人間でもシャドウでもない足立さんあれから、霧はどんどん深くなった。
それと同時にこの世にもシャドウがあらわれるようになった。
そう、この世の人々がシャドウ化していってるからだ。
最近警察署にいる同僚も、話し方が片言になりつつあり、シャドウ化の片鱗を見せていた。
そしてあの堂島さんもまた、最近意識が混濁するときがあると言っていた。
さて僕はどうかというと。
足立、お前、金目になってるが…
え、まじっすか?カラコンじゃないけどなぁ…
どうやら僕は目の色が変わってしまったようだ
その目のお陰か、霧の中もはっきり歩けるわけだが
僕もまたシャドウに近づいているのだろうか
でも他の人と症状がちょっと違うわけなんだけど
そうしてまた数ヶ月
八十稲羽には殆どの人間が消えていっていた
堂島さんも殆ど人間のときの時間がない
でも僕は金目になってるだけ
あとはお腹が空かなくなってきたことくらい
そうして
僕以外のニンゲンがいなくなったこの世界に
たったヒトリ
いやたったひとつのイノチとなった僕は
結局誰もソバニハイナインダト
思い知るのだった