虚無泣き足立さん『今日はご馳走作って待ってますから、早く帰ってきてね、ダーリン♪なんちゃってーははは!』
今日は堂島さんと所謂恋仲というやつになって1年。…僕が『堂島』の姓をもらって1年。
そのお祝いのため、今日ご馳走作ることにしたことを堂島さんに伝えた。
ちょっとおふざけ混ぜて伝えたので堂島さんはむすっとしたが軽く微笑み『楽しみにしている』と言ってくれた。
そうして夕方。
ご馳走の仕込みをしていたときに1本の電話が鳴った。
…そう、全てはここから大きく変わったのだ。
「堂島さんのご家族の方ですか?」
「あ、はい、そうですけど。」
「こちら稲羽総合病院のものです。
その、堂島遼太郎さんが子供を庇って事故に遭ってしまい…打ち所が悪く意識不明の状態です。至急病院までいらしていただけますか。」
この電話のあとのことはあまり覚えていないのだが、堂島さんのいる病院にはたどり着いていた。
そして病室を開けた瞬間
僕は絶句した。
朝、普通に会話してにっこり微笑んでくれていた堂島さんが。
こんな犯罪者な僕のことを受け入れて一緒にいてくれると約束してくれたはずの堂島さんが。
目を開けていない
ぴくりとも動かない
顔は殆ど包帯を巻かれていて見えない
だんだん吐き気もしてきたが、
同時に心がひとつ、またひとつと死んでいく音がした
せっかく堂島さんが僕にいろんな心を、感情をくれたのに
温かさをくれたのに
それらがひとつひとつ割れていく音がした
そうして
ひとつの機械音が断続的に鳴り響いたとき
僕の心は全て粉々に崩れ去り
なにも感じずたたひたすら涙だけを流していた