あなたの鎖でつないで離さないで最近、ちょっとしたカフェ経営をし始めた。
オーナー業なので、たまにしか店には顔を出していないのだが、
今日はたまたま顔を出す日で。
僕は店へと足を運んだ。
カフェ経営と言ったが、昼はランチ、夜はバーになっている。
今日は夜の時間帯に少し顔を出すことになっていて、
ふらりと立ち寄ると、お店の売り上げは上々。
そこそこの人込みも出来ていて、十分繁盛していた。
適当にカクテルをバーで飲んでいると、
どうやら男目当ての客がいたようで、僕の身体をちまちまと誘いながら、
ナンパを仕掛けて来ていた。
(あー…キモっ。…キモいってもう死語なのかな?)
そんなことを思いながら、
やんわりと誘いを断っていると、間に割って入る腕と、
静かに怒りを表したように、グラスをテーブルに叩き込む人がいた。
「お前が手に負える相手じゃねぇよ。こいつは俺のもんだ。」
ネクタイを緩めながら相手にそう言い放ったのは、僕の飼い主。
堂島さんだ。
「お店、迎えにきてくださったんですね。」
「あぁ。…奥の部屋、借りるぞ?」
体の奥底からゾクゾクするような視線を僕に浴びせながら、
これから起こるだろうお仕置き(ごほうび)に身体を震わせるのだった。
あなたという鎖に縛られて
身動きとれなくても
あなたに触れてもらえるだけで
こんなにも喜びを感じる
「えぇ、勿論。思う存分僕を愉しんで、堂島さん。」