」
「主の魔法具の中にいつもいたぞ?そこからすぐに主のところに行けるように仕掛けてあるからな。」
そういうと、遼太郎は魔獣に向き合った。
「さて、主にも疑われてしまったからな、俺の力を。ここいらでお披露目とするか。」
すると遼太郎は光の繭のようなものに包まれた。
少しすると繭を割って、大きな羽を生やし、和装の姿で現れた。
「我は『法王』の称号を与えられし精霊族の王。名を遼太郎。
主を襲った貴様の罪、死をもって償え。…こい、"Gelber Drache".」
遼太郎に呼ばれて出てきたのは、大きな金色の大剣だった。
あの大剣は本でも見たことがある。
21本の聖具のうちの一つである大剣だ。
遼太郎はそれを一振りすると、魔獣は瞬殺され、消え失せた。
「主、無事だろうか。」
「…その、『主』って呼び方、やめてください。」
「ん?そうか。…じゃあ、透。怪我はないか。」
なんだよこのイケメン。
かっこよすぎだろう…。僕の好みど真ん中だよ全く。
下を向き、こくっと頷くと、遼太郎は僕の顔を持ち上げ、
まっすぐな目をしてこう言った。
「その、透。俺はお前のこと…一目惚れしてしまってな。
お前のことをとても好いているんだが…
お前と共にこれからも一緒にいても…いいか。」
「…当たり前でしょ。…大事にしてよね。」