210809_小さな幸せも抱き締めていつものように酒盛りをしていると、ふと足立が呟いた。
「堂島さん、今日って、ハグの日らしいですよ。」
「ハグの日ねぇ。」
それがどうしたのだ、といった感じで返事をすると、
足立はむすりとした顔をして立ち上がった。
そして大の字よろしく、仁王立ちして両腕を広げて俺の前に立つ。
「Let's try to hug me!」
「れ、れっつ、とらい…?」
「ぎゅーってしてくださいよ!もう!」
耳まで真っ赤にしながら何をねだるのかと思いきや、
イベントごとに興味無さそうにしておきながらも、それに乗じたいらしい。
いつまでたってもかわいいやつだと心の中で思いながら、
思いっきり抱き締めてやった。
「お気に召されたか?」
「…はい、とっても。でも、もっとあなたを近くで感じたいなぁ。」
胸に顔を埋めた足立の顎を掬って上を向かせると、
先程までのかわいい顔から一変悪戯を考えている悪い顔になっていた。
「それは俺がずっと酒を飲みながら考えていたことだがな。」
深く深くあなたを抱き込んで。
あなたの匂いも僕のもの。